ほとんどの国がやめた核燃料サイクルを続ける日本

2015年1月13日
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古賀茂明と日本再生を考えるメールマガジン Vol.115
動画版書き起こしから、抜粋で。
(動画版第 23 回
2014 年 12 月 22 日収録
26 日配信)
●ほとんどの国が辞めた核燃料サイクルを続ける日本
古賀:
とりあえず選挙が終わった直後にいくつかいろんな動きが出ているのでそれを確認しなが
ら、やっぱりねということを申し上げておきたいんですけれども、1 つは原発関連ですね。
大間原発ですね。
これは J-POWER という、大手電力会社とは別で大手電力会社なんかも出資をしている発電
ばかりやって卸売をして、それを電力会社が買っているわけですけれども、そういう会社
が今、新しく初めて青森県の大間に原発をつくるんですが、建設はもともとの計画があっ
て建設に着工したばかりというような感じの原発がありまして、この建築を進めていくに
あたって新しい規制基準の審査を受けなきゃいけないということなんですけれども大間原
発はいろんな活断層の問題があってなかなか難しいといわれていますし、函館市が 30 キロ
圏内なんですけれども、30 キロ圏市の函館市が反対をして、差し止め訴訟まで起こしてい
る。規制基準に適合しているかどうか、その申請を規制委員会にしますよというので 15 日、
選挙が終わって余韻さめやらぬうちにいきなり発表しまして、翌日 16 日には正式申請をし
ました。
この大間の原発はいわゆるフル MOX 燃料を使うということなんですね。普通の原発はウラ
ン燃料を使うんですけれども、それを燃やしますとプルトニウムができるんですね。これ
を今の計画では六ヶ所村にあります再処理工場というところにその使用済み核燃料を持っ
ていってプルトニウムを抽出して濃度を高める。その濃度を高めたプルトニウムを混ぜた
燃料を MOX 燃料というんですけれども、要するにその原発をつくるということは MOX 燃料
を絶えず供給し続けるということが前提になりますので、そうすると六ヶ所村の再処理工
場というのは絶対にやめられないということになります。
しかも実はその再処理というのはそれで終わりじゃなくて、もんじゅという高速増殖炉と
いうのにつながっていまして、この高速増殖炉というのは一種の原発なんですけれどもプ
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ルトニウムを燃やすと燃やした以上にまたプルトニウムができるという夢のエネルギーと
いわれているんですけれども、そういう計画があります。これは過去何十年もやっていま
して、いくらお金をかけてもできない。失敗に失敗を重ねて金食い虫になっちゃって、今
はまた、いろんな事故で止まっちゃってるんですけれども、これがあって初めて再処理と
いうか、核燃料サイクルというものが全体として完成するんですが、実はこの高速増殖炉
というのは先進国はほとんどみんなやめてしまったもので日本は引き続きやっているんで
すけどたぶん無理だろうといわれているものであります。
しかし政府としてはこれをギブアップしないという方針でやっているので再処理ももちろ
ん引き続きやるということで全体の核燃料サイクルのプロジェクトを維持するという、あ
る意味、宣言と言ってもいいような申請が行われたというのが 1 つあります。
●40 年を超える原発の再稼動宣言
古賀:
それと時を同じくしまして関西電力の福井県の高浜原発というのがあるんですが 30 年以上
過ぎて老朽化して危ないんじゃないかということがいわれて、今はもちろん止まっている
んですけれども、これを動かしたいと。今の新しい原発の規制では原発の耐用年数は原則
40 年である。原則ということで例外というのはもちろん法律上、認めているんですけれど
も民主党時代はその例外というのはほとんどないですよというような説明をしていたんで
すが、今回、初めて 40 年を超える運転をしたいという動きが出たわけですね。
それは何かというと 40 年を超える場合は普通の原発の再稼働とは別に特別点検と。例えば
原子炉の材料が劣化していないかとか、いろいろ普段の点検ではやらないような点検まで
特別にやらなきゃいけない。万一、ちょっとでも不具合があればそれを全部直していく。
あるいはいろんな補強をするという投資をしていかなきゃいけないという点検なんですけ
れども、したがってそれをやるということはもちろん 40 年を超えて動かしたいと。40 年
を超えて動かす場合は最大 60 年まで延ばせるんですけれども、おそらく関西電力としては
もちろん 60 年を狙って動かそうという動きだと思います。それをマスコミに特別点検をや
ってますということでその模様を公開をしました。一種の宣言みたいなものですね。
もちろんまだ申請に至るだけの検査はちゃんとしていないのでこれからなんですけれども、
そういう動きがあって、さらに木曜日だったですか、先週、同じ関西電力の高浜原発の 3、
4 号機ですが、これはもうちょっと新しいんですけれどもそれについて再稼働の審査をずっ
と受けていたんですけれども審査書案というのが原子力規制委員会から公表されたと。事
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実上、合格したというふうに受けとめられるものです。ですから川内原発がこの間、再稼
働のお墨付きを得て地元の同意も得て、まだ検査が 2 段階残るんですけれども冬のうちに
再稼働できるんじゃないかという見通しになっているんですが、この高浜 3、4 号機につい
てもこれが出たことで春には再稼働できるだろうということになっています。
これが非常に象徴的なのは選挙が終わった翌日から 1 週間の間にこれだけの動きがあった
ということで逆に言えば選挙の前はおとなしくしていてねということを政府側と打ち合わ
せながらうまくやってきたと。経産省がもちろんこういうことは差配するんですけれども
経産省がこれらの電力会社と非常に密接に打ち合わせをしているし、規制委員会にも大量
の出向者がいますので、そこで調整しながらうまくやっているということだろうと思いま
す。
以上
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