貿易会だより イランの核問題に関する措置の実施についての説明会 9月8日 9 月 8 日に「イランの核問題に関する 措置の実施についての説明会」を開催し、 72 名が参加した。 同会合は、9月3日に政府より、外務省、 財務省、経済産業省、警察庁、金融庁の 連名にて「イランに対する国連安保理決議 の履行に付随する措置について」と題して、 イランの核問題に関する措置が公表された のを受けて、同措置の内容につき説明を受 貿易保険課長 岸敬也氏、資源エネルギー ける機会を設けるべく企画したものである。 庁 資源燃料部企画官 湯本啓市氏ほかか 当日は、経済産業省 通商政策局中東 ら説明を受け、質疑応答を行った。 アフリカ課長 森清氏、貿易経済協力局 (国際グループ) 広報委員会 日本原燃原子燃料サイクル施設他見学会 9 月 10 日 当 会 広 報 委 員 会(2010 年 度 委 員 長: 中田徹丸紅㈱ 広報部長)では、2008 年 度から産業見学会を実施しており、他産 業の生産現場等を見学させていただく とともに、当該企業の広報部隊の方々と 広報活動につき意見・情報交換を行わせ ていただいている。 2010 年度は、電気事業連合会の協力 を得て、9 商社 13 名と当会事務局 2 名の 計 15 名で、青森県六ヶ所村にある日本 早期実現を目指しさまざまな開発研究が 原燃の原子燃料サイクル施設を見学し 行われていた。 た。三沢空港から下北半島方面に向か い、 車で 50 分ほどのところにある。また、 これに先立ち、同じく六ヶ所村にある エネルギーの長期安定供給 原子力発電は、クリーンエネルギーと 日本原子力研究開発機構の国際核融合エ して地球環境問題への対応と相まって世 ネルギー研究センターを見学した。同研 界中で注目されている。現在、先進国の 究センターでは、日本と EU との共同事 みならず、中国、インド、ベトナム等々 業として、核融合エネルギーで発電を行 新興国を中心に数多くの原子力発電所の うためのエネルギーを取り出す原型炉の 建設、計画が進められている。 2010年10月号 No.685 61 貿易会だより 日本では、国内総発電量のうち、約 3 分の1が原子力発電によってつくられ 入貯蔵施設」がそれぞれ操業を開始して いる。 ているが、半分以上は石油など海外から 使用済燃料を再処理する「再処理工 輸入する化石燃料によるものである。化 場」は、目下操業を目指して試験運転が 石燃料の埋蔵量には限りがあることか 進められており、再処理工場で回収され ら、新興国の発展とともに将来に向けて た MOX 粉末を原料に MOX 燃料(プル のエネルギー不足が懸念されている。原 サーマル発電の燃料となる)を製造する 子力発電のエネルギー源も輸入に依存す 「MOX 燃料工場」も建設に向けて取り組 る「天然ウラン資源」である。天然ウラ まれている。この 2 つの工場が完成する ンも世界の需要増に伴い将来の安定供給 とウランの濃縮から再処理、燃料加工、 が懸念されており、商社はその安定確保 廃棄物管理までのサイクルが完結し「準 に向けて鋭意取り組んでいる。 国産エネルギー」の安定供給に大きく近 一方、化石燃料は一度使用すると二度 づくとのことであった。 と燃料として利用することはできない が、ウラン燃料は 3 ~ 4 年間の燃焼後、 原子燃料サイクルへの理解 さらに再処理して繰り返し利用できるこ 日本原燃では、このサイクル施設を紹 とから、準国産エネルギーとして期待さ 介する「六ヶ所原燃 PR センター」を設 れている。 けている。案内スタッフの方から、大き 現在、この再処理は 40 年以上の実績 な施設模型や映像、パネルを用いてサイ を誇るフランス、英国に委託されている クルすべての工程を説明いただける。普 が、日本では日本原燃が主体となり青森 段なじみの薄い難しい分野にもかかわら 県六ヶ所村において「原子燃料サイクル ず、スタッフの方の説明が大変うまく分 施設」の建設、操業が進められていると かりやすい。 ころである。 原子力・放射線の説明コーナーもある。 再処理工場に対して、原子力発電所と同 日本で唯一の原子燃料サイクル施設 六ヶ所村の原子燃料サイクル施設は、 様に放出される放射能(放射性物質の量) を心配される方も多いであろう。しかし、 ①原子力発電の燃料となる天然ウランを 再処理工場の放射性物質は、もともと自 遠心分離法で濃縮する「ウラン濃縮工 然界にも存在し、人体や農産物、海産物 場」 、②原子力発電所で発生した低レベ 中に蓄積しない物質や、すでに人体に存 ルの放射性廃棄物を埋設する「低レベル 在していて新陳代謝により対外へ排出さ 放射性廃棄物埋設センター」、③再処理 れる物質だそうだ。われわれは日常生活 の海外委託に伴い返還されるガラス固化 においても、また自然界からも放射線を 体を自然冷却のために 30 ~ 50 年間一時 受けており、工場から放出される放射性 貯蔵する「高レベル放射性廃棄物貯蔵管 物質による人体の影響(約 0.022 ミリシー 理センター」 、そして④「使用済燃料受 ベルト/年間)は極めて小さいそうだ(例 62 日本貿易会 月報 貿易会だより えば、全国で自然放射線が一番低い神奈 ティ全般にわたり、六ヶ所の原子燃料サ 川県でも約 0.4 ミリシーベルト/年間)。 イクル施設の安全性がより強化、担保さ また、再処理工場で取り出されたプル れていることがよく理解できた。 トニウムの核兵器への転用に懸念を持つ 紙幅の都合上、詳細をご紹介すること 方もいるかと思うが、六ヶ所再処理工場 はできないが、原子力発電事業、原子燃 には IAEA(国際原子力機関)の職員が 料サイクル事業の必要性、安全性などを 24 時間体制で常駐し、厳格な確認と監 含めて現状をよく理解することは非常に 視が行われていた。さらにリアルタイム 大事であり、この素晴らしい原燃 PR セ で確認ができる最新システムが作業工程 ンターはより身近なところにあってもよ の中に導入されているとのこと。日本が いのではないかと感じた次第である。 このような監視を受けていたことに非常 に驚いたが、外国の監視が入ることで、 今回、お世話になりました皆さまに誌 面を借りて深謝申し上げます。 転用・流出はもとよりそのほかセキュリ (広報グループ) 駐日カナダ大使による槍田会長への表敬訪問 9 月 16 日 9月16日、駐日カナダ大使館のジョナサ ン T. フリード大使が、槍田会長を表敬訪 問された。 懇談においては、日本の最近の政治・ 経済・金融情勢および日本とカナダの貿易・ 投資面の一層の拡大等について意見交換 が行われた。 フリード大使からは、カナダは豊富な資 源を持ち、従来から、日本と貿易面で結 び付きが強いこと、また、日本はカナダに とって重要な市場であり、日本カナダ経済 中で日本も迅速な対応が必要であることな 連携協定(EPA)の早期締結など、経済 どを述べた。日本カナダ EPAに関しては、 界の側面的支援を含めた一層の経済交流 農業問題などセンシティブな問題があるも 拡大などへの期待が述べられた。 のの、2 国間の官民の対話等を通じて、経 槍田会長からは、日本とカナダの良好な 経済関係について述べるとともに、日本は 国際競争力のさらなる強化が必要であるこ と、世界で経済連携の流れが加速している 済界としても協力していくことなどを述べた。 なお、事務局からは西川国際グループ 部長ほかが同席した。 (国際グループ) 2010年10月号 No.685 63
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