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断面 A
既存データ整理海域
小浜島
3-1
既存データ整理海域として、西表島から竹富島にかけて 14km×10km の区域のメッシュデータを構築した。また、詳細測
量海域は小浜島南部 2km×2km の区域で、DMC によるステレオマッチングとシングルビーム測深によるデータからメッシュデ
ータを構築した。
既存データ整理海域内の石西礁湖では礁縁から北側海域への礁斜面は断面 A に示すとおり、勾配 1/10 の割合で水深 60m ま
で落ち込み、その後は 1/60 の勾配で緩やかに傾斜している。
詳細海域の特徴としては、区域南側に礁嶺があり、全体的にサンゴによる起伏がある地形である。特に断面 B の追加距離
1000m 以降に代表されるように、区域南東では、水深 5m 以浅の浅瀬から、15m 以深の深場まで混在している。また、区域
北側では断面 C の追加距離 300m 付近のように、突き出しているような地形も多くみられる。しかし、次項以降で述べる他工
区と比べて、礁縁や礁斜面が見られず比較的平坦部が多いのは、石西礁湖という大きなサンゴ礁内の一部であることが要因と
して考えられる。
0m
S
N
-20m
-40m
断面A
-60m
勾配 1/10
勾配 1/60
詳細区域
-80m
0m
400m
800m
1200m
1600m
断面 C
2000m
断面 B
比較断面図
0m
N
S
-4m
-8m
断面B
断面C
-12m
-16m
凡例
-20m
0m
200m
400m
600m
800m
1000m
1200m
1400m
1600m
1800m
―:測量範囲
2000m
―:等深線
(5m ピッチ)
―:等深線
(1m ピッチ)
―:航空写真測量
データ範囲
ortho 画像付鳥瞰図
(俯角 30°東南→北西)
0m
500m
S-1-20
3-2
阿嘉島
2m メッシュ
測量区域は右図に示すとおりマジャノハマとニシハマ前面の約 1km×1.5km の範囲である。マジャ
拡大鳥瞰図
ノハマ周辺と陸域はレーザ搭載画像からの解析データ、沖合は NMB 深浅測量、それらの工種間にあたる
浅海域は RC ボートと VRS 測量により単点測量を行った。
地形の特徴として、現地調査からマジャノハマ・ニシハマともに大小の起伏があり岩礁や造礁サンゴ
群集が確認できた。特にマジャノハマ東側の岬周辺は岩礁地帯で起伏に富んでいる様子が鳥瞰図からも
確認できる。
ニシハマの断面 A をみると、勾配約 1/2 程度のリーフエッジが確認できるが、高低差は 5m 程度と大
きくはない。またマジャノハマの断面 B からは起伏が激しい様子が確認できる。
本区域では航空測量と NMB から得られるメッシュデータ間は、RC ボートや VRS 測量の単点データを密
に取得し kriging 法でモデリングしてメッシュデータを構築した。下図に線形内挿と kriging 法による
モデリング結果を示す。その効果は線形内挿では内挿による筋が目立つ一方、kriging 法を用いること
で、内挿点と周囲の点との空間的自己相関性を考慮することにより、岩礁等の起伏も自然に表現するこ
ニシハマ
とでき再現性の向上が図れた。
比較断面図
陸側
沖合
0m
断面 A
-5m
断面A
断面B
勾配 1/2
-10m
凡例
―:測量範囲
―:標高 0m
-15m
0m
50m
100m
150m
200m
250m
―:等深線(5m ピッチ)
―:等深線(1m ピッチ)
kriging 法
線形内挿
―:航空写真測量データ範囲
―:NMB 測深データ範囲
マジャノハマ
断面 B
0m
250m
S-1-21
恩納
3-3
凡例
測量区域は万座ビーチ前面とその沖合で右図に示すとおりである。
ステレオマッチングで礁原内を計測し、沖合は NMB で測量した。また、礁縁は
―:測量範囲
RC ボート測深、礁原内の比較的水深のある範囲は NMB で測量を行うことで、ステ
―:標高 0m
レオマッチングの補正データとして採用した。
―:等深線(5m ピッチ)
礁原内には干出している岩礁もみられ、水面下にはサンゴの群生も点在している
―:等深線(1m ピッチ)
ことが現地調査から確認できた。礁原内中心付近の水深は 3m 程度で、礁縁は干潮
―:航空写真測量データ範囲
時には干出し砕波帯となっている。
―:NMB 測深データ範囲
断面 A
測量区域東側の沖合の断面 A では二つの段差が確認でき、どちらも勾配約 1/2 で
あり形状が似ている。また、水深 80m 付近にある段差は海水準の低い時代の礁斜
面であった可能性が考えられる。
断面 B は河川水の流入と航路のための浚渫の影響で、礁斜面のような急峻な水
断面 B
深変化はなく、沖合までなだらかに変化している。したがって、外洋からの波浪等
の外力や潮流の流入路の一部になっていて、この地形が礁池内に外洋の影響を与え
ることが考えられる。
SW
NE
0m
-20m
-40m
断面A
-60m
-80m
-100m
0m
100m
200m
300m
400m
500m
SW
NE
0m
-20m
航路
-40m
断面B
-60m
-80m
0m
250m
-100m
0m
200m
400m
600m
800m
1000m
S-1-22
伊江島
3-4
測量範囲は東西方向約 2.9km、南北方向約 3km の右
図に示す海域である。沖合は NMB により面的な計測を行
凡例
い、礁縁付近は VRS 測量、礁原内は RC ボートとステレ
―:測量範囲
オマッチングデータによりメッシュデータを構築した。
―:標高 0m
測量範囲の北~東側と南側の海域で地形が異なるのが大
断面 A
―:等深線(5m ピッチ)
きな特徴である。
―:等深線(1m ピッチ)
北~東側の海域は、砕波帯が ortho 画像から確認でき
―:航空写真測量データ範囲
るように、礁縁が発達していて干出帯が存在し、礁斜面
2m メッシュ
―:NMB 測深データ範囲
では急峻な地形となっている。
拡大鳥瞰図
比較断面図
陸側
沖合
10m
0m
-10m
断面A
断面B
-20m
-30m
勾配
1/2
勾配
1/40
-40m
0m
50m
100m
150m
200m
250m
300m
350m
400m
450m
500m
550m
600m
650m
700m
750m
800m
南側の海域では、海岸線から沖合方向に対して、北~
東側のような干出帯が少なく、なだらかに深くなってい
断面 B
く傾向が等深線から読み取れる。現地調査では、小規模
な岩礁や造礁サンゴ群集が沖合にもみられ、起伏に富ん
だ地形となっている。
礁斜面の特徴を定量的に評価するため勾配を比較する
と、断面 A・B それぞれ約 1/2、1/40 と 20 倍もの差が
ある。また、断面 B には礁池が確認できるが、断面 A
には確認できない。
したがって、北~東側海域では沖合からの波浪等の外
力を礁縁で砕波するのに対し、南側ではなだらかな地形
で礁縁がないことから、礁原内の岩礁や造礁サンゴ群集
自体が外力の影響を受けることが考えられる。
0m
500m
S-1-23