活用状況の調査結果(12.4KB) - 明治安田こころの健康財団

2009年4月7日
財団法人 明治安田こころの健康財団
「警察版コミュニケーション支援ボード」の活用状況について
明治安田こころの健康財団及び明治安田生命保険相互会社は、
「警察版コミュニケーション
支援ボード」を、2008年6月末より10月頃にかけて全国の警察本部に贈呈した。当該
ボードは、全ての交番(机やカウンターのうえ等)やパトカー(書類ケース、ダッシュボー
ド、ドアポケット等)等に配置、活用されている。
その活用状況について、警察庁に依頼して調査(警察庁においては、警視庁、京都府警察
を除く道府県警察を対象に、2008年11月末までの活用状況を調査)した結果は、以下
のとおりであった。
1.
利用の対象者内訳について
総件数は、約1,200件で、障害者(知的障害・聴覚障害・身体障害)が約20%、
外国人が約70%、高齢者が約6%、幼児が約2%、病人と怪我人が約1%であった。
2.
利用種別について
主な事例約300件についての利用種別の主なものは、道案内が約40%、遺失物が約
25%,迷子が約6%、災害にあったが約5%、交通事故が約4%、病人・怪我人が約3%
等であった。
3.
主な事例から
1)障害者の活用事例
聴覚障害のある人が利用の半数以上を占め、道案内、遺失物、被害にあった、交通
事故など利用の種類も多様であった。交番への来所の理由を含め支援ボードと筆談を
交えることで迅速な用件の把握と対応に役立っている。
また、知的障害や自閉症の人たちでは、迷子になったりして保護されたときにコミ
ュニケーション支援ボードを用いると、
「のみたい」
「電話してほしい」
「学校」などを
指したり、反対に絵を示して名前や電話番号を書いて教えてくれることにより、家族
や学校への早期の連絡につながっている。
<事例>
・うずくまっている人を発見し声をかけたところ聴覚障害者であった。支援ボードを
見せたところ、お腹を押さえて「すごくいたい」を指さしたので、迅速に救急車を
要請することができた。
・挙動不審な人に職務質問したところ、困惑したような様子をみせオロオロするばか
り、パトカーの支援ボードを見せたら「まいごになった」を指さし、その後落ち着
いた対応ができた。
・保護されてきた子どもに、机上の支援ボードを見せると「のみたい」を指さす。水
を与えると一気に飲み干し喉がすごく乾いていた様子。
・バス停のベンチに座ったままの小学生に、声をかけたが応答がないので交番に連れ
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てきて「電話は?」の絵を指さすと、ポケットから電話番号記載のメモを取り出し
たので家族と連絡を取ることができた。
2)
外国人の活用事例
人数の上でも、また利用の種類においても多くの事例が挙がっている。道案内では、
電車の乗場、バスの路線、公衆電話(国際電話)
、銀行、郵便局、役所など多数におよ
ぶとともに、利用者より「すばらしいアイディアであり、帰ったら自国の人たちに伝
えたい」との感想もあった。取られたのか落としたのか、どんなものか、どんな色か、
あるいはお金の種類や金額など、遺失届けや被害届けの受理に役立っている。また、
交通事故の場合に、支援ボードを活用し迅速な対応ができたケースが少なくない。
<事例>
・外国語で訴える旅行者に、支援ボードを使うことによって「電車の中で携帯電話の
入ったかばんを失くした」ことが判明し、無事帰国前に返還することができた。
・子ども連れの女性が興奮しながら交番に来所した。支援ボードを示すと病院の絵を
指さしたので、地理案内をすると喜んで立ち去った。
3)
高齢者の活用事例
難聴の高齢者にコミュニケーション支援ボードを指さすことで、来所目的や被害状
況の把握が容易になったり、徘徊して保護された高齢者とのコミュニケーションに効
果をあげている。
<事例>
・転んで怪我をした高齢者の話す言葉が不明瞭で理解できなかったが、
「名前は」の絵
を示すと紙に書くことができた。また、支援ボードの「まいごになった」を指さし
家族に連絡を取ることができた。
4)
幼児の活用事例
幼児の迷子の場合、何も答えなかったり、泣いている場合が多いが、コミュニケー
ション支援ボードを使うと、指さしやうなずきで意思の確認ができ、その後名前を話
してくれることにつながっている。また、交番に来所した幼稚園児の来所目的が判然
としない場合にも支援ボードは有効利用できた。
<事例>
・保護した迷子が何も応えないので、支援ボードの○×を使ってコミュニケーション
をとった。後に「名前は」を指さしたら名前と幼稚園名を答えてくれて、無事保護
者と連絡が取れた。
5)
病人・怪我人の活用事例
当事者が話しができない状態であるとき、交通事故なのかどうか、また、単独事故
なのか、ひき逃げの被害者なのかなど、必要な事情聴取ができ速やかな初期対応につ
なげられている。また、病気や怪我の人で会話ができないときにも、痛さの程度等の
状況が確認でき病院への搬送など迅速な対処に結びついている。
<事例>
・道路に人が倒れているとの通報で駆けつけたが、当事者は話ができない状態であ
った。怪我への対応をしながら支援ボードを示したところ、交通事故で負傷してい
ることがわかった。
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