耐性菌防止のための 12ステップ (成人入院患者) 米国疾病管理予防センター(CDC): 薬剤耐性菌防止キャンペーン Campaign to Prevent Antimicrobial Resistance Centers for Disease Control and Prevention National Center for Infectious Diseases Division of Healthcare Quality Promotion http://www.cdc.gov/drugresistance/healthcare http://www.cdc.gov/drugresistance/actionplan/index.htm参照 医療現場における抗菌薬耐性防止のキャンペーン xx 薬剤耐性菌株の選択 xx 抗菌薬への曝露 xx 耐性菌株は低頻度 xx xx xx 耐性菌株が優位 医療現場における抗菌薬耐性防止のキャンペーン 抗菌薬耐性: 鍵を握る予防策 病原菌 耐性菌 感染防止策 伝播防止策 拡げない 感染症を起こさない 感染症 抗菌薬耐性 診断と 効果的な治療 適正使用 抗菌薬の適正使用により 耐性菌出現を防ぐ (耐性菌↓・感受性菌↑) 起きた感染症は 確実に治療する 抗菌薬投与 医療現場における抗菌薬耐性防止のキャンペーン 耐性菌防止のための12ステップ ハイリスク患者のケアにあたる臨床医を対象とした介入プログラム - 成人入院患者 - 小児入院患者 - 透析患者 - 長期療養患者 - 手術患者 目的:臨床診療の向上と薬剤耐性菌感染の防止 専門学会との協力: 査読制度の整った学術誌に発表されたエビデンスにもとづいた論文 教育ツール:インターネットベース/講義による学習単位、ポケットに入 るようなカード型の資料、スライドを使ったプレゼンテーション、他 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) 耐性菌防止のための12ステップ (成人入院患者) 12 医療従事者からの汚染伝播を断つ(手指衛生の励行) 伝播を防止 11 患者を隔離する 10 治癒したら抗菌薬投与を即刻中止する 9 バンコマイシンの処方制限を理解する 8 定着・保菌で治療せず感染症を治療する 抗菌薬を適正に使用 7 汚染を治療せず感染症を治療する 6 限定した患者の耐性菌情報を活用する 5 抗菌薬の適正使用について熟知する 4 感染症専門医に相談する 診断と効果的な治療 3 治療の目的菌を絞り込む 2 不要なカテーテル類を抜去する 感染症の予防 1 ワクチン接種 耐性菌防止のための12ステップ: 成人入院患者 米国:ICU患者における薬剤耐性菌の割合 メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) - 1995~2004 - 70 耐 性 菌 の 検 出 率 60 50 40 30 20 10 年 データ:全米院内感染サーベイランス(NNIS)システム hhtp:www.cdc.gov/ncidod/hip/surveill/nnis.htm 参照 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 19 99 19 98 19 97 19 96 19 95 0 耐性菌防止のための12ステップ: 成人入院患者 米国:ICU患者における薬剤耐性菌の割合 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) - 1995~2004 - 35 耐 性 菌 の 検 出 率 30 25 20 15 10 5 年 データ:全米院内感染サーベイランス(NNIS)システム hhtp:www.cdc.gov/ncidod/hip/surveill/nnis.htm 参照 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 19 99 19 98 19 97 19 96 19 95 0 耐性菌防止のための12ステップ: 成人入院患者 米国:ICU患者における薬剤耐性菌の割合 第3世代セファロスポリン耐性肺炎桿菌 - 1995~2004 - 30 耐 性 菌 の 検 出 率 25 20 15 10 5 年 データ:全米院内感染サーベイランス(NNIS)システム hhtp:www.cdc.gov/ncidod/hip/surveill/nnis.htm 参照 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 19 99 19 98 19 97 19 96 19 95 0 耐性菌防止のための12ステップ: 成人入院患者 米国:ICU患者における薬剤耐性菌の割合 フルオロキノロン耐性緑膿菌 - 1995~2004 - 年 データ:全米院内感染サーベイランス(NNIS)システム hhtp:www.cdc.gov/ncidod/hip/surveill/nnis.htm 参照 20 04 20 03 20 02 20 01 20 00 19 99 19 98 19 97 19 96 19 95 耐 性 菌 の 検 出 率 40 35 30 25 20 15 10 5 0 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 1:ワクチンの接種 感染症の予防 ステップ 1:ワクチンの接種 事実:リスクのある入院患者の退院前のインフルエンザワク チンと肺炎球菌ワクチン接種と医療従事者のインフル エンザワクチン接種は感染防止に効果を示す。 行動: 9リスクのある入院患者は退院前にインフルエンザ ワクチンと肺炎球菌ワクチンを接種する 9インフルエンザワクチンは毎年定期接種する (MMWR 50(RR04);1-46、MMWR 49(RR01);15-26、http://www.cdc.gov/nip/flu/参照) 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 1:ワクチンの接種 病院施設が拠点となり実施するワクチン接種の必要 性:65歳以上米国人における申告に基づくワクチン 接種率 (Behavioral Risk Factor Surveillance System, United States 1993-1999) 接種率(%) 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 1993 Healthy People 2010 Goal参照 (http://www.health.gov/healthypeople/) インフルエンザワクチン 肺炎球菌ワクチン 1995 (MMWR 50:532-7参照) 1997 1999 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 2:不要なカテーテル類を抜去する 感染症の予防 ステップ 2:不要なカテーテル類を抜去する 事実:カテーテル類やその他の侵襲性の高い医療器具は最も高頻度 に外来性の院内感染症の原因となる。 行動: 9カテーテル挿入は必要最低限にとどめる 9適正な種類のカテーテルを使用する 9適正な挿入手技の実施とカテーテル管理基準を運用する 9カテーテルが不要になったら即刻除去する 血管内留置カテーテルのガイドライン http://www.cdc.gov/ncidod/hip/iv/iv.htm 尿路留置カテーテルのガイドライン http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol7no2/maki.htm 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 2:不要なカテーテル類を抜去する 挿入後24時間経過した血管内留置カテーテルに 付着したバイオフィルムの像 走査電子顕微鏡像 (http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol7no2/donlan.htm参照) 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 3:治療の目的菌を絞り込む 診断と効果的な治療 ステップ 3:治療の目的菌を絞り込む 事実: 適切な抗菌薬療法が患者を救う 行動: 9 患者検体を培養すること 9 頻度の高い病原体に照準を合わせて自施設の抗菌薬感 受性パターンに併せて経験的治療を実施する 9 病原体が特定されたら抗菌薬感受性結果を反映させて 確実な治療を実施する http://www.journals.uchicago.edu/CID/journal/issues/v26n5/my56_1042/my56_1042.web.pdf 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 3:治療の目的菌を絞り込む 不適切な抗菌薬療法: 死亡率に対する影響 感染症罹患例数(人) 相対的危険度 = 2.37 (95% C.I. 1.83-3.08; p < .001) 600 17.7%の死亡率 500 400 300 200 42.0%の死亡率 生存者数 死亡者数 100 0 不適切な治療 Kollef M,et al: Chest 1999;115:462-74 適切な治療 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 4:感染症専門医に相談する 診断と効果的な治療 ステップ 4:感染症専門医に相談する 事実: 感染症専門医の関与により重症感染症の予後は改善 する 行動: 9 重症感染症の患者は感染症専門医へ相談(併診) する http://www.shea-online.org/pdfs/AntimicroResist97.PDF 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 4:感染症専門医に相談する 感染症専門医の情報源 感染症専門医 臨床疫学者 臨床薬剤師 感染制御担当者 最善の患者治療 臨床薬理学者 臨床微生物専門 臨床検査技師 外科感染症専門医 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 5:抗菌薬の適正処方について熟知する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 5:抗菌薬の適正処方について熟知する 事実: 抗菌薬療法の改善のためのプログラムは効果的である。 行動: 9 その施設の抗菌薬の使用方法と関連付け 質の改善の為の努力が必要である。 Schiff GD, et al: Jt Comm J Qual Improv 2001;27:387-402 http://www.cdc.gov/ncidod/eid/vol7no2/weinstein.htm 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 5:抗菌薬の適正処方について熟知する 抗菌薬の使用を改善するための方策 処方医の受動的な教育 抗菌薬処方箋の標準化 抗菌薬の処方管理 処方開始/継続時の管理者の審査 薬剤部門での処方の置換あるいは変更 多面的薬剤活用評価法 双方向性の処方医の教育 病棟毎の処方医に対するフィードバック オーダリング画面入力に対応したコンピュータによる支援 プログラム http://www.shea-online.org/pdfs/AntimicroResist97.PDF 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 6:限定した患者の耐性菌情報を活用する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 6:限定した患者の耐性菌情報を活用する 事実: 耐性菌の出現頻度は施設・患者母集団・病棟・在院期 間などにより異なる 行動: 9 限定した対象の抗菌薬感受性パターンを把握するこ と 9 患者母集団の質を把握すること http://www.nccls.org/ 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 7:汚染を治療せず感染症を治療する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 7:汚染を治療せず感染症を治療する 事実: 抗菌薬の誤投薬の主たる原因は、培養結果に報告された汚 染菌に対して実施した『治療』である 行動: 9適切な消毒処置に基づき血液をはじめとする検査材料採 取を実施する 9血液を培養し、皮膚やカテーテルの連結部位を培養の対 象としないこと 9すべての培養のための検査材料採取と培養工程において 適切な手技を実施すること http://www.cap.org/ 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 7:汚染を治療せず感染症を治療する 中心静脈カテーテル採血での血液培養陽性検体は 真の菌血症を十分に反映していない カテーテル 末梢 採血 採血 対陽性予測値 (%) 63% 73% 対陰性予測値 (%) 99% 98% •血液・腫瘍科病棟の患者での55組の培養結果による DesJardin JA, et al: Ann Intern Med 1999;131:641-7 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 7:汚染を治療せず感染症を治療する 血液培養“陽性”の解釈 真の菌血症: 可能性低い 不確定 • Corynebacterium属菌. • 炭疽菌以外の Bacillus属菌. • Propionibacterium acnes 検査前の可能性 患者危険因子 人工の医療器具装着 臨床徴候 コアグラーゼ陰性 ブドウ球菌(CNS) 検査後の可能性 陽性検体数 / 培養検体数 薬剤感受性結果の比較 遺伝子型別の比較 Kim SD, et al: Infect Control Hosp Epidemiol 2000;21:213-7 可能性高い • • • • • Staphylococcus aureus Streptococcus pneumoniae Enterobacteriaceae Pseudomonas aeruginosa Candida albicans 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 8:定着・保菌で治療せず感染症を治療する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 8:定着・保菌で治療せず感染症を治療する 事実: 抗菌薬の過剰な治療の多くは、単なる菌の定着を治療し てしまうことである 行動: 9 肺炎を治療し、気管痰を治療しない 9 菌血症を治療し、カテーテル先や輸液ラインの連結部 を治療しない 9 尿路感染症を治療し、尿路カテーテルを治療しない http://www.journals.uchicago.edu/CID/journal/issues/v26n5/my56_1042/my56_1042.web.pdf 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 9:バンコマイシンの処方制限を理解する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 9:バンコマイシンの処方制限を理解する 事実: バンコマイシンの過剰処方は緊急の課題で、耐性菌の選 択性を高め、かつ伝播を促進する 行動: 9 感染症を治療し、汚染した検査材料の検出菌や菌の定 着状態を治療しない 9 静脈内留置カテーテル挿入患者における発熱は、 ルーチンのバンコマイシン投与の適応とはならない http://www.phppo.cdc.gov/cdcRecommends/showarticle.asp?a_artid=M0039349&TopNum=50&CallPg=Adv 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 9:バンコマイシンの処方制限を理解する 黄色ブドウ球菌の薬剤耐性化の歴史とその周辺 ペニシリン 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 [1950年代] メチシリン ペニシリン耐性 ペニシリン耐性 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 [1970年代] メチシリン耐性 メチシリン耐性 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 (MRSA) バンコマイシン [1997年] バンコマイシン耐性 バンコマイシン耐性 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 (VRSA) の出現 (VRSA)の出現 バンコマイシン バンコマイシン 中間耐性 中間耐性 [2002年] 黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 [1990年代] バンコマイシン 耐性腸球菌 (VRE) (VISA) http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5126a1.htm http://www.cdc.gov/ncidod/hip/vanco/vanco.htm http://www.cdc.gov/ncidod/hip/Aresist/vre.htm 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 10:治癒したら抗菌薬投与を即刻中止する 抗菌薬を適正に使用 ステップ 10:治癒したら抗菌薬投与を即刻中止する 事実: 不必要な抗菌薬療法を中止できないでいると 過剰投薬になり、かつ耐性化に寄与する 行動: 9いつ感染症は治癒したか? 9いつ培養は陰性化し、感染症らしくなくなったか? 9いつ感染症であるとは診断できなくなったか? 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 11:患者を隔離する 伝播を防止 ステップ 11:患者を隔離する 事実: 患者から患者への病原菌の伝播は予防可能である. 行動: 9 標準予防策の徹底 9 感染経路別予防策(空気/飛沫/接触感染予防策)の徹底 9 施設内伝播の疑われる際には、感染管理の専門家に相談する http://content.nejm.org/cgi/content/short/344/19/1427 http://www.cdc.gov/ncidod/hip/Guide/guide.htm 耐性菌防止のための12ステップ(成人入院患者) ステップ 12:医療従事者からの汚染伝播を断つ(手指衛生の励行) 伝播を防止 ステップ 12:医療従事者からの汚染伝播を断つ (手指衛生の励行) 事実:医療従事者は抗菌薬耐性菌を 患者から患者に伝播しうる 行動: 9 病気の時は自宅加療をする 9 自らの接触感染を封じ込めること 9 手指衛生を確実に保つ http://www.cdc.gov/ncidod/hip/GUIDE/infectcont98.htm http://www.cdc.gov/ncidod/dhqp/index.html 注意・免責事項 [提供] 本プレゼンテーション資料は米国疾病管理予防センター(CDC)の作成した資料 (http://www.cdc.gov/drugresistance/healthcare/ha/HASlideSet.ppt) の一部を横浜市立大学医学 部附属病院 臨床検査部 満田年宏准教授により監訳されたものを大日本住友製薬株式会社 が医療従事者(個人対象)に提供するものです。 [出典] http://www.cdc.gov/drugresistance/healthcare/ha/HASlideSet.ppt [監訳] 横浜市立大学医学部附属病院 [免責事項] (1)本プレゼンテーション資料は原文に沿って可能な限り忠実に訳していますが、学会の特定 の審査機構(委員会など)を経ている資料ではありません。スライドセットの内容に関して は原文と対比戴き、自己責任でご使用下さい。記載内容の瑕疵に関して、監訳者ならびに大 日本住友製薬株式会社は一切の責務を負いません。 臨床検査部准教授 満田年宏 (2)本資料や関連のホームページの内容を引用したり誌面で使用する場合は、事前に大日本住 友製薬株式会社ならびに監訳者に掲載(転記)の許可を戴く必要が御座います。施設内での 教育用にご活用戴く場合、特別な許諾は必要御座いません。また、本資料の原文につきまし ては、版元のCDCが著作権フリーを表明しております。 (3)本資料は米国の感染症管理・診断・治療指針をもとに作成されています。わが国における 各種抗菌薬の保健適応基準・用量・用法について熟知した上で適正な処方をして下さい。
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