高圧化学工業株式会社

 高圧化学工業株式会社
2007年度(2007年4月~2008年3月)
環 境 活 動 レ ポ ー ト
発行日 2008年4月21日
高圧化学工業株式会社 環境活動レポート
1.事業の概要
①事業者名及び代表者名
高圧化学工業株式会社
取締役社長 河村 敏嗣
②所在地
大阪府大阪市大正区鶴町五丁目1番12号
③環境管理責任者及び連絡先
責任者 品質環境保安部 マネージャー 糸井 泰
連絡先 TEL 06-6552-0151 FAX 06-6551-0019
電子メール [email protected]
④事業内容
化学薬品の製造、販売
化学薬品の受託製造
⑤事業規模
従業員数 63名 (2008年4月2日現在)
建設部事務所延べ床面積 3951m2
⑥本レポートの対象組織と活動内容
対象組織 高圧化学工業株式会社(住所:大阪府大阪市大正区鶴町五丁目1番12号)
活動内容:化学薬品の製造、販売、及び化学薬品の受託製造
2.環境方針
・基本理念
原料調達から廃棄物処理に至るすべての事業活動において、責任ある企業
として地球環境と調和する自主的かつ継続的な環境保全に取り組みます。
・エコアクション21環境方針
1.環境に関する法律、規制および規範などを遵守します
2.生産活動で発生する大気汚染、水質汚染、悪臭、および、振動・
騒音の軽減に取り組みます
3.生産活動で発生する廃溶剤などの廃棄物の削減に取り組みます
4.加熱源のエネルギーの効率化に取り組みます
5.生産活動で使用する溶剤、用水、用紙などの省資源に取り組みます
2007年4月2日 制定
取締役社長
河村 敏嗣
3.環境活動推進体制
①組織図
統括環境保安責任者
環境管理責任者
統括環境保安実施責任者
環境保安委員会
環境委員会
製造課
品質管理課
総務課
品質環境保安部
②役割と責任
①
統括環境保安責任者(社長)
当社のエコアクション21の最高責任者
②
統括環境保安実施責任者(生産部長)
環境運用管理及び緊急事態への準備及び対応に関する統括実施責任者
③ 環境管理責任者(品質環境保安部マネージャー)
エコアクション21の確立、維持管理の責任者
環境活動計画、教育・訓練、不適合等の処置、是正及び予防処置の統括・推進
④
環境保安委員会
環境、保安の年度活動の取りまとめを行う。委員の役割は環境保安委員会規定に記載。
⑤
環境委員会
環境活動に関する内部コミュニケーションを行う。委員の役割は環境委員会規定に記載。
⑥
品質環境保安部
エコアクション21の維持管理の補助、環境保安委員会、環境委員会の事務局
⑦
製造課
製造、設備管理等に関する計画、運用管理及び緊急事態への対応の実施
⑧
総務部(課)
廃棄物、化学物質、グリーン購入等に関する計画、運用管理及び緊急事態への対応の実施
⑨
品質管理課
環境測定等に関する計画、運用管理、緊急事態への対応
4.環境目標値とその実績値
①定量面
取組項目(目標値)
単位
2005年度
2006年度
2007年度
2007年度
2007年度
2008年度
2010年度
実績値
基準値
目標値
実績値
達成率
目標値
目標値
省エネルギー照明への転換
(省電力量)
kWh
0
0
500
735
147.00%
1500
3000
廃溶剤のボイラー混焼
(廃溶剤の燃料化量)
キロリットル
39
107
130
137
105.38%
130
130
溶剤再利用
(溶剤の再利用量)
トン
274
320
400
406
101.50%
410
430
溶剤の有料売却
(溶剤の有料売却量)
トン
0
0
20
50
250.00%
60
100
工程洗浄水の削減
(洗浄水の削減量)
トン
0
0
2
2.25
112.50%
100
200
グリーン購入の推進(文房具
のエコ製品購入額)
円
313,973
595,739
1,000,000
1,867,202
186.72%
1,500,000
3,000,000
2007年度
実績値
2007年度
達成状況
②定性面
取組項目
大気汚染防止の監視
水質汚濁防止の監視
悪臭発生の監視
2007年度目標値
窒素酸化物濃度
(規制値:180ppm)
ダスト濃度
(規制値:0.3g/Nm3)
*自社規制値
COD (2600ppm以下)
BOD (2600ppm以下)
浮遊物質 (2600ppm以下)
n-ヘキサン抽出物
(2600ppm以下)
*自社規制値
トルエン (10ppm以下)
キシレン (10ppm以下)
*自社規制値
47ppm
達成
0.004g/Nm3
達成
26ppm
151ppm
12ppm
3ppm
達成
達成
達成
達成
0ppm
0ppm
達成
達成
2008年度目標値
2010年度目標値
窒素酸化物濃度
(規制値:180ppm)
ダスト濃度
(規制値:0.3g/Nm3)
窒素酸化物濃度
(規制値:180ppm)
ダスト濃度
(規制値:0.3g/Nm3)
*自社規制値
COD (2600ppm以下)
BOD (2600ppm以下)
浮遊物質 (2600ppm以下)
n-ヘキサン抽出物
(2600ppm以下)
*自社規制値
*自社規制値
COD (2600ppm以下)
BOD (2600ppm以下)
浮遊物質 (2600ppm以下)
n-ヘキサン抽出物
(2600ppm以下)
*自社規制値
トルエン (10ppm以下) トルエン (10ppm以下)
キシレン (10ppm以下) キシレン (10ppm以下)
*自社規制値
*自社規制値
5.主要環境負荷の実績値(CO2総排出量、廃棄物総排出量、総排水量)
項目
単位
CO2総排出量
kg-CO2
廃棄物総排出量
トン
1,397
1,965
1,882
総排水量
m3
49317
59183
54771
2005年度
2006年度
2007年度
2,738,160 2,932,521 2,636,781
6.主な環境活動計画内容と評価
取 組
電力CO2排出量の削減
【目標】
2007年度は対2006年度500kWh削減する。
【目標達成手段】
・事務所照明設備の省エネルギータイプへの交換
評 価
事務所照明設備の省エネルギータイプへの交換は8月に
完了した。
パソコンディスプレイは2005年度にすべて液晶タイプに
買い替え、新規購入は液晶タイプを継続中。
2010年までに事務所、品質管理棟、工場非防爆照明の
省エネルギー品への交換を推進する。
《評価 ○》
省資源 1
【目標】
加熱源エネルギーの効率化として
廃溶剤130キロリットルのボイラー混焼による燃料利用
【目標達成手段】
・廃溶剤を2台のガス混焼ボイラーで燃料として使用
ガス混焼ボイラーの稼働率は、受注による生産計画により
変動するが、年間生産計画による最大稼動率より算出した
燃料使用量は130キロリットルであり、実績は137キロリットル
と、ほぼ理論量の燃料化を達成できた。
2010年にも、最大稼働率より算出した燃料使用を行う。
《評価 ○》
省資源 2
【目標】
溶剤再利用量を2005年度320トンに対し
2007年度400トン
【目標達成手段】
・特定製品製造工程の溶剤再使用率を100%とする
再利用を実施
省資源 3
【目標】
廃溶剤の有料売却を20トン達成する
【目標達成手段】
・廃溶剤再生業者と交渉し、当社の廃溶剤で販売
できるものを売却し、リサイクルさせる
委託元の研究検討の成果により、特定製品製造工程に
おいて100%の条件で再利用が可能となり、再利用を
推進した。
実績は406トンとほぼ100%の再利用を達成できた。
2010年にも、定量数量は生産量より上下するが、100%の
再利用率を達成する。
《評価 ○》
これまで、工程より発生する廃溶剤は、顧客との秘密保持の
面よりすべて廃棄していたが、顧客との交渉により売却可能な
ものがあることが判明した。売却可能なものに対して廃溶剤
再生業者と交渉し、売却した。年間製造計画の変更により
20トンの売却目標に対して50トンの売却が達成できた。
2010年は、売却可能な廃溶剤量は受託数量にも左右
されるが、目標100トンとする。
《評価 ◎》
水道水使用量の削減
【目標】
特定製品製造工程に使用する洗浄水道水の量を
半分にする。
試作にて、4トンから2トンに減らし2トンの節水を行う。
特定製品製造工程に使用する洗浄水道水の量を半分にする
顧客研究部門での検討を行い、使用水道水量を4トンから
2トンにとなる試作を行った。試作品の評価が合格であり、
最終顧客の承認が降り次第、節水処方にて製造を実施する。
【目標達成手段】
2010年には、すべての最終顧客の承認を受け、100%節水
特定製品製造工程に使用する洗浄水道水の量を
処方での製造を行い、200トンの節水を目指す。
半分にする顧客研究部門での検討により節水処方の
確立を行い、節水処方での試作を行う。
《評価 ○》
環境監視
【目標】
大気、水質、悪臭についてすべて自主管理値内であった。
大気、水質、悪臭について法的設備はないが
自主管理値を決め、監視測定し、環境保全に努める。
【目標達成手段】
2010年までに自主基準値をさらに見直し、本監視・測定を
大気、水質、悪臭について自主管理値を決め、監視・ 継続する。
測定を行う。
《評価 ○》
6.主な環境活動計画内容と評価
取 組
評 価
用紙の節減を考慮したグリーン購入の推進
【目標】
エコカタログ記載品は高い確率で購買されたがエコカタログ
文房具購入をエコカタログ記載品100%とする
に収載のない文房具とか、社員の指定がある文房具に
グリーン購入を行う。2007年度は購入金額100万円 関しては、エコカタログ以外のものを購入した。
を目標とした。用紙は再生紙を購入する。
なお、用紙は、再生紙を指定して購入した。
【目標達成手段】
文房具エコカタログにて発注、購入する。
2010年までには、文房具以外のものに拡張し、グリーン購入
額300万円を目指す。
《評価 △》
評価基準 ◎→よく出来た ○→出来た △→やや出来た ×→出来なかった
7.環境関連法規制等の遵守状況
法的義務を受ける主な環境関連法規制は次の通りである。
法規制名
大気汚染防止法
水質汚濁防止法(大阪市排水処理設備設置基準)
悪臭防止法
振動規制法
騒音規制法
地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化
防止条例)
エネルギー使用の合理化に関する法律
特定製品のかかるフロン類の回収及び破壊の実施
の確保に関する法律
特定有害廃棄物の輸出入等の規制に関する法律
特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律
廃棄物の処理及び清掃に関する法律
大阪市廃棄物の減量推進及び適正処理並びに生
活環境の清潔保持に関する条例
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関
する特別措置法
ダイオキシン類対策特別措置法
特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理
の改善の促進に関する法律
化学物質の審査及び製造の規制に関する法律
消防法
高圧ガス保安法
毒物劇物取締法
該当内容
該当設備なし 自主基準測定
pH、COD、BOD、SS、n-ヘキサン抽出物の監視
悪臭発生の可能性のある製品の監視、臭気測定
法令振動機器(コンプレッサー)の管理
該当なし
CO2削減計画、実施
第2種エネルギー管理工場 省エネ報告書
フロン排出抑制、適正回収
特定有害廃棄物発生時の適正処理
特定物質製造の際の許可
MSDSへの記載
マニフェストの適正処理
交付状況報告、特管産廃削減計画、実施
PCBの適正保管
特定施設設置時の許可
排出量の把握、報告
新規化学物質の届出
予防規程の作成、実施
予防規程の作成、実施 定期保全
毒物、劇物の保管、管理
環境関連法規制等の遵守状況の定期評価の結果、環境法規制等の逸脱はなかった。
また、過去3年間にわたって違反や訴訟もなかった。
8.代表者のコメント
当社は、製品製造工程が顧客認定を受けており当社判断での工程変更による省エネルギーが
実施できないことより、エネルギー使用の大半を占めるファイン系製品製造での省エネルギー
達成は難しい。この環境下、CO2の削減、廃棄物削減、節水を盛り込んだ環境活動を実施して
おり環境目標、環境活動は適切と考える。
2007年度は、エコアクション21システムを構築し、ようやく形になってきたところと
いえる。環境の負荷に対する自己チェック、環境への取り組みの自己チェック結果をみても、
これから改善していくところが多い。
システムの有効性はこれから高めていくことが必要である。
9.今後の活動の進め方
当社では、100%の製造処方が、顧客の研究部門により研究開発される。また、顧客より製造処方の
開示があったものは、顧客が最終顧客と話し合いされ、製造処方がFix(固定化)された後のもので
ある。それゆえ、当社で、排出抑制、再使用及び再利用の研究開発を行い製造処方を変更することは
不可能であり、また処方がFix(固定化)されているが故にわずかな処方の「振れ」さえ、受委託契約
違反となり、損害賠償を請求される事態となる。よって、これら排出抑制、再使用及び再利用は、
顧客研究によってなされない限り、実施することができない。
当社のこのような制約により、これまで、環境マネジメントの本当の意味での運用は無理であるとの
社内結論に達していたが、主たる企業活動である製品製造の面以外のユーティリティ、環境負荷の
監視、グリーン購入等で環境負荷削減を目指すシステムを構築し運用していくものである。
今後は、顧客の研究部門に排出抑制、再使用及び再利用の観点からの初回処方の確立をお願い
すると共に、現行製造処方の見直しの可能性についても探っていくことをお願いし、本来の意味での
環境負荷削減に取り組めるよう努力を重ねていきたいと考えている。