松江工業高等専門学校 技術室 平成 19 年度事業報告集

松江工業高等専門学校
技術室
平成 19 年度事業報告集
(2007.4 ~ 2008.3)
2008.3)
第7号
2008
2008 年 3 月
実践教育支援センター
実践教育支援センター長挨拶
センター長挨拶
実践教育支援センター長:福間 眞澄
本校の位置する島根県は自然に恵まれる地域ですが、産業
振興の遅れ、人口減少、少子高齢化などの問題は全国的に見
ても最も深刻な地域でもあります。少子高齢化の進むこの地
域の15歳人口は、今後10年間で現在の約7.5千人から約
2千人減少します
(本校が存在すれば 30 人に1人が高専生と
いう数字)
。本校がこの地域の中学生にとって魅力ある教育機
関として存在しなければ、本校の存続について危機的な状況
となる恐れがあります。具体的には、中学生に本校が進学先
として選ばれるに十分な学校であること、そのためには中学
生、社会や地域から本校が信頼される学校である必要があり
ます。
本校は、昨年度に日本技術者認定機構(JABEE)の審査を受けました。その結果、JABEE 認定を受
け昨年の専攻科修了生から JABEE 修了証書も付与されるようになりました。JABEE 修了者には、技
術士の一次試験の免除が与えられます。この審査でも実験実習など「体験的ものづくり教育」の重
要性が審査されたことは言うまでもありません。JABEE 認定については、資格付与の責任が継続的
に問われます。高専教育の中で、実験実習を通じた「体験的ものづくり教育」が低学年から学べる
ことは大きな特長であり、かつ、高専の魅力の一つであると考えられます。認証評価や JABEE 認定
により、一定水準の教育ができているということを社会や地域に示すことも当然必要ですが、真の
評価は、やはり本校の教育目標に掲げる技術者を育てていることを、進路先となる日本国内の大学
や企業などの社会や地域から認めてもらえることであると思われます。本校でも卒業後の進路は、
大学編入と就職との割合が、4対6となり将来の進路に選択枝が増えてきています。少子化の影響
もあり、将来の進路に明確な目標を持たない入学者も多くなってきていると思われます。特に3年
以下では、一般科目の基礎知識、人間性の育成といった「ひとづくり」に関係する教育も重要とな
っています。本校に入学して、3年生以下で退学、留年する学生が社会的に見て(島根県の高校の
退学率約 1%と比較して)多いようであれば、高専は信頼される学校ではなくなると思います。こ
のような点を考慮すると、1から3年以下での実験実習を通じた「体験的ものづくり教育」が学生
にとって楽しいものであることが高専教育の魅力の一つとなり、学生の学習意欲と動機にも繋がる
はずです。
実践教育支援センター(技術室)の業務は、実験実習を通じた「体験的ものづくり教育」に大き
く貢献してきたと考えています。技術室には校内外からさまざまな支援依頼があります。その支援
依頼は、各学科の実験実習の支援に留まらず、資材準備、装置設備の管理、ロボコン、エコラン、
ブリッジコンテスト等々の各種コンテストの支援、校内の施設保守等に関する支援、経済産業省の
人材育成などの地域貢献、学生募集、校内の事務効率化に至るまで幅広いものです。センターでは、
組織としての質的向上を目的とした毎年の研修会、若手技術職員の民間企業研修も行われています。
また、毎月のセンター会議では、センターの運営に関する内容の他、組織の果たす役割と組織のあ
り方等についてさまざまな議論も行われました。これらの取り組みによりセンターは前年度からま
た一歩、確実に前進していることを実感しています。センターの目標として掲げている「機能する
技術集団」
(実践教育支援センターは単なる教員の下請け組織でなく創造的に機能する技術集団とな
る)に現在の業務内容を照らし合わせ、組織や個人の問題点を浮かび上がらせ、改善して行くこと
が必要ではないかと考えています。今後も、センターでは、学生の立場に立った教育支援に軸足を
置き、組織とセンター員の SD(Stuff Development)に取り組むことが大切であると思います。
今年度は、機構本部により実習工場の老朽対策と先端的設備の整備が行われることになりました。
センターの技術職員の方には、設備の選定や導入に協力していただき、数千万円規模の3次元レー
ザ加工機が導入されることになりました。導入する加工機は、現在のところ近隣企業でも所有して
いない新設備です。実習工場の外壁や窓や内装の施設の一部も改修されます。3次元レーザ加工機
は来年度から学生への「体験的ものづくり教育」や地域貢献に活用されることを期待しています。
最後に、技術職員として永年勤務された原誠治氏が昨年9月をもって退職されました。この紙面
を借りて、氏の38年の永きに渡るご活躍とご努力に感謝します。
「機能する
機能する技術集団
する技術集団」
技術集団」をめざして
技術室長 山本 誠司
「機能する技術集団」を目指してスタートした技術室は組
織化以来7年が経過し、教育研究支援・技術支援・地域貢献
活動等をまとめた報告集も第7号を発刊する運びとなりまし
た。
今年度は第1技術班で、1名の休職者があったため教育支
援が難しい状況になりましたが、他班からの支援により技術
室内部で対応することができました。この様に対応がスムー
スにできたのも組織化の長所と言えるでしょう。
今年度、貢献度・独自性等の面から見て大きな取り組みの
一つに「学務情報システム」の開発があります。これは、昨
年度より継続して取り組んできたもので、本年度は試験運用
までこぎつけ、ほぼ完成することができました。このような取り組みを継続して行くためには、自
己研鑽とチームワーク等が大切になってきます。
自己研鑽への取組として、第6回実践教育支援センター(技術室)の職員研修会を開催しました。
この研修会では、福間センター長より『技術者の姿-技術立国を支える高専卒業生たち-』の書籍
の紹介があり、創造的で実践的な技術者の育成を目的として作られた高専の姿が語られ、学生と教
職員との人間的つながり(コミュニケーション)
・社会的評価や高専の存在意義を考える機会となり
ました。また、本年度も科学研究費補助金(奨励研究)に3件採択されており、毎年全室員が採択
を目指しています。次に、昨年度から対外的な技術職員の取組を発表する機会として総合技術発表
会(名古屋にて開催)に参加いたしました。本年度も徳島大学で行なわれる総合技術発表会におい
て口頭発表およびポスター発表を行う予定です。更に、今年度も2ヶ月間の民間企業研修に第2技
術班の室員を派遣し、実践的技術の習得だけでなく民間企業のコスト意識や安全管理等の研修を行
いました。この様に室員個々のスキルアップをはかりつつ、以下のような地域や学校への貢献を意
識した取組を展開しました。これは、室員同士のコミュニケーションの構築という点でも大いに役
立っています。
地域貢献事業では、人材育成事業「メカトロニクス基礎講座」にスタッフとして1名参加してい
ます。来年度は他の人材育成事業も始まり約半数の技術職員が関わりを持つようになります。
また、学校開放事業においても、技術室独自で実施したもの3件、学科等への支援として関わっ
たもの3件がありました。
このように、様々な取組を通して、室員それぞれが少しずつでもグレードアップをはかりながら、
松江高専発展のために必要とされる技術室となるよう、室員一丸となって尽力していく所存です。
目
次
実践教育支援センター長挨拶
【実践教育支援センター長:福間
技術室長挨拶(はじめに)
【技術室長:山本 誠司】
□トピックス
◎学務情報システムの開発
眞澄】
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
□各委員会報告及び各班からの年間報告
◎支援委員会【支援委員長:内村 和弘】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
◎研修委員会【研修委員長:川見 昌春】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
◎評価委員会【評価委員長:福田 恭司】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15
◎第1班【主査:山本 誠司】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
◎第2班【主査:川見 昌春】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
◎第3班【主査:福田 恭司】・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
□技術室の取組み
◎民間企業研修【池田 総一郎】 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
◎実験実習の取り組み紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 23
機械工作実習1・2(ウインチ巻胴製作):第1班
専門基礎特別演習A:第2班
◎学校開放事業
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27
独自の取り組み
チャレンジ!電子工作
親子で奏でよう!笛作り
竹とんぼを作って飛行機が飛ぶわけを学ぼう!
支援の取り組み
親子体験授業「たたら鋼で小刀つくりにチャレンジ!」
小学生のための電子工作~光センサーを使った自動走行ロボット~
七色に光るクリスマスツリーを作ろう
◎平成 19 年度奨励研究報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
コンクリート実験用供試体粉砕機の試作に関する研究
【本多 将和】
発光ダイオードを用いた実践的技術者育成のための教材開発に関する研究
【福島 志斗】
オープンソース LMS を用いた工学実験用 e-Learning 教材の開発 【川見 昌春】
◎平成 19 年度出張報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
◎その他の取り組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40
サイエンスパートナーシップ
エコラン活動報告
人材育成講座用教材の紹介
現代GP「高専間連携を活用した体験型環境教育の推進」への取組
石見銀山遺跡におけるロボット探査
◎スタッフ紹介 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
特集「人」
【岡田 康】
今年度を振り返って!来年度への抱負
□資料集
松江高専実践教育支援センター規則 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
民間企業等派遣研修実施要領 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
松江工業高等専門学校技術専門員・技術専門職員選考規則 ・・・・・・・・・・・・・
組織図 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
技術室運営に関する内規 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
内務部会・推進室担当一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
平成19年度技術室会議議事録 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
写真集 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
新聞記事等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
各種資格・技能講習受講状況 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
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□編集後記 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
【表紙写真】
左上:学校開放事業「チャレンジ!電子工作」の作業風景
左下:学校開放事業「親子で奏でよう!笛作り」の作業風景
右上:学校開放事業「竹とんぼを作って飛行機が飛ぶわけを学ぼう!」の滞空時間を
競うコンテストの様子
右下:第6回技術室職員研修会の様子
トピックス
◎学務情報システムの開発
各委員会および
各委員会および各班
および各班の
各班の年間報告
◎各委員会報告
支援委員会【支援委員長:内村
研修委員会【研修委員長:川見
評価委員会【評価委員長:福田
◎各班の年間報告
第1班【主査:山本
第2班【主査:川見
第3班【主査:福田
1
誠司】
昌春】
恭司】
和弘】
昌春】
恭司】
トピックス
学務情報システム
学務情報システムの
システムの開発
報告者:川見 昌春
1.はじめに
従来から松江高専で使用されてきた履修・成績処理関連システムは、本校教員により設計・作成
されたものである。そして開発した教員の退官後は外部業者により保守管理・変更等が行われてい
るが、学内規則・カリキュラム変更等のよるシステムの仕様変更は外部業者に依存するため、経費
が嵩むという問題がある。さらに既存のシステムは教員および事務職員の労力負担が大きく、効率
化を求められる現在においては通常業務への支障も生じている。
このため、平成18年度より学生へのサービス向上と教員・事務職員の労力および経費削減を目
的として、技術室を中心とした学内製作による新規の学務情報システムの開発を行っている。
なお、新システムの履修および成績処理に関する部分は現在試験運用を行っているところであり、
正式運用は平成20年度から実施予定である。
2.既存システム(履修・成績処理システム)の問題点
今回システムを新規に開発するにあたり、既存システムが抱える問題点を考慮して設計を行った。
・ 旧カリキュラム時代のシステム設計のため、現在のカリキュラム・規則への対応が困難
・ 教員、事務職員の手入力作業(EXCEL 表作成、DB 操作など)が多いため、処理が非効率
・ 一連の作業が全て終了しないとデータ処理が滞る、あるいは初めからやり直しになる
・ 学生が自己の情報(履修登録科目、修得単位状況など)を確認できない
・ スタンドアロン構成のため他部署とのデータリンクが不可
なお、既存システムは図1のようなシステム構成で動作している。データベースは Microsoft
Access を使用し、VBA によってプログラムが記述されている。
← DB は Microsoft Access を使用
図1.既存システム
3.新システム(学務情報システム)について
新システムでは、既存システムの問題点を克服するとともに、可能な限りオープンソースソフト
ウェアを利用した開発を行っている。新システムでは Web アプリケーションベースでほとんどの操
作を行うように設計した。よって教務担当職員、教員、学生はそれぞれの URL に Web ブラウザを使
用してアクセスし、ユーザ認証を経て各種の操作を行う。図2に新システムの構成を示す。
2
トピックス
図2.新システムの構成
新システムでは、サーバ OS に Linux(CentOS)、データベースは MySQL5、プログラム言語は
PHP5+JavaScript、帳票用に Excel-VBA、http サーバに Apache2 を使用している。サーバ・クライ
アント間は https による暗号化通信を行い、ユーザ ID・パスワードによる個別認証を行う。
教員からの成績評価データ(EXCEL 形式)はネットワーク経由でサーバにアップロードされ、入
力チェックを経て成績テーブルに格納される。また、選択科目受講者名簿、履修登録科目一覧など
はブラウザ画面に表示するとともに EXCEL 形式ファイルとしてダウンロードが可能である。
学生は今まで選択科目履修届を紙面で提出していたが、新システムではブラウザ画面から登録・
変更を行う。また修得単位状況も今後確認できるように機能を追加する予定である。
新システムは従来の成績処理を含め複数のシステムから構成される。現在は履修登録、成績処理、
学籍管理のサブシステムを試験運用中である。
今後の開発計画を以下に示す。
・ 履修登録サブシステム(試験運用中 ・・・ 平成 20 年度から正式運用予定)
・ 成績処理サブシステム(試験運用中 ・・・ 平成 20 年度から正式運用予定)
・ 学籍管理サブシステム(試験運用中)
・ 入試処理サブシステム(開発予定)
・ 寮管理サブシステム(開発予定)
・ 課外活動サブシステム(開発予定)
3
各委員会および各班の年間報告
支援委員会
報告者:内村 和弘
支援委員会:内村 和弘、岡田 康、奥原 真哉
19 年度支援委員会の業務内容を以下に示す。
○ 教育支援、製作依頼、技術支援の受付、取りまとめ。
教育支援:実験実習・演習などの支援の受付、計画、実施についての取りまとめ。
製作依頼:教育研究に関する装置、部品等の製作、特殊加工等の受付、計画、実施についての取
りまとめ。
技術支援:その他の技術的な支援(共同研究、学校開放事業、出前授業、各種イベント等技術職
員の技術を必要とされる業務)の取りまとめ。
○ 実験実習管理業務
実験実習計画書の作成、配布、集計、支援計画の作成。
実験実習演習等の時間割に関する業務。
共通的な実験室等の振り分け、調整。校内時間割作成に関する教務委員会、実験実習、演習
等の担当教員との調整。
実験実習予算案の作成。
○ 実験書の製本に関する取りまとめ。
各学科へのアナウンス、計画、製本印刷、配布。(20 年度より研修委員会へ移行)
○ 各支援業務についてのアンケートの実施。
教育支援(前期、後期)
、製作依頼(製品の受け渡し時)
、技術支援(前期、後期)に実施。
19 年度の各支援における依頼件数、内容は、ほぼ昨年度並みであった。しかし年度当初に 1 名、
後期に 2 名の欠員が生じ各支援業務に影響があった。しかし、各担当において適正な対応と調整によ
り実験実習への影響を最小限にすることができた。後期には 1 名の非常勤採用により負荷を軽減する
ことができた。
アンケートについても昨年度同様実施、回答より人員不足に対しての問題は見られず全体的に良好
であった。しかし、一件であるが対学生に関しての指摘があったため、会議で報告、全体のことと受
け止め修正に向け取り組んでいる。
実験実習管理業務においては、各学科担当が新しくなったところがあり、認識不足や、確認不足に
より多少の問題が生じることはあったが、最終的には問題なく遂行することができた。
来年度に向け懸念する事として、業務量の増加である。今年度より、事務や教務の情報系の支援を
行うことになったことや対外的な業務(サイエンスパートナーシップ、人材育成など)の増加、12
月期卒研の支援依頼殺到などである。来年度の校内の動向も、社会人人材育成、学校開放事業、出前
授業等の増加などが挙げられており、技術職員もこれらの構成員や講師として参加している。しかも
4
各委員会および各班の年間報告
20 年度からのカリキュラム変更や、新型機器、ソフトの導入で教育支援の依頼が増加している状況
である。
このような中で、実験実習に影響なく、何を重視し、どのように各支援業務を分担、遂行していく
のかが問題となってくる。また、実験室や機器の運用に関しても同様であり、周りとの連携が重要で
あると思われる。
以下に各支援業務、アンケート結果について報告する。
教育支援
教育支援においては昨年度並みであったが、人員の不足が生じた。内容や、安全面を重視し配置を
変更して実施した。また、1 名退職者があり、欠員のまま実験実習を行わざるを得ないものもあった。
後期には 1 名の非常勤の採用があり、依頼に対して一部を除きほぼ対応することができた。
一人あたりの平均時限数は、約 17.3 時限/週(パート、非常勤除く)最大で 20 時限/週
表 1. 19 年前期
表 2. 19 年後期
5
各委員会および各班の年間報告
製作依頼
依頼数 59 件(2 月 20 日現在)
依頼件数は昨年度とほぼ同数であるのに対し、総時間数は 358 時間と例年に比べ、少ない時間とな
った。支援分野では卒業研究、ロボコン、実験、研究への支援に加え、その他としてオープンキャン
パス、ブリッジコンテスト、人材育成事業への支援も行った。その結果、ロボコンへの支援がもっと
も多く 28%であった。製作依頼を担当する班は特殊な機械加工を要する機械系の 1 班による支援が
85%と大半を占めている。
支援分野
その他
その 他 ;
19%
全班 ; 2 %
1 班、3 班;
5%
1 班、2班;
3%
2班 ; 7 %
卒研 ; 22 %
担当班
研究;
研究 ; 25 %
ロボコン;
ロボコン;
27%
実験;
実験; 7 %
1 班 ; 83 %
時
間
数
総時間数 推移
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
466.5
415.5
414
358
H16
H17
H18
H19
年度
技術支援
依頼件数は 46 件(2 月 28 日現在)
昨年度より 6 件増加し、目的別にみると「その他」が 26.6 パーセントと多く内容的には各種イベ
ント、出張授業、事務関係の情報系の支援などとなっている。また、班別においては 2 班が担当する
ものが多かった。
技術支援目的別
技術支援班別
班問わず, 2, 5%
1班, 9, 21%
3班, 6, 14%
研究, 12, 29%
その他, 26, 61%
学生活動 , 4,
10%
2班, 25, 60%
6
各委員会および各班の年間報告
支援アンケート
支援アンケート(岡田康、奥原真哉)
アンケート
各支援業務の取り組みについてのアンケートを実施した。教育支援および技術支援については前
期・後期の授業日程終了後に、製作依頼については納品時に行った。
今年度は、各支援についての 5 段階評価とコメント欄記入以外に、教育支援における教員との協
力体制や学生への対応といった記入欄を設け、具体的な意見を抽出するようにした。
アンケートの評価結果についてはすべてにおいて「大変良い」、「良い」となった。
室員各自の日常業務における姿勢が反映された結果となっているようである。
各支援のアンケート結果は以下のとおり。
○教育支援
教育支援アンケートについては、科目別の評価となっている。
56 件の回答があった。依頼者が記入したコメントの中で、学生へ
の対応に積極性を求められるものが 1 件あった。理由としては、
H19年度前期教育支援
良い
16%
教員側と技術職員側の対学生への指導方法について認識の差が
あったためだと考えられる。このことについては、指導者側にお
いて、事前に打ち合わせを十分取ることで対応できると考えられ
る。この他には、新規実験テーマの準備や授業の支援に対する感
大変良い
84%
謝がほとんどであった。
○技術支援
H19年度技術支援
技術支援は、通年で 24 件の回答が
良い
8%
あり、高評価であった。担当班、担
H19年度後期教育支援
良い
13%
当者による迅速な対応に対する評価
が高かった。
○製作依頼
製作品の納品時に調査を行っている
大変良い
87%
大変良い
92%
アンケートでは全体の 87%が 5 段階評
価の最も良い評価であった。アンケー
評価
トのコメントでは「丁寧に作製していただき大変助かりました。
ありがとうございました。」「至急の依頼に対応していただきあ
評価 ④ .
13%
りがとうございました。精度、納期に関しては、申し分ありま
せん。今後ともよろしくお願いします。
」などお礼に類するもの
がほとんどであった。
評価⑤
評価 ⑤ .
87%
7
各委員会および各班の年間報告
表3.19 年度技術支援一覧
8
各委員会および各班の年間報告
表4-1.19 年度製作依頼一覧
9
各委員会および各班の年間報告
表4-2.19 年度製作依頼一覧
10
各委員会および各班の年間報告
研修委員会
報告者:川見 昌春
研修委員会:原 誠治・川見 昌春・福島 志斗
1.はじめに
技術室の発足から 7 年目を迎え、他の委員会では徐々に業務内容の見直しが行われる中、研修委員
会だけは発足当時のままであった。そのため活動自体がマンネリ化し、「技術職員の能力・資質の向
上と技術室のレベルアップに繋がるような研修会等の企画」という、委員会の活動目的を達成し得な
い状況であった。
今年度は従来の研修委員会業務の見直しと新たな業務の追加を模索した。そもそも研修委員会は技
術職員に対して、業務の遂行にかかわる様々な要素の情報提供と能力・資質向上を促すためのもので
ある。このことを意識して、手始めに研修会内容の再検討と実施を行った。また新たな試みとして、
技術室業務等に関する検討会を企画・実施した。このように少しずつではあるが改革を進めていると
ころである。
以下に今年度の活動を報告する。
2.活動内容および評価
(1) 技術室職員研修会の開催
今年度は従来の研修会内容を見直し、技術職員としての足元を見つめ直すことを目的とする新
たなテーマを検討した。全体の内容については後述の実施要項を参照いただくとして、今回の研
修会のポイントとして以下の2つを挙げる。
○ 討論会「技術室の発展を目指して」
○ 講演会「企業から見て高専に求めるもの」
討論会は現在の技術室が抱える問題点や不透明な部分について、室員全員で話し合うことを目
的に企画し、研修委員会で予め用意した以下の議題について話し合った。
① 若手技術職員のスキルアップの問題
② 支援業務を実施する上での問題点、改善点について
③ 現在の組織体制について
時間の都合もあり予定していた議題は消化し切れなかったが、今後検討会という別の機会を設
けて継続していくこととなった。ただ今回残念だったのは途中で他の会議出席のため数名が席を
外さざるをえなかったことである。スケジュール調整などの不備もあるが、技術室業務における
研修会の位置づけなど、もう一度技術室内で室員各自の認識を正す必要があると痛感した。来年
度からはこのようなことが無いよう運営にも気を配ることが肝要である。
11
各委員会および各班の年間報告
また講演会では、これまでとは違う視点での講演という設定を試みた。これは卒業生の就職す
る企業側が高専に対して求めているものを聞くことにより、技術職員として今後の実験実習等の
教育支援に反映させていくことを趣旨としたものである。今回は三菱電機㈱、㈱ルネサステクノ
ロジなどの人事部門を歴任され、現在は㈱シーテックの採用担当部長である松田壽男氏を講師と
して迎え、自らの経験と企業が求める学生像など2時間にわたって講演いただいた。変貌する学
生(親も含めて)の職業観・勤労観、ビジネス環境のグローバル化、高専を取り巻く環境や役割
の変化などについて、また学校への期待(学生の社会力・人間力の強化、学生への指導・助言等)
など幅広い視点での講話であった。企業が高専に求めるものが何であるか、技術職員は今まであ
まり触れる機会がなかったと思われるが、今回の講話が今後の教育支援での指導内容や方法等を
より良い方向に変えていく発端になれば幸いである。
今後も分野の異なる業種や地元企業からも講師を招き、松江高専に対して求められているもの
を率直に受け止め、学生への指導等に活かしていきたい。さらには地元企業などとの技術交流や
共同研究の切っ掛けとなるよう期待したい。
(2) 技術室業務等に関する検討会の開催
研修会の討論会において、技術室が抱える問題点等を話し会う時間を設けるという意見をふまえ、
検討会を企画した。この検討会は新たな試みだが、技術室発足以来このような時間を設けたのは初
めてであり、室員の意見集約の場として今後も継続していく方針である。
今回の主な議題は以下のとおりであった。
○ 非常勤職員の必要性と採用について
○ 支援業務を行うときの教員との係りかたについてどうあるべきか
○ 業務負担の特定室員への偏りと負担軽減・分散について
(3) 科学研究費補助金(奨励研究)の申請
奨励研究については全室員の申請を義務付け、初めて申請を行った平成15年度から毎年採択を
記録している。5年間での延べ採択件数は13件となった。
平成19年度は11名が申請し、3件が採択された。
なお、平成20年度の申請者数は9名だが、これは退職および病気休職者を除く数である。
また今年度から申請内容の精査・助言など、採択数増に向けた戦略的な活動も開始している。
研究課題名等の詳細については後述の資料を参照いただきたい。
(4) 資格取得の推奨
推奨する資格については前年度と同様ホームページに掲載しているが、資格内容・名称等の移り
変わりが近年増えているため、推奨資格についての選定を現在進めているところである。
また、資格取得に係る助成金制度など関連する情報についても調査を行い、技術室内に周知を行
った。これらの情報収集および室員への周知については今後も積極的に行っていきたい。
さらに、各種の研修会・研究会等の情報についても収集および周知を行う方針である。
12
各委員会および各班の年間報告
3.添付資料
(1) 技術室職員研修会実施要項
第6回松江高専技術室職員研修会実施要項
1.目
的
技術室職員の能力・資質の向上を図ることにより、教育研究支援業務の充実・
発展を目指すことを目的とする。
2.主
催
実践教育支援センター(技術室)
3.研修期間
平成19年9月10日 (月)~11日(火)
4.場
専攻科棟651ゼミナール室 および 第4棟441講義室
所
5.受 講 者
技術室職員及び受講希望者
6.研修内容
1日目 9月10日(月)
① 講話
「技術者の姿」の紹介
実践教育支援センター長 福間 眞澄
② 個人発表会
テーマ「業務に対する取り組み」
③ 討論会
「技術室の発展を目指して」
2日目 9月11日(火)
④ 技術発表会 平成18年度奨励研究採択者による発表
「雪のドーム型構造物(雪洞)の安定性に関する研究」
第3技術班 福田 恭司
「自律移動福祉ロボットの開発」
第1技術班 奥原 真哉
⑤ 平成19年度技術室主催学校開放事業報告
チャレンジ!電子工作
第2技術班 岡田 康
親子で奏でよう!!笛作り
第1技術班 奥原 真哉
竹とんぼを作って飛行機が飛ぶわけを学ぼう
第3技術班 福田 恭司
⑥ 説明会
「学務情報システムの概要」
第2技術班 川見 昌春
⑦ 講演会
「企業から見て高専に求めるもの」
株式会社シーテック 採用担当部長 松田 壽男
13
各委員会および各班の年間報告
(2) 平成20年度科学研究費補助金(奨励研究)申請課題
申
請 者
申
請 課 題 名
山本 誠司
小たたら炉および電子レンジを用いての鋼と銑鉄の生成過程について
福田 恭司
雪のドーム型構造物における雪の含水比と強さに関する検証
川見 昌春
タッチパネルを利用する双方向電子掲示システムの開発
内村 和弘
石見銀山遺跡、間歩探査用ロボットの研究開発
池田総一郎
NetCommons による学生向け情報配信システムの開発
岡田
ユーザ ID・パスワード情報の一元化によるシングルサインオン認証システムの開発
康
本多 将和
低環境負荷小型自動車の製作及び評価に関する研究
奥原 真哉
アクティブ制御式可動案内羽根を有する直線翼垂直軸風車の開発
福島 志斗
小中学生を対象とした照明を用いた環境教育教材の開発に関する研究
(3) 科学研究費補助金(奨励研究)採択状況(平成 15 年度~)
年度
15
16
17
18
19
研
究 課 題 名
研 究 者
微風で高い電圧を発生可能な風力発電機作成
具志
自動ドアをモデルとしたマイコン制御実験用教材の開発
内村 和弘
ホストファイヤーウォールによるセキュアなメールサーバーの構築
岡田
廃瓦の「コンクリート用骨材」としての適応性に関する検討実験
小松原祐二
産業廃棄物を利用した軟弱地盤の安定処理
福田 恭司
組込み IT 技術学習のための基礎実験用教材の開発と試作
川見 昌春
斐伊川流域の砂鉄分布および「たたら」の再考
山本 誠司
ネットワーク認証システムを用いたキャンパスワイド無線 LAN システム
岡田
自律移動福祉ロボットの開発
奥原 真哉
雪のドーム型構造物(雪洞)の安定性に関する研究
福田 恭司
コンクリート実験用供試体粉砕機の試作に関する研究
本多 将和
オープンソース LMS を用いた工学実験用 e-Learning 教材の開発
川見 昌春
発光ダイオードを用いた実践的技術者育成のための教材開発に関する研究
福島 志斗
14
孝
康
康
各委員会および各班の年間報告
評価委員会
報告者:福田 恭司
評価委員会:福田 恭司・池田 総一郎・本多 将和
1.はじめに
昨年度まで強力なリーダーシップで技術室を導いていただいた、小松原・川島両氏が定年退職に
より一線を退かれ、山本室長をリーダーに新たな体制でのスタートとなった。
一年を振り返ると、時々の判断に甘さがあったり、日々の業務に流されてしまったりと、反省の
多い一年となってしまった。この反省を糧に次のステップへつなげるため、状況の把握とそれに基
づいて議論を深めることが非常に大切になってくると思われる。
そのような中で取り組んだ、評価委員会業務を振り返る。
昨年までの反省点を洗い出し、少しでも改善を進めるために、4回の評価委員会を開催した。ま
だまだ不充分な点はあるものの、少しずつではあるが改善されたように思う。
以下に今年度の活動を報告する。
2.活動内容
(1)技術室事業報告集の発行
技術室事業報告集の発行も今回で第7号を数えることとなった。
内容を充実させるため、編集段階での充分な検討が懸案事項であったが、年度末の多忙な時期で
あり、原稿提出までの時間的余裕がないこともあり、内容の検討に充分時間を掛けることができな
かった。また、現在の状況だと、2~3月の活動が反映できず、どうしても空白の時期ができてし
まう。年度内の発行にこだわらず、次年度の始めに時間を掛けて編集・発行するという、選択肢も
含めて再検討の必要があると考える。
(2)技術室会議の運営
技術室業務の円滑な遂行と、報告・連絡等を徹底させることを目的に、月1回程度の技術室会議
を開催した。今年度は、学科長・センター長会議の議題を会議資料に盛り込むことで、スムースに
かつ確実に連絡事項等が伝わるよう配慮した。
会議の設定は評価委員会で行ったが、会議の進行は昨年に引き続いて若手職員のスキルアップを
目的に若手6名によるローテーションで行った。
(3)予算管理
技術職員研究費として予算配分された技術室経費のうち、共通経費を管理した。また、個人配分
の研究費についても速やかな執行ができるよう、執行期限等の周知を行った。
15
各委員会および各班の年間報告
本年度は、共通経費で次の費目を出費した。
・技術室事業報告集印刷費
・技術室研修会講演謝金
・PCラベルプリンター
・PCケース(サーバー用)
・文具等消耗品
(4)人事記録の管理
室員の人事記録の管理を継続して行った。
(5)情報公開・広報活動
ホームページについては、昨年度の反省をふまえて、年度当初全体の見直しを行った。ダブりや
不要な部分を整理し、スッキリとした感じになった。また、年度内にトップページのデザインの変
更、スタッフ紹介ページの内容充実等の改善を行う予定である。
アニュアルレポートに、実践教育支援センターの活動状況及び独自で取り組んだ学校開放事業の
様子を掲載した。
今年度は、新聞記事等への掲載が例年に比較し少なかった。イベント実施時に報道機関への案内
を行うなど、こまめな動きも必要となる。
16
各委員会および各班の年間報告
第1班の年間報告
報告者:山本 誠司
今年度の技術室第1技術班の体制としては非常勤を含む 5 人により教育支援、製作依頼等の支援業
務、また学校開放事業などを行った。それぞれの業務において安全の確保を第一に考え、内容の確認
と指導方法、安全についての打ち合わせの上で実施した。
1.教育支援業務
今年度の第1班における教育支援業務は機械工学科、電子制御工学科に対して支援を行った。各科
への主な支援の内容は次の通りである。機械工学科(以下M科)1 年・2 年における機械基礎実習・
機械工作実習では工作機械を使った実践的な技能・技術の指導と報告書作成の指導、また安全に対す
る意識の向上を狙った指導などを行った。その他にM科 3 年における創造演習、M科 4 年における機
械工学実験、電子制御工学科(以下D科)2 年における工学実験の工場実習、D科 3 年における創造
演習、またD科 4 年における創造設計製作への支援を行った。
今年度は学生の実習に対しての理解度・危険な状況の確認などを調査する目的で、各支援に対して
第1班独自でのアンケートを実施した。以下図1、図2にアンケートの抜粋として「工作実習で危険
な状況(ヒヤリハット)はあったか」
「各科シラバスにある到達目標の各項目に対して到達できたか」
という問いに対しての回答の割合を示す。これらの図から分かるようにシラバスの到達度は「到達で
きた」という者が全体の半数以上を占めている。感想でも「基礎的な作業が出来るようになり良かっ
た」「この実習はこれから始まる専門的な実習の土台にすぎないので、しっかり頭にたたきこんで、
今後の実習をがんばりたい」など今後につながる意欲的な感想が多く見られ、前述した実践的な技
能・技術の指導などの支援が有効であったように確信している。
それに対して危険な状況があったかという問いでは「かなりあった」
「すこしあった」という回答
が多くあった。その具体的な内容には不注意によるもの、初めての実習であり過大視しているものも
多く含まれていた。しかし危険な状況が少なからずあったことに今後改善案を1班で検討するととも
に安全確保の充実を図りたいと考えている。
あまりできなかった
かなりあった
6%
2%
まったくなかった
44%
おおよそできた
すこしあった
54%
38%
できた
56%
図2.シラバス目標の到達度割合(各科平均)
図1.危険な状況割合(各科平均)
17
各委員会および各班の年間報告
2.技術支援・製作依頼業務
今年度も例年と同じく学内・外の組織から技術支援・製作依頼ともに多くの依頼があった。製作依
頼では卒業研究、専攻科特別研究およびロボコンからの特殊な加工を要するものがあり、技術支援で
はエコラン、各研究からの依頼が多数あった。
昨年度、課題として残った知識・技術面での力量不足という点では、非常勤職員の方から技術の伝
承を受け、対応している。これにより年々成果が上がっていると実感しているが多様化、高度化する
依頼に対して、今後も引き続き技術の伝承を受けるとともに経験を積み、自己研鑽に努め対応したい
と考えている。
3.学校開放事業
「親子で奏でよう!!笛作り~加工技術を学ぼう~」と題して第1班全員で立案し実施した。詳細
は学校開放事業報告による。
学校開放事業への取り組みは、第1班によるものの他にも学科より技術支援の依頼を受け、
「たた
ら鋼で小刀つくりにチャレンジ!」「小中学生のための電子工作」へ支援として第1班より派遣し、
取り組んだ。
4.まとめ
今年度も教育支援業務をはじめ、技術支援・製作依頼、学校開放事業それぞれにおいて課題・問題
点は残すものの積極的に取り組むことができた。
毎年繰り返すようであるが今後も技術・技能の向上、および学生に対する安全確保の充実に第 1
技術班全員一丸となって努めたいと考えている。
18
各委員会および各班の年間報告
第2班の年間報告
報告者:川見 昌春
1.はじめに
第 2 班は班員 6 名だが、今年度は組織構成が退職 1 名に伴い変化した。主査には川見昌春、また
川島久明(元主査)は退職後、再任用によって第 2 班に配置された。
今年度は新しい試みとして毎週月曜日の朝に連絡会を開いている。また、各種の校務(委員会、
ワーキンググループ、推進室等)、学務情報システム開発(前年度から継続)などを行った。
教育支援は従来どおり電気工学科、電子制御工学科、情報工学科など電気系実験実習を中心に展
開し、技術支援、製作依頼も行っている。なお支援業務の詳細については、支援委員会のページを
参照いただきたい。
2.連絡会について
第 2 班は実験実習等の担当学科が複数にまたがり、また居室も分かれているため、班員相互の状
況が分かりにくいことが問題であった。この問題を改善するため連絡会を常設した。これは前週の
業務報告や今週予定の連絡などの情報共有、問題事項の報告・相談などを目的としている。
連絡会を始めてからは、班員のコミュニケーション確立とともに、様々な問題等が従来より早く
明確になり、問題対応のスピードアップなど業務に良い影響を与えている。今後も継続し、さらに
細やかな「報告・連絡・相談」の方法として確立させていきたい。
3.各種の校務について
平成 19 年度における班員の校務分担状況は以下のとおりである。
校務名称
班員名
地域共同テクノセンター員
川見 昌春
e-ラーニング WG
川見 昌春、岡田 康
情報ネットワーク WG
池田 総一郎、岡田 康
人材育成(インテリジェント CALS)推進室
内村 和弘
SPP(サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト)推進室
岡田 康、福島 志斗
社会人学び直しニーズ対応教育推進室
川見 昌春、池田 総一郎、岡田 康
このうち、特に推進室のメンバーは、各種講座において講師および講座準備等の業務負荷が多い。
次年度以降は技術室全体の室員負荷も考慮して、負荷分散や計画的な業務遂行などの方策を練る必
要があると思われる。
19
各委員会および各班の年間報告
第3班の年間報告
報告者:福田 恭司
1.はじめに
先般、松江高専開校当初から、古き良き土木工学科を支えてこられた中心人物、三刀喜久市先生が
ご逝去になられた。当時から土木工学科に関わってきた一人として、今の状況と照らし合わせながら、
一つの時代が終わったことを、寂しい想いとともに実感したところであった。
技術室第3班においては、永年にわたり第3班はもとより技術室全体を強力なリーダーシップで導
いていただいた小松原氏が、昨年度定年退職により、第一線を退かれることとなった。また、追い討
ちをかけるように、原氏が体調不良により、後期より早期退職をされることとなり、三十数年安定を
保っていた体制が大きく変化することとなった。
2.支援業務
今年度の環境・建設(土木)工学科への教育支援態勢は、定年退職により退かれた小松原氏が再雇
用によりフルタイムで対応してもらうことで、年度当初は3名で例年通りの支援態勢を確保すること
ができた。
しかし、9月から原氏が体調不良のため突然に予定外の早期退職をされることとなり、後期より2
名で対応することとなった。環境・建設工学科との話し合いで、例年通りの支援ができない部分につ
いては学科教員の協力により、実験実習に支障が出ないよう調整した。
技術支援・製作依頼に関しては、科展示・ブリッジコンテスト等への支援、専攻科特別研究への支
援として発泡スチロールを埋め込んだコンクリートブロックの製作等に対応した。また、専門外では
あるが、金属加工に対しても第1班の協力を得ながら、できる範囲で対応した。
3.その他
学校開放事業は3班としての取組ではないが、専門性を超えたものとして、福田を中心に「竹とん
ぼを作って飛行機が飛ぶわけを学ぼう!」を夏休みに実施した。アンケート結果等から参加した子
供・保護者共に好評で、高専教育への理解が深まったように感じられた。現在まで、環境・建設、土
木に関わる学校開放事業が、ほとんど実施されていない状況である。学科を取り巻く状況を考えると、
次年度以降学科との連携により何らかの取組を展開する必要があると考える。
今後、限られた人材・限られた時間で、効果的な支援体制を維持していくことが求められる。学生
に対するアンケートを実施するなど客観的な資料に基づいた検討を積み重ねることが必要であろう。
同時に、技術職員個々の資質を高めるための取組を積極的に進めることも欠かすことができない。
20
技術室の
技術室の取り組み
◎民間企業研修【池田
総一郎】
◎実験実習の取り組み紹介
【機械工作実習1・2】
【専門基礎特別演習A】
◎学校開放事業
独自の取り組み
【チャレンジ! 電子工作】
【親子で奏でよう!!笛作り~加工技術を学ぼう~】
【竹とんぼを作って飛行機が飛ぶわけを学ぼう!】
支援の取り組み
【親子の体験授業「たたら鋼で小刀つくりにチャレンジ!」
】
【七色に光るクリスマスツリーを作ろう】
【小・中学生のための電子工作~光センサーを使った自動走行ロボット~】
◎平成19年度奨励研究報告
【コンクリート実験用供試体粉砕機の試作に関する研究】
本多 将和
【オープンソース LMS を用いた工学実験用 e-Learning 教材の開発】
川見 昌春
【発光ダイオードを用いた実践的技術者育成のための教材開発に関する研究】
福島 志斗
◎平成19年度出張報告
【総務省情報システム統一研修第 14 回セキュリティⅡコース】 池田 総一郎
【たたらと小雪のまつり】
山本 誠司
◎その他の取り組み
【サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト】
岡田 康・福島 志斗
【エコラン活動報告】
本多 将和・福島 志斗
【人材育成講座用教材の開発】
内村 和弘
【現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代 GP)への取り組み】
【石見銀山遺跡におけるロボット探査】
◎スタッフ紹介
21
福田 恭司・本多 将和
内村 和弘
技術室の取り組み 民間企業研修
民間企業研修
報告者:池田 総一郎
1.研修先:株式会社ワコムアイティ 松江市北陵町
2.研修期間:平成 19 年 8 月 6 日~9 月 28 日
3.研修目的
民間企業での業務を体験することにより、日頃から学校運営等に不足していると言われる下記のよ
うな事柄についての意識の啓蒙を図りたいと考え、研修を行った。
(1) 効率的・合理的な業務の運営方法と安全管理
(2) 業務を推進する上での柔軟な発想方法
(3) 競争原理とコスト意識
(4) 製品開発の手法
(5) 顧客意識と顧客サービス
4.研修内容
(1)Ruby on Rails を用いた Web アプリケーションの開発
(2)しまね観光ナビ「出雲路講座」申し込みサイト開発
(3)OpenOffice.org 導入に関する調査
5.研修報告
企業で研修を行うことにより、学校の中で働いているだけでは分からない、様々なことを学ぶこと
ができた。
一番の成果は、本校の情報処理センター利用管理システムの開発を行ったことである。これは実際
に利用できるシステムを作成することで、開発の手順や管理方法を習得してもらいたいという会社側
の考えもあり、このテーマを選択した。開発をすることで、システム開発の手法を学ぶことができた
のが最大の成果である。プログラミングについてはこれまでも勉強をしてきたが、実際にそのプログ
ラミングで、どのようにしてシステムを開発するかを系統立てて学習したことはなかった。今回、指
導をしていただきながら、画面デザイン、データベース設計、テスト等の具体的な開発手順を学ぶこ
とができた。
直接、顧客とやりとりをし、何かを開発するということはなかったが、しまね観光ナビの県庁との
やりとりや、同じ場所で働くことで、企業としての仕事の仕方を学び、学校という公的機関とは異な
る企業で働くことの意味を少しでも知ることができたのも、大きな成果である。今後も学内のシステ
ムの作成を行うこともあるので、学んだ具体的な開発手順をそこに活かしていきたいと思う。
学生に対しては、プログラミングやシステム開発の手順だけでなく、企業で働くとはどういことか
も伝えていきたい。2ヶ月という短い期間ではあっても、実際に働いたことが学生に対して指導して
いく上で貴重な経験となった。今後は、この経験を上記以外でも様々な面で活かしていきたいと思う。
22
技術室の取り組み 実験実習の取り組み紹介
機械工作実習1
機械工作実習1・2(ウインチ巻胴製作
ウインチ巻胴製作)
巻胴製作)
報告者:本多 将和
1.概要
機械工学科の2年生では、基礎的な機械工作を学習するため機械工作実習1(前期)および2(後
期)が開講されている。この講義は、本校実習工場にて開講され、旋盤・フライス盤といった機械要
素を加工する工作機械や、溶接・鋳造といった種々の加工法の基礎的な技能・技術を実践により習得
し、その他の専門講義(機械工作や製図)で習得した知識とあわせて機械の設計,製図,製作に役立
つ能力を養うことを目的としている。
また、作業に当たるときの心構えも身につけ、実習終了後報告書を作成することにより、的確に情
報を伝え報告する能力を養う訓練を行う。
講義時間は1回2コマ(180分)で、前期・後期共に15回開講している。
2.内容
講義では、1クラス(約40名)の学生を4班(各班10名)に分け、各班が4つのパートをロー
テーションしながら学習していく(各パートの講義数は7回)
。さらに、2つのパートは4つのショ
ップに分かれ実習を行っている。 ※下図参照
変則的であるが、1回の講義
で6つのテーマを同時に展開
することになり、このうち5つ
のパートについて5名の技術
職員が教育支援を行っている。
講義の主たる内容は「手巻き
ウインチ部品の製作」である。
本講義の各パートで製作した
「手巻きウインチ部品」は、3
年生の専門科目「創造演習1」
の講義で組立てられ、強度試験が行われる。
3.ウインチ巻胴の製作
6パートのうちの1つである「板金加工・ガス溶接」では、手巻きウインチの部品である「ウイン
チ巻胴の製作」を行っている。
作業内容及び手順は以下の通り。
①材料取り・・・・ミガキ軟鋼板(SS400 厚さ 1mm 及び 2mm)を規定の大きさにシャーリングマ
シンを使用して切断。
23
技術室の取り組み 実験自習の取り組み
②プレス加工・・・切断した材料(厚さ 2mm)をプレス機にて、打ち抜き及びバーリング加工。
③曲げ加工・・・・切断した材料(厚さ 1mm)をロール曲げ機にて、パイプ状に加工。
④ガス溶接・・・・パイプ状に曲げた鋼板の合わせ目を、酸素・アセチレンガス溶接にて接合。
⑤グラインダー仕上げ・・・溶接部を両頭グラインダーにて仕上げる。
⑥ロウ付け・・・・プレス加工した鋼板(2mm)と仕上げたパイプを黄銅ロウ付けにて接合する。
このパートでは、塑性加工を中心として製品を完成させることにより、
切削加工と比較して「作業効率
作業効率の
作業効率の良さ(操作が容易で、加工後の清掃・片
付けもほとんど無い)」、「作業時間
作業時間の
作業時間の短縮(切削加工に比較して加工時間
短縮
が非常に少ない)」、「安定
安定した
安定した品質管理
した品質管理(大量に同一精度・同一寸法の製
品質管理
品を製作できる)」、
「総合的
総合的コスト
塑性加工の
総合的コスト管理性
コスト管理性の
管理性の高さ」といった、塑性加工
塑性加工の
特徴を学習するとともに、
グラインダー加工を体験することにより、研削
特徴
加工の
酸素・
加工の基礎知識を身につけ、また酸素
基礎知識
酸素・アセチレンガス溶接
アセチレンガス溶接と黄銅
溶接 黄銅ロ
黄銅ロウ
付けをほぼ同時に行うことにより、溶接とロウ付けの違いについて学習す
ることができる。
このように切削加工を使用せず、様
様々な加工方法を
加工方法を使用して
使用して
「ものづくり」
ものづくり」を行うことにより、それぞれの加工方法につい
うことにより
て学習し、それらの長所・短所を実践的
実践的に
実践的に体験しながら
体験しながら習得
しながら習得す
習得す
ることができる。
ることができる
4.安全管理
実習工場で作業を行う際は、事故や怪我の危険性が高いうえ
に、作業を行う学生は機械操作に不慣れであるため、安全について
は十分配慮する必要がある。
このため、技術室では実習工場にある全ての工作機械の注意事項
を記載した「実習工場
実習工場安全
実習工場安全マニュアル
安全マニュアル」を作成し、作業を行う前に
マニュアル
学生へ配布し説明を行っている。
(安全マニュアルを利用することで、
注意事項に漏れが無くなり、内容が統一される)
プレス作業では、機械の操作はもちろん、型の取り付け方法を誤ると大事故につながる危険性が高
いため、実際に取り付けを行いながら詳細を説明し、注意を促している。
また、研削加工や溶接・ロウ付けに関しても、同様に注意を促した上で、保護具の重要性ついて十
分に理解させ、軽作業であっても必ず全ての保護具をきちんと装着するよう指導する。
工作実習では、作業内容に関する説明はもちろんのこと、この安全に関する注意事項に時間をかけ、
十分に理解させたうえで作業を行わなければならない。
それでも毎年、切り傷や火傷などの小さな怪我は絶えなく起こる。この小さな怪我について、その
原因や経緯についてきちんとした分析を行い、必要であれば随時「実習工場安全マニュアル」を更新
し注意事項を追加していく事で、事故や怪我の発生する確率を減少させるようにしている。
24
技術室の取り組み 実験実習の取り組み紹介
1年 専門基礎特別演習A
専門基礎特別演習A
報告者:池田 総一郎
1.概要
この科目は1年生と対象とした実習で、様々な電子回路の製作を通し、電気工学に慣れ親しむこと
を目的としている。回路図から電子回路を製作することで、ハンダ付け、回路図の見方、電子部品の
扱い方等の電子工作の基本的な技術を身に付けることができるようになっている。レポートについて
も、各テーマごとに提出させるようにして理解を促し、その書き方について学ぶ。
学科に関係なく履修できる科目であるが、履修者の大半は電気工学科の学生である。
2.内容
内容に関しては、以下のようになっており、各詳細について述べる。
(1)電子工作ガイダンス
(2)蛍ランプ製作(プリント基板)
(3)蛍ランプ製作(ユニバーサル基板)
(4)2石チカチカランプ製作
(5)簡易温度計の製作
(6)電子さいころの製作
(1)電子工作ガイダンス
最初にガイダンスとして内容を説明し、ハンダ付けの練習を行う。1年生なので、大半の学生はハ
ンダ付け自体が初めてなので、ユニバーサル基板に抵抗やコンデンサのハンダ付けをさせる。工具は
各自で購入した工具セットのものを使用させる。2週目以降から、実際の回路の製作に取りかかる。
(2) 蛍ランプ製作(プリント基板)
初めに作る回路として、プリント基板を用いて蛍ランプの製作を行う。プリント基板はこちらで基
板加工機を使用して作ったものを用意する。回路の原理は、Cds と呼ばれる明るさによって抵抗値が
変わる部品を使って、明るい所では LED が消え、暗い所では点くようになっている。
プリント基板を使用しているので、配線の必要がなく、基板に部品をハンダ付けするだけで作るこ
とができる。ここで、回路図どおりに部品をハンダ付けするという最も基本的な電子工作について学
ぶことになる。
学校開放でも、この回路の製作をさせているので、すでに作ったことのある学生もいる。
(3) 蛍ランプ製作(ユニバーサル基板)
プリント基板で製作した蛍ランプを、今度はユニバーサル基板を使って製作させる。プリント基板
との違いは、ユニバーサル基板では配線が必要になることである。回路自体は単純なのもだが、自分
25
技術室の取り組み 実験自習の取り組み
で部品の配置を考えなければならないので、若干、複雑になる。回路で使用する LED やトランジスタ
の動作原理については、まだ習っていないので簡単な説明だけにし、アノードやカソード等の向きが
あることを教え、回路図と実際の部品の対応についても学ぶことになる。
(4)2石チカチカランプ製作
マルチバイブレータで動作する LED の点滅回路の製作を行う。今までの回路より部品点数も増え、
複雑になる。そのまま作ってしまうと配線がクロスしてしまうので、配置をうまく考える必要がある。
シンプルな回路であるが、動作原理はこれまでのものより難しくなる。
マルチバイブレータのコンデンサの容量は指示するが、学生自身が変えてもよい。そのことでコン
デンサの容量と、点滅の周期の関係について学ぶことができ、理解が深まることを意図している。
(5)簡易温度計の製作
サーミスタを使用した温度計の製作を行う。サーミスタとは温度によって抵抗値が変わる部品で、
その抵抗の変化をブリッジ回路で検出し、その電位差をオペアンプを用いた差動増幅回路で増幅し、
メーターで温度表示を行う。個々のサーミスタで温度特性が異なるので、0 度から 50 度まで、5 度刻
みで氷とお湯を使って温度を変化させ、サーミスタの抵抗値を測定する。
それをもとに、ブリッジ回路の抵抗、差動増幅回路の増幅率を計算させる。回路の設計までは行か
ないが、サーミスタの特性が変われば、回路の抵抗の値も変わるので、みんなが同じ回路ではなく、
少しずつ異なる回路になる。この科目で製作する回路の中で、一番、時間のかかる回路となっている。
(6)電子さいころの製作
インバータを使って発振回路を作り、その信号によりシフトレジスタでさいころの目のパターンを
作り、LED を点灯することにより、ランダムに表示させる。14 ピンの IC が 2 個、LED が 7 個、その
他にも抵抗、半固定抵抗、コンデンサ、ダイオードを使用するので、最も複雑な回路になる。発振周
波数は、半固定抵抗で変えられるようにしてある。
ランダムとは言え、出る目の順番は決まっているので、IC のデータシートを見せながらその動作
原理を教え、順番を考えさせる。
回路図から直接、実際の回路を作るのが難しい学生に対しては、実態配線図と呼ばれる実際の回路
に即した図面を書かせ、それをもとにして製作させる。
配線ミス、ハンダ不良、LED の向き等、様々な理由で回路が動かないことも多く、間違いの指摘を
し、なぜ動かないかを理解させ、完成させるようにする。
3.まとめ
1 年生の実習なので、トランジスタや IC の原理もよく理解できてない状態で、回路を製作するこ
とになる。完全に原理を理解することが重要なのではなく、実際に作って動かなくて、考えて、苦労
して完成させることが重要である。
26
技術室の取り組み 学校開放事業
チャレンジ!
チャレンジ! 電子工作
報告者:岡田 康
実施期間:平成19年8月6日~8日 9:00~16:00
実施場所:松江高専 共通工学実験室3
担 当 者:川見 昌春・内村 和弘・岡田 康・福島 志斗・奥原 真哉
対 象:小学校5年生~中学校3年生
○内容
電子工作をとおして、もの作りの楽しさを学んでもらおうと 8 月 6 日・7 日の 2 日間、さらに、
定員を超す応募者のため、急遽 8 月 8 日も加えた計 3 日間、小・中学生を対象とした電子工作教室
を実施した。製作したのは 6 日・7 日が「マイコン時計」、「ライントレーサ」、「電子ピアノ」、
「センサーライト」の 4 種類で、8 日は「LED 風鈴」を製作した。
この事業では、市販のキットには頼らず、電子回路のハンダ付けやケース加工等、完成の工程を
できるだけ手作りするようにした。
○まとめ
今回の事業開催にあたり、受講者定員を20名としたところ60名という定員を大幅に超える応募が
あった。このため、担当者で相談し25名を受け入れることにした。この応募者多数となった理由に
は、中学校訪問による早期での学校開放事業広告の配布といった、学校側の積極的な広報活動によ
るところが大きいと思われる。事業終了後の受講者へのアンケート結果には、「ハンダ付けが難し
かった」
、
「面白かった、楽しかった」といった感想が多く、不慣れな作業に苦戦しながらも、工具
を使い1つのものを完成できたことの喜びがあったと思われる。今回の事業を通じて受講者はもの
を作る楽しさや、その中にある達成感を感じてもらえたのではないかと思う。
また、事業の内容やその展開についても、「参加して満足している」、「講師の指導が丁寧であっ
た」という回答も多く、好結果を得ることができた。
27
技術室の取り組み 学校開放事業
親子で
親子で奏でよう!!
でよう!!笛作
!!笛作り
笛作り~加工技術を
加工技術を学ぼう~
ぼう~
報告者:奥原 真哉
実施期間:平成 19 年 8 月 18 日(土)9:30~16:00
実施場所:実習工場、共通工学実験室 1
担 当 者:山本 誠司・本多 将和・奥原 真哉
対
象:小学校中高学年(4~6 年生)の親子ペア
参加人数:12 組
1.目的
紙、塩ビパイプ、アルミなどのいろいろな材料を使いリコーダーや横笛を作る。ボール盤、や
すりなどの普段では使うことのない工作機械により笛を作ることで「ものづくり」の難しさや楽
しさを感じ、興味、関心をもってもらう。
また、親子での作業を通して、子供と保護者とのふれあいの場とすることを目的とする。
2.内容
最初に笛についての基礎知識として笛の歴史、笛の種類などを説明した後、紙ホイッスル、ペ
ーパーリコーダーの作成を行った。午後からは工場に移り安全、注意事項等について説明した後、
横笛とホイッスルの作成を行った。
3.まとめ
参加者は音の調整、穴あけなど苦心して作業を
行っていたが、音階がうまく調整できると満足そ
うにきれいな音色を響かせていた。参加者全員が
熱心に取り組んでおり、若干の時間延長はあった
もののすべて完成することができた。以下に主な
アンケートの感想を記す。
○いろんなふえがつくれてよかったです。おしえ
てくれた人の指導がよかったです。
○笛で音階が出てきたことに感動しました。穴が
中心にならず困りました。むつかしかったです。時間のたつのが早くほんとうに楽しかったで
す。ありがとうございました。
以上のような感想から、ものづくりに興味・関心をもって楽しんでもらえたのではないかと思
う。また、昨年に続けての参加者もおられ高専への関心が強いと感じた。
今後も「ものづくり」への関心をもってもらえるよう学校開放事業を展開していきたいと考え
ている。
28
技術室の取り組み 学校開放事業
竹とんぼを作
とんぼを作って飛行機
って飛行機が
飛行機が飛ぶわけを学
ぶわけを学ぼう!
ぼう!
報告者:福田 恭司
実施期間:平成19年8月19日(日)9:00~16:00
実施場所:創造演習室、学びの庭
担 当 者:福田 恭司・岡田 康
協
力:高尾 学 准教授(機械工学科)
参加人数:12名(6組)
今年で3回目となる企画だが、竹とんぼを作り実際に飛ばしてみることと、講義により理論を学ぶ
部分に分けて展開している。これは創造性を養うという高専の教育スタイルを意識したもので、参加
した親に対してこのような価値観を伝えたいという想いからのものである。アンケートの親からのコ
メントでも分かるように、子供の進路を意識した方も多く、効果を発揮していると思われる。
ナイフを使って竹とんぼを作る段階では、ほとんどの子供が初めての経験で最初は危なっかしいが、
慣れるに従って上手に使いこなすようになる。
危険な刃物以前に便利な道具という認識を持っ
親からのコメント
て、あえて小さな危険に触れることも大切であ
・初めて高専に入りましたが、きれいな建物
ろう。
でした。子供がロボコンに興味があるので、
コンテストでは、子供ばかりでなく保護者の
もしかしたらお世話になるかもしれません。
対決でも盛り上がった。
(滞空時間記録:3.22 秒)
・親ではなく、他人から学ぶことの方が、子
座学では、簡単な講義とシミュレーションに
供も積極的になり良いことと思います。この
よりとても分かりやすく、実感を伴った理解へ
ような機会が続くことを望みます。
とつながったように思う。
・高専に将来の進路として考えたいという思
講義を担当していただいた機械工学科高尾学
いから、これから毎年参加させようと思い今
准教授には、この場を借りて厚くお礼申し上げ
回2回目の参加です。とても喜んでくれます
ます。
し、家に帰ってもプラモデルなどを作りたい
と意欲的になりました。無の状態から物を作
り出すことのできる人間に育てたいと思っ
ております。また、参加してみます。ありが
とうございました。建物、施設に入れて興味
があるのでうれしかったです。
・長いなぁと思っておりましたが、夢中にな
って作ってしまい、あっという間に時間がた
ってしまいました。理論的な説明があり大変
良かったです。
29
技術室の取り組み 学校開放事業
たたら鋼
たたら鋼で小刀作りに
小刀作りにチャレンジ
りにチャレンジ
報告者:山本 誠司
実 施 日:平成19年11月18日(日) 9:30~15:30
実施場所:実習工場、創造演習室
担 当 者:機械工学科 新野邊 幸市
技術室 山本 誠司・福田 恭司
(財)鉄の歴史村地域振興事業団 杉原 和樹
対
象:小学校中高学年(親子)
参加人数:12組
1.目的
たたらで鋼を作り、板に加工する過程を学び、デザイン後親子で小刀を製作する。また、鍛造・
整形後に熱処理を行うことで刃物の機能を持たせることを学ぶ。
2.内容
たたらで作られた鉧から鋼の板を作る方法の講義後、デザインを考え作図を行う。また、鍛造・
刃物の取り扱いについて理解する。
松炭を用い火床において鋼を加熱し整形後、ベルトサンダー・やすりで荒仕上げを行う。焼入れ、
焼き戻し後、砥石を用いて刃付け後紙を切断して切れ味を見る。
3.まとめ
子供たちは、熱さにも負けず一生懸命ハンマーで赤く熱しられた鋼を叩き加工を行っていたが、
なかなか思いどおりに加工できず悪戦苦闘していた。
作業後の感想では、炎があつかった、でも楽しかった・焼いて形を整えるのが難しかった・
いろいろと鉄の性質を考えてみてとっても勉強になった・鉛筆や色々なものが切れるようになって
よかった・親子で一緒に作ることができてよい思い出になりました・などがあった。
このような事業を行うことで、親子のふれあいの場を提供し、学校を見学することで高専を理解
してもらい進路選択の一助となれば幸いである。
30
技術室の取り組み 学校開放事業
小・中学生のための
中学生のための電子工作
のための電子工作~
電子工作~光センサーを
センサーを使った自動走行
った自動走行ロボット
自動走行ロボット~
ロボット~
報告者:奥原 真哉
実施期間:平成19年7月22日(日)
実施場所:サンワーク木次(雲南市)
担 当 者:電子制御工学科 高橋 信雄、 機械工学科 高尾 学、 技術室 奥原 真哉
対
象:小学年(5~6年生)、中学生(1~2年生)
参加人数:18名
雲南市サンワーク木次において開催された小・中学生のための電子工作の支援を行った。
紙に書いた黒いラインを光りセンサーで検出しながら、ラインに沿って走行する「ライントレーサ
ー」を製作し、さらに、モータの正転逆転ができるスイッチを利用してリモコン車に改造するといっ
た内容で開催した。ハンダ付けなどの慣れない作業に苦戦しながらも参加者全員が思い通りのものを
完成させることができた。
今回の事業を通して、参加者にものづくりへの関心を深めてもらえたように思う。また、それにと
もない松江高専の PR 効果が期待できることもあり、今後も積極的に支援を行おうと思う。
31
技術室の取り組み 学校開放事業
七色に
七色に光るクリスマスツリーをつくろう
クリスマスツリーをつくろう
報告者:福島 志斗
開催時期:12月15日(土)9:00~12:00
実施場所:松江市市民活動センター 交流ホール
募集人数:30人 参加人数:30人
対象:小学生(4年生~6年生)
担当者:電気工学科 箕田 充志
技術室 福島 志斗
○ 講座内容
1.製作する電子回路についての説明、作業上の注意
2.ハンダ付けの練習、電子回路の製作
3.電子回路へクリスマスツリー部分の取り付け
○ 総括
松江市教育委員会からの本校の電気工学科箕田充志准教授に電子工作教室開催の依頼があり、技術
支援として事前準備や運営の支援を行なった。この電子工作教室には、80人を超える応募があり電
子工作教室の需要が多くあることが再認識できた。
当日は親子での参加になっており、子供達だけではなく保護者の方からも様々な質問があり、モノ
づくりの楽しさを伝えるいい機会となった。
32
技術室の取り組み 奨励研究
コンクリート実験用供試体粉砕機
コンクリート実験用供試体粉砕機の
実験用供試体粉砕機の試作に
試作に関する研究
する研究
報告者:本多 将和
1.研究目的
建築物等でコンクリートを使用する際、事前にコンクリート供試体の強度試験を行う必要があるが、
試験で使用した供試体は他に流用性がなく、試験後は産業廃棄物として処分される。これを扱う全国
の研究機関・生コン会社等は処分にかかる経費の捻出や大量の産業廃棄物の排出等に苦慮している。
本校においても、学生実験用として年間 600 本以上(約 7t分)の供試体が使用され、その処分費と
して 15 万円以上が費やされている。この供試体はある程度の大きさまで粉砕すれば、コンクリート
の再生骨材や路盤材として再利用できることから、リサイクルできる可能性が高い。
しかしながら、一部で使用されているコンクリート粉砕機は実験供試体用ではないため「装置が大
型である」
「コストが高い」
「粉砕粒のサイズが調整できない」等の理由により、供試体ではほとんど
使用されていない。
本研究では、地域の特有の問題解決と同時に、学生への環境教育の一助を目的として、新たな小型
低コストのコンクリート実験供試体専用の粉砕機を開発する。
2.研究方法
一般的にコンクリート試験等で使用される供試体は円筒状であり、円筒中心を垂直に置いた状態で
の圧縮には非常に高い強度(約 20N/m㎡)を示すが、円筒中心を水平方向にして圧縮をした場合は
比較的小さな応力(約 3N/m㎡)で破壊することが知られている。
(応力は供試体が「φ150mm×300mm」
の場合)さらに試験後の供試体は、一度破断応力まで圧力をかけているため、より小さい応力で粉砕
できる可能性が高い。
開発する装置は、これら供試体特有の特徴を最大限利用することで、市販の油圧装置を用いた圧縮
機構で供試体を粉砕できる。この装置に、供試体の自動供給機構、粉砕後の排出機構、排出した粉砕
粒をサイズ別に篩い分ける機構を付加し、マイコン制御による自動化システムを製作する。
粉砕対象は、一般的に使用されている「φ100mm×200mm」と「φ150mm×300mm」のコンクリート供
試体で、粉砕後のサイズは再生骨材等として再利用しやすい 50m㎥以下とする。
3.研究結果及び考察
昨年度までに技術室にて試作を行なってきた粉砕機であるが、この粉砕機は加工板が小さ過ぎたた
め「φ100mm×200mm」の供試体しか粉砕できず、排出機構も十分ではなかったため、ある程度粉砕す
ると加圧板の中に粉砕片が一杯になってしまい、十分な圧力が得られなくなる問題があった。
これを本研究で新たに、基本構造から見直し、フレーム自体に十分な大きさと強度を得られるよう
に設計し、完全な排出機構を備えて、安定した粉砕が行なえる装置の試作を行なった。
基本フレーム及び構造の見直しにより、
「φ100mm×150mm」
「φ150mm×300mm」共に安定した粉砕が
可能な装置が完成した。
排出機構については現在、複段式パンタグラフジャッキによる完全排出を行なっているが、未だ十
分な結果は得られていない。
今後も開発・研究を行い、より利便性の高い粉砕機の試作を行なう予定である。
33
技術室の取り組み 奨励研究
発光ダイオード
発光ダイオードを
ダイオードを用いた実践的技術者育成
いた実践的技術者育成のための
実践的技術者育成のための教材開発
のための教材開発に
教材開発に関する研究
する研究
報告者:福島 志斗
1.目的
本研究の目的は、発光ダイオード(LED)を教育教材として位置づけ、単なる白熱灯や蛍光灯から LED
への移行ではなく、その特長を最大限生かした制御回路や照明システムを開発する。開発したシステ
ムを学生に提示することで、実践的技術をわかりやすくイメージさせ、自分なりの応用を検討させる
ことによって学生の豊かな実践的思考能力の向上を図ると同時に創造性を育むことを目的とする。
また、システムの開発や効果の検討を行う際に幅広い年齢層を対象とした電子工作教室を企画開催
することで、手軽に LED を用いた電子回路に触れさせる機会を設け LED の視覚効果の調査を行うと同
時に、近年問題となっている学生の理科離れ対策の一助も担う。
2.教材開発
今回の研究では LED の明るさを制御する回路を学習する教材として、①抵抗による電流制限、②ト
ランジスタによる定電流回路、③PWM 制御の3つ制御方法が学習できる電子回路を製作した。また、
ダイナミック点灯をイメージしやすいように、点灯周期を変更可能なマトリックス LED の点灯回路を
製作した。現在これらは教材としての有効性は調査中である。
3.電子工作教室
電子工作教室の教材として、焦電型赤外線センサを用いたセンサライトをテーマとし、同時に視覚
的効果の調査ができるようライトの発光パターンが変更できる電子回路を設計・製作した。(図1)
電子工作教室は3回実施し、合計23名の参加があった。
電子工作教室では、工作の前に赤外線や電子回路、光の3原色につ
いての講義を行った。これにより、理科等の授業で学習する内容がも
のづくりの場面でどのように用いられるかイメージを分からせること
ができた。
次に、自分の手で電子部品のはんだ付けやアクリル板の曲げ加工と
いった工程を行い完成させるプロセスを経験させた。アクリル加工に
おいては、熱を加えて変形させる工程に興味を示す参加者が多く、
「も
図 1 センサライト
のづくり」に対する興味をより深めることができたと考える。
電子工作教室の最後に視覚的効果に関するアンケート調査を行った。
アンケート調査は、参加者の方がそれぞれ製作したセンサライトを使
用し、
「どの光り方が好きですか」という質問に対し、図1のように「パ
ルス」が好きという答えが36%と多かった。
対数
のこぎり 4%
8%
全ゆらぎ
4%
パルス
36%
連続
12%
これは、製作したものがセンサライトであったため、警戒用のライ
トという意味を含んでいるからと考えている。よって、今後はインテ
リア照明を目的としたライトで同じような調査を行う必要があると考
えている。
正弦
16%
半ゆらぎ
20%
図 2 発光パターンの好み
34
技術室の取り組み 奨励研究
オープンソース LMS を用いた工学実験用
いた工学実験用 e-Learning 教材の
教材の開発
報告者:川見 昌春
1.目的
高等専門学校のカリキュラムで、工学実験・実習は実践的な技術を修得する科目として特に重要視
されている。工学実験・実習は専門科目授業で学んだ知識を実践することにより、授業で学んだ理論
の裏付けと誤差の確認、実験技術の向上、さらには理論を元にした創造的考察力・製作能力を形成す
る科目である。しかし、実際には授業計画の影響等で授業よりも
実験テーマが早く実施されるなど、予備知識のない状態で実験に
臨まざるを得ない場合がある。また、学生個人の学習・技術力量
では実験を完遂できない場合も多々見られる。そこで本研究は上
記の解決策として、工学実験の独習(および予習・復習)を可能
とする、オープンソース LMS(Learning Management System)を利
用した学習教材の開発が目的である。
図1.教材ページ
2.研究方法
開発する e-Learning 教材の中核となる LMS には、独自の拡張機能を組み込むことが可能なオープ
ンソースソフトの「Moodle」を選定した。まず Moodle 上に筆者が指導サポートを行っている実験テ
ーマについて、サンプルとして教材コンテンツを作成した。この教材コンテンツには、学生自身が実
験に際して必要となる理論や知識があるかどうか確認するための、小テストコンテンツも合わせて作
成した。また、開発する学習教材独自の機能として、測定機器とネットワークでリンクした教材ペー
ジの指示に従って実験を行う機能を検討し、このための実証用サ
ンプルページを試作した。測定機器には LAN I/F 付きのマルチメ
ータとリモート制御可能な直流安定化電源を用意し、直流安定化
電源制御用マイコンボード(LAN 対応)を新たに作成した。これ
らの機器を使ってネットワーク経由でLMSサーバとデータ通信
を行うハードウェア環境を構築し動作を確認した。
図2.測定機器
3.まとめ
本校学生 19 名に対し実験中にシステムを試用してもらい、動作と実用性のアンケートを実施した。
以下に主な項目を示すが、特に「独習に使える」と答えた学生が全体の 60%以上であった。この結果
から、本来の目的である独習システムとしての利用が期待できると思われる。今後はコンテンツを増
やし、実用性のあるシステムとして開発を継続する予定である。
質
問
項 目
思う
←・・・
普通
・・・→
思わない
通常実験と比べて理解できた
11%
42%
47%
0
0
独習に使える
42%
21%
21%
5%
0
学習方法は分かり易かった
17%
28%
44%
11%
0
35
技術室の取り組み 出張報告
平成 19 年度出張報告
技術職員出張先一覧
期間
4.20~
1.10(7 回)
6.21、2.7
6.7~9
6.15~17
7.15
7.16~19
7.22
7.26
7.30、10.11
目的
場所
出張者
石見銀山遺跡調査
大田市
内村
松江土建共同研究
三次市
ダム湖観測船組立作業及び調整
(灰塚ダム)
ハイブリッド発電技術に関する資料・情報収集
新潟県
川見・奥原
三重県鈴鹿市
本多・福島
大田市
内村・福島
Honda エコノパワー燃費競技鈴鹿大会参加学生
の支援
銀の風夢まつり
ロボット展示及び電子工作教室
東京都八王子市
機構初任者研修
学校開放事業
(東京高専)
小中学生のための電子工作
~光センサーを使った自動走行ロボット~
ク木次)
研究用機器の調査・打ち合わせ
広島市
出張講座「ものづくり環境体験教室」の講義及び 大田市立第三中
打ち合わせ
8.17~19
松江高専ロボット展
8.21~22
奨励研究
8.22~24
8.28~31
学校
大田市(仁摩サン
ドミュージアム)
大阪府大阪市
学会発表
(大阪工業大学)
平成 19 年度西日本地域高等専門学校技術職員特
豊橋技術科学大
別研修
学
平成 19 年度中国地区高等専門学校技術職員専門
広島県呉市
研修(機械系・その他)
(呉高専)
8.29~31
高専情報処理教育研究発表会
9.4~5
先端設備導入のための視察
9.7~8
現代GP
9.21~22
組込関係セミナー
9.26~28
雲南市(サンワー
山口県
(徳山大学)
愛知県
松江市、大田市
環境会議及び産業体験
(石見銀山)
平成 19 年度(第 15 回)山陰5機関合同中堅職員研
修
36
内村
福島
奥原
内村・本多・奥原
内村・福島
福島
福島
福田
奥原
岡田
内村
福田
東京都
川見
鳥取県
奥原
技術室の取り組み 出張報告
期間
10.5~8
10.14、
11.17
目的
場所
Honda エコノパワー燃費競技全国大会参加学生の 栃木県芳賀郡茂木
支援
奨励研究
町
出雲市
資料収集
(出雲科学館)
出張者
本多・福島
福島
10.20
高専ロボコン東海北陸地区大会の視察
富山県富山市
福島
10.27~28
たたらと小雪まつりへの協力
糸原記念館
山本
11.13~15
奨励研究
横浜
川見
浜田市
内村
広島大学
山本
11.16~17、
12.14~15
11.29~30
資料収集
人材育成講座「メカトロニクス基礎講座浜田」
平成 19 年中国四国地区支部研修教室系技術職員
マネジメントセミナー
鳥取県大山町大山
1.16~17
平成 19 年度第 2 学年冬季合宿研修
1.16~18
機器導入の為の技術打合せ・情報収集
1.24、2.8
出張授業
2.6~7
情報セキュリティセミナー
東京
川見
2.18~22
総務省情報システム統一研修セキュリティⅡ
東京都千代田区
池田
広島県
本多・奥原
2.27~29
スキー場
東京都江東区(東
京ビックサイト)
出雲市
電子工作
(出雲第一中学校)
機器(5軸複合加工機)導入に関する打ち合わせ
及び講習会
福田・内村・本多
奥原・福島
岡田
福田・川見・内村・
3.6~7
平成 19 年度総合技術発表会
徳島大学
岡田・池田・奥原・
福島
3.10~14
機器(レーザー加工機)導入に関する打ち合わせ
及び講習会
3.12~16
情報処理学会
3.19~20
奨励研究
3.28~30
社会人学び直しニーズ教育情報収集
愛知県美濃加茂市
内村・奥原
筑波大学
池田・岡田
福岡県福岡市
学会発表
(福岡工業大学)
37
北海道(稚内北星
学園大学)
福島
川見・池田・岡田
技術室の取り組み 出張報告
総務省情報システム
総務省情報システム統一研修
システム統一研修
第 14 回セキュリティⅡ
セキュリティⅡコース
報告者:池田 総一郎
出張期間:平成20年2月18日~22日
出 張 先:東京都千代田区九段南 九段合同庁舎
日程
9:45
2 月 19 日
(火)
2 月 20 日
(水)
2 月 21 日
(木)
2 月 22 日
(金)
10:15
開講式
12:45
13:45
16:45
政府におけるセキュリティ
休
政府におけるセキュリティ対策
対策(全般)
憩
(個人情報保護)
セキュリティ総論
休
セキュリティ各論(暗号の仕組
(不正アクセスの脅威を中心として)
憩
み、認証の仕組み等)
セキュリティ各論(暗号の仕組み、認証
休
セキュリティ実習(セキュリティ
の仕組み等)
憩
の現状、防御手段の概要等)
セキュリティ実習(Web アプリケーショ
休
セキュリティ実習(WAF の実習、今
ンの脆弱性説明、WAF の説明等)
憩
後のセキュリティ対策等)
閉講式
総務省が主催する情報システム統一研修に参加したので報告する。この研修は官公庁の職員を対象
とした研修で様々なコースが存在し、今回、私は学内ネットワークのセキュリティ向上のためにセキ
ュリティⅡコースを受講した。
研修は4日間で、最初の2日は講義、残りの2日で実習が行われた。初日は「政府におけるセキュ
リティ対策」として内閣官房情報セキュリティセンター、総務省行政管理局個人情報保護室の方によ
る講義があった。内容はセキュリティの政府機関統一基準と、個人情報の保護に関するものである。
特に個人情報保護の重要性については、本校でも明文化されたセキュリティポリシーの制定が必要で
あると思えた。機構が定めるセキュリティポリシーは存在するが、本校では個人情報の含まれるファ
イルの取り扱いなどに関する規定が存在せず、各自の判断に任せているのが現状である。個人情報を
扱う上での意識を高めるためにも、セキュリティポリシーの制定が必要だと感じた。
2日目は、
「セキュリティ総論・各論」として、住商情報システムの方による講義を受けた。内容
は不正アクセス、ウィルス、暗号、認証、クラッキング等のセキュリティ全般に関するものである。
3、4日目は「セキュリティ実習」と題して、日本ベリサインの方から、ファイアウォール、セキ
ュリティ上の脅威や脆弱性等の講義を実習を交えながら受けた。ファイアウォールは外から中への不
正アクセスを防止するものであるが、ここでも、本校ではそういった不正アクセスより教職員や学生
も含めての、中から外への情報の漏洩に対する対策が必要であることを感じた。また、クロスサイト
スクリプティングや SQL インジェクション等のブラウザ経由での不正アクセスの具体例が、私が開発
している学内のシステムを作る上で非常に参考になった。
個人情報の保護やシステム開発等、今後の仕事を行なう上で参考になることが多く、有意義な研修
となった。
38
技術室の取り組み 出張報告
「たたらと小雪
たたらと小雪のまつり
小雪のまつり」
のまつり」
報告者:山本 誠司
出張期間:平成19年10月27日(土)・28日(日) 9:30~15:30
出 張 先:奥出雲 絲原記念館・絲原家一帯
はじめに
しまね文化ファンド助成事業として、松江藩元鉄師頭取絲原家において「たたらと小雪のまつり」
が開催された。絲原家は江戸時代初期から大正時代まで、奥出雲の地で代々たたら製鉄を生業とし、
その間松江藩の鉄師頭取も勤めた。また、敷地内には国指定登録文化財の住居と出雲流庭園、製鉄
の守護神である金屋子の社、同家に伝わる美術工芸品・たたら資料等を展示する(財)絲原記念館
がある。藩政期には奥出雲の田部・櫻井・ト蔵・多伎櫻井・絲原の五鉄師が全国の鉄の約70%を
生産していた。このような歴史の地において、
たたらの公開操業・
「電子レンジで鉄造り」
の実験・古文書からみた「松江藩と絲原家の
鉄」についての講演・
「奥出雲の土壌とたた
ら製鉄」についての講演を松江高専が担当し
て行った。
「ミニたたら」公開操業について
機械工学科新野邊助教および学生数名と
共に前日から耐火レンガを使用した小型の
たたら炉を製作した。当日、早朝より火を入
れ砂鉄と木炭を交互に約8時間投入した後
に炉を壊して鉧(ケラ)を取り出した。また、
炉内状況を見るため熱電対を設置してモニ
ターで観察できるようにした。取り出した鉧
は直ちに小林日本刀鍛錬場の方々に鍛錬し
ていただいた。
「電子レンジで鉄造り」実験
電子レンジを使用して、磁器るつぼ中に砂
鉄2g・松炭3gを入れ 10 分加熱後取出し、
鉄球ができるのを公開実験で行った。
39
技術室の取り組み その他の取り組み
サイエンス・
サイエンス・パートナーシップ・
パートナーシップ・プロジェクト(SPP
プロジェクト(SPP 事業)
事業)
報告者:岡田 康、福島 志斗
出張期間:9月26日、10月3日、11月28日、12月5日、12月12日
出 張 先 :松江市立鹿島中学校
平成19年度は科学技術振興機構(JST)が支援をしているサイエンス・パートナーシップ・プロ
ジェクト(SPP 事業)に本校の電気工学科が申請した「実践的なものづくり科学教室」が採択され、準
備・運営の技術支援を行なったので報告する。
サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(SPP 事業)は、学校等と大学・科学館等の連携によ
り、研究者、技術者、展示解説者等を講師とし、科学技術、理科・数学に関する観察、実験、実習等
の体験的・問題解決的な活動を中心とした学習活動を行い、生徒の科学技術、理科・数学に対する興
味・関心と知的探究心等を育成することを目的としている。
本校の「実践的なものづくり科学教室」では、中学3年生を対象にメカトロニクスとエレクトロニ
クスの学習としての2つのテーマを実施した。メカトロニクスの学習では、ボクシングロボットを使
用してクランクの機構やモーターの仕組についての講座を行った。エレクトロニクスの学習において
は、フルカラーLED を使用したインテリア照明の電子回路を製作し、抵抗やトランジスタ、ダイオー
ドといった基本的な電子部品の働きや光の3原色による発光色の変化についての講座を行った。
講座は中学校の時間割の都合上50分を1回として、メカトロニクスの学習を2回、エレクトロニ
クスの学習を3回実施した。また、中学校の選択授業の 1 テーマという位置づけであり、16人を対
象として講座を行った。
講座は選択授業ということもあり、工作に興味を持っている生徒が講座を受けていることになるが、
始めた当初は工作に不慣れな生徒が多く、作業を指摘することも多かった。しかし、回数を重ねるご
とに徐々に手際よく工作をする様子を見て取ることができた。
今後は、小中学生を対象にこのような「ものづくり」を体験する機会を増やすことで、理科や工学
への興味を向けさせる必要があると考える。
40
技術室の取り組み その他の取り組み
エコラン活動報告
エコラン活動報告
報告者:本多 将和・福島 志斗
平成13年より第1技術班(機械系)の本多がエコラン活動に対する支援を始めて今年で7年が経
過した。今年度活動した学生は、5年生1名、4年生7名、3年生2名の計10名である。学生たち
のマシンの設計・製作、エンジンの改良等を行うノウハウも継続的に向上し、ほぼ彼らの知識や経験
だけで製作が行なえるようになってきた。
しかし、昨年度より更なる燃費向上を図るため「インジェクションシステム」等の電気的な改良を
行なうようになり、電気・電子関係に関する知識が非常に重要になってきたため、今年度より正式に
技術室2班(電気・電子・情報系)の福島へ支援要請があり、今年度よりこの2名でエコラン活動の
支援を行なうこととなった。
昨年度までは「Hondaエコノパワー燃費競技九州大会」に参戦していたが、今年度は開催日程
の変更により参戦できなくなった。そこで、今年度は6月に行なわれた「Hondaエコノパワー燃
費競技鈴鹿大会」と、10月に行なわれた「Hondaエコノパワー燃費競技全国大会」の2大会に
参加した。
鈴鹿大会までの改良点は、
「インジェクションシステムの改良」と「エンジンの高効率化」に限定
して行い、各システムの安定性を向上させることを重視した。以前に取り付けていた「インジェクシ
ョンシステム」は、セルモーターや点火系からのノイズによる誤作動を起こすことがあり、電源を2
系統に分離、電子回路の改善によりノイズの低減を行った。また、カムシャフト周辺に耐熱グリスを
使用することで、シリンダヘッドへのオイル供給をカットし、オイルポンプの負荷を軽減させた。こ
れらの改良を施し鈴鹿大会に臨んだ。
大会当日は、車検はクリアしたもののテスト走行がほとんど出来
ず、マシンのセッティングに不安を抱えたままでの出走となった。
コースとなる鈴鹿サーキット東コースは、コースの半分は上り坂が
続きエンジンパワーを必要とした。完走を目指すためにエンジンは
出力を重視したセッティングにしていたのだが、かなり勾配のきつ
いエリアで停止したため再スタートに必要な出力が得られずにリタ
イヤとなってしまった。
鈴鹿大会後は更なる改良のため、エンジン・駆動系・シャシ・カウル全ての機構を一新した新車の
設計に取り掛かった。各部所の変更点は以下のようなものである。
1. エンジン
・ツインプラグ化(ダイレクトイグニッションシステムの導入)
ガソリンの燃焼効率を改善し、より少ない燃料での走行を可能にする為、ツインプラグにする
ことにした。ツインプラグは、2つのプラグの点火タイミングを制御する必要があり、従パルス
ジェネレーターCDI点火システムでは、1つのプラグしか制御できない上に自動制御のため点
火時期の変更が難しいという問題点がある。また、プラグコードから発生するノイズが電子回路
41
技術室の取り組み その他の取り組み
に影響を与える。これらの問題を解決するため、ダイレクトイグニッションシステムを採用した。
・インジェクションシステムの安定化
鈴鹿大会までに改良したインジェクションシステムを改良したものの、依然としてエンジンや
点火装置から出るノイズにより影響を受けていたため、更なるノイズ対策を行い、安定した動作
をするように改善した。
2. 駆動系(クラッチ機構の変更)
以前に使用していたクラッチは、純正の遠心クラッチと自作ピンクラッチを併用していた。
遠心クラッチはスタート時にしか使用せず走行が安定すると無用であるだけでなく、駆動力の
伝達に損失があるため、クラッチの機構を変更し伝達効率の向上と軽量化を図った。
3. シャシ
エンジンの構造変更、クラッチ機構の変更に伴い対応したシャシを設計し、更に従来のシャシ
よりサイズを小さくしたものを製作して軽量化を図った。
4. カウル
従来のカウルは、シャシに比べてかなり大きかったため、シャシの構造変更に対応したカウル
を設計し、従来のものより軽量かつ空気抵抗の少ないものを製作した。
以上のように、かなり大幅な仕様変更のため、設計・製作に時間を
必要とした。そのため、大会までのテスト走行が数回しかできず、走
行が安定せず不安を抱えたままでの大会参加となってしまった。
大会当日のテスト走行前半はエンジンの調子も良く軽快に走行し
ていたが、周回を重ねていくと、突如タイヤホイールが大破するとい
うトラブルに見舞われた。大至急修理に取り掛かり、何とか通常走行
に支障のない程度の補強を行なった。これは、自作のカーボンバルサ
ホイールのカーボンが定着しておらず、強度が十分に得られてなかっ
たのが原因だと思われる。
修理を終えて再度テスト走行に移ると、次はクラッ
チとエンジンがほぼ同時に動作不良となった。クラッ
チは軽量化のためアルミで製作した部分が、現在まで
のテスト走行で徐々に疲労してきていたものが、出走
直前に走行不能なレベルまで壊れたものと思われる。
エンジンは、燃料と点火タイミングの調整により不調
ながらもアイドリングするようになった。出走直前ま
で修理と調整を行なったが、出走時間が迫っていたた
め、不完全の状態のままスタートラインへ向かったも
のの、エンジン・クラッチの動作がうまくいかず、規定時間内に走り出すことが出来ずそのままリタ
イヤとなった。
今年度の大会では、出場した2大会共にリタイヤするという残念な結果となってしまったが、これ
も新しいことに挑戦した結果であり、今回の失敗からも十分なデータと経験を得られた。今後はこれ
らの新システムに更なる改良を加え、安定した走行と、高燃費を両立したマシンを再度検討していく。
42
技術室の取り組み その他の取り組み
人材育成講座教材の
人材育成講座教材の紹介
報告者:内村 和弘
18年度より行っている高等専門学校等を活用した中小企業人材育成事業(しまね産業振興財団)
において、本校では、若手技術者人材育成講座「インテリジェントCALS」という講座を行ってい
る。その中の講座「メカトロニクス基礎講座」において開発した教材を紹介する。
講座の目的は、「メカトロニクスの基礎、機械・電気・電子・制御など幅広い技術分野での知識を
持ち、それらをすり合わせることができる」であり、多分野の知識を持つことのできる多能技術者の
育成である。このようなことから講座では多種多様技術を持ち合わせたロボット技術を中心として進
められている。
本教材は、これらを踏まえ、組み込みマイコンを中心としたロボット技術の基礎を学習できるもの
を開発した。
開発においては本校人材育成推進室員の教員、技術職員、講座サポートの学生と有限会社糸賀製作
所(人材育成講座受講生)で行った。
教材の内容は、H8マイコンを搭載し、port と Bit の制御の基礎を学習することを目的とした LED
を配置、モータ制御のを学習を目的とし DC モータ、サーボモータの2種類のモータを搭載、センサ
の入力を学習することを目的とした赤外線センサの搭載といった構成である。
また、形状を変化させることで、DC モータ駆動のみのセンサーカーとしての実習、サーボモータ
の同時制御によるロボット制御の実習を行うことができる。
組み合わせにより色々な応用も考えられる教材となっている。
基本構成、基盤、プログラムは松江高専、ベースや頭部、足部のサーボモーターブラケット、DC
モータベースは、(有)糸賀製作所により設計製作された。今年度は、島根県西部の浜田において開
催した講座で使用した。20 年度もこの教材を使用する予定である。今後は、学生実験などへの応用
も考慮したテキストの整理等を進め、教材としての完成を目指す。
ビークルモード
アニマルモード
43
技術室の取り組み その他の取り組み
現代GP「
現代GP「高専間連携
GP「高専間連携を
高専間連携を活用した
活用した体験型環境教育
した体験型環境教育の
体験型環境教育の推進」
推進」への取組
への取組
報告者:福田 恭司・本多 将和
2年目を迎える現代GP「高専間連携を活用した体験型環境教育の推進」は、持続可能な社会を意
識した技術者の育成を目的としたプロジェクトである。
技術室では「高専環境会議」、
「環境産業体験」、
「低環境負荷型自動車の製作を通した環境教育」に
対して支援を行った。
第2回高専環境会議(9/7)では、高知高専校長藤田正憲氏に「環境研究の推進と生物学の役割」
と題して基調講演をいただいた後、全国の高専からそれぞれで取り組まれた環境教育・研究事例に関
する口頭発表及びポスター発表が行われた。
翌日(9/8)は、高専環境会議参加者に対して、島根の地を活かした産業体験・見学を実施した。
これは、持続可能な社会のためにエンジニアが担うべき役割について考えさせることを目的したもの
である。午前中は、松江土建が開発した「水中気液溶解装置」及び、東津田の「耐候性橋梁」を見学
し産業体験を行った。午後は、石見銀山・風車(多伎)の見学を行った。
低環境負荷型自動車の製作を通じた環境教育では、昨年度に引き続き「低燃費ガソリン自動車(エ
コランマシン)の設計・製作」に対する支援を行った。
活動内容の詳細については本誌「エコラン活動報告」に記載する。
44
技術室の取り組み その他の取り組み
石見銀山遺跡における
石見銀山遺跡におけるロボット
におけるロボット探査
ロボット探査
報告者:内村 和弘
○はじめに
石見銀山遺跡のロボット探査は、19年度より、島根産業振興財団の受託研究として行われており、
経済産業省の人財育成事業の一環としての役割を持ったもので、企業、財団、松江高専で取り組んで
いる。島根県教育委員会世界遺産推進室の協力のもと、ロボットでの探査を行った。
このロボット探査の中で主に支援した内容は、学生の制作するロボットの部品製作の指導、機器等
の選定、探査シミュレーション、遺跡内での調査活動を行った。
○石見銀山遺跡
石見銀山は、2007年に世界遺産登録された遺跡である。この石見銀山では、16世紀から20
世紀にかけ、およそ400年にわたり採掘がおこなわれた鉱山である。日本の銀は全盛期において、
世界の 1/3 を流通しそのほとんどが石見銀山のものといわれている。この石見銀山では、600 以上の
「間歩」と呼ばれる坑道跡が存在し、採掘から精錬まで一連の作業が行われていた。
世界遺産に登録された理由としてあげられるように大規模な鉱山にもかかわらず、
自然と共生していたといわれており、現在でも緑を豊かに残した鉱山跡である。
○ロボットによる探査
図1.当時の採掘状況
調査の目的として画像データを撮り、そこから当時の銀の採掘状況や間歩内部の構造を調査した、
対象とした間歩は、近代に採掘されていたものではなく初期から最盛期において採掘されていた手掘
りの間歩とした。これらの間歩は、現在、立ち入り禁止となっており、狭く、人が入るのがやっとの
大きさのもので、崩落しているものもある。これらの間歩より、時代、形状等の違いがはっきりとわ
かる3つを選択し、間歩の形状に合わせたロボットを製作、調査を行った。
竪坑と呼ばれる井戸のような坑道ではウイ
ンチ型ロボットを使用し、横穴の発見や、深さ、
内部の状況、生物、植物の存在を確認しガスが
700
500
mm
充満していない等の情報を得ることができた。
mm
また、横穴があることも確認した。横に掘られ
た形状の異なる間歩においては、奥まで到達す 図 2.82 号間歩
ることができ、形状、奥行きを確認することが
できた。一番古いとされている間歩おいては、
縦穴の発見、形状、掘削方法などの確認するこ
図3.ロボットカメラ映像
間歩入口で操作
ハイビジョンカ
メラ用モニタ
間歩内部へ
C
ミニカメラ
用モニタ
ハイビジョンカメラ
ミニカメラ
C
ロボット
ロボットケーブル
コントローラ
とができた。
○今後の課題と予定
サーチライト
支えアングル
コントローラ
ロボットの機構の見直しと信頼性の向上。
ウインチ
ロボットケーブル
センサ等の追加をし、間歩形状の特定と採掘量
等を算出するなどを行う。
45
カメラ
図4.探査ロボットシステム概要
技術室の取り組み スタッフ紹介
スタッフ紹介
スタッフ紹介
― 特集「
特集「人」 ―
◎岡田 康
例年ですと、スタッフ紹介の 1 ページ目は新人紹介に使われて
いますが、今年度は新規採用がありませんでしたので、勤務年数
が 10 年を超える自分が書くことになりました。
今年を振り返ってみると、支援業務から多くのことを学ぶだけ
でなく、技術職員としての職務について考えることができた 1 年
でした。
今年度受け持った授業等の教育支援業務は、主に電気工学科や
情報工学科の実験がありました。なかには初めて行う実験内容もあり、事前の準備の他に予備実験等
を行いました。不得意な分野もあったため手間取ったところもありましたが、自分が時間をかけて理
解したことで、学生が苦心する部分も良くわかり、学生を指導するときに大変役立ちました。また、
以前と同じ内容の実験では、過去の実験における学生の様子から、要点や注意点を事前にまとめてお
くことで、学生の理解がより深まるように指導を行ったり、高専の卒業生に欠けていると指摘されて
いるプレゼンテーション力の向上を考慮して、こちらから一方的に説明を行うだけでなく、時には学
生自身が持つ考えや状況について説明するよう促すことを心がけました。
その他の支援業務では、学内にある学生演習用 PC の設定等を行いました。これらは、授業で PC
が使われている場合等には行えないため、時間的な制約を受けたり、初めての作業では試行錯誤の連
続となるため、思うように状況が進展しないこともありましたが、運用開始までに仕上げることが出
来ました。これ以外では、地元の中学校に訪問し工作の授業を行いました。中学生は、普段接するこ
とが少ない作業をとおし、ものづくりの難しさや完成したときの喜びをわかってくれたようでした。
このような体験から、少しでもものづくりに興味や関心を持ってくれれば、この授業を支援した意義
もあると思います。
それから、松江高専職員の編集により「技術者の姿
- 技術立国を支える高専卒業生たち -」とい
う題名で、高専についての書籍が発刊されました。この文中で、大学の工学部との実習系授業数が比
較されており、これが約 2 倍の差という結果が載っていました。高専は、実験や実習などに多くの時
間を割り当てることで実践的な技術教育を実現していますが、これまでは、そのことについて深く考
えたり、実感する機会を持つことは多くありませんでした。そのため、今回この結果を知ったことで、
技術職員として携わっている教育支援業務の重要性を再認識できただけでなく、決して人目につかな
い実験器具の管理や演習用 PC の整備といった日頃の作業が、高専教育の特徴である実践教育を行う
うえで欠かせない業務だと改めて気づくことができました。
今年度 1 年間をとおし、様々な支援業務に取り組むことができました。これらの取り組みの中で、
充実していたと思える部分があると同時に、勉強不足のところも多く見つかりました。今後は、それ
らを改善するだけでなく、そこで身につけたことを実験をはじめとする実践教育の場で生かしたいと
思います。
46
技術室の取り組み スタッフ紹介
- 今年度を
今年度を振り返って、
って、来年度への
来年度への抱負
への抱負 -
第1技術班【
技術班【機械系】
機械系】
◎山本
誠司
本年度から小松原前室長より任を引き継ぎ、また第一技術班の主査として業務を行っている。
室長・主査としては、組織がうまく機能することを目的に「報・連・相」の徹底を図り、相互
のコミュニケーションを取りながら業務を行うことを心がけた。教育支援業務では、
『言って・聞
かせて・やってみせて・やらせてみて・誉めてやらねば・人は動かない』という言葉があるが、
高専での実習ではまさにこの通りである。安全管理を心がけ「もの創り」大変さ・できたときの
喜びを学生と共に感じて行きたい。個人の研究では、たたらに関する研究を続けていく予定であ
る。
◎本多
将和
今年度、初めて奨励研究に採択され、以前から技術室で行なってきた「コンクリート供試体粉砕機」
の継続開発研究を行なうことになったが、他の業務に追われる事が多く、本格的な研究に取り組むの
が非常に遅くなってしまったことが悔やまれる。
今後も継続的に研究を行い、より利便性の高い粉砕機を開発していきたい。
また、今年度末に新たに導入される「3次元レーザー加工機」、
「5軸マシニングセンタ」について、
これから機能・操作等を十分に把握し、より多くの加工方法を体得して今後の支援活動に役立ててい
きたいと思う。
◎奥原
真哉
「石の上にも三年」私が技術職員として採用され、技術室また第一技術班において業務に携わり、
早三年が経過しました。今年度は3年目ということもあり、比較的余裕を持って実習を展開すること
ができたように感じます。そのため学生との関わりについて、また技術室における業務への携わり方
について考えながら業務を行うことができました。
改めて思うと業務上、必要である様々なことをやっと覚えてきたと実感しています。それに伴って、
いろいろなことが分かるようになり、また、できるようにもなりました。しかし、それだからこそ出
る問題、反省点もあり、3 歩進んで 2 歩さがった心境です。
来年度は、この 3 年を一つの区切りと考え、良かった点・反省点を踏まえて、もう一度初心に返っ
て業務を行うとともに、自己啓発に努めたいと思います。
47
技術室の取り組み スタッフ紹介
◎奥田
眞一
今年度で1~3年生の実習を受け持って3年目を迎える。前年度まで指導方法の更なる改善を図
った結果、一部の学生達は積極的に実習に取り組むようになった。このことを踏まえ来年度は、
「学
問の基礎的部分に立脚した実践教育(実習)を、学生に取り如何に面白く興味のわくものにしてい
くか」を課題とし、指導に取り組んでいきたい。
◎山崎
肇
私は本校を平成17年3月に退職し、昨年(平成 19 年)10 月 1 日より本年2月29日までの期間、
週3日間機械系のパート技術職員として再び勤務致しました。
主な仕事は、1年生・2年生の機械工場での実習指導に携わりました。
この5ヶ月間の勤務で感じたことは、実習を担当したパートについては大きな変化は感じられませ
んでしたが、法人化になり職場のシステム及び雰囲気が非常に変化しているように感じました。
第2技術班【
技術班【電気・
電気・電子・
電子・情報系】
情報系】
◎川見
昌春
今年度は引き続き「学務情報システム」の開発を行った。昨年度で成績処理、履修登録のベース
となる部分は完成していたが、今年度は試験運用とはいえ実際に全ての学生、教員がシステムを使
用するということで、少し緊張しながら開発を進めた。不具合等が出た場合の影響が大きなシステ
ムは気苦労も多いが、反面、システムを通していろいろな事象も見えてきて面白いことも多い。今
後も機能追加等を行い、使いやすいシステムにしていきたいと思う。
また、今年度から第 2 班の主査ということで、技術室および班のために微力ながら注力したつも
りであったが、経験不足と自身の業務の多忙もあって現在の技術室を取り巻く状況は必ずしも納得
の行くような状態ではない。これからは深謀遠慮を念頭に、今後の技術室・班の運営に助力してい
く所存である。
◎内村
和弘
「高専の使命」ある教員が人材育成事業で使った言葉である。教育、研究、地域貢献。
現在、それぞれの比率が大きく変化している。ではなく、すべての重要度が増してきている。技術
職員の業務もこれにもれずより高度で多種多様なものが求められている。研究、地域貢献、外部資金、
etc…、室員個々がすべてこれらをこなすのはとても難しいことである。
(全員が優秀な人材であれば
別であるが…私は?)。
今まで、松江高専技術室では専門分野関係なくいろいろな「もの」を創ってきた。その中には足り
ないものを補う、新しいことを知るといった一人では経験できない事が沢山あった。チームとしての
有意性も体験している。この経験を生かしコミュニケーションを大事に室全体の「スキルアップ」ま
た、どのような時にでもバックアップのできる人材、組織が作れるよう協力、努力していきたい。
48
技術室の取り組み スタッフ紹介
◎池田
総一郎
今年度は2ヶ月間の企業研修を行った。これまで一般的な企業で働くと言う経験がなかったため、
様々なことを学んだ。技術的なことだけではなく、仕事をする上での効率的な方法や、人間関係に
ついてより多くのことを知ることができた。技術的なことは、ある程度であったら独学でも可能で
あるが、それ以外のことは実際に働いてみなければ分からない。
学校の中にいるだけでは、視野が狭くなりがちだったのを、今回の研修で広げることができた。
この経験を今後、活かして行きたいと思う。
○福島
志斗
今年度は、教育支援の外に学校開放事業、エコランの技術支援、奨励研究などの業務を通じて、様々
な電子回路を製作することが多くあった。これらの電子回路を製作する中で、専門分野を問わず幅広
い知識が必要であり、自分自身の知識と技術の未熟さを痛感した。
来年度は、自らの知識や技術、経験を向上させるように異なる分野でも積極的に取り組むようにし、
担当する各支援業務の質を向上させるとともに、学生への指導にも活かせるよう努めたいと思う。
◎川島
久明
再雇用を希望して1年間が過ぎました。週15時間の短時間勤務で、できることも限られ、技術室
職員とのコミュニケーションにも問題があったように思います。これからの1年間は長い高専勤務の
本当の最後の年になります。充実したものにしたいと考えています。
第3技術班【
技術班【環境・
環境・建設、
建設、土木系】
土木系】
◎福田
恭司
松江高専に奉職以来三十数年の中で最も変化の激しい衝撃的な一年となった。昨年度までは、小
松原氏を先頭に原・福田と続く安定した体制が三十年以上も続いて来たが、本年度、小松原氏が定
年退職で一線を退かれ、後期からは原氏が体調不良のため早期退職になられた。万年下っ端だった
者がいきなり先頭に立ってしまったのである。自分なりに頑張ったものの、様々な面で戸惑いの多
い一年であった。
来年度の3班は、新人を加えて新たな態勢でのスタートとなる。主査として、コミュニケーショ
ンの構築を図りながら3班の支援体制の確立、或いは技術室への貢献を意識した動きを行っていき
たい。
49
技術室の取り組み スタッフ紹介
今年度の
今年度の技術室を
技術室を振り返って
前技術室長:小松原 祐二
技術室の運営面から一線を引いて、早や一年が経とうとしている。評価委員会から標記タイトルの
原稿依頼を受けたので、外野席から見た私なりの見解を述べてみたい。
定常業務は従来通りほぼ大過なく成し遂げているが、技術室の「組織のあり方」については少し物
足りなさを感じ得ない。このことについて私なりの持論を記すので、室員各位の一助となれば幸いで
ある。
今年度から新しいリーダーの下に、室員が一丸となって技術室の理念である「機能する技術集団」
をモットーに、より機能性のある技術室造りを模索していかなければならない(スクラップ and ビル
ド)。また、この理念を確立していくためには、ただ単に教員・事務・学生の便利屋さん的存在であ
ってはならない(特に注意を要す)
。
「機能する技術集団」とは、学内外に必要とされる集団(認知)であることは言うまでもないが、
その為には技術室が「凛」とした組織でなくてはならない。
即ち、組織とは、人事(人)
・予算(金)
・決め事(規則)の3の要件で構成されている。これ等は、
常に相関関係にあり長期・短期的な展望と理念に裏打ちされていなければ組織としての機能性に欠け
てしまう(肝に銘じておく)。このことが確立されていれば、学校に対し明確な説明責任を果たすこ
とができると同時に、技術室のグレードをアップすることにもなる。要は、技術室を機能的に運営し
ていくためには、技術室が常に主体的に上述の3の要件を企画・立案し、また、綿密な検証と点検を
行い、万全を期していなければならない。これは、特に室長・主査の職務であると考える(積極的に
汗を流す)
。
物事が起きてから仕方なく対応しているようでは…、支援業務だけで満足しているようでは…真の
認知は、ほど遠いと言わざるを得ない。この様な状況に的確に対応していくには、上述したことの実
行と同時に室員間の更なるコミュニケーションの構築・透明性のある室運営・「報・連・相」の徹底
等が求められる。また、このことは若手室員の組織人としての自覚の啓蒙と、室員の連帯の堅持にも
役立ち、全体的には「確固たる技術室を確立」することができと確信している。
技術室が発足して8年目を迎えるにあたり、
「技術室確立」に向けた諸活動が毎年着実に一歩づつ
前進していくよう、室員各位の一層の奮起を期待するところである。
50
資 料 集
◎松江高専実践教育支援センター規則
◎技術系職員の民間企業等派遣研修実施要領
◎松江工業高等専門学校技術専門員・技術専門職員選考規則
◎組織図
◎技術室運営に関する内規
◎平成19年度
技術室学内部会分担表
◎平成18年度
技術室会議議事録
◎写真集
チャレンジ! 電子工作
親子で奏でよう!!笛作り
竹とんぼを作って飛行機の飛ぶわけを学ぼう!
第6回技術室職員研修会
◎新聞記事等
51
資料集
松江工業高等専門学校実践教育支援センター
松江工業高等専門学校実践教育支援センター規則
センター規則
平成14年4月1日制定
平成19年3月13日最終改正
(設置)
第1条 松江工業高等専門学校に,教育及び研究に対する技術支援を行うため,松江工業高等専門学
校実践教育支援センター(以下「センター」という。)を置く。
(目的)
第2条 センターは,技術に関する専門的業務を円滑かつ効果的に処理するとともに,技術職員( 施
設系の技術職員を除く。以下同じ。)の能力及び資質の向上を図り,もって教育研究支援体制の充
実を図ることを目的とする。
(業務)
第3条 センターは,次の各号に掲げる業務を行う。
一
教育及び研究に対する技術支援の基本計画の策定に関すること。
二
技術の継承及び保存並びに技術向上のための技術研修,技術発表会及び技術講演会等の企画・実
施等に関すること。
三
学生の実験,実習,卒業研究の技術指導及び安全確保に関すること。
四
教育及び研究に対する技術支援に関すること。
五
技術資料の作成,保管及び提供等に関すること。
六
機器等の保守・管理並びに災害防止に関すること。
七
所掌業務の調査統計及び諸報告に関すること。
八
その他センターの技術分野について必要な事項に関すること。
(組織)
第4条 センターは,センター長及び技術室をもって組織する。
2
センター長は,教務主事及び教務主事補の中から校長が任命する。
3
センター長は,センターの業務を統轄する。
4
技術室は,センターの業務を遂行する。
5
第一技術班は,第3条の業務のうち機械系に関する業務を分掌し遂行する。
6
第二技術班は,第3条の業務のうち電気,電子及び情報系に関する業務を分掌し遂行する。
7
第三技術班は,第3条の業務のうち土木系に関する業務を分掌し遂行する。
8
第一技術班,第二技術班及び第三技術班にそれぞれ主査を置く。
9
主査は,所属する班の業務を統轄する。
(センター運営委員会)
第5条 センターの運営に関し,必要事項を審議するため,松江工業高等専門学校実践教育支援セン
ター運営委員会(以下「委員会」という。)を置く。
2
委員会は次の各号に掲げる委員をもって組織する。
一
センター長
52
資料集
二
技術室長
三
主査
四
その他校長が必要と認める者
3
委員会に委員長を置き,センター長をもって充てる。
4
委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
5
委員長が必要と認めるときは,委員以外の者を出席させることができる。
(センターの利用)
第6条 センターの利用に関して必要な事項は,別に定める。
(センターの事務)
第7条 センターの事務は,技術室において処理する。
(雑則)
第8条 この規則に定めるもののほか,センターに必要な事項は運営委員会において定める。
附則
この規則は,平成14年4月1日から施行する。
附則
1
この規則は,平成17年4月1日から施行する。
2
松江工業高等専門学校テクノ教育支援センター規則(平成14年4月1日制定)は,廃止する。
附則
この規則は,平成19年4月1日から施行する。
53
資料集
技術系職員の
技術系職員の民間企業等派遣研修実施要領
(平成18年11月21日 制
定)
(趣旨)
第1条 この要領は,松江工業高等専門学校(以下「本校」という。
)における技術系職員の民間企
業等への派遣研修に関し必要な事項を定める。
(目的)
第2条 本校における技術系職員に対し,一定期間勤務場所を離れて民間企業等に派遣し業務を体験
させ,民間企業等における実践的技術並びに業務運営の手法,コスト意識,サービス精神及び安全
管理の徹底等の重要性を学び,今後の職務に反映させることを目的とする。
(対象者)
第3条 研修として派遣することができる者は,技術室に所属する技術系職員とする。
(派遣者の決定)
第4条 派遣職員は,技術室長からの推薦により学校協議会で協議し,校長が決定する。
(派遣先)
第5条 派遣先は,本校派遣研修職員受入れの承諾を得た民間企業等とする。
(研修期間)
第6条 研修期間は,原則2ヶ月以内で本来の職務に差し支えのない期間とし,派遣民間企業等と協
議のうえ決定する。
(研修内容)
第7条 派遣先における研修内容等は,派遣民間企業等と協議のうえ適宜定める。
(派遣職員の給与等)
第8条 派遣期間中の給与等については本校から支給する。また,派遣期間中の災害等については,
労働者災害補償保険を適用する。
(研修経費)
第9条 本研修に要する経費は,原則として本校が負担する。
(報告)
第10条 研修修了者は,研修期間が終了したときは直ちに研修レポートを提出しなければならない。
(記録)
第11条 研修修了者には修了証書を交付し,人事記録に記載する。
附
則
この要領は,平成18年11月21日から施行する。
54
資料集
松江工業高等専門学校技術専門員・
松江工業高等専門学校技術専門員・技術専門職員選考規則
平成10年3月18日制定
平成18年10月1日最終改正
(趣旨)
第1条 この規則は,技術専門員及び技術専門職員(以下「技術専門員等」という。)の選考に関し,
必要な事項を定める。
(選考委員会)
第2条 技術専門員等の選考について,必要事項を審議するため委員会を設置する。
2
前項に規定する委員会は,運営委員会をもって充てる。
(選考基準)
第3条 技術専門員は,次の各号の一に該当する者とする。
一
職務に関連する技術系の国家資格試験(大学卒業程度以上)に合格した者
二
特許取得等の独創的な技術開発を行った者
三
学会賞等を受賞した者
四
科学研究費補助金等の公募採択型の各種助成金を受けた者
五
修士以上の学位を有する者
六
学会等において職務に関連する論文発表等を行った者
七
職務に関連する著作を発表した者
八
技術職員研修会等において講師の経験を有する者
2
技術専門職員は次の各号の一に該当する者とする。
一
前項各号の一に該当する者
二
職務に関連する技術系の国家試験(前項第一号に該当する者を除く。
)に合格した者
三
技術発表会等において職務に関連する技術発表等を行った者
四
技術職員研修会等の研修を修了した者
(事務)
第4条 委員会の事務は,総務課において処理する。
附則
この規則は,平成10年4月1日から施行する。
附則
この規則は,平成16年4月1日から施行する。
附則
この規則は,平成18年10月1日から施行する。
55
◇松江高専実践教育支援センター組織図
平成20年3月1日現在
本多 将和 (技術職員)
泉 大樹 (技術職員)
実践教育支援センター運営委員会
◆第1技術班主査(兼務)
山本 誠司 (技術専門員)
奥原 真哉 (技術職員)
奥田 眞一 (技能補佐員)
池田 総一郎 (技術職員)
岡田 康 (技術職員)
校 長
◆実践教育支援センター長
福間 眞澄 教授 (教務主事補)
◆技術室長
山本 誠司 (技術専門員)
◆第2技術班主査
川見 昌春 (技術専門職員)
内村 和弘 (技術専門職員)
福島 志斗 (技術職員)
川島 久明 (技術職員)
◆総務課長
◆事務部長
資料集
◆学生課長
◆第3技術班主査
福田 恭司 (技術専門職員)
小松原 祐二 (技術職員)
56
山崎 肇 (技能補佐員)
資料集
技術室運営に
技術室運営に関する内規
する内規
(平成14年2月19日 決 定)
(目的)
1.「機能する技術集団(技術室)
」を達成するため、技術室に次の会議・委員会を置く。室員は、
支援委員会、研修委員会、評価委員会のいずれかに所属し、各委員会で委員長を互選する。委員の任
期は当面1年とする。
①
技術室会議(全員、議長 技術室長)
②
支援委員会
③ 研修委員会
④ 評価委員会
(会議)
2.会議、及び各委員会は次の会務を掌る。
①
技術室会議
本会は技術室運営に関する最高決議機関とし、全室員をもって構成する。議長は、室長とする。
室長事故あるときは主査が代行する。議事録は評価委員会が処理する。
②
支援委員会
支援業務を円滑且つ効率的に処理するため、次の会務を処理する。
イ.学科・教員・学内組織等からの支援業務依頼の受付・処理(依頼者との打合せも含む)に関
すること。
ロ.派遣者の人選等を連絡・調整し、「技術室会議」に提案する。
ハ.学外組織との共同技術開発・研究等の受付・処理に関すること。
ニ.室員の均衡ある仕事量の調整に関すること。
ホ.支援終了後の依頼者に対しての評価に関すること。
(アンケート等により今年の自己点検
評価)
ヘ.その他必要な事項。(学校行事…等)
③
研修委員会
技術室、室員の能力・資質の向上を図るため、次の会務を処理する。
イ.技術研修会・技術講習会・技術発表会等を企画・立案し「技術室会議」に提案する。
ロ.外部でのイ、等の行事についての連絡・調整に関すること。
(個人研修旅費等も含む)
ハ.技術室、室員の地位確立について検討する。特に室員の日常研修による、各種技術認定資
格の取得についての啓蒙、及び「技術室と資格」に関する検討。
(資格取得の講習会参加者
の旅費補助等)
57
資料集
ニ.その他必要な事項。
④
評価委員会
技術室が学内外から評価を得るため、また、技術の伝承・保存を確保するため、次の会務を処
理する。
イ.技術室の年間業務の総括を行い、自己点検・自己評価の資料を技術室会議に提案する。(自
己評価)
ロ.イ.の項を、技術室ホームページに掲載し情報公開する。(外部評価)
ハ.イ.の項を、「年次報告」として冊子を作成し保存する。
(技術の伝承・保存)
ニ.技術室の広報的業務に関すること。
(ホームページ等にて)
ホ.技術室会議の書記、及び議事録の処理に関すること。
庶
へ.技術室の予算、親睦に関すること。
務
ト.技術室員の人事記録に関すること。
チ.その他必要な事項。
58
資料集
平成1
平成19年度 技術室 学内部会分担表
学術情報委員会
技術室長
図書館 WG
e-ランニング WG
情報ネットワーク
情報ネットワーク WG
川見昌春、岡田康
池田総一郎、岡田康
安全衛生委員会
安全管理者:山本誠司(技術室長) 労働組合の推薦者:原誠治、奥原真哉
安全管理 WG
防災対策 WG
技術室長
技術室長
環境汚染等防止対策 WG
H19 年度推進室(技術室関係)
現代 GP(環境教育)推進室
人材育成(インテリジェント
CALS)推進室
福田恭司、本多将和
内村和弘
SPP(サイエンス・パートナ
ーシップ・プロジェクト)
推進室
現代 GP(知財)推進室
福島志斗、岡田康
山本誠司
社会人学び直しニーズ対応
教育推進室
川見昌春、池田総一郎、
岡田康
その他
・校内ロボコン審判
奥原真哉
・プロコン審査員
池田総一郎
・機器選定委員会・レーザー加工機仕様策定委員会
・社会貢献委員会 産学連携 WG
技術室長
・地域共同テクノセンター
川見昌春
59
内村和弘・本多将和
資料集
平成19
平成19年度
19年度 技術室会議議事録(
技術室会議議事録(抜粋)
抜粋)
○第1回 平成19
平成19年
19年4月3日(火)9:00~
00~
◎室長より
・今年度の方針
「機能する技術集団」として能力・資質の向上を図り教育研究支援体制の充実を図る。
「報・連・相」の徹底。
技術室運営に関する最高決議機関である「技術室会議」の下に主査主任会議、班別連絡会、各委
員会を置き安定した運営を図る。
・新年度委員会体制について
◎センター長より
・次年度以降を考慮した展開の必要性について(技術の伝承など)
○第2回 平成19
平成19年
19年4月12日
12日(木)10:
10:30~
30~
◎室長より
・新年度委員会体制について
・委員会業務の洗い出しについて
・変形労働時間制について
◎その他
・実習工場再生支援設備経費について
○第3回 平成19
平成19年
19年4月26日
26日(木) 10:
10:30~
30~
◎室長より
・事務部連絡会(4/23)及び学科長・センター長会議(4/24)の報告事項
◎各委員会報告・・・各委員会内での役割分担、業務内容の確認、報告があった。
◎ISO 関係業務について
○第4回 平成19
平成19年
19年5月31日
31日(木)10:
10:30~
30~
◎室長より
・学科長・センター長会議(5/29)の報告事項について
・ISO 内部監査について (6/21) 16:00~ 実践教育支援センター
・企業研修について
池田:2 ヶ月間の予定
◎評価委員会より
・学校開放について
◎支援委員会より
・後期時間割作成について
・作業報告書の記入について
◎研修委員会より
・9/10~14 技術職員研修を予定
◎川見:6/6(水)教務成績システムのプレゼン 13:30-15:00(校長、部長)
60
資料集
○第5回 平成19
平成19年
19年6月28日
28日(木)10:
10:40~
40~
◎室長より
・技術職員の民間企業派遣研修について(池田、協議会で承認、期間 8/6~9 月末)
・学務情報システムについて(川見、今年度後期から試験運用。来年度から正式に)
◎支援委員会より
・後期授業時間割が完成
◎その他
・ISO 内部監査について(先週行われ、環境教育のリストアップを指摘された)
○第6回 平成19
平成19年
19年8月2日(木)11:
11:00~
00~
◎室長より
・ISO14001 定期審査について
・第二回高専環境会議・環境産業体験の実施について
○第7回 平成19
平成19年
19年9月12日
12日(水)10:
10:00~
00~
◎評価委員会より
・技術室共通経費の執行状況及び今後の取り扱いについて
◎研修委員会より
・研修会について討論会が不充分だったため、続きの討論の場を設定
◎その他
・スキーメンテナンスについて 日程を調整
○第8回 平成19
平成19年
19年9月26日
26日(水)15:
15:30~
30~
◎室長より
・学科長・センター長会議の報告事項について
◎支援委員会より
・後期教育支援について
・前期アンケート集計について
◎研修委員会より
・研修会での討論会の続きを別途実施する
・アンケート集計について
◎しまね産業振興財団「しまね産学官協働推進事業可能性試験テーマ」追加募集について
○第9回 平成19
平成19年
19年11月
11月2日(金)10:
10:40~
40~
◎室長より
・学科長・センター長会議の報告事項について
・ISO14001 継続審査の実施について
・実習工場の改修について
◎研修委員会より
・奨励研究の応募申請について
・助成金申請の報告
・技術室業務等の検討会の開催について
61
資料集
○第10回
10回 平成19
平成19年
19年12月
12月6日(木)16:
16:00~
00~
◎室長より
・平成 19 年度第 2 学年冬季合宿研修の実施について
・ISO 審査について
◎研修委員会より
・奨励研究の申請について
○第11回
11回 平成20
平成20年
20年1月11日
11日(金)9:00~
00~
◎室長より
・平成 20 年度行事予定について
・追加予算配分について(寄宿舎耐震改修工事費)
・平成 20 年度カリキュラムの改正について
◎評価委員会より
・平成19年度技術室事業報告集の編集作業について
・アニュアルレポート原稿の依頼
◎支援委員会より
・実験計画について
◎研修委員会より
・実験指導書について
○第12回
12回 平成20
平成20年
20年1月31日
31日(木)13:
13:30~
30~
◎室長より
・学科長・センター長会議(1/29)の報告事項について
・平成 20 年度校務分担について
・最先端加工機の設置について
◎評価委員会より
・平成 19 年度技術室事業報告集の原稿依頼について
◎支援委員会より
・実験実習管理業務について
・来年度学科、工場、情報処理センター実験実習予算について
○第13回
13回 平成20
平成20年
20年3月4日(火)9:00~
00~
◎室長より
・学科長・センター長会議(2/26)の報告事項について
◎評価委員会より
・平成 19 年度技術室事業報告集編集作業について
◎支援委員会より
・平成 20 年度実験実習費予算案について
・平成 20 年度前期教育支援の時間割について
◎研修委員会より
・平成 20 年度実験自習指導書の印刷・製本について
62
資料集
写真集
学校開放事業
チャレンジ!
チャレンジ!電子工作
平成19
平成19年
19年8月6~8日
63
資料集
学校開放事業
学校開放事業
親子で
親子で奏でよう!!
でよう!!笛作
!!笛作り
笛作り
竹とんぼを作
とんぼを作って飛行機
って飛行機が
飛行機が飛ぶわけを学
ぶわけを学ぼう!
ぼう!
平成19
平成19年
19年8月18日
18日
平成19
平成19年
19年8月19日
19日
64
資料集
第6回技術室職員研修会
平成19
平成19年
19年9月10~
10~11日
11日
65
資料集
新聞記事等
66
資料集
技術室資格取得一覧(
技術室資格取得一覧(平成 20 年 2 月現在)
月現在)
取得資格
人数
測量士
1名
測量士補
1名
第2種情報処理技術者
1名
第3種電気主任技術者
2名
第二種電気工事士
4名
電話級無線通信士
1名
第1級陸上特殊無線技士
1名
2級技能士(機械組立仕上げ)
1名
2級技能士(普通旋盤作業)
1名
2級ボイラー技士
1名
アーク溶接等業務特別教育
5名
クレーン運転業務特別教育
3名
研削といし取替等業務特別教育
6名
動力プレスの金型等取扱業務特別教育
5名
粉塵作業特別教育
4名
職長・安全衛生責任者教育
1名
ガス溶接技能講習終了
7名
フォークリフト運転講習
1名
玉掛技能講習
4名
有機溶剤作業主任者技能講習
1名
甲種危険物取扱者
1名
乙種危険物取扱者4類
2名
技術士補(情報工学)
1名
第1種衛生管理者
1名
職業訓練指導員免許
1名
67
編集後記
技術室の一年を振り返る事業報告集も、今回で第7号となりました。編集長を務めさせていただく
のは初めてで、至らない点も多かったと思います。
今年度は、昨年より開発を行っていた「学務情報システム」が稼動し始めたことが、大きな出来事
として挙げられます。
事務電算、人材育成講座等の業務が増え、技術室の仕事も以前に比べて忙しくなってきています。
室員個人の負担も増えますが、それを個人ではなく、技術室全体でカバーする体制が今後も必要にな
ってくるのではないかと思いました。
最後に報告集作成にあたり、ご多忙にもかかわらずご協力いただいた皆様方に、この場をお借りし
て厚くお礼を申し上げます。
編集責任者:池田 総一郎
平成 19 年度松江高専技術室事業報告集
発
行:松江高専技術室評価委員会
発 行 日:2008 年 3 月 31 日
編集委員:池 田 総一郎
福 田 恭 司
本 多 将 和
連 絡 先:〒690-8518 松江市西生馬町 14-4
Tel:0852-36-5145
E-mail:[email protected]
http://www.matsue-ct.jp/tech/
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