ごみ焼却灰を主原料とした固化材・固化体の開発について

鹿児島工業高等専門学校
研究報告 41(2006)
15∼19
ごみ焼却灰を主原料とした固化材・固化体の開発について
前野祐二+
三原
めぐみ十十
長山
昭夫十件
TheDevelopmento
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灰は強熱減量が 5%以下で比較的高温で燃焼されてい
1緒言
る と 考 え ら れ る . ダ イ オ キ シ ン 測 定 濃 度 も 60
ごみ焼却灰の処理は,埋立処分が主であったが,近
pg-TEQ/g以下とダイオキシンの環境基準も満足する.
年,エコセメント,溶融スラグなどの有効利用が開発
固化補助材として使用される石炭灰は火力発電所で排
されている.しかし,これらの有効利用はコストが高
出された灰でフライアッシュである.
いので,廉価な有効利用が待たれている.このような
表1に焼却灰(2mmふるい通過)と石炭灰の蛍光 X
状況を踏まえ,本研究は,都市ごみ焼却灰と固化補助
線分析((株)島津製作所
材を混合して,粉砕するだけの固化材の開発を試みた.
による化学組成を示す.焼却灰の CaOと Si02とAlz03
この方法なら,初期設備のコストを低くして,維持コ
LABCENTERXRF-1700)
(%)
表-1 試料の化学組成
ストも廉価なものとなる.まだ,実用化までには様々
組成
焼却灰
2mm 以
石肉天(フ ボルトラ
この固化材で作製された固化体の強度特性を明らかに
下の焼
ライアッ
ントセメ
する.
却灰
シュ)
ント
な問題があるが,ー部の成果が挙げられた.本論では,
2試料
都市ごみ焼却灰(ストーカ炉,炉能力 1
5
0
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/日,集
CaO
20.
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3
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.
2
Si02
3
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.
9
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.3
48
21
.1
塵機で集められた飛灰は固化処理され,飛灰は混入さ
Alz03
17
1
8
.
2
39
5
.
2
れていない)は,ごみ焼却場の灰ピットで水と混合さ
Fe203
4
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8
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.5
2
.
0
ZnO
0
.
3
れている状態で採取された.この焼却灰の約 5割程度
になる 2mmふるい通過試料を原料とした.以下では
2mmふるい通過焼却灰を焼却灰と称する.この焼却
+
土木工学科
++般教育科理系、
乱1
n203
+++ 技術室
Cl
− 15 −
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前野 祐二 三原 めぐみ 長山 昭夫
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アナータイト
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焼却灰
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に石炭灰(フライアッシュ)(以下, F)を混合し,
3層 25回) (ランマ一重量 4
突固め (
.
5
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)に
400E
tb
3
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0制
より供試体(直径 10cm,高さ 12.5cm)を作製し
た.乾燥を防ぐためにその供試体に流動パラフ
2
0
0~虫
ィンを塗り,気温 20度で気中養生した.なお,
1
0
0区
3
区
養生期間は 7日
, 30日
, 180日
, 360日とした.
G
石炭灰
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図 -2 に-~-軸圧縮強度の経時変化を示す.図
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1
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に示すように,石炭灰混合割合 =F/(B+F)が 10%,
ー2
0
0
15%,20%のとき,経時日数が増加するにした
5
0
がって,一軸圧縮強度は増加する.この
a
軸圧
縮強度と経時日数の関係は直線的であり,石炭
図ー 1焼却灰と石炭灰の粉末X線回析
灰混合量毎の相関係数は 0
.
9
9以上を示す.こ
のように石炭灰と焼却灰は混合すると固化し,
が多く含まれ,この 3つで約 8割になる.Fe203と P203
も含まれている.また, Clが1.1%含まれている.参
)で実験試料として使用されている 2mm以下
考文献 1
養生半年後でも強度増加が進むことが特徴的である.
この実験結果より焼却灰の粉砕,他の添加材を加える
の焼却灰は, CaOが 38%と 37%,
Si02が 29%と 26%,
ことが,石炭灰と焼却灰の化学反応を促進じて,大き
Ah03が 19%と 16%である.ほぼ同様組成と考えられ,
本試料は特殊な焼却灰ではないと推測できる.焼却灰
な強度を持つ可能性がある.
の組成は,セメントの主原料である CaO,
Si02,
Ah03,
が多いことから,固化材として活用できる可能
Fe203
性が大きい.そのため,エコセメントは,焼却灰を主原
料として開発されている. 一方,石炭灰は九州内の火
力発電所で排出されたフライアッシュである.表 -1
次に石炭灰が添加された焼却灰の鉛溶出量(環告 13
号 法 ) を 調 べ た 軸 圧 縮 試 験 の 養 生 1ヶ月後の供試
体を試料として用いた.
図 -3に鉛溶出量と溶出液の pHと石炭灰混入率の
関係を示す.石炭灰を混合していない焼却灰は, pH=
9.4であるが,石炭灰の混合量が増加するにしたがっ
o
S
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0
2
)が
る.石炭灰はムライト (AhSi20dとクオーツ (
)でもクオーツとムライト,マ
推定される.参考文献 3
4
)
.
.
.
.
:
3
アナータイトはムライトよりは CaO(全体の 2 割 .
1
0
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2
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0
3
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0
4
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0
養生日数
図-2 圧縮強度の経時変化
(石炭灰混合割合毎)
)にある CaO
グネタイトが同定されている.参考文献 5
Si02-Ah03組成の焼成物図には, CaOが 1割以下
で他が Si02と Ah03のときムライトが生成される
室ロ
トーカ炉から排出された灰には,アナータイト
(CaA
hSi03)とゲレナイト (CaA
hSi07)が同定されてい
Aロ
)でもス
ナイト (CaA
hSi07)が推定される.参考文献 2
ム
ロ
焼却灰の鉱物組成は,アナータイト (CaA
hSi03)とゲレ
毘
図 - 1に X 線 回 折 装 置 ( 理 学 電 気 株 式 会 社
MultiFlex)による 2試料の X線回析パターンを示す.
﹁l
(間宮)恒川畑町援出審1
なる.
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J η d の4 η 4 4 1 4 l
にその化学組成を示す.石炭灰の組成は Si02が 48%
と最も多く,次に Ah03 (39%) でこの 2つで 87%に
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CaO(
全体の 3割 '
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5割程度)が多いとき生成される心.
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4
5
このように CaO-Si02-Ah03の組成量の多少により
斡
アナータイト,ムライト,ゲレナイトが生成される.
議
3 焼却灰に吾炭灰を混入した場合
1
0
%
2
0
%
3
0
%
石炭灰混合割合(弛)
図 -3 鉛溶出量と石康灰混合量の関係
ごみ焼却場排出時の含水比 36%の焼却灰(以下, B)
− 16 −
'
80β12
0
.
0
1
0
%
O
a
工
割)が多いとき生成する.ゲレナイトはムライトより
ごみ焼却灰を主原料とした固化材・固化体の開発について
て
, pHは増加した.鉛溶出量は,石炭灰混合割合 10%
表-2 粉砕した焼却灰に石炭灰と生石灰と石膏を混
程度まで,混合量が大きくなるにしたがって,値が大
合した場合の強度
きくなっているが,それ以上に混合量が増加しでも鉛
混合割合
で鉛溶出量
溶出量は増加しない.しかも,混合量 20%
焼却灰 生石灰
"
'1
2と
は O.Olmg/{である.図に示すように pHが 9
(
%
)
大きいにもかかわらず,石炭灰の混合量が増えるに従
) 中の
って鉛溶出量は少なくなっている.参考文献 5
焼却灰にセメント,消石灰を添加した場合の
a
軸圧縮
1に示す石炭灰を添加した強度より大きく
強度は,図 なるが,重金属溶出を止めることはできないと報告 L
ている.石炭灰を混合して固化すると,溶出を防止す
る生成物が存在すると推察できる.
4 焼却灰に石炭灰と生石灰と石膏を混合粉
砕した固化材について
焼却灰と石炭灰を混合した場合の実験結果より,焼
却灰と石炭灰の混合物にさらに固化を補助する材料を
混合することを試みた.また,固化を促進するために
0μm"-'20umで最大粒
焼却灰を乾燥後,平均粒径が 1
径が 100μm程度まで粉砕した.焼却灰 (
B
)と石炭灰
(
F
),生石灰(以下, Q)と石膏(以下, G)を混合粉砕して
試料(固化材)を作った.この固化材はセメントと同
(
%
)
5
5
5
5
5
5
65
65
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縮
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強)度
石膏
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.
0
1
5
.
3
4
様に水と混合すると流動性が発現し,塑枠に流し込む
示す.このように圧縮強度は,養生期間は短いにもか
ことが可能である方,混合水(水道水:以下, W)
かわらず,特定の配合でかなり大きな値になる.
を少なくして,上記と同様に土の締固め方法で供試体
表 -2で示すように粉砕した焼却灰と生石灰と石炭
を作製した場合,供試体にクラックが発生し,低強度
F:G=75%:10%:10%:5%) を
灰と石膏(B:Q:
となった.そこで,セメントと同様に型枠に固化材を
混合した試料は,高強度の固化体ができることが明ら
流し込み,振動を加えて締固めた.この供試体はコン
かとなったので,この配合の試料を固化材とした固化
0C:
t3C,湿度 95%以
クリート養生室で,室内温度 2
体の長期圧縮強度の変化について調べた.なお,水固
上の中で養生した.供試体の寸法は直径 5cm,高さ
化材比を 35%,40%,50%=W/(B+F+Q+G)として混合
cmである. 供試体表面は,コンクリートと同様に
lO
水量の影響も考察した.水固化材比 35%はこの試料が
凹凸がなく,きれいな面となる.色は灰色に近くコン
ペースト状になる最低の混合水量に近い値である.
0
0
7"
'1
.7
8
水固化材比が 35%のとき,湿潤密度は1.7
クリートと外見はほとんど変わらない.各試料の混合
=55"-'79:1
0
:1
0
%
"
'
2
0
%
:1%
割合を B:F:Q:G
g/cm3,絶乾密度は 1
.31"
'
1
.34g/cm3である.混合水割
"
'15%とした添加材と粉砕した焼却灰と混合して,こ
れを固化材とした.この固化材に水固化材比 40%(=
W /(B+F+Q+G))で混ぜ,固化させて供試体を作
成後,圧縮試験を行った.表 -2にそれらの試験結果
合が 40%のとき,湿潤密度が 1
.8
0
"
'1
.82g/cm3,絶乾
g/cm3 である.混合水量が,多くても湿潤密度は変わ
を示す. 表に示すように養生日数 2 日では,生石灰
らないが,絶乾密度は小さくなる.
密度が 1
.1
9
"
'1
.23g/cm3である.混合水量が 45%とき,
6
"
'1
.83g/cm3,絶乾密度は, 1
.2
1
"
'1
.2
6
湿潤密度は 1
.7
と石膏の噌減させたすべての配合で, 3
"
'
4
M
P
aある.
図 -4に焼却灰に生石灰 10%,石炭灰 10%,石膏
しかし,養生日数 7 日の場合,生石灰 10%,石炭灰
10%,石膏 5%が 5.39MPaと他の配合の強度と比較す
4 日ではさらにその傾向
ると最も大きい.養生日数 1
が
は大きくなり,生石灰 10%,石炭灰 10%,石膏 5%
1
0
.
2
9MPa,生石灰 10%,石炭灰 10%,石膏 10%が
8.91MPa と他の配合の強度と比較すると大きな値を
5%を加え水固化材比のときの長期強度を示す.図に示
8日養生強度が,養生日数が
すように 35%のときの 2
少ない場合より小さくなっているが,約 2ヶ月養生の
強度は, 1
8
"
'
2
4
M
P
aの値を示し, 9
1日養生時の強度
9MPa,混合水量 40%のと
は,混合水量 35%のとき 1
1MPa,混合水量 40%のとき 24MPaとなり,さ
き3
− 17 −
前野 祐二 三原 めぐみ 長山 昭夫
。
2
0
生H
。
組 1
5
事
0
出 1
5
部
0%
1
5目
10%
セメント混合割合
図 -6 圧縮強度:とセメント混合割合
5
0
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O
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0
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養生日数(日)
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養生日数(日)
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製作した.図 -6に固化体の強度を示す.なお,養生
<
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1
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3
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乾燥臼数(日)
国一 5 固化体の乾燥実験
日数は 1ヶ月である.図に示すようにセメントの混合
割合が増加するに従って強度が著しく増加している.
4
0
セメント添加がさらに強度を増加さていると考察でき
る.
らに強度増加する.ところが,水固化材比 35%のとき,
91日養生強度が減少しているが,水固化材比が 35%,
40%,45%のいずれの場合も全体的にほぼ 3ヶ月間,
強度が増加している.しかし, 180日養生後の強度は
いず、れの混合水量のときも 91 日より減少している.
この強度減少は,水分が散逸して重量が減少している
ことが,原因と考えられる.そこで,水固化材比 45%
で供試体を作製後
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国一 7 強度と養生日数の関係(モルタル試験)
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制山
組 2
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国一4 圧縮強度と養生日数の関係
1年間コンクリート養生室で養生
後,室温 20Cの中で湿度 50%の条件で乾燥試験を行っ
0
た.
図
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2
5
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~
三
--。
3
0
nUEυnURυ
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41
(E2)刷世銀提出
2
5
3
5
5に重量減少率と乾燥日数の関係を示す.この
次に,セメント混合割合を 20%として固化材を作製
し,この固化材をセメントに代えてモルタルの強さ試
験を行った.細骨材は標準砂を用い,固化材と標準砂
を 1:3の割合とし,水固化材比は 50%とした.図
7
に圧縮強度と曲げ強度と養生日数の関係を示す.図に
示すように 1ヶ月で圧縮強度 34MPa,曲げ強度 6
.
2
8
MPaと比較的大きな強度となった.圧縮強度は 1ヵ月
後も 6ヶ月まで強度が増加している.しかし,曲げ強
度は 6ヵ月後に強度が少し減少している.しかし,そ
の割合は小さい.いずれにしても,図 -6 と比較して
固化体の強度は,大きくなっている.
6 まとめ
供試体は図に示すように乾燥直後から重量が減少し,
ほぼ 1ヶ月で 5%程度重量が減少した.この供試体の
これらの実験結果をまとめると以下の考察になる.
強度が 15.2MPaである.この強度は,図,4に示す強度
より小さく,乾燥により強度が減少する.
1)
ごみ焼却灰に石炭灰を混合することは鉛溶出
5 焼却灰と石炭灰と生石灰と石膏を混合し
防止に有効である.
2
) ご、み焼却灰と,石炭灰,生石灰,石膏を特定
た固化材にセメントを添加した固化材
の配合割合で混合粉砕した固化材は,高強度固化体を
焼却灰:石炭灰:生石灰:石膏 =0.6:0
.
2
5:0
.
1:
つくることができる.
3)
0
.
0
5の配合で混合粉砕後, 0
1
0
%の割合でボルトラ
ごみ焼却灰と,石炭灰,生石灰,石膏を特定
ンドセメント(以下, C) を添加して 3のセメントを
の配合割合で混合粉砕した固化材は,高強度固化体が
混合しない場合と同様に混合水 35%で円柱供試体を
できるが,乾燥により重量が減少する傾向がある.
4)
− 18 −
ごみ焼却灰と,石炭灰,生石灰,石膏とセメ
ごみ焼却灰を主原料とした固化材・固化体の開発について
ントを混合した固化材を用いて,固化体を作製した場
合,圧縮強度 30MPa以上の高強度固化体ができ,実
用性に 歩近づいた.
a
開発した固化材を使用して,インターロッキングを
作製し,平成 15年 1
2月,鹿児島高専車道部に敷設し
た.現在 2
.
5年経過したが,表面に損傷がなく,耐久
性もあることが確認できた.
謝辞:九電産業株式会社から石炭灰を快く提供して
いただきありがとうございました.謝辞を表します.
、 17年校内研究助成金を
また、本研究は、平成 16年
受けて行われたことを記し、感謝申し上げる。
引用・参考文献
1)高岡昌輝,藤田淳,藤原健史,武田信生:
灰分組成と示差熱分析による焼却灰・飛灰の融点の
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推定,土木学会論文集 N
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)原 雄 , 半 野 勝 正 , 依 田 彦 太 郎 , 根 本 久 志 : 焼 却
施設内たい積物の鉱物同定,廃棄物学会論文
誌
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)石炭灰ハンドブック:環境技術協会日本フライアッ
シュ協会, p
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)前 野 祐 二 , 平 田 登 基 男 , 永 瀬 英 夫 : 焼 却 灰 の
土質力学特性とその有効利用,土木学会論文集,
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