粒子運動 (1) 粒子 の移動限界 直径 粒子を動かそうとする力, 密度 流れを受ける面積(投影面積)に比例 水深 引きずりを受ける表面積に比例 … (1) 粒子が留まろうとする力, 粒子の重さに比例 流れの密度 … (2) 0 勾配 (1)式と(2)式から,粒子を動かすのに必要な力は 粒径に比例することがわかる. 粒子を動かそうとする流れの力を,底面に作用する流れのせん断力, 0 で示すと 0 が大きくなって,粒子を動かすことができる大きさを c 0 c(限界掃流力)とすると, … (3)となるだろう. しかし,ここでが が一定なのか,という問題がある. 粒子が流れから受ける力には,「粘性抵抗」と「形の抵抗(慣性力)」の2種類があり, どちらが支配的なのかは,粒子の周りの流れの性質によって変わってくる. 2つの力の比はレイノルズ数 で表される(ここに は流速, は動粘性). ここで の単位を考えると,速度の次元をもつので, の代わりに用いて をレイノルズ数相当とみなすことができる. こう考えたのがシールズ(1938)で,横軸にレイノルズ数をとって, をプロットした. すると,やはり粒子を動かすのに要するせん断力は流れの性質によって異なっていた. シールズ ダイアグラム( ) 浮 遊 跳 躍 粒子を動かす力 転 動 留まろうとする 力 平滑床 ル リップ 粒 子は 動 かな い 乱流 → 層流 → 粘性底層 直径 粒子運動 (2)混合粒径砂 の移動 均一粒径の場合は,粒子の重量にしたがって大きな粒子ほど移動しにくい. しかし,様々の粒径の粒子が混じると逆のことが起こる. 遮 蔽効果 大 きな 粒 子は 流 れに 曝 され る が, 小 さな 粒 子は 守 られ る . 転動性効果 (ピボット角効果) 大 きな 粒 子は 転 がり や すい が , 小 さな 粒 子は 転 がり に くい . suspension saltation traction rolling 粒子運動 (3)粒子の沈降 どちらが速く落ちるか? 真空中なら同じ - 粒子の密度 流体の密度 形の抵抗 投影面積 - 表面抵抗 抵抗係数 粘性係数 初速ゼロから加速 速度( )の増加につれて,抵抗( )も あるいは に比例して増加する 次第に等速運動に近づく → 沈降速度 → (=終末速度) より - - より - - いずれの答えも正しく,rが大きいほど も大きくなる. 粒子運動 (4)粒子 の堆積 とファブリック (1 ) 自由 落下 (2) 滑動 ・転動 停止 転動 ( 3 ) 粒子 流 (なだれ )から 前置斜面のなだれによる 木村(2000MS) 侵食 堆積 ( 4 ) 混濁 流 から 流れの先頭が通過 下部に粒子が濃集 2層流の始まり 2層分化が明確化 せん断の始まり 下層が固化 トラクションを伴って 新たな境界面形成 ( 5 ) 土石 流 から 時 間 流速の低下 栓流 逆断層 流動する層の全体が せん断される 栓流が上部から できはじめる 栓流が下部へ 拡大する 栓流が底面に達し 土石流は停止する 低濃度の混濁流では,浮遊 からの落下→転動堆積が主 体となる. しかし,高濃度の混濁流の 場合,下部に粒子が濃集し て2層流となり,下層が固 化(フリーズ)して新たな 固液境界ができる.そこで は粒子の掃流運搬(トラク ション)が起こるといわれ ている. 陸上および水中の土石流には, それぞれ粘土を含んだ粘着性土 石流と含まない非粘着性土石流 とがある. 前者は図のような栓流を形成し て「上部から」堆積が起こる. 後者は,粒子流に似るとされる が,その理由はわからない.ま た,水中では土石流が単独で流 れることはなく,先頭で混濁流 を生じる.
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