床・基礎改修方法

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(ウ)床・基礎の省エネ改修
床・基礎における省エネ改修は、床面で改修する方法と床下空間を熱的に室内
として扱う基礎断熱工法があります。
床面で改修する方法には、既存床材を撤去して新築時と同様に断熱施工する
方法と既存床材をそのままとして床下にて断熱施工する方法があります。
床下で施工する場合は、狭小な空間での作業になるため、断熱材の搬入、床下
内での作業手順など事前の計画が重要です。
また、現場発泡吹付断熱を床下内で行う場合には、酸欠対策など施工安全性に
十分注意する必要があります。
基礎部で断熱する場合は、床下空間を室内同等の温度環境とみなすため、床
下換気口は塞ぎます。そのため、床下空間内部での湿度管理上、地盤からの水
蒸気侵入に対する措置として地盤防湿が適確に行われていることが求められま
す。
その他、各断熱工法の概要と留意事項を表4.2.3に整理しましたので、
参照してください。
断熱材の厚さは、住宅の種類(構造)、断熱材の施工方法、部位及び地域に
応じて、表4.1.1、表4.1.2の基準値に適合する断熱仕様とするか、
表4.1.5に基づいて断熱材の種類毎の必要厚さを確認した上で決定しま
す。
床充填断熱工法(床下施工):
床下での断熱材施工状況
床吹付断熱工法(床下施工):
床下において現場発泡断熱材
を吹付けた状態。施工安全性
に注意すること
図4.2.1 断熱施工写真(床・基礎)
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表4.2.3 床・基礎断熱改修工法の概要と留意事項
充填断熱工法
内張断熱工法
吹付断熱工法
外張断熱工法
使用断熱材
工法概要
留意点
マット状もしくはボード状の繊維系断
熱材が一般的。発泡プラスチック成形
品及び切断加工品、現場発泡断熱材の
使用も可能。
板状のプラスチック系断熱材の使用が
一般的。
既存床材はそのままとし、床下に潜り
込んで断熱材を根太間、大引間に充填
した後、受け材を設置して断熱材を固
定する。
既存床材を撤去する場合は、新築時と
同様の方法で施工する。
基礎の外側もしくは内側に断熱材を接
着剤、コンクリート釘等により固定す
る。外側施工の場合は、モルタルもし
くは乾式外装材にて仕上げる。
・充填断熱工法の場合、断熱材の落下
防止、垂れ下がり防止のため、押さ
え材などで断熱材を固定すること。
・断熱材と根太、大引との間に隙間が
生じないようにすること。
・白蟻発生の恐れのある地域では、内
張断熱とするほか、防蟻対策を施す
こと。
・床下地盤面の防湿措置が適切である
こと。
・床下の換気口は塞ぐこと。
・床下換気を十分に確保すること。
・床下地盤面の防湿措置が適切である
こと。
・床と外壁、間仕切壁との取合い部の
壁下部には、気流止めを設置するこ
と。
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床改修
1
・床板撤去後、室内側から充填断熱にて改修する。
・床板張り替え。
新規床板
新規防湿層
断熱材(根太間)
新規断熱材
(大引間)
既存根太
床下換気
断熱材受け材
●外壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
●間仕切り壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
工法概要
・畳床を板床に替える、床暖房を設置するなどの床板張り替え工事
に併せて、断熱改修工事を行う方法。
・大引、根太は状況に応じて取り換える。
・断熱材は、マット状あるいはボード状の繊維系断熱材、ボード状
プラスチック系断熱材の使用が一般的。
施工手順
1 既存の床板、取り合い部の巾木、沓摺りを撤去する。
2 マット状の繊維系断熱材を用いる場合は、断熱材受け材を取り
付ける。
3 断熱材を大引間、根太間に隙間が生じないように充填する。ボ
ード状断熱材を用いる場合は、適宜、受け材や金物等を用いて
固定する。
4 床板、その他取合い部の巾木等を取り付ける。
※1 床板張り替え時に巾木、室内ドアの沓摺りなどを取り外すことがある。
※2 住まいながらの工事は、住まい手の日常生活への影響がある。
※3 外壁、及び間仕切壁との取り合い部は、壁内気流を発生させないために気流止めを
設置する。
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床改修
2
・床板はそのままで、床下で吹付断熱にて改修する。
・既存床板そのまま。
既存床板
既存根太
床下換気
新規現場発泡
断熱材
床下にて吹付
●外壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
●間仕切り壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
工法概要
・既存床板はそのままで、断熱改修工事を床下で行う方法。
・断熱材は、現場発泡断熱材を使用する。
施工手順
1 床板の目地等の隙間を気密テープ等により塞ぐ。
2 和室畳床、または床下収納庫などから床下に潜り込み、断熱材
を床板に向けて根太間、大引間に充填するように吹付ける。
3 外壁、間仕切壁取合い部には、気流止めを設置する。
※1 外壁、及び間仕切壁との取り合い部は、壁内気流を発生させないために気流止めを
設置する。
※2 床板目地等の突き付け部から室内側に断熱材がはみ出さないように隙間処理をする
こと。
※3 床下に潜り込むための侵入口を確保すること。
※4 床下内で仰向けになっての作業となるため、十分な作業スペースが確保できるか確
認すること。また、施工安全性に十分注意すること。
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床改修
3
・床板はそのままで、床下で充填断熱にて改修する。
・既存床板そのまま。
既存床板
既存根太
断熱材
断熱材受け材
床下換気
●外壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
●間仕切り壁との取合い部
床下と壁内との間で空気が流れない
ように“気流止め”の設置が必要
工法概要
・既存床板はそのままで、断熱改修工事を床下で行う方法。
・断熱材は、マット状、ボード状の繊維系断熱材の使用が一般的。
一般的に発泡プラスチック系断熱材は床下内での作業がおこない
にくい。
施工手順
1 断熱材は、根太間、大引間寸法に合わせて床下搬入前に切断加
工しておく。
2 和室畳床、または床下収納庫などから床下に潜り込み、断熱材
を搬入する。
3 断熱材を根太間、大引間にはめ込み、受け材固定までの脱落防
止のために釘等で仮止めする。
4 断熱材受け材を設置する。
5 外壁、間仕切壁取合い部には、気流止めを設置する。
※1 外壁、及び間仕切壁との取り合い部は、壁内気流を発生させないために気流止めを
設置する。
※2 床下に潜り込むための侵入口を確保すること。
※3 床下内で仰向けになっての作業となるため、十分な作業スペースが確保できるか確
認すること。
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基礎改修
1
・基礎の内側に断熱材を貼付ける。
・床下で施工。
既存床断熱材撤去
*外周だけでなく、折り返し断熱
(間仕切り基礎取合部)も行う。
断熱材
断熱材
折り返し断熱の目安
Ⅰ地域:900mm
Ⅱ、Ⅲ地域:600mm
Ⅳ、Ⅴ地域:450mm
地盤防湿措置
(土間コンなど)
*土間外周部も断熱することが、
望ましい。
工法概要
・内外装工事を伴わずに床下に潜っての断熱改修工事。床板、根
太、大引を撤去する床工事を伴う場合は、施工しやすい。
・断熱材は、ボード状プラスチック断熱材の使用が一般的。
施工手順
1 断熱材は基礎の内側に接着剤で貼り付けるか、コンクリート釘
で留めつける。
2 折り返し断熱も同様に施工する。土間外周部もできれば施工す
ることが望ましい。
※1 地盤面防湿が不十分な場合は床下結露の危険性があるため注意が必要である。本工
法は、地盤面防湿が適切に行われていることを確認した上で採用すること。
※2 シロアリ害の危険性のある地域では防蟻対策が必要。採用できないこともあるため、
事前に十分検討すること。
※3 床を撤去しない場合は、床下内での施工スペースが十分にあるか事前に確認する。
※4 床下の換気口は塞ぐ。
※5 防蟻対策を行う場合、床下空間は室内となるため防蟻剤が飛散しないように防蟻処
理済み木材を使用する。防蟻処理剤入り断熱材を使用する場合は薬剤の飛散がない
かメーカーに確認する。
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基礎改修
2
・基礎の外側に断熱材を貼付ける。
・屋外での施工。
断熱材
既存床断熱材撤去
断熱材は、
基礎底盤まで
施工する。
地盤防湿措置
(土間コンなど)
工法概要
・居住スペースに関係なく屋外工事だけで断熱改修工事を行う方
法。
・断熱材は、ボード状プラスチック断熱材の使用が一般的。ボード
状繊維系断熱材の使用も可能。
施工手順
1 基礎フーチングまで土を削り取る。
2 断熱材は接着剤で貼り付けるか、コンクリート釘で留めつけ
る。
3 モルタル塗り仕上げ、もしくは乾式外装材にて外装仕上げをし
た後、土を埋め戻す。モルタル塗りに際しては、メタルラス等
を必要とする場合がある。
※1 地盤面防湿が不十分な場合は床下結露の危険性があるため注意が必要である。本工
法は、地盤面防湿が適切に行われていることを確認した上で採用すること。
※2 床下の換気口は塞ぐ。
※3 シロアリ害の危険性のある地域では防蟻対策が必要。採用できないこともあるため、
事前に十分検討すること。
※4 防蟻対策を行う場合、床下空間は室内となるため防蟻剤が飛散しないように防蟻処
理済み木材を使用する。
※5 防蟻対策の前に、断熱材と基礎との隙間が蟻道とならないように十分に密着させる
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