14時 文部科学省同時発表 平成28年3月8日(火)岐阜県発表資料 担当課 担当係 担当者 電話番号 内線 3587 社会教育文化課 伝統文化財係 中谷 長史 直通 058-272-8759 FAX 058-278-2824 本県の国重要文化財(美術工芸品)の指定について み や た りょうへい 文部科学省の文化審議会(会長 宮田 亮 平 )は、平成28年3月11日(金)に開催される同 審議会文化財分科会の審議・議決を経て、新たに4件の美術工芸品を国宝に、46件の美術工芸品 を重要文化財に指定するよう文部科学大臣に答申する予定です。 このうち、岐阜県関係の文化財(美術工芸品)は、下記の1件です。こちらが指定されると、岐 阜県内の国重要文化財(美術工芸品)は106件(うち絵画は10件)となります。 国重要文化財(絵画) 1件 けんぽんちゃくしょくぶつ ね は ん ず 名 称 絹本著 色 仏 涅槃図 員 数 所 有 者 宗教法人 汾陽寺 所 在 地 関市武芸川町谷口 ふく 1幅 ふん よ う じ 国重要文化財「絹本著色仏涅槃図」の概要 名 称 絹本著色仏涅槃図 員 数 1幅 寸 法 縦198.7cm 横277.0cm 時 代 平安時代 所有者 概 宗教法人 汾陽寺 (関市武芸川町谷口) 要 釈迦の入滅(死)の情景を表す涅槃図(像)の制作は、インドにおいて始まり、仏教の伝播とと もにアジア全域に広がったとされている。日本も大陸の影響を受けて制作が始まり、ときどきに新 たな刺激を受けながら独自の展開を遂げ、やがてどの地域よりも豊かな涅槃芸術を開花させた。 本図は、画面が横長で、動物の種類が少なく、釈迦の横たわる床台の右側を見せるなど、平安時 さ ら そうじゅ 代の涅槃図に共通する特徴を備えている。沙羅双樹(注1)の一本が床台手前の真ん中に立つ構図も、 こんごう ぶ じ 金剛峯寺(和歌山県)の国宝「絹本著色仏涅槃図」 (平安時代)や東京国立博物館の国重要文化財「絹 本著色仏涅槃図」(平安時代)と同じである。 画面構成だけでなく、釈迦や菩薩、弟子等の造形、象や猿の姿など、同時代の仏画との類似点も 多い。表現方法については、釈迦の着衣を中心に金・銀を用いて描かれた文様や床台の唐草文様が 華やかに彩られる一方で、菩薩、仏弟子等の着衣では彩色文様が乏しい点や、全体的に暖色を主と する温和な色調でまとめている点などは、平安時代末期の色彩感覚に近い。 また、釈迦が右手を手枕にする点(注2)や、双頭の鳥が描かれる点などは、手本とした涅槃図(中 とう 国、唐時代の涅槃図がルーツと推測される)の影響もうかがえる。 保存状態については各所に損傷が認められるものの、本図は現存作例の少ない平安時代にさかの ぼる涅槃図の大作として極めて貴重なものであるとして評価された。 注1)インド原産の常緑樹。釈迦の死に際して、悲しみのために枯れ、鶴のように白くなり、枝も 葉も花も樹皮までも落ちてしまったという。 注2)釈迦が右手を手枕にする点は、鎌倉時代以降に多く展開する図様であるが、平安時代末期や インド、中国にもこの形式の作例が見られる。 写真提供:文化庁
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