第2特集・ユーザー事例にみるシステム連携研究 濃飛倉庫運輸 株式会社 iEDIPACKを採用し、 EDIニーズの多様化・高度化に対応 ポイント ● メールやFTPを利用する新しいEDIニーズの台頭 ● 既存ツールの管理機能面での問題が浮上 ● 流通BMSや次世代EDIを見据えてツールを選択 創業:1916年 本社:岐阜県岐阜市 資本金:4億9680万円 売上高:260億円 従業員数:1064名 http://www.nohhi.co.jp/ 会社概要 に欠かせない要素になっているが、同 と情報システム部副部長の堀文則氏 EDIにメールを利用する ニーズの広がり 社においても約 20 年前から利用が始 は説明する。FTP に関しても同様の問 まり、顧客との取引の基盤として定着 題があったようだ。また、 「将来的な不 岐阜県岐阜市に本社を置く中堅の物 してきた。 安」についても、堀氏は次のように言 流企業、濃飛倉庫運輸では、今、EDI この EDI 分野で、 「数年前から新し 葉を続ける。 (Electronic Data Inter change:電 い動きが顕著になってきています」と 「さまざまな企業と取引を行い、荷 子商取引)のインフラを変更する一大 情報システム部の亀山耕史部長は次 主企業の EDI ニーズに応えていくこと プロジェクトを進めている。 のように言う。 を 考 慮 す る と、流 通 BMS や 次 世 代 1980 年代に始まった日本の EDI は、 「数年前から、メールを使ってやり取 EDI にも対応していく必要があると考 大企業では 80%以上、中堅・中小企 りしたいというお客様が急激に増えて えていました。従 来 のツール、XML 業では 60%以上の普及率に達し(電 きました。特に、入出庫や請求・集荷・ ベースの流通業向け EDI 共通規格で 子商取引推進センター調査)ビジネス 運賃照会などに対するニーズが大き ある ebXML-MS に対応していないの く、さまざまなご要望をいただくよう で、将来的な不安がありました」 になりました。また、FTP を利用した そこで、現行システムに代わるもの いというご要望も年々多くなってきて を検討することにしたが、 「メールや います」 FTP に対応する仕組みを個別に開発 20年来利用してきた 既存ツールの問題点 亀山耕史氏 情報システム部 部長 堀 文則氏 情報システム部 副部長 66 2008 No.8 するよりも、パッケージで一括対応で きるものの方がよい」 「既存のレガシー プ ロトコ ル や メ ー ル、FTP、次 世 代 ところが、同社が利用してきたツー EDI などを統合的に管理・運営できる ル (Toolbox for System i5) では、メー システムが必要」と考え、ツールを探 ルと FTP を EDI 用ツールとして利用 すことにした。 するための運用管理機能を備えていな その結果、選択したのがエヌアイ いという問題があった。 シー・インフォトレードの「iEDIPA 「メールについては、ノーツおよび CK」である。System i 上での稼働が System i5 上にシステムを開発してい 選 定 条 件の 1 つであったが、実 績と ましたが、データの送受信の履歴や相 ユーザーの利用状況を調べ、 「柔軟性、 手先に確実に届いたかの確認ができ 信頼性、安定性と管理のしやすさを評 ず、運用・管理面で問題がありました」 価しました」と堀氏は語る。 半年をかけて 80%の移行を完了 れ の問題で、ごく短期間に解消され 今回の EDI システムの移行につい ていくと思います」 (堀氏) て亀山氏は、 「最近は、お客様の EDI 今回の移行は、今年 12 月に実施す ニーズが多様かつ高度になってきて 今年 4 月から iEDIPACK への移行作 る基幹サーバー(System i)の老朽化 います。また、メールや FTP などの 業を開始した。対象となるファイル数 に伴う入れ替えと並行して進めてき 利用も今後さらに増えていくと見て は約 500。この 1 つ 1 つが個々の顧客 た。2 台の入れ替えを行う予定で、1 台 います。そうした中で、お客様の弊社 との EDI システムであり、その1つ1 はモデル 825 から 550 へ、もう 1 台は への期待は、EDI ニーズへの柔軟な つを移行していく「時間と根気のいる モデル 810 から 550 への移行である。 対応です。iEDIPACK によって、そう 作業」である。 iEDIPACK はこれらとは別のモデル したお客様の期待やご要望に柔軟に 「 利 用 し て い る プ ロ ト コ ル も、JC 515 上に配置されている。また、さら お応えしていけると考えています」 A、全銀、全銀 TCP/IP といったレガ に別の System i を System xへリプ と語る。 シープロトコルからメール、FTP と レースする予定で、今回の移行と合わ システム部員のうち 8 名を投入した さ ま ざ ま で、そ れ に 加 え て 通 信 ス せて、同社のシステム基盤が大幅に拡 今回の一大移行プロジェクトは、今年 ピードもまちまちです。さらに、新シ 充される。 末に完了する予定である。 ステムでは中間に EDI サーバー(iEDI PACK)が入るので基幹システム側の 変更も必要になります。JCA、全銀、 濃飛倉庫運輸 全銀 TCP/IP などの業界標準プロト 顧客 レガシー通信 (JCA、全銀) コルであれば設定さえ間違えなけれ ば大きな問題はありませんが、関係 System i 825 する要素が多いため、それら 1 つ1 基幹システム つを確認しながら進める必要があり ます」と、堀氏は言う。 公衆回線 サーバー メー ル送 信 顧客 作業は、 「一次局親」と「二次局子」 にそれぞれ分けて実施する。 「一次局 サーバー 親」というのは、顧客から濃飛倉庫運 輸への電話による送信。 「二次局子」は 濃飛倉庫運輸から顧客への電話によ る送信である。 「一次局親」の場合、例 えば 1 つの電話回線に 8 社がつながっ インターネット ノーツ 図表1 メール受信 PC iEDIPACK導入前 ていると、8 社の切り替えを同時に行 う必要がある。スピードと正確さが求 顧客 濃飛倉庫運輸 められる作業である。 4 月からの約半年間で、80%の移行 公衆回線 System i 825 を完了させた。残り 20%がまだ旧シス テムである。 基幹システム 移行した iEDIPACK ベースのシステ サーバー レガシー通信 (JCA、全銀) 顧客 全通信情報 ムでは、Web ブラウザが管理画面のイ ンターフェースになる。 サーバー 「従来の 5250 画面にはすべて表示さ System i 515 れていたのに対して、iEDIPACK では 必要な画面をマウス操作で表示させる i EDIPACK 必要があります。担当者には最初、戸 惑いもあったようですが、それも 慣 図表 2 メール送受信 インターネット 顧客 PC iEDIPACK導入後 http://www.imagazine.co.jp/ 67
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