応用美術についての意匠権と著作権(1)

資料3
応用美術(染織図柄等)の保護についての考え方
−意匠権と著作権−
(1)応用美術とは
①実用に供され、あるいは、産業上利用される美的な創作物
②・美術工芸品、装身具など実用品自体
・家具に施された彫刻品など実用品と結合されたもの
・文鎮の雛形など量産される実用品の雛形として用いられることを目的と
するもの
・染織図案など実用品の模様として利用されることを目的とするもの
(2)ベルヌ条約の規定
第2条7項
「応用美術の著作物及び意匠に関する法令の適用範囲並びにそれらの著
作物及び意匠の保護の条件は、同盟国の法令の定めによるところによる。
本国において専ら意匠として保護される著作物については、他の同盟国
において、その国において意匠に与えられる特別の保護しか要求すること
ができない。但し、その国において、そのような特別の保護が与えられない
場合には、それらの著作物は、美術的著作物として保護される。」
資料4
応用美術についての意匠権と著作権(1)
意匠権
保護対象
意匠(デザイン)が保護対象
量産性による区分
大量生産品
製作工程による区分
工業製品
用途による区分
製作意図による区分
製作者による区分
実用品
著作権
美術(美術工芸品(壺・壁掛け等)
を含む)が保護対象
一品製作品
手仕事品
鑑賞対象品
産業上の利用を目的に製作
鑑賞を目的に製作
デザイナー・図案家等
画家・版画家等
資料5
応用美術についての意匠権と著作権(2)
●意匠権と著作権の双方で保護される図柄があり得る。
ただし、意匠の場合は物品に具現化されている必要がある。
●染織図案等のいわゆる応用美術が著作権の対象となるかは著作権法上明確
ではない。
現行著作権制定時(昭和46年)の著作権審議会の答申によれば…
「図案その他量産品のひな形又は実用品の模様として用いられることを目的
とするものについては、著作権法においては特段の措置は講ぜず、原則として
意匠法等の工業所有権制度による保護に委ねるものとする。ただし、それが純
粋美術としての性質を有するものであるときは、美術の著作物として取り扱われ
るものとする。」
学説によれば…
「それ自体が物品の実用面から分離して認識することができ、そのものだけで独
立して美的鑑賞の対象となし得るかどうか。」