トマト黄化葉巻病、キュウリ黄化えそ病、キュウリ黄化症の 防除対策の

佐農技防第010030号
平成19年4月18日
各関係機関長
様
佐賀県農業技術防除センター所長
病害虫対策資料について
このことについて、次のとおり第1号を作成しましたので、送付します。
病害虫対策資料第1号
トマト黄化葉巻病、キュウリ黄化えそ病、キュウリ黄化症の
防除対策の徹底について
近年、トマト黄化葉巻病やキュウリ黄化えそ病などのウイルス病の発生が拡大し、その
被害が問題となっています。
これらのウイルス病を媒介するコナジラミ類やアザミウマ類は、現在栽培中の施設から
野外へ飛散すると、次作における病害の主要な伝染源となります(図)。ウイルス病の伝
染環を断ち切るためには、媒介虫が増殖するこの時期の防除対策が極めて重要です。
また、キュウリにおいては、近年、黄化症の発生が問題となっており、タバココナジラ
ミバイオタイプQの関与が示唆されています。従って、アザミウマ類だけでなく、タバココ
ナジラミの防除を徹底する必要があります。
つきましては、下記事項を参考にし、防除対策を徹底してください。
記
○ トマト黄化葉巻病(媒介虫:コナジラミ類)
○ キュウリ黄化えそ病(媒介虫:アザミウマ類)
○ キュウリ黄化症(タバココナジラミバイオタイプQが関与)
これらの媒介虫は、例年、4月以降の気温の上昇に伴い増加する。
1. 防除対策
(1) ハウス内の媒介虫の徹底防除
・発生を確認したら、薬剤防除を実施する。防除にあたっては、薬剤感受性の低下を防
ぐため、同じ系統の薬剤を連用しない。また、各種薬剤は適正濃度や使用時期、使用
回数等を厳守し、正しく使用する 。
・株全体に薬剤がかかるように摘葉を行い、葉裏を含め、薬剤を丁寧に散布する。
(2) 媒介虫の野外への飛散防止
・施設開口部を1.0mm以下(0.4mm以下が望ましい)の防虫ネット等で被覆し、媒介虫の
野外への飛散を防止する。
(3) 罹病株の除去
・圃場内の罹病株は伝染源となるため、抜き取り、埋没するなど適切に処分する。
(4) 農作物栽培圃場及びその周辺の雑草除去
・媒介虫の生息・増殖源となる圃場内外の雑草を除去する。
・本病ウイルスが感染する可能性のある野草(ノゲシやウシハコベ等)は必ず除去する。
(5) ハウスの密閉処理(別紙参照)
・栽培終了後は、一週間以上のハウスの密閉処理(蒸込み)を必ず行い、施設内に残った
媒介虫や罹病株を確実に死滅させる。
(6) 詳細な防除対策については、 「平成18年度病害虫防除のてびき」(コナジラミ類;107
∼111頁、アザミウマ類;114∼116頁)を参照する。
2. 地域ぐるみの防除活動
(1) 上記の防除対策は地域全体で行うことが重要である。
(2) コナジラミ類やアザミウマ類はトマトやキュウリ以外の他の野菜類でも増殖するため、
家庭菜園等を含む他作物についても、一体となって薬剤防除や開口部のネット被覆、
栽培終了時の密閉処理等の対策を徹底する。
(3) なお、家庭菜園等におけるウイルス病罹病株の除去についても協力を呼びかけている
ことから、生産者自らが媒介虫の防除対策を徹底する必要がある。
図 トマト栽培におけるタバココナジラミ類の消長(長崎県総合農林
試験場小川氏のスライドを一部改変)
平成18年5月29日から、食品衛生法に基づく農薬等の残留基準について、ポジティブリ
スト制度が始まりました。
農薬の散布に当たっては、容器に表示してある適用作物、希釈倍率、使用時期、使用
回数等を正しく守って使用するとともに、これまで以上に、周辺作物への飛散(ドリフ
ト)防止に努めましょう。
トマト施設におけるハウスの密閉処理(蒸込み)の手引き
∼熊本県における防除方法の紹介
熊本県では、ハウス内のタバココナジラミ類を死滅させるための残渣処理として、次のよ
うな対策を実施・推進しています。今後の防除対策に参考下さい。
ポイント
○ハウスを密閉する際、トマトを株元から切って、高温でトマトの茎葉を枯らす。
○トマトの茎葉を十分に乾燥させると、トラクターのローターに茎葉が巻き付かずに残渣
処理ができる。
手順
1. 収穫したトマトの株元を鎌などで切断する。
2. ハウス内の雑草に除草剤を散布する。
3. ハウス密閉による高温から保護するため、ハウス内の暖房機の基盤、配電盤棟を断熱材
や毛布などで包み込む。
4. ハウスを密閉し、蒸込みを開始する。
・密閉期間の目安として、晴天が続いた場合は5日程度、曇雨天が続いた場合は7日以上行
う
・手でトマトの茎がパキッと折れる状態を必ず確認する
5. ハウスサイド、谷部を解放し、誘引テープ、マルチ、支柱などを片付け、トマトの茎葉
を倒す。
6. トラクターで鋤きこむ
・午前中はトマトの茎葉に水分が戻っていることがあるので、鋤きこみは午後から行うよ
うにする
コナジラミ類を野外に出さないことは次作のために非常に重要です。
ハウスの密閉処理を必ず実施しましょう。