堆砂特性と測量調査 - ダム水源地ネット

講 座
「ダム貯水池における堆砂測量」第1 回
堆砂特性と測量調査
末次 忠司**
瀬戸 楠美**
1. はじめに
これらの堆積層毎にその形成・発達プロセスを示す。
ダム貯水池運用に当たっての課題は、堆砂、濁水、水
質、冷水などである。濁水・水質・冷水は河川水の利用や
〈前部・頂部堆積層〉
●
デルタの堆砂高は湛水位により決まり、デルタの発達
貯水池及び下流河川の環境に影響を及ぼす場合がある一方、
パターンは貯水池幅、デルタの堆砂高、洪水規模によ
堆砂はこれらに加えてダムの洪水調節機能等の低下を引き
り異なる。貯水池への土砂流入により堆砂デルタは前
起こす場合がある。このうち堆砂に関する課題は、貯水池
進するが、大出水時には堆砂高の上昇・背砂も生じ
における堆砂状況を十分把握し、必要に応じて排砂対策に
る。例えば、A ダムでは平均年堆砂量の9 倍以上の約
ついて検討することが大切である。
280 万 m 3 が堆積した。堆積に伴って、デルタが約
本講座は、3 回シリーズの予定で、ダム貯水池における
240m 前進した(前部堆積層)ほか、堆砂高が平均4m
堆砂プロセス、堆砂特性を踏まえたうえで、堆砂量・堆砂
形状の調査のための堆砂測量手法について述べる。各測量
上昇し、背砂も約2 ㎞遡上した(頂部堆積層)
。
●
デルタ前進の定性的な履歴は、デルタ内のシルト・粘
手法については、特徴及び得失などを記述するとともに、
土層(深度の深いボーリングデータ)である程度推定
最新の手法の紹介を行う予定である。
できる。
2. 堆砂プロセスと堆砂特性
堆砂による土砂の流動停止
堆砂が進行すると堆砂デルタが形成される。堆砂デルタ
は、ダム堤体に近い方から前部・頂部堆積層に分類される。
堆砂デルタの形成
デルタ下流側には底部堆積層があり、緩やかな勾配でシル
ト・粘土により構成される。前部堆積層は急勾配で主たる
成分である砂の表面をシルト・粘土が覆っている。頂部堆
積層は急勾配のものと緩勾配のものがあり、主として砂で
構成されているが、下流側の底部などにはシルト・粘土、
堆砂デルタの前進
(前部堆積層)
上流側の表層には礫成分が見られる。
ダム
堤体
頂部堆積層
前部堆積層
堆砂高の上昇・背砂
(頂部堆積層)
図− 2 前部・頂部堆積層の発達プロセス
〈底部堆積層〉
●
捕捉された、又は底層を流動してきた細粒土砂は、河
床高の低い箇所から堆積する。すなわち、底部堆積層
底部堆積層
元河床
では堆砂高の横断的な変化が少ない。
堆砂デルタ
●
貯水池回転率が小さいダム(10 以下)ほど、温度成層
に伴う密度流が発生して細粒土砂が底部堆積層に運搬
されやすい。発電ダムは貯水池回転率が大きく、密度
図− 1 堆積層の分類図
流が発生しにくい場合が多い。
リザバー 2007.12
15
変動が大きく、大出水時に大量の土砂が堆積している(出
水深の大きな湛水が
細粒土砂を捕捉
密度流の発生
水堆砂型)
。なお、図中の堆砂率は計画堆砂容量に対する
堆砂量を表している。
細粒土砂が底層を流動
*堆砂速度=(堆砂量/計画堆砂容量)×100 /供用年数
初期堆砂型ダムとして、供用開始2 年で78 %堆砂したダ
ムや出水堆砂型ダムとして、1 年で50 ∼60 %堆砂したダム
がある。
沈降して堆積(底部堆積層)
150
140
図− 3 底部堆積層の発達プロセス
130
120
110
土交通省(以下、国交省)直轄・水資源機構管理のダムに見ら
れる代表的な堆砂特性(形状と位置)は、以下の通りである。
●
デルタの前面勾配は、非常に急勾配である。
●
デルタの肩は、規模の大きな田瀬ダム(北上川水系)
Bダム
計画堆砂容量
100
堆砂率(%)
堆砂が進行したダムでは明確なデルタが形成される。国
供用開始直後に堆砂
90
Cダム
80
70
計画
60
50
40
30
20
10
などでは、ダム堤体より8 ∼9km の位置にあるが、特
0
0
5
10
15
20
に貯水池規模が大きくないダムでは、1 ∼3km の地点
の影響が懸念される。
●
デルタ上面勾配は、元河床勾配×(1/4 ∼2/3)程度で
堆砂率(%)
デルタの肩より上流側は、堆砂高の変動が大きい。
ある。
ダム
堤体
1∼3km
1∼3km
堆砂高5m
肩(1/4∼2/3)
30
35
40
45
50
55
60
〈初期堆砂型〉
に位置しており、今後デルタの前進に伴い、取水等へ
●
25
経過年数
200
190
180
170
160
150
140
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
-10
-20
元河床
Bダム
Aダム
計画
0
10
20
30
40
50
60
経過年数
〈出水堆砂型〉
底
図− 5 堆砂の進行状況図
底部堆積層
前部堆積層
頂部堆積層
堆砂形状に関する特性をまとめると、以下の通りである。
*縦:横=40:1
●
図− 4
代表的な堆砂デルタ地形
堆砂速度が速いダムは、供用開始直後又は大出水
時に堆砂したダムである。
●
底部堆積層の堆砂高は、横断的変化が少ない。
●
デルタの前面勾配は、非常に急である。
堆砂速度 が1 %/年以下で計画堆砂よりも堆砂が遅い
●
デルタの肩より上流側の堆砂高は、変動が大きい。
ダムでは、堆砂速度は一定の場合が多いが、供用開始直後
●
堆砂(特に砂)の大部分を占める堆砂高5m 以上の
3. 堆砂の時間的推移
*
に大量に堆砂したダム(初期堆砂型)や地震により堆砂した
ダムでは、堆砂速度が変動する。堆砂量が多いダムは特に
16
リザバー 2007.12
区間は、1 ∼3km が多い(後述)
。
講 座
4. 堆砂対策の動向
多目的ダムの計画堆砂容量は、100 年分の堆砂量を対象
隔は200m、測定間隔は5m 以下である。
●
に設定されている場合が多い。これは、元はダム設計にお
に大きな変化がない場合、国交省所管のダムは1回/2年、
いて、堤体に作用する堆泥圧算定のために設定されたもの
で、計画論としては1957 年の河川砂防技術基準(案)に初
測定頻度は、通常は1回/年であるが、ダムの堆砂状況
利水ダムは1回/3年測定する。
●
測定範囲は、
「ダムの堆砂状況の報告について」
(2001
めて明記された。この計画堆砂容量を上回るまでの年数は
年の国交省河川環境課長通知)のフローチャートに示
早いダムで10 ∼20 年程度のものもあり、そのようなダム
されているが、貯水池全測線の場合、貯水池上流部の
では掘削・排砂による早期の治水・利水機能回復が必要で
場合など、国交省所管ダムで2 パターン、利水ダムで
ある。
3 パターンが示されている。
従前機能回復のための堆砂対策は、浚渫・掘削といった
●
堆砂測量区間で、土石採取又は掘削・浚渫が行われて
貯水池の維持管理的な対策が多かったが、ここ30 年来、さ
いる場合は、実質的な堆砂量を把握するため、採取量
らに積極的な排砂対策も事業化されてきている。
の調査もあわせて行う。
堆砂測量にあたっての留意点は、このほかに底部堆
●
貯水池保全事業(1979 年度より):貯砂ダム、土砂搬
出路の設置(当初は、建設省のダムが対象)
。
積層を除くデルタ先端(底)から厚さ5m の堆積層まで
●
特定ダム堆砂排除事業(ダムリフレッシュ事業 1987 年
の距離は1 ∼3km が多いので、この区間の断面間隔は
度より):土砂の掘削、恒久的排砂施設の設置。
もっと細かく測量する方が良い。
直轄河川等災害復旧事業の採択基準および公共土木施
例えば、横断測量の断面間隔は原則 400m である
設災害復旧事業費国庫負担法事務取扱要綱の改正
が、デルタ肩付近など、凸部形状の区間では断面間隔
(1992 年度より):洪水等により計画を上回る土砂が
が広いと堆砂量が少なく評価される。A ダムにおい
流入し、洪水調節容量内の堆砂量が一定規模以上に
て、近年堆砂高に変化が見られた区間(概ね肩のやや
なった場合、災害復旧事業として容量内の堆砂を排除
下流∼堆砂上流端)を断面間隔400m と200m で比較
できる。
すると、400m 間隔の方が堆砂量が約6 %少なく算定
●
された。
5. 堆砂量の測量調査
堆砂量は全てのダムで調査されているわけではなく、以
下に示すように時代とともに対象ダムが拡大され、現在で
* 財団法人 ダム水源地環境整備センター 研究第一部長
**
同 研究第一部 主任研究員
は約1,000 ダムにおいて調査が実施されている。
●
1967 年より多目的ダムと一部の利水ダム等を対象に堆
砂量を調査・報告。
●
1982 年より総貯水容量100 万m3 以上の全ダムを対象
に、堆砂量を調査・報告(国交省の事務連絡)
。
ここにいう堆砂量とは、ダム建設時の貯水池基盤と
常時満水位の部分に貯まった土砂体積である。
堆砂量に関する測量調査項目・内容は、
「ダムの堆
砂状況調査要領(案)
」
(2005 年の国交省事務連絡)に定
められている。その要点は、以下の通りである。
●
横断測量の断面間隔は、貯水池内では原則として
400m、測定間隔は20m 以下である。また、貯水池末
端から流入河川の堆砂影響範囲の終端部までの断面間
リザバー 2007.12
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講 座
「ダム貯水池における堆砂測量」第2 回
堆砂測量手法の概要とその得失
末次 忠司**
坂本 辰哉**
1. 堆砂測量手法の分類
音響測深法は、測量船の下に取り付けた発信機からの音
前回の講座で指摘したように、ダム貯水池において堆砂
波が湖底で反射して、受信機で受信するまでの時間に水中
が進行すると、堆砂デルタが発達しダムの機能が低下する
音速を乗じて水深を求める方法である。水中音速は通常
ため、堆砂状況を測量により把握することは重要である。
1,500m/s であるが、水深に伴う水温や密度によって変化
堆砂デルタは、河床高が高くなる貯水池上流において堆砂
するため、水深に対して補正する必要がある。
高が高くなるため、ある区間から上流で堆砂が水面上に発
生する。こうした陸上部では、一般的な水準測量やレー
*1
音響測深法には、船の直下に向けて音波を送信し、測線
(横断)に沿って測深するシングルビームソナー(以下、
ザープロファイラー測量 が行われる。一方、堆砂高が小
SB)測量と、船の前後・左右方向へ音波を細かく送信し、
さい水中部ではその特殊性からいくつかの手法があり、測
平面的に測深データが得られるナローマルチビームソナー
量船による横断測量、重錘法、音響測深法がある(図-1)
。
(以下、NMB)測量がある。SB 測量は従来からの方法であ
り、NMB 測量は計測器類の小型化により近年多く用いら
水準測量
れている。
陸上部
レーザープロファイラー測量
2. 音響測深法の概要と得失
横断測量
水中部
2.1 ナローマルチビームソナー(NMB)測量
重錘法(レッド測量)
シングルビームソナー測量(SB)
音響測深法
ナローマルチビームソナー測量(NMB)
図− 1 ダム堆砂測量手法の分類
NMB 測量は、船にとりつけたソナーから扇状(2 θ)に
発射した超音波ビーム(240 ∼455kHz の周波数)の反射を
受信して、水深の2∼4倍程度(2 h tan θ)の範囲を測量
する方法である。
NMB 測量に用いられるソナーは、元々潜水艦の先端に
このうち、音響測深法が数多く用いられているが、測量
取り付けられたソナーであったが、阪神・淡路大震災
船を貯水池へ入れられない場合、ボートで横断測量や重錘
(1995)の港湾護岸の崩落調査以降、海岸やダムにおいても
法が行われる。また、水深が浅い場合は、直接標尺やロッ
用いられるようになった。単にマルチビームと呼ぶ場合も
ドで測深する。
ある。
重錘法は、錘が湖底に着底した時のワイヤーの長さから
測深精度は5 ∼10cm 程度である。測量はダム貯水池の
水深を測線に沿って測定する測量である。この方法は、水
上下流方向に行い、隣接測線の測量範囲と20%程度重ね合
深が深い場合のワイヤーの湾曲、錘が湖底堆泥中へ沈下し
わせるが、水深が浅い場合は測線間距離を短くする必要が
た場合の、水深が大きめな(堆砂厚が小さめに)測定、観測
ある。なお、測量船の位置を測位するため、GPS 測位機*2、
者の人為的誤差などがある。特に、斜面部の測量ではワイ
ジャイロコンパス・動揺センサー(船の揺れを補正)を併せ
ヤーの鉛直性を保つことが難しく、音響測深法と比較して
て用いる。
測定精度が落ちる。
* 1 航空機などから地表に向けてレーザーを照射し、その反射より地
表高度情報を高精度に取得できる測量手法である
* 2 GPS の代わりにトータルステーション(TS)による方法もよく用い
られる。この方法は水際や測線上に TS を設置して距離を測定す
るものであるが、TS の誘導者や操船者の技術により測定精度は
変わってくる
リザバー 2008.3
15
測深データ
ナローマルチビーム
航跡図
測量船の
測位データ
RTK-GPS*4
測量船の
動揺データ
ロール、ピッチ、ヒーブ
各種データ収録
データ点検・ノイズ除去
測量船の
船首方向データ
ジャイロコンパス
音速度データ
水位データ
データのソーティング
データのメッシュ化
地形モデリング
図− 2 ナローマルチビームによる測深の概念図
斜ビームの水深は送受信センサーの傾きや方向の影響に
等高線図、横断面図
縦断面図、鳥瞰図
図− 3 ナローマルチビームのデータ解析フロー図
より誤差が発生するので、動揺センサーや方位センサーを
同期させて、水深と位置の補正を行う。動揺センサーは船
2.2 シングルビームソナー(SB)測量
のロール、ピッチ、ヒーブ補正を行うもので、その定義及
SB 測量は、船の直下(狭いビーム範囲)
を超音波ビームに
び水深誤差は表-1のとおりである。斜面部に対してソ
より測深する方式で、船の動揺等により直接受ける影響は非
ナーヘッドを船に斜めに取り付けると、より立体的に地形
常に小さく、動揺・方位の補正を行う必要はない。測深精度
を把握することができる。なお、水深誤差の他に位置の偏
は水深h(m)
により異なり、
(3 +h/10)cm 以内である。測深
位誤差があるが、ここでは説明を省略している。
では照射範囲の最浅部を水深として採用するため、発信音
表− 1 船の動揺の種類と水深誤差
定 義
水深誤差(水深50mの場合)
ロール
進行方向に直角な揺れ
1∼16cm(スワス角*3による)
(横揺れ)
ピッチ
進行方向の揺れ
(縦揺れ)
ヒーブ
鉛直方向の揺れ
(上下揺)
0.1cm以下
波の入射角・指向角が大きいほど*5、凹凸の大きな地形や斜
面部では実水深よりも浅く測量される(図-4)
。
音速度の改正、機器誤差の補正はバーチェック法(水中
に吊り下げた反射板からの反射信号の記録と深度が合致す
る音波伝搬速度を決定)により行う。
ヒーブ振幅の5%又は5cmの大きい方
(水深によらない)
水深を求める際に用いる音速度は、音速度計に内蔵され
た水圧センサー等により補正した値を用いる。また、測量
データには、船の気泡、浮泥・浮遊物の乱反射などにより生
じるノイズが含まれるため、データをチェックして除去す
シングルビームの結果(解)
NMBの結果(解)
シングルビームの測深値
NMBの測深値
る必要がある。地形のモデリングでは、測量された3次元
真位置
座標を用いて三角形地形(TIN)モデルを作成してから等
深線図等を作成する。モデリング手法には、他にIDW(逆
距離加重法)などの重み付け内挿法もある。
16
図− 4 斜面部における計測水深の違い
NMB測深では、水深を計画測線に近接するメッシュデー
このように、NMB 等により取得されたデジタルデータ
タから距離重量配分により求めるため、ほぼ計画線上の水
は、図-3に示すフローに従って解析され、等高線等の地
深が得られるが、SB 測深ではGPS 等によって所定の精度
形情報が得られる。
で位置測定したとしても、等高線が測線に対して斜めに交
* 3 スワス角とは、ビームによる測深全角で、指向角 ×ビーム本数で
表される
* 4 D-GPSが 1 ∼ 2m精度であるのに対して、RTK-GPSは10cm 精度である
* 5 NMBは指向角が細く
(0.5 ∼ 1.5 °
)
、入射角が 90 °
に近いと、測定精度
は高い
リザバー 2008.3
講 座
わる場合は、位置の偏位により水深も大きく異なることに
以上より、測深精度、測深日数、コストなどに関して、
SB とNMB の得失を比較すると、表-2のようになる。な
注意する。
なお、SB ソナー測量はNMB ソナー測量より安価であ
お、表中で有利な項目は太文字にしている。
るが、横断方向の測量を繰り返しながら移動するため、多
くの日数と人員を要する欠点がある。
3. 測量データに基づく堆砂量の算定
2.3 ナローマルチビームとシングルビームによる違い
測量データより直接求められるのは水深で、水深に基づ
ナローマルチビーム(NMB)とシングルビーム(SB)の
く水容量より堆砂量を求めたり、水位から求めた堆砂面の
大きな違いは、ビームの照射範囲から生じる計測範囲の違
標高より堆砂量を求める必要がある。具体的には、測線の
いであり、その違いを補うためにSB では多くの測量日数
断面の変化から求める平均断面法と面的な変化から求める
を要する。測深精度は水深・地形等により異なるが、面的
メッシュ法がある。
に情報を取得できるNMB の方が SB より高精度である。
測線から求める平均断面法は、断面形のデータがあれば
両手法による測量結果の違いを、SB による6測線上の測
算定可能で、多くのダムで採用されている。断面積、断面
量結果と、NMB による面的な測量結果で比較すると、SB
間の堆砂形状の変化により実際の堆砂量と異なる場合に
では測線間の地形変化が十分反映されず、測線間の距離が
は、各区間毎の水容量比率(湛水ボリュームの割合)で補
ある場合、かなり粗い地形図(測量結果)となることが分
正すれば、メッシュ法の精度と遜色ない結果となる。
一方、水深の面的データから堆砂量を求めるメッシュ法
かる(図-5)
。
は、メッシュの大きさにより影響を受けるが、メッシュの
大きさが5m 以下であれば差異はほとんどない。A ダムで
両手法により比較した結果を見ると、差異は2 ∼5%程度
で、特に断面積が変動する区間は差異が大きい結果となっ
ている。
【謝辞】
図− 5 ナローマルチビーム(左)とシングルビーム(右)
による測量結果
表− 2 SB と NMB の得失比較表
シングルビーム
ナローマルチ
ビーム
測深精度
・特に斜面部の測深精度
・等高線が測線と斜めに
交差する場合
3+h/10cm
低い
低い
5∼10cm
高い
高い
斜め方向の測深
動揺・方位の補正
水源地土砂対策技術研究会(土砂研)」の植木光夫技術委員
長と(株)アーク・ジオ・サポート(AGS)の山本寛行部長
項 目
測深日数
測深コスト
今回の講座執筆に当たっては、有限責任中間法人「ダム
に種々の情報を教えていただくとともに、資料を提供して
いただいた。ここに紙面を借りて謝意を表します。
<参考:英語名の略語の正式名称>
SB :Single Beam
長い
安い
短い
高い
NMB :Narrow Multi-Beam
不可能
ヒーブ補正
以外は不要
可能
必要
IDW :Inverse Distance Weighted Method
TIN :Triangulated Irregular Network
D-GPS :Differential-Global Positioning System
RTK-GPS :Real Time Kinematics-Global
3次元の面情報の生成
貯水池での用途区分
不可能
可能
狭い区域、湖底面 広い区域、湖底面
変状少ない場合向き 変状多い場合向き
Positioning System
* 財団法人 ダム水源地環境整備センター 研究第一部長
**
同 研究第一部 主任研究員
リザバー 2008.3
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