190 日本 伝 染 病学 会 雑 誌 第42巻 第7号 ト リプ シ ン処 理 ハ ム ス タ ー 腎細 胞 に お け る黄 熱 ウ ィル ス(17D株)の 増 殖 に 関 す る細 胞 学 的 研 究 特 に 螢 光 抗 体 法 に よ る所 見 厚 生 省神 戸檢 疫 所(指 導3大 橋 六 郎所 長) 神 戸 大 学 医 学 部 微 生 物学 教 室(指 導:堀 田 進 教 授) 大 橋 六 郎 田 (昭 和43年7月30日 組 織 培 養 は ウイ ル ス学 領 域 に広 く応 用 せ られ, 辺 巌* 受 付) 解 物10容,非 働 化 ウ シ血清10容,溜 水70容 の組 成 特 に トリプ シ ン処 理 され た 単 層 細 胞 培 養 を 用 い る の も ので あ つ た.本 液 で37℃ に静 置 培 養 を行 な う こ とに よつ て,宿 主 細 胞 側 の条 件 を か な り均 等 に と,通 常4∼5日 す る こ とが で き るた め,こ の よ うな条 件 の下 で ウ 後 は 細 胞 維 持液 と して,Hanks液(×10 イ ルス 感 染 に伴 な う種 々 の現 象 を か な り精 確 に把 10容,5%ラ 握 す る こ とが可 能 に なつ て きた. ウ シ血清5容,溜 黄熱 ウイ ル ス は人 類 に深 い 関 係 を有 し,そ の研 で 細胞 の シー トを完 成 す る .以 Conc.) ク トア ル ブ ミン水 解 物10容,非 働化 水75容 の組 成 の も のを 用 い た, 究 は 多方 面 にわ た つ て 行 な わ れ て い るが,細 胞 学 以 上,い ず れ の場 合 に も雑 菌 汚 染 を 防 ぐ 目的 で, ペ ニ シ リンお よび ス トレプ トマ イ シ ンをそ れ ぞれ 的 研 究 は必 ず しも多 くは な い.本 研 究 は ト リプ シ ン処 理 ハ ム ス タ ー腎 細 胞 に黄 熱 ウイ ル ス を感 染 せ NaHCO3溶 しめ,蛍 光 抗 体 染 色 に よ り感染 細 胞 の変 化 を 究 明 本 実 驗 は顕 微 鏡 的 細 胞 学 的 検 査 を 主 目的 と した た し,ウ イ ル ス と宿 主 細胞 との相 互 作 用 に関 す る問 め,単 層 の培 養 細 胞 を 作 成 す る こ とに 特 別 の 注 意 題 点 の一 端 を 明 らか に せ ん と した もの で あ る. を払 つ た.培 養 開 始 後1週 間 後 の培 養 細 胞 を用 い 実験材料 1)組 150u/ml,50γ/mlの たが,こ 織 培 養: 割 に 加 え,使 液 でpHを7.2∼7.6に 用 時 に2 .8% 調 整 した . の時 期 で は大 部 分 が繊 維 芽 細 胞 様 の細 胞 で あ り,こ れ らは3週 間 ま た は それ 以 上 生 存 し, 供 試 細 胞 は初 代 培 養 ハ ム ス タ ー腎 細 胞 で あ る . 100g前 後 の健 康 な ハ ム ス タ ーの 腎 臓 を雌 雄 の別 見 掛 上 均 一 な 形 態 を 有 し,本 実 驗 の 目的 に適 す る も の と認 め られ た. な く無 菌 的 に取 り出 し,ト リプ シ ノで 処 理 して単 2)ウ 層 培養 を行 なつ た.培 養 手 技 の 詳 細 は 堀 田,大 山 マ ウス 脳 通 過 の 黄 熱 ウイ ル ス(17D株)柴 (1963)5)の 記 載 に した が つ た.ウ しめ る 目的 には200mlの イ ル ス を増 殖 せ 角 びん,ウ イ ル ス 感染 価 測 定 の 目的 には15×160mmの 組織培養用試驗管 イ ル ス: を ト リプ シ ン処 理 ハ ムス タ ー腎 細 胞 に継 代 培 養 せ る も の を 用 い た.ウ に,ト イ ル ス 原液 の 大 量 を 求 め るた め リプ シ ン処 理 ハ ム スン ー腎 細 胞 を 角 び ん に がそ れ ぞ れ 使 用 され た.培 養 細胞 の細 胞 学 的 検 査 培 養 した ものを 用い た.す な わ ち,ウ イ ル ス 接 種 の 目的 に は,試 後5∼6日 驗 管 内 に 短 冊 型 の カバ ー ス リッ 目に は大 部 分 の 細 胞 が 変 性 を生 じ,角 プを容 れ た も のを 用 いた.細 胞培 養 液 は ,Hanks び んを ゆ るや か に 振 と うす る と細胞 は壁 よ り脱 落 液(×10Conc.)10容,5%ラ す る.予 備 実 驗 よ りこの時 期 の液 相 中 の ウイ ル ス *現 所 属:名 古 屋檢 疫所(宮 ク トアル ブ ミ ン水 本 明道 所 長) *予 防 衛 生 研 究 所 大谷 明 博 士 よ り分与 せ られ た . 昭 和43年 10月 20日 191 感 染 価 が 最 高 で あ つ た.最 終 の ウ イル ス 浮游 液 と し て 最 高 力 価(TCID50)105∼106/mlの た.こ もの を得 の よ うな ウ イル ス液 を 以 下 の 実 驗 に 供 し た. 用 い られ た.ウ イ ル ス接 種 後,一 定 時 間 毎 に 感染 培 養 試 驗 管 を無 撰 択 的 に取 り出 し,そ の培 養 液 に つ い て ウイ ル ス の 力価 を 測 定 した. 2)蛍 3)抗 黄 熱 免 疫 血 清: 光 顕 微 鏡 的 検 査: 試 驗 管 内 の カバ ー ス リ ップ上 に ハ ムス タ ー腎 細 白色 雄 性 ウサ ギ に黄 熱 ウイ ル ス感 染 マ ウ ス脳 乳 =剤を く りか え し腹 腔 ,静 脈 内,脳 内 に 注 射 して 得 胞 培 養 を行 な い,7日 ら れ た. し,つ い で ウイ ル ス原 液 を 各 管 に2mlず 4)蛍 光 抗 体 液:6) ratory製 用 い られ た.抗 ,とFITCを た.血 Labo- た 沈 澱 を 蒸 溜 水 に 溶 解 し,同 清は捨 に 放 置 し,生 様 な 操 作 を2回 た 沈 渣 を 少 量 のPBS(0.005Mり G50の を 確 め た 後 に,蛋 のFITCを0.5M重 衝 液(pH9.5)に 溶 解 し,こ 蛍 光 抗 体 液 はPBSに を16倍 稀 釈 と決 定 した.つ い で下 記 の検 査 を行 な じ 溶解 し硫安を カ ラムを 通 過 つ て蛍 光 抗 体 液 の特 異 性 を確 め た. す なわ ち a)感 染 細 胞-陽 性 b)非 感染 細 胞-陰 性 c)感 染 細 胞 に抗 黄 熱 ウサ ギ抗 体 を作 用 せ しめ た細 胞-陰 性 らか じ め 蛋 白 濃 d)感 染 細 胞 に正 常 ウサ ギ 血 清 を 作 用 せ しめ た 炭 酸 ・炭 酸 緩 細 胞-陽 性 e)感 染 細 胞 に 抗 コ レラ血 清 を 作 用 せ しめ た 細 れ と γ-グ ロ ブ リ ン 液 と を 混 合 し4℃ で4時 間 マ グ ネ チ ッ ク ス タ ー ラ ー の 上 で 撹 拌 し接 合 を 行 な つ た .次 に 未 結 合 色 素 胞-陽 性 を 除 去 す る た めShaphadex 装 置(千 代 田,H-250)エ ら にDEAEセ G50の 製 を 行 な つ た.こ カ ラムを 通 過 ル ロー ズ カ ラムを 通 過 し て 陰 性 荷 電 抗 体 の 除 去 を 行 な い,蛍 光 抗 体 液 の精 れ を さ ら に マ ウ ス 汗,脳 ン粉 末 に よ る 吸 収 を 施 し,0.5mlず アセ ト に保 存 した . (千 代 田,BV)お 田,Y)を よび バ リアー フ ィル タ ー(千 代 and Hotta, 1966) 10) 実験成績 般増殖曲線 前 述 の ご と く 感 染培 養 液 の ウイ ル ス 力価(TC ID50/0.1ml)が 測 定 され た.そ の1例 をFig.1 段 増 殖 実 驗: 実 驗 で は7日 キ サ イ タ ー フ ィル タ ー 用 い,検 鏡 術 式 は 既報 の通 りと した. (Yoshida 1)一 本 実 驗 の 詳 細 に つ い て は 高 見(1961)9)の た 通 りで あ る が,本 蛍 光 顕 微 鏡 装 置 は 光 源 と して は 高輝 度水 銀 照 明 つ 分 注 して 実 験 方法 1)一 て2倍 階 段 稀 釈 し,各 稀 くり く硫 安 の ふ く ま れ な い こ と 白 を 測 定 し,あ i撮影 を行 なつ た. 釈 液 につ いて 予 備 染 色 を 行 な つ た結 果,使 用 濃 度 安 が除 去 で きた か否 か を ネ ス ラー試 薬 を 用 い て 検 査 を 行 な い,全 一20℃ つ じ ん酸緩衝液に 食 塩 液 を 加 え た も の)に 1除去 す る た め にShaphadex さ せ,さ 管 に 細 胞維 持 液1mlず に ア セ トン固 定,蛍 光 抗 体 染 色 を ほ どヒ し顕 微 鏡 じ た 沈 澱 を 冷 却 遠 心 器 に て10,000 渣 を 蒸 溜 水 に 溶 解 し これ に1/3飽 和 に な る よ 度 の1/100量 液 で3回 洗 滌 した.各 後12時 間,18時 間,24時 間,以 下24時 間 ご とに カ パ ース リップ を 取 り出 しHanks液 で洗 滌 した後 返 え し γ-グ ロ ブ リ ン の 精 製 を 行 な つ た.生 し,硫 で1時 間 静 置 培 養 後,ウ イ ル ス原 液 を捨 らに 未 吸 着 ウイ ル ス除 去 の 目的 でHanks 下 記 の 方 法 に し た が つ て 結 合 せ しめ うに 硫 安 飽 和 溶 液 を 加 え30分4℃ 0,1Mの つ注入 注 入 し,37℃ で 静 置 培 養 を 行 な い,ウ イ ル ス接 種 20分 遠 心 し 上 清 と 沈 渣 を 分 離 し,上 て,沈 て,さ で3回 洗 滌 ウサ ギ 黄 熱 血 清 清 と硫 安 飽 和 溶 液 と を 等 量 混 合 し,30分41 々こ放 置 し,生 rpm Biochemical の フ ル オ レス セ イ ン イ ソ チ オ サ イ ア ネ ー ト(FITC)が 驗 管 内 の 培 養 液 を 除 去 後,Hanks液 し37℃ 蛍 光 色 素 と し てBaltimore 目培 養 の 細胞 を用 い た.試 述 べ 目培 養 の 細 胞 が に示 す.ウ イル ス 接 種1日 後 の培 養 液 は100.75の 値 を示 し,以 後 この値 は 直 線 的 に上 昇 し,5日 後 日本 伝 染 病学 会 雑 誌 192 イ ル ス のCPをGiemsa染 Fig. 1 One-step growth carve of yellow fever virus (17D strain) in hamster kidney cell cultures. 第42巻 第7号 色,Feulgen染 色に よつ て詳 細 に検 討 し,ウ イル ス と宿 主 細胞 との 関 係 を 追 求 して い る.本 研 究 は トリプ シ ン処 理 ハ ム ス タ ー腎 細 胞 を用 い て,こ れ に黄 熱 ウイル ス(17 D株)を 感 染 せ しめ,そ の蛍 光抗 体 染 色所 見 を 検 討 す る こ とに よつ て黄 熱 ウ イル ス の 特 性 の一 端 を 明 らか にせ ん と した も ので あ る.す な わ ち,宿 主 細 胞 が 可 及 的 に 均 等 な 条 件 で 作 製 され そ の 細 胞 1個 あ た り少 く と も1個 以 上 の感 染 ウ イル ス粒 子 イル スi接種5日 後 に が 与 え られ る よ うに した.感 染 ウイ ル ス材 料 は, ハ ム ス タ ー腎 培 養 細 胞 に充 分 適 応 馴 化 した もの と いわ ゆ る定 常 状態 に 入 り,細 胞 は高 度 の変 性 を呈 思 われ る もの を用 い,最 高 感 染 価 と考 え られ る材 し管 壁 よ り脱 落 した. 料 を 用 い た.形 態 学 的 観 察 に さ き立 ち 一 段 増 殖 実 に 最 高 力価105.0に達 した.ウ 2)蛍 光抗体染色所見 験 が 行 なわ れ た.こ れ に よつ て ウイ ル ス増 殖 の対 ウイル ス接 種 後12時 間 お よび18時 間 で は細 胞 内 数 期 が い か な る時 期 に あ るか を確 め,そ の成 績 に に ほ とん ど蛍 光 を 見 出す こ とが で きな い が,24時 も とつ いて 形 態 学 的 観 察 の 時 期 を 定 め た.蛍 光 抗 間 にな る とわ ず か に細 胞 質 内,特 に核 周 辺 部 に 特 体 染 色 の結 果 ウイ ル ス感 染 に伴 なつ て 宿 主 細 胞 内 異 蛍 光 を認 め る よ うに な る.48時 間 では 細 胞 質 内 抗 原 の 分布 に変 動 の あ る こ とが 明 らか に され た. お よび 核 周 囲に 特 異蛍 光 を発 す る 部分 が 著 明に 出 特 異 蛍 光 は 主 と して 細胞 質 内 に分 布 して いた が 感 現 し細 胞 が 大 型 円 型 化 して く る.72時 間,96時 染 細 胞 中 に は 核 に 相 当 す る部 分,特 お よび120時 間 間 で は 特 異蛍 光 が一 層 著 明 とな る. 核 の輪 廓 に強 い蛍 光 を もつ 細 粒 が 附着 して い る よ うな像 も認 め られ た(写 真5参 照)こ の時 期 に は に核 膜 と思 わ れ る輪 廓 部 に強 い 特 異 蛍 光 の 出 現 す る例 の あ る こ とを認 めた.Arbovirus感 染 の特 徴 と して,特 異 蛍 光 物 質 が 細胞 質 に限 局 され る のは 当 然 と して,核 細 胞 は膨 張 し核 は細 胞 質 の一 端 に 圧 排 せ え ら る. に か な り密 接 に関 係 す る と思 わ れ る もの の認 め ら 細 胞 全体 が特 異 蛍 光 を発 す る ご と き大 型 円 型 の特 れ らた こ とはや や 注 目す べ き点 と考 え られ た.こ 異 的 な細 胞 も認 め られ る.ま た 細 胞 質 内 封 入 体 と の もの が何 を意 味 す るか は本 実 験 で は 不 明 で あ る 思 わ れ る像 もみ られ た.感 染 の末 期 には 細 胞 は 崩 が,す で に黄 熱 感染 動 物 の病 理 学 的 変 化 と して 一 壊 し,蛍 光 を 発 す る塊 と して認 め られ る よ うに な 種 の核 内 封 入 体 が 記 載 され て い る 事 実(Theiler, る. 1959)お 考 Hallauer(1959)3)がKB株 イル ス のCPを 察 よび 高見(1961)が もFeulgen陽 細胞 による 黄熱 ウ 記載 し,Porter丘eld(1959)7)8) 述 べ た ご と く核 内 に 性 物 質 が 増 加 し 特 異 構 造 物 の 出現 を 認 め て い る こ とか ら,そ の 間 に一 脈 の関 連 を 否 定 す る こ とが で きず,こ の 点 は興 味 あ る 問題 で あ は ニ ワ トリ胎 児 単 層 培 養 細 胞 を 用 い て黄 熱,日 る.し か し,DeGroot,c.J.(1960)は 脳,そ 肝 細 胞 お よびFL細 の他 の ウイ ル ス に よる ブ ラ ッ ク形 成 を 見 出 し,藤 田 ら(1960)2),Hottaら(1962)4)は!・ ム ス タ ー並 び にサ ル 腎 細 胞 にそ れ ぞ れCPの す る こ とを報 告 し,DeGroot,cJ・(1960)1)は Chang肝 細胞 並 び にFL細 抱 を 用 い て 蛍 光 抗 体 染 色 に よ りCPの 見(1961)9)は 胞 で は 細 胞 質 内 に蛍 光 を認 め 核 内 に は 蛍 光 の 出現 を 認 め て お らず,蛍 出現 認 識 され る こ とを 記 載 し,高 ハ ム ス タ ー腎 細 胞 に対 す る黄 熱 ウ 、chang 光の出 現 も感 染 後48時 間 で あ る のに 比 較 して,ハ ムス タ ー腎 細 胞 で は約24時 間 後 に蛍 光 の出 現 を 認 め ,前 記 細胞 よ り約24時 間 早 く蛍 光 の出 現 す る こ とを 認 め た.こ れ らの点 につ い ては 今 後 機 会 を 改 め て 検 討 した い. 昭 和43年10月20日 193 蛍光抗体染色 写 真2:48時 写 真1:24時 間 後 で は わ ず か に 細 胞質 が蛍 光 を発 す 間 後 で は 細 胞 質 お よ び 核 を と り囲 ん で 粒 状 の蛍 光 を発 す る部 分 が 出 現 す る、 る.×1,200 ×1,200 写 真3∼4:72時 間 後 で は 細 胞 質 が 強 度 に 蛍 光 を 発 し,核 に相 当 す る部 分 に も 蛍 光 が 現 れ 細 胞 は 時 間 と 共 に 膨 張 す る.×1,200 写 真5:96時 間 後 で は 細 胞 質 が こ わ れ,主 と して 核 の 周辺 部 お よ び 核 内 部 に も少 数 の点 状 の蛍 光 を 発 し て い る ご と ぎ 像 を 呈 して い る. ×1,200 写 真6:細 胞 質 内 封 入 体 の ご と き『像 を 呈 して い る. 日本 伝 染 病学 会 雑 誌 194 写 真7:120時 間 後 で は 細 胞 が破 壊 され 細 胞 として の 形 態 を ほ と ん ど と ど め な く な る. ×1,200 第42巻 第7号 に相 当 す る部 分 に も特 異 蛍 光 を発 す る細胞 の 出現 す る ことが あつ た 。 3)以 上 の所 見 に も とつ い て若 干 の ウイ ル ス学 的 考 察 を加 えた.組 織 培 養 法 お よび 蛍 光 抗 体 法 を 応用 す る こ とに よつ て黄 熱 ウ イル スの 分 離 お よび 同定 の一 助 とな る こ と,並 び にそ れ に も とつ い て 検 疫 伝 染 病 の一 つ で あ る黄 熱 の診 断 が 可 能 で あ る こ とな どが 考 え られ る. 参考文献 1) DeGroot, C. fever virus J.: in nofluorecence. 2) 藤 田 宣 哉, C.: リカ,南 ア メ リカ な どか らい つ わ が 国 に 侵入 す る Virusforsch., 4) つ の方 法 と して蛍 光抗 体 法 に よ る 早期診 断 の 可能 1)ト Am. J. A. primary Trop. Arch. Fujita, of N. & virus trypsinized Med. & Ges. YAMADA. yellowfever cell Hyg., 堀 田 進, 6) 阪, 永 井 書 店, 1963. 国 立 予 防 衛 生 研 究 所 編:ウ 7) もに,感 染 宿 主 細 胞 に現 れ るCPを 染色標本で詳 られ た 成 績 に よ る と約12時 間 の 潜 伏期 の 後 に対 数 期 に入 り120時 間 で 定 常 期 に達 大 山 昭 夫: pp.248∼279, イ ル ス を 感染 せ しめ,一 般 増 殖 実 験 を えが くと と (17D cultures. 11: 811•`816, 8) した. Porterfield, J. S.: fever viruses. Nature., Portefield, of 感 染 細胞 の形 態学 的 変 化 を検 討 した.す なわ ち, 9) 進 む に つ れ て 細胞 質 内 お よび核 周辺 部 に特 異 蛍 光 高 見 喜 重: Yoshida, cence in が 増 加 し,大 型 円 型 の 特異 細 胞 が蛍 光 を発 し,細 胞 質 内 封 入体 様構 造 の 出現 を認 めた.そ の他 に核 1069•`1070, fever Trop. virus Med. & the antisera. Hyg., 53 神 戸 医 大 紀 要, 21: 1961, J. and vitro: Microbiol. for and ウイ ル ス 感染 組 織 培 養 細 胞 の形 態 Hotta, of Japanese canine 1959. technique 1959. 621∼641, 10) with arthroped-borne plaque 学 的 変 化 に 関 す る 研 究, 蛍 光 抗体 上 の 染 色所 見 で は ウイ ル ス感 染24時 間 後 に は 細胞 質 内 に わず か に特 異 蛍 光 を認 め,感 染 が 183: Soc. production related A yellow Roy. 458•`466, イ ル ス 実 験 学 総 論, Plaque and J. S.: Trans. 記 の 曲線 を基 礎 と して主 と して 対 数 期 の 組 織 培 養 の 基 本 と 実 際, 大 1964, yellow titration 2)上 Gelbfibervirus 1959. 5) 論 リプ シ ン処 理 ハ ム ス タ ー腎 細胞 に 黄熱 ウ 細 に検 討 した.得 10: 1962. ざ る意 義 が認 め られ る. 結 Oyama, in von 428•`441, Propagation strain) 性 が 考 え られ,検 疫 伝 染 病 の発 生 防 圧 に 少 な か ら 1960. 黄 熱 ウイ ル ス Explantaten. 9: S. T.: immu- 317•`320, 堀 田 進: Ziichtung menschlichen Hotta, yellow 1960. Hallauer, in の対 策 が 重 要 で あ る.こ こに そ の一 of by の 組 織 培 養 に 関 す る 研 究. Virus るが,現 今 の よ うに交 通 機 関 の 発 達 と と もに ア フ か判 らず,そ culture 12: 大 山 昭 夫, (17D株) 3) cell Virology., 352∼353, 黄 熱 は ア ジ ヤ地 方 に は 存 在 しな い とい わ れ てい Demonstration human S.: Immunofluores- encephalitis virus Localization cerebellar 70 of tissue (3): viral cultures, 183•`188, infection antigen Japan. 1966. J. 昭 和43年10月20日 195 Cytological Observation on the Growth of Yellow Fever Virus (17D Strain) in Trypsinized Hamster Kidney Cell Cultures with Special Reference to Immunofluorescent Findings Rokuro OHASHI and Iwao TANABE Kobe Quarantine Station (Director: Dr. Rokuro Ohashi), Department of Microbiology, Kobe University School of Medicine, Kobe (Director: Prof. Susumu Hotta) Hamster kidney cells treated with trypsin and grown on a coverslip were infected with yellow fever virus, 17D strain. One-step growth curves were determined , and cytological changes that occurred in the infected cells during the period from the end of the latent phase through the logalithmic phace were observed by immunofluorescent staining techniques. Slight fluorescence was seen in the cytoplasm 24 hours after the infection and at 48 to 96 hours after the virus inoculation , the specific fluorescence was distinct. The reaction was noted mainly in the cytoplasm and the juxta nuclear areas; flurorescent dotts adhering to the nuclear contour were also found in some cells. intense fluorescence were clearly realized. Cytoplasmic inclusion-like bodies showing ,
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