めだかの学校

聴こえの追求
めだかの学校
平成26年9月号(119号)
秋を初、仲、晩と三つに分けた真ん中の月、十五夜の月を
仲秋の名月と言います。「月月に 月見る月は多けれど月見
る月はこの月の月] 夕食を済ませ、兄弟揃って銭湯に行く。
その時にまん丸い月が背中を押してくれる。そして兄弟で
影踏みに興ずる。帰り途も兄弟みんなを照らしながら自宅
まで送ってくれる。故郷の秋は月が冴え、秋の虫が合唱を
聞かせてくれる。赤とんぼを追って遊んだ夕暮れ。縁側
で家族が月見団子を戴きながら話し
に興ずる。幼い頃の思い出が懐か
しい。裏庭にはススキの穂が
少しの風にも揺れている。
災
害
お
見
舞
い
申
し
上
げ
ま
す
。
先月は吾輩の狭心症騒ぎで御心配をお掛けし申し訳ありませんで
した。この事件を契機に我が人生を振り返ると天罰が下る程の無
理をしでかしていました。赤子の時は腎臓を患い生死の境を歩い
ていたと母が云います。小学校の頃には左側通行が右側通行に変
更になり、自動車に跳ね飛ばされておでこを21針も縫いました。
大学時代にはアイスホッケーで顎と足首を大怪我し縫い傷が残っ
ています。社会人になって34歳の時に膠原病で2カ月入院
し、投与したステロイド剤が難聴の引き金になったと聞き
ました。投与しなければ膠原病で苦しむ人生になったであ
ろうと医師は云いました。45歳の時にマレーシアで突発
性難聴を患い平成元年に手術をして補聴器人生が始まりま
した。26年間の難聴者生活を振り返りながら聞こえの支
援活動を始めたのです。最後の難病が狭心症です。
ここに病歴を書いたのは他山の石にして欲しくないからです。この
年令になると病院通いが増えて来ます。名刺入れはいつの間にやら
診察券だらけ。難聴が酷くなり、医師の説明も上手く聞こえません。
どこの医者へ行くにも女房が通訳として同伴してくれます。私の聴
力は26年間聴覚デシベルに変化はありません。子音弁別力が極め
て悪く、会話は殆ど出来ません。こうした問題で困っている人は私
だけではないと思います。耳鼻科の医師に「聞こえが悪くなって
困っています」と相談を持ちかけるのですが、4級から2級
への申請はしてくれません。聴力デシベルがすべてです。
私の人生は4級で終わりそうですが、この活動を始めたお陰
で、色々な聴こえの工夫を知る事が出来ました。多くの難聴
者が気軽に相談して購入出来る機器コーナの出展を夢見てい
ます。アイデアは「めだかの学校」が提供します。
この数カ月、月刊誌「めだかの学校」には必ずループと言う言葉が頻
繁に出てきます。その理由は、補聴器を便利に使いこなすにはループ
が必要だと知ったからです。私は26年前に補聴器生活者になり45
歳の働き盛りで家族を背負っていました。東京でも名古屋でも補聴器
店を訪ね歩き「聞こえの良い補聴器」を捜しました。当時高価な補聴
器を購入しては仕事に汗水を流しましたが、仲間との仕事上の話しが
出来なかったのです。サラリーマンとして大きな壁にぶつかっていま
した。何としても聞こえる工夫が欲しかったのです。SONYの高価
な録音機を買い会議テーブルの中央に録音器を据えて仲間の声をイヤ
ホンで聞きました。これは重宝でしたが、会議場の机が円形でなく楕
円形の配置となると聞こえは悪くなりました。結果として、会議に参
加する人の声の大小、声の質、話す時の姿勢や向きが録音機では上手
く調整出来ない。その後の活動で磁気誘導ループを知って参加方法が
判った。右の図(RION-HP)生徒を
とりまいているのがループ線です。
先生の声は足元に置いてあるアン
プを通してループ線に入ります。
この方式で生徒が授業を受けるに
は生徒の補聴器に(T)スイッチ
が必要です。これはループ上の声
を聞く特別のスイッチです。有償
でこのスイッチを追加装備しても
それほど金額も掛かりません。ここ
は「めだかの学校」を信じて、Tスイッチ装備の補聴器を購入して下
さい。とは言っても補聴器を新たに購入するのは痛手です。では聴こ
えの支援機器「ソラ」なら易く購入できます。
ソラは対面会話が
出来ると言うのが原点ですが、(T)機能も
装備しているのです。補聴器に装備されてい
るT機能は補聴器の機種によってはループ
への反応がにぶいのもあります。ソラはイヤ
ホンとシリコンマイクが装備され、基本的に
会話が出きる様になっています。更にループ
音声を受信するスイッチもあります。校長の
補聴器にはループ受信機能が装備されていま
すが、ソラを使っています。講演も聞けるし、
隣席の友人との会話も出来ます。
会議や講演会、映画会などを楽しもうとすると「ループを使おう」
と言う事になります。難聴者の参加人数を多めに予測して、椅子の
数だけループ線で囲み、左の教室でのループ環境を構築します。来
場する難聴者をループ席に案内し、Tスイッチを点ずれば講演を楽
しめます。ソラには外部入力と(T)スイッチが装備されてます。
校長は愛知県難聴者・中途失聴者協会のイベントに参加した時に初
めてループに出会いました。とても良く聞こえたのには驚きました。
私には、いつも電気の事を相談する友人がいます。その友人宅で講
演会の体験を話しました。彼はテレビのイヤホンジャックを利用し
てループ環境を簡単に構築して見せてくれました。要するにループ
を構築し、ループを聞く仕掛けを作ればいいのです。「めだかの学
校」では毎月第一土曜日に視聴覚室にソナール社の磁気誘導ループ
を構築しループ受信専用機器を10台準備して参加者に貸与いてい
ます。蒲郡ではイベントが重なるとループが足りなくなります。そ
うした時も困らない様に中村先生が簡易ループを製作貸与してくれ
ています。中村製のループに無線方式のマイクを組み合わせたり、
工夫を加えて便利さを追求しています。ソナール社製のループは本
体とループ線一式で25万円位だったと記憶しています。高齢者の
部屋に会話とテレビを楽しめる小型ループを製品化出来ないだろう
かと校長は夢見ています。(10月の例会で試作品を視聴します。)
㈱カインズサービス ㈱自立コム ㈱ソナール ㈱RION
の様な会社が簡易式のループ製作試作に協力してくれています。
① ループ環境の構築は市町村に足を向けてお願いして行きます。
② 簡易ループ機器の汎用化を目指します。多くのユーザーがルー
プを楽しみ、補聴器にTスイッチは必需品だと思う人にループ
が広まる。
毎月、簡易ループの試聴は行って
いますので是非試聴しに来て下さ
い。会員非会員でも試聴できます。
補聴器にTスイッチが装備されて
いればループ環境をいつでも楽し
めます。もしTスイッチが無けれ
ばソラかループ受信専用機を購入
して楽しんで下さい。その場合は
ソラの購入が圧倒的に便利です
時々刻々----西條昭子
7月号で書いた、6月10日ベッド周りの寝具の入れ替えの失敗
は未だに後を引いてます。私は大きな誤算をしていた(この痛み
は10日程掛かるだろう)と書いたが、それは50才代の頃の体
験だった。年令87才ともなれば筋肉の張りは弾力あるピチピチ
からダブダブに変わり、その衝撃は骨に達して骨にヒビが入った
のでしょう。未だに屈折の度に痛みが走ります。骨は再生すると
の事ですので再生に必要なビタミンKの多いシソ、納豆などを多
く採る様に心掛けていますがこれも年令故摂取される量は極少な
いと思いながらも心掛ける毎日です。脚力の落ちと、子宮ガン全
摘出手術に依る股関節の浮腫とのバランスを取って歩く事の難し
い事と云ったら、尋常ではありません。風の強い時は傘を持つと
バランスを崩すので出歩きません。買い
物は両手に同量の物を持つ様にしてバラ
ンスを取って歩く。このリンパ浮腫との
闘いは並みのものではありません。これ
が一生続く。こんな事なら助からない方
が良かった。とさえ思いました。でも母
より先に逝く不孝は許されない。主人を
看とらなければ小さい命を犠牲にして助
けられた意味もない。との思いで夜昼夜間夏冬通して、あの厚い
サポーター使用で54年良く続けられた。使用する度に力を込め
る親指の付け根の骨も痛みでサポーター必要になってきた。良く
続けられたと自分で自分を誉めているこの頃です。転倒する前は
一日少なくとも毎日3000歩以上歩いていたが、今は僅か40
歩程度(これでは先行き危ないなあ)でもこの暑さの中、良し
としましょうか?とひとり思案です。養女が心配して息子を同居
させてくれました。そして得たモノ、考えさせられた事等私の興
味を刺激され活力になっています。
最近気付いた事がひとつあります。若い人達と云っても大体20
代の人達に感ずるのは言葉の表現が少し巾狭くなっている様な気
がするのです。折も折新聞に「国語が好きですか?」(外山滋比古
著}との表題で大修館書店から出版されました。やはり私の感じ
た傾向は合ったのだな~、早速注文して来るのが楽しみです。
興味を引くモノが又ひとつ出来ました。嬉しい事です。
ことラボ小松さんの投稿
8月の体験会は母(看護師)と共に参加させていただきました。自
立コムさんのJループ試聴会では、赤外線マイクによる無線システ
ムの聴こえを体験させて頂きました。赤外線システムは比較的低
価格で構築可能なので、用途によっては有用なシステムだと感じ
ます。ループからの磁界も充分出ている様子で、みなさん音量に
は満足されておりましたが、ついついマイクの下側を持ってしま
い、音声が途切れてしまっておられるのが印象的でした。午後に
は、ことラボ製ループアンプによる試聴も体験して頂きました。
ソラを経由すれば音は充分大きく聞こえますが、補聴器内蔵のコ
イルを鳴らすにはまだ少し磁力が弱い様子でした。集音マイクの
音質・集音性にはみなさん満足しておられましたので、今後はア
ンプの音量部分を中心に改善していけたらと考えています。なお、
現在集音マイクにつきましては単品のみでのお分けも可能な状態
となっていますので、ご希望の方は体験会等で試聴されました上
で、ぜひ詳細をお尋ねくださればと思います。
今後ともみなさんのご意見をお聞かせ頂きながら、より良い補聴
支援システムの開発に携わっていきたいと思います。
聞こえの工夫アレコレ
第一土曜日の「めだかの学校」の体験会では中村先生の手製のルー
プを使って色々な聞こえの工夫をしています。ループ音声をアンプ
を通して如何に流すかが問題です。赤外線のマイクを複数使って試
聴させて下さいました。YAMAHAでは高度な集音マイクを使っ
てループ構築しました。体験会で使っているソナール社では有線マ
イク、ワイヤレスマイク、ピンマイクを使って会議をします。様々
な実験で難聴者対策としての聞こえの工夫がある事はハッキリしま
した。この実験をしてみて校長は会議式でなく、老夫婦の部屋で2
~3名がループを楽しみながらテレビも
見れる簡易ループを世に出したいと思い
ました。ことラボ小松氏は高性能な集音
マイクを探し出してループ環境を構築す
れば難聴者にはとてもいい環境を提供出
来ますね!と刈谷から体験会に来られ難
聴者の意見に耳を傾けて下さる。
亀井 勉氏が投稿
梅雨が明けると灼熱の夏が始まります。今回は少し残念な事を報
告します。実は校長(三好和宏)が6月19日の深夜に狭心症を
発症し、救急車で市民病院に運ばれました。4時間に亘る処置で
命は助かりましたが、大事を取って入院加療をする事になりまし
た。以上の理由で月刊誌の7月号を掲載するのが遅れました。来
月からの月刊誌については健康状態と相談しながらと云うことに
なります。スタッフも高齢者の域に入りつつあるので、活動も限
定されます。補聴器だけで聞こえを支援するのでなく、ループを
始めとしてワイヤレス方式との併用が有効であると言う呼びかけ
に専念したいと思います。可能な限り毎月の第一土曜日の体験会
は続けますので足をお運びください。
我が家の危機
校長の聴力は年々悪化の道を辿りました。聞こえの工夫は確かにある
のですが、もしこの工夫が補聴器ひとつで出来るならばこれに勝る便利
はありません。家族との会話にも自由自在に参加できます。しかし今の
現状ではソラをセットしたりワイヤレス機器を組み合わせたりしなければ
なりません。会話には入れない私は家族との会話が楽しめないのです。
妻や子供たちは私が会話に困るとスグに筆記通訳してくれます。実は
私は文字通訳よりもやはり音声を聞きたいのです。私が聴こえる迄聴き
直すのがとても煩わしい様です。子音弁別が低い難聴者の壁です。
体験会相談会の御案内
9月6日(土) 勤労福祉会館
☆駐車場が狭いです。
午前10時~4時
JRでお越し下さい。
10月3日 11月1日 12月6日
☆☆☆ 御遠方の方はFAX連絡下さい。
★勤労福祉会館
蒲郡市神明町18-4 TEL0533-69-3911 3993(Fax)
Eメール : [email protected]
URL
: http://www9.plala.or.jp/miyoshikazuhiro/
FAX : 0533-65-3200
連絡先:愛知県蒲郡市竹島町27-19
三好和宏宅
同じ目線で----田中康予さん
11号台風が近づいている9日、要約筆記の研修会が豊橋で13
時半からあり、JRでお昼過ぎの電車で出掛けました。
蒲郡から15分足らずで付いてしまいますので、急いで車内でお
弁当を食べ終わったとき、電車のスピードが落ちているのに気が
付きました。とうとうひとつ手前の小坂井駅を過ぎたあたりで止
まってしまいました。豊橋駅に13時迄に着いて欲しいと腕時計
を見つめていると放送が入りました。何か放送しているとは判る
のですが、ハッキリ何を言っているのか判りません。向いの席の
女子高校生に「私は今の放送が聞こえなかったので何を言ったの
か教えて下さい。」と尋ねました。ちょっと怪訝そうな顔をされ
ましたが「強風で赤信号になっています。少し収まるまで停車し
ます」との放送でしたと教えてくれました。「ありがとう」
10分位後に電車は動き出し、豊橋駅のホームに近づいた時、早
めに立ってもう一度高校生に「ありがとう」とお礼を言いました。
彼女も笑顔で答えてくれました。ほんの些細な出来事でしたが私
の心は弾んで研修会へと急ぎ足になりました。
その日の夕食後、新聞で毎週楽しみにしている日野原先生のエッ
セーを読みました。6月の新聞で先生が車椅子と暮らし始められ
たのを知り、今までご健脚で階段も駈け上がられるお元気さと
伺ってましたので---この日の新聞には車椅子で移動する様に
なり、今までは皆さんと見下ろす様に接していたが、今は見下ろ
されている。障害や不治の病と生きる人達、世の中から「社会的
弱者」と呼ばれる人達と同じ視点に立ち、同じ苦労を共有しお互
いを慈しみ合える立場になれたのです。そして車椅子を受け入れ
ることが長生きという目標の為には不可欠な手段なのですとプラ
ス志向になられていました。そこに至るまでには心の葛藤もおあ
りだったようですが、隠さずに今の状態を接
する人に率直に語られているのを読んでとて
も共感しました。私たち難聴者も社会にス
ムーズに溶け込んで行く為に先生と同じよう
な心境になる事が穏やかな心を取り戻し、接
して下さる方々への負担軽減に繋がるように
思います。
低い目線に感謝したいと思います。
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