演習の解答

計測工学(第 11 回:演習) 担当:沖 俊任 平成20年6月23日
I) 入力インピーダンス 5[kΩ] 、増幅度-10 倍の逆相アンプをオペアンプを用いて設計せよ。また、回路図も示せ。
増幅度 -10 より、右図の逆相アンプでは
−
R2
= −10
R1
R2
−
である。また、R1 =5[kΩ] より、R2 = 50[kΩ] を得る。
R1
+
逆相アンプ
II) 増幅度-5 倍の逆相アンプをオペアンプを用いて設計せよ。また、その回路図も示せ。ただし、入力の大きさの最大は 20[V] であり、こ
のときに抵抗に流れる電流の大きさの最大値を 1[mA] としたい。
入力の大きさの最大は 20[V] であり、このときに抵抗に流れる電流の大きさが最大値を 1[mA] と
なることから、
R2
10[V]
R1 =
= 20[kΩ]
1[mA]
−
R1
また、増幅度 -5 より、右図の逆相アンプでは
−
+
R2
= −5
R1
である。よって、R2 = 100[kΩ] を得る。
逆相アンプ
III) 増幅度 10 倍の同相アンプをオペアンプを用いて設計せよ。ただし、入力の大きさの最大は 10[V] であり、このときに抵抗に流れる電流
の大きさの最大値を 0.1[mA] としたい。
増幅度 10 倍で入力の大きさの最大は 10[V] より出力の最大は 100[V] となる。このときに抵抗に流
+
れる電流の大きさが最大値を 0.1[mA] となることから、右図の同相アンプでは
100[V]
= 0.1 × 10−3 [A]
(R1 + R2 )[Ω]
R1
−
R2
より
R1 + R2 = 1 × 106 [Ω] = 1[MΩ]
である。また、増幅度 10 より、
R1 + R2
= 10
R1
同相アンプ
である。よって、R1 = 0.1[MΩ] 、R2 = 0.9[MΩ] を得る。
IV) 出力インピーダンスが 100[kΩ] のセンサがある。これを 1) の逆相アンプで増幅するためにはどのような工夫が必要か
センサの出力インピーダンスが逆相アンプの入力インピーダンスに比べて高いため、センサ出力と逆相アンプの間に電圧ホロワ回路を用
いる
V) 次式を実現する差動アンプを設計せよ。ただし、Vi2 は 5[V] で一定、R1 = R3 = 1[kΩ] とする。各記号は教科書 p.61 図 4.5 に同じとする。
Vo = −10Vi1 + 5
差動アンプの出力は、オペアンプのバーチャルショート部の電位を Va [V] とすると、
V0 = −
R2
R1 + R2
Vi1 +
Va
R1
R1
R2
R1
であり、問題より、
R2
−
= −10
R1
,
R1 + R2
ea = 5 ,
R1
Vi1
R1 = 1[kΩ]
より、R2 = 10[kΩ] 、ea = 5/11[V] とすればよい。また、
Va =
R4
Vi2
R3 + R4
であり、問題より、Vi2 は 5[V]、R3 = 1[kΩ] から、
R4 =
R3 ea
1[kΩ] × 5/11[V]
5
=
=
[kΩ] = 0.1[kΩ] = 100[Ω]
e2 − ea
5[V] − 5/11[V]
55
を得る。以上より、R2 = 10[kΩ] 、R4 = 100[Ω] 。
−
R3
Va
+
Vi2
R4
差動アンプ
Vo
L
VI) 図1のようにひずみゲージを用いて梁にかかる荷重 W [N] を計測することを考え
る。梁の縦弾性係数(ヤング率)E は 206 [GPa] 、b=10[mm] 、h=5[mm] 、L=200[mm]
とする。このとき、ひずみゲージ接着箇所のひずみ ε は次式で表される。
ε=
h
b
ひずみゲージ
6L
W
Ebh2
ひずみゲージのゲージファクタは K=2.0 で温度によるひずみゲージの抵抗値変化は
(a):ひずみゲージの取り付け方
無視できるとする。ホイートストンブリッジの電源電圧は V =10[V] とし、無負荷時
e=
V
1
KεV
4
R
(a) 各パラメータに値を代入し、e/W を有効数字 3 桁で示せ。単位を忘れないよ
うに。
e
= 1.17 × 10−4
W
R
ひずみ
ゲージ
のひずみゲージの抵抗値とそれ以外の 3 つの抵抗の抵抗値は同じで 100[Ω] とする。
このとき、ホイートストンブリッジの出力電圧 e は次式で与えられる。
W
R
e
[V/N]
(b):ホイートストンブリッジ
図1:荷重の測定(1ゲージ法)
(b) e は非常に小さいので、オペアンプで増幅することを考える。同相アンプ、逆相アンプ、差動アンプのうち、どのを用いればよいか。
ホイートストンブリッジの出力は 2 つの端子間の電位差なので、これを増幅できるのは差動アンプ。
(c) W = 0 ∼ 100[N] をオペアンプの出力 Vo = 0 ∼ 10[V] に対応させ、電圧計の指示から荷重がわかるようにしたい。Vo を W の関数とし
て表せ。
Vo = 0.1W
[V]
(d) ホイートストンブリッジの出力を差動アンプで増幅するとき、差動アンプがホイートストンブリッジの出力電圧に影響を与えないよう
にするのが望ましい。このためには、ホイートストンブリッジの出力と差動アンプの 2 つの入力それぞれの間になにを入れればよいか。
電圧ホロワ回路
(e) 計算機に差動アンプの出力を取り込むために AD 変換器を用いる。AD 変換器の測定可能範囲が 0 ∼ 10[V] のとき、分解能を少なくとも
0.1[V] にするためには、変換後のデジタル量として何ビットが必要か。
10
< 0.1
−1
2n
[V]
を満たす最小のビット数 n は n = 7 である。よって、7 ビット必要。
VII) VI) の荷重が時刻 t と共に
W = 30 cos(0.1t) + 50
で変化することがわかっている。このとき、Vo を調べると、
Vo = 3 cos(0.1t) + n(t)
となっていた。ここで、n(t) は電気的ノイズで、周波数は高い。
(a) n(t) を除去するために図2のような特性のフィルタを用い
ることにした。これは、LPF、HPF、BPF、BEF のどれか。
LPF
(b) エイリアジングを考慮するとき、このフィルタのカットオフ周波数はいくらにすべきか。
対象となる角周波数が 0.1[rad/sec] なので、カットオフ周波数も 0.1[rad/sec] より大きくする。0.1[rad/sec] がフラットレベルが望ましい
が、n(t) は十分減衰するようにカットオフ周波数を選ぶ。
(c) ノイズの成分のうち、20[Hz] の信号はフィルタを通過すると何倍になっているか。
入力信号に対する出力信号の倍率を K とすると、グラフより 20[Hz] の信号は-26[dB] なので、
K=
より、K = 10−26/20 ≈ 0.05 倍を得る。
出力信号の振幅
、
入力信号の振幅
− 26 = 20 log10 |K| [dB]