原 著 硬膜外膿瘍を合併したムコーズス中耳炎例

小児耳 2012; 33(3): 288293
原
著
硬膜外膿瘍を合併したムコーズス中耳炎例
橘
智 靖1),高 橋 和 也2),清 水 洋 治2),小河原悠哉1),松 山 祐 子1),
阿部
郁1),深 澤 元 晴3),西 o 和 則4)
1) 姫路赤十字病院耳鼻咽喉科
2) 姫路赤十字病院脳神経外科
3) ふかざわ耳鼻咽喉科クリニック
4) 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科学
抗菌薬が開発されて以降耳性頭蓋内合併症は激減したが,抗菌薬乱用による耐性菌の出現
のため近年報告がみられるようになってきた。今回我々は硬膜外膿瘍を合併したムコーズス
中耳炎を経験した。症例は 5 歳,男児。左急性中耳炎にて近医で CDTR-PI を処方された
が,その後左耳後部に膿瘍形成が疑われ当科を紹介受診となった。左鼓膜に白濁,膨隆を認
めた。また左耳後部皮下に腫脹を触知した。頭部造影 CT にて左後頭蓋窩に膿瘍像を認めた。
PAPM/BP の投与を開始し,硬膜外ドレナージ術,左乳突削開術,左鼓膜換気チューブ留置
術を施行した。細菌培養検査にてムコイド型肺炎球菌が検出された。術後の経過は良好で,
中耳炎の再燃を認めていない。本邦では特にセフェム系抗菌薬の多用によってムコーズス中
耳炎が再興してきた。ムコーズス中耳炎においては適切な抗菌薬の選択,排膿処置が重要と
考えた。
キーワード耳性頭蓋内合併症,ムコイド型肺炎球菌,硬膜外膿瘍
症
初診時所見左鼓膜全体は白濁し光錐は消失し
例
ていた。鼓膜後上部には膨隆を認めた。また左
患者5 歳,男児
耳後部皮下には波動を伴う腫脹を触知した(図
主訴左耳痛,左耳後部の腫脹
1 )。右鼓膜に明らかな異常所見は認めなかっ
既往歴急性中耳炎の治療歴なし,その他特記
た。体温37.3°
C,脳神経学的には明らかな異常
事項なし
を認めず,髄膜刺激症状も認めなかった。左鼓
保育園の通園歴3 歳時よりあり
膜の前下象限を切開したところ大量の粘調な膿
現病歴2011年11月40°
Cの発熱を認め,2 日後
汁が噴出した。
には左耳痛を自覚したため近医耳鼻咽喉科を受
検査所見頭部造影 CT では左後頭蓋窩に周囲
診した。左急性中耳炎として抗菌薬( CDTR-
がリング状に増強され,内部に隔壁を伴う膿瘍
PI 9 mg/kg/日)を 5 日間処方されたが,再診
像を認めた。耳後部皮下にも同様の膿瘍形成像
時に左耳後部に膿瘍形成が疑われたため同日当
を認めた。側頭骨 CT では,左中耳腔から乳突
科を紹介され受診した。
蜂巣にかけて軟部陰影が充満していた。硬膜外
姫路赤十字病院耳鼻咽喉科(〒6708540
( 288 )
兵庫県姫路市下手野 1 丁目12番 1 号)
― 80 ―
硬膜外膿瘍を合併したムコーズス中耳炎例
小児耳 2012; 33(3)
図 局所所見
左)左鼓膜全体は白濁し光錐は消失していた。鼓膜後上部には膨隆を認めた。
右)左耳後部皮膚には波動を伴う腫脹を認めた。
図 頭部造影 CT,側頭骨 CT
上)左後頭蓋窩に周囲がリング状に増強され,内部に隔壁を伴う膿瘍を認めた。
耳後部皮下にも同様の膿瘍形成を認めた。
下)左鼓室から上鼓室・乳突蜂巣にかけて軟部陰影が充満していた。
硬膜外膿瘍近傍の後頭骨は菲薄化し,骨破壊像も認めた(矢印)
。
膿瘍近傍の後頭骨は菲薄化し,骨破壊像も認め
瘍を合併した左急性中耳炎及び乳様突起炎と診
た(図 2 )。血液検査所見は白血球 19,400 / ml,
断し,抗菌薬(PAPM/BP 50 mg/kg/日,分 3)
CRP 6.36 mg / dl であった。純音聴力検査にて
の点滴加療を開始した。また骨導閾値の上昇を
左耳は 4 分法平均で気導46.3 dB,骨導30.0 dB
認めたため,副腎皮質ステロイド(デキサメタ
の混合難聴を認めた(図 3)。
ゾン3.3 mg,1 日)を投与した。当院脳神経外
経過以上より硬膜外膿瘍及び耳後部骨膜下膿
科医と協議の上,入院翌日脳神経外科にて開頭
― 81 ―
( 289 )
小児耳 2012; 33(3)
橘
智靖,他 7 名
図 初診時聴力検査
純音聴力検査にて左耳は 4 分法平均で気導46.3 dB,
骨導30.0 dB の混合難聴を認めた。
図 術中所見
後頭乳突縫合の尾側を開頭したところ,皮下と同様の灰
白色の膿汁が多量に排出された。その後乳突削開を施行
したところ乳頭蜂巣は易出血性の肉芽組織で充満してい
た。
与した後は,術後 9 日目(ドレーン抜去日)ま
硬膜外ドレナージ術,当科にて左乳突削開術,
で ABPC ( 100 mg / kg /日,分 4 )を 4 日間点
左鼓膜換気チューブ留置術(高研鼓膜ドレイ
滴投与した。ドレーンを抜去した後は抗菌薬の
ンB タイプ)を施行した。外耳道後方に皮下
点滴投与を終了し,CVA/AMPC(114製剤)
膿瘍の直上を通過するように L 字型に皮膚切
( 96.4 mg / kg /日)を 7 日間投与した。術後新
開を行ったところ灰白色,漿液性の膿汁が噴出
たな合併症を認めず,術後 15 日目に退院とな
した。続いて後頭乳突縫合の尾側を開頭したと
った。術後 19 日目に簡易聴力検査を施行した
ころ,皮下と同様の灰白色の膿汁が多量に排出
ところ,左耳の聴力は改善を認め,4 分法平均
された。その後乳突削開を施行した。乳頭蜂巣
で右耳が 15.0 dB ,左耳が 20.0 dB であった。
は易出血性の肉芽組織で充満していた。乳突蜂
術後 3 カ月の時点で CT を施行したところ,後
巣に明らかな真珠腫や膿瘍形成は認めず,可及
頭蓋窩の膿瘍は消失し,側頭部の腫脹も軽快
的に肉芽組織の除去を行った。開頭部及び乳突
し,鼓室に含気を認めた。鼓膜換気チューブは
削開部にそれぞれドレーンを留置した(図 4)。
留置した状態で現在術後 7 カ月経過するが,中
前日の鼓膜切開により生じた穿孔からは大量の
耳炎の再燃は認めていない。
膿汁排出を認め,鼓膜換気チューブを留置して
考
手術を終了した。
察
術後 3 日目に細菌培養検査にて,鼓膜切開及
抗菌薬が開発されて以降耳性頭蓋内合併症は
び開頭の際に排出された膿汁からムコイド型肺
激減したが,抗菌薬乱用による耐性菌の出現の
炎球菌が検出された。術後 6 日目に薬剤感受性
ため近年報告がみられるようになってきた。本
結 果 が 報 告 さ れ , 最 小 発 育 阻 止 濃 度 ( mini-
邦では特にセフェム系抗菌薬の頻用によって薬
mum inhibitory concentration : MIC)(mg/ml)
剤耐性を獲得したムコイド型肺炎球菌が出現し
は CDTR<0.06, MEPM<0.12, PCG<0.03,
てきたため,重症中耳炎の原因として,ムコイ
ABPC<0.06, CVA/AMPC<1 であった。術後
ド型肺炎球菌を起炎菌とするムコーズス中耳炎
の経過は良好で,術後 6 日目に耳漏はほぼ消失
の報告が増えてきている26)。
した。入院日より 6 日間 PAPM / BP を点滴投
( 290 )
― 82 ―
肺炎球菌は細胞壁の外側に多糖体で構成され
硬膜外膿瘍を合併したムコーズス中耳炎例
小児耳 2012; 33(3)
る筴膜を持ち,抗血清によって 90 種類以上も
薬5)の投与は病態の重症化,遷延化を招くと報
の血清型に分類される7)。肺炎球菌はペニシリ
告されている。本症例では初診時に起炎菌が不
ン G の MIC に よ っ て PSSP, PISP, PRSP に
明であったこと,セフェム系抗菌薬が無効であ
分類されることが多いが,これとは別に,培地
ったこと,及び耳後部に膿瘍形成が疑われたこ
上のコロニー発育形態によってスムース型とム
とから,重症中耳炎としてカルバペネム系抗菌
コイド型の 2 種類に分類される。ムコイド型肺
薬を選択した。これに関しては,中耳炎の遷延
炎球菌の 90 以上が血清型 3 型菌に属し,厚
化や難治化,重症化の兆候がある場合にはカル
い筴膜を有する強毒菌である2,3,5)。ムコイド型
バペネム系抗菌薬が推奨されるとの報告8)が見
肺炎球菌のほとんどが現在セフェム耐性遺伝子
られる。またムコーズス中耳炎に対するカルバ
を保有すると報告されている26)。
ペネム系抗菌薬の使用に関しては,パニペネム
ムコーズス中耳炎の症状としては,激しい耳
(カルベニン)は現在ペニシリンの 10 倍以上
痛や頭痛,噴出する耳漏,急速に進行する感音
抗菌力が優れているとされ9),経過によって,
性難聴が特徴と報告されている24,6)。その他に
もしくは重症例ではペニシリン系抗菌薬からパ
CRP 強陽性もムコーズス中耳炎を疑う所見と
ニペネムへの変更が必要との報告2,5) が見られ
報告されている3,6) 。本症例においては耳痛,
る。本症例においても PAPM / BP (パニペネ
噴出する耳漏, CRP 陽性,及び骨導閾値の上
ム)を投与し良好な経過が得られ,これまでの
昇を認めた。浅野ら2)は,ムコーズス中耳炎の
報告と同様に PAPM / BP は重症化したムコー
場合感音性難聴を 60 に認め,軽度~中等度
ズス中耳炎に対して有効であることが示唆され
が多く,骨導聴力低下の程度や進行は炎症の進
た。本症例の薬剤感受性検査の結果は, MIC
展度や悪化を反映すると報告している。骨導閾
(mg/ml)が CDTR<0.06, MEPM<0.12, PCG
値の上昇を認めた本症例においても,炎症が頭
<0.03, ABPC<0.06, CVA/AMPC<1 であっ
蓋内,及び耳後部に進展し重症化していたこと
た。本邦で主に用いられているアメリカ臨床検
から,骨導閾値の上昇を認めた際には炎症の進
査標準委員会Clinical and Laboratory Stan-
展範囲に注意する必要があると考えた。聴力低
dards Institute (CLSI)が提唱する肺炎球菌に
下の予後に関しては,比較的良好と報告されて
対する抗菌薬の感受性判定基準( 2008 年版以
いる2,4,5)が,本症例においても骨導閾値の上昇
降 ) に よ る と , S ( Susceptible  感 性 ) は
は消炎後改善を認めた。
CDTR≦0.5, MEPM≦0.5, PCG≦0.06, ABPC :
ムコーズス中耳炎の診断に関して,症状,理
NA (not available), CVA/AMPC≦2 である。
学所見も手掛かりになるが,確定診断は細菌培
今回我々は PAPM / BP 投与中術後の経過が良
養検査によるムコイド型肺炎球菌の証明とな
好であったため,感受性結果によりペニシリン
る。本症例では鼓膜切開及び開頭時に排出され
系抗菌薬が感性であることを確認した後に,広
た膿汁からムコイド型肺炎球菌が検出されたこ
域スペクトラムを有するカルバペネム系抗菌薬
とにより,ムコーズス中耳炎の診断に至った。
からペニシリン系抗菌薬へ変更し,ドレーン抜
細菌検査の際には培地にコロニーが形成された
去日まで投与した。これに関しては細菌培養検
時点で肺炎球菌をムコイド型とスムース型に判
査にてムコイド型肺炎球菌が同定された術後 3
別できる3,5) ため,ムコーズス中耳炎の早期診
日目の時点でターゲットを原因菌にしぼったペ
断には細菌検査部との連携が重要と考えた。
ニシリン系抗菌薬への変更を検討する必要があ
ムコーズス中耳炎の治療は抗菌薬の投与26)
ったと考える。臨床場面において薬剤選択上
と鼓膜切開排膿2,3,5,6) である。抗菌薬はペニシ
MIC に基づいて報告される感受性結果が臨床
リン系抗菌薬が第一選択となる26) 。セフェム
効果とは乖離することがあるとの報告が多くみ
系抗菌薬2,5) ,もしくはニューキノロン系抗菌
られる2,3,5,6) 。本症例においても前医にて投与
― 83 ―
( 291 )
小児耳 2012; 33(3)
橘
智靖,他 7 名
されていた CDTR の MIC が0.06未満(感性)
られる。硬膜外膿瘍に関して基本的には脳神経
であり,これまでの報告と同様,感受性結果は
学的症状が存在する場合開頭術が施行される
抗菌薬選択の指標とならない可能性があること
が,後頭蓋窩が病変の主体となる場合には,病
が示唆された。細菌感染症の治療に際して感受
変の増大により脳幹圧迫の可能性があるため,
性結果と臨床効果とは合致しないことがあるこ
頭蓋内の他の領域に比べると慎重かつ迅速な対
とを認識しておく必要があると考えた。また小
応が必要と考えられる。本症例は脳神経症状を
児急性中耳炎診療ガイドライン10) にあるよう
認めなかったが,病変が後頭蓋窩に存在し長径
に,小児急性中耳炎の初期治療におけるペニシ
3 cm と大きかったため,開頭術を施行した。
リン系抗菌薬選択の重要性が示唆された。
その結果十分な排膿が得られ,術後良好な経過
鼓膜換気チューブ留置術に関しては,鼓膜切
が得られた。また乳突削開時に排膿は認めなか
開してもすぐに閉鎖する場合6),もしくは滲出
ったが,乳突蜂巣に充満する肉芽組織を可及的
性中耳炎の所見を呈した症例3)には必要と報告
に除去することによって中耳腔全体として炎症
されている。本症例においては硬膜外膿瘍を認
が軽減する契機となったと考えられる。
めたため,外科的治療の際にドレナージを目的
本症例においては脳神経外科医と協議の上外
に鼓膜換気チューブ留置術を施行した。ムコー
科的治療を施行し,抗菌薬を投与することによ
ズス中耳炎における骨導閾値の上昇に対しては
って,新たな合併症を生じることなく良好な経
副腎皮質ステロイドが使用されている報告2)も
過が得られた。重症中耳炎の診療にあたっては
あれば,糖尿病患者のため副腎皮質ステロイド
ムコーズス中耳炎を念頭に置く必要があると考
を投与することなく消炎治療とビタミン B12製
えた。またムコーズス中耳炎においては迅速な
剤,循環改善薬の使用で経過良好であった報
診断,適切な抗菌薬の選択,及び鼓膜切開を含
告5)も見られる。本症例では硬膜外膿瘍が判明
めた排膿処置が重要と考えた。
した後は頭蓋内感染の増悪のリスクを考慮し副
ま
腎皮質ステロイドの投与を中止したが,消炎後
と
め
の聴力検査にて骨導閾値の改善を認めた。藤田
硬膜外膿瘍及を合併したムコーズス中耳炎を
ら11)は,急性中耳炎の骨導閾値上昇合併例に関
報告した。脳神経外科医と協議の上,開頭によ
して,自験例 13 例に過去の報告も加えて検討
る硬膜外ドレナージ術,左乳突削開術,左鼓膜
を行っている。これによると,骨導閾値の上昇
換気チューブ留置術を施行した。術中乳突蜂巣
が鼓膜切開により改善しない症例では,中耳腔
に真珠腫を認めず,充満する肉芽組織を可及的
の肉芽を伴う細菌感染や中耳炎による炎症細胞
に除去した。抗菌薬に関しては重症中耳炎とし
が直接内耳に及んだ可能性が高いため,急性乳
て PAPM / BP を投与開始し,病変部よりムコ
様突起炎を伴う重症の急性中耳炎と考え,早期
イド型肺炎球菌が検出された後は ABPC に変
に副腎皮質ステロイド,及び適切な抗菌薬の投
更した。術後の経過は良好で,中耳炎の再燃を
与が重要と述べている。本症例においても副腎
認めなかった。
皮質ステロイドが中耳腔の肉芽組織を退縮さ
文
せ,骨導閾値を改善させる契機となった可能性
があると考える。
硬膜外膿瘍に対する明確な手術適応はない。
本症例においては脳神経外科医と協議の上,開
頭硬膜外ドレナージ術及び乳突削開術を施行し
た。耳性硬膜外膿瘍に対して外科的治療を行っ
た報告1214) と,保存的に治療した報告15) が見
( 292 )
献
1 ) 鳥居恵二ムコーズス菌(粘液球菌)中耳炎.日
耳鼻全書.第 1 巻聴器.第 3 冊.臨床編各論 1 .日
本医書出版195364
73.
2) 浅野公子,今島直俊,渋谷恵夏,他ムコーズス
中耳炎成人新鮮症例.Otol Jpn 2003; 13(3): 209
213.
3) 末武光子,入間田美保子,高橋 辰,他ムコー
ズス中耳炎の現状と問題点.Otol Jpn 2000; 10(2):
― 84 ―
小児耳 2012; 33(3)
硬膜外膿瘍を合併したムコーズス中耳炎例
8994.
4) 吉崎智貴,國部 勇,久保田圭一,他ムコーズ
ス中耳炎の 3 症例.日耳鼻感染症研究会会誌 2010;
28(1): 189191.
5) 塩盛輝夫,宇高 毅,得居直公,他糖尿病に合
併した成人急性ムコーズス中耳炎症例.耳喉頭頸
2005; 77(12): 925929.
6) 成尾一彦,細井裕司ムコイド型肺炎球菌.
JOHNS 2010; 26(11): 17801782.
7) 平野 隆肺炎球菌.耳喉頭頸 2012; 84(2): 125
130.
8) 倉田奈都子,古宇田寛子,喜多村健急性中耳炎
に合併した S 状静脈洞血栓症および脳膿瘍の一例.
Otol Jpn 2010; 20(3): 180185.
9) 紺野昌俊,生方公子各種抗菌薬に対する感受
株 協和企画通
性.改訂ペニシリン耐性肺炎球菌.
信1999: 4552.
10) 小児急性中耳炎診療ガイドライン.2009年版.日
本耳科学会 日本小児耳鼻咽喉科学会 日本耳鼻咽
喉科感染症研究会 編,金原出版2009.
11) 藤田信哉,山中敏彰,細井裕司成人急性中耳炎
の骨導閾値上昇合併例の検討.Otol Jpn 2009; 19(3):
196201.
12) 吉田友英,山本昌彦,野村俊之,他小児耳性頭
蓋内合併症.耳鼻臨床 2002; 95(3): 233
239.
13) 善浪弘善,菊地 茂,加瀬康弘,他耳性頭蓋内
合併症 6 症例の検討.JOHNS 2002; 18(3): 710716.
14) 高山雅裕,角南貴司子,中村訓子,他耳性後頭
蓋窩硬膜外膿瘍症例.耳喉頭頸 2007; 79(11): 798
800.
15) 中山智博,永木 茂,塩田睦記,他後頭蓋窩硬
膜外膿瘍を合併した急性中耳炎・急性乳様突起炎
例.小児科診療 2007; 70(1): 155158.
原稿受理
2012年 9 月20日
別刷請求先
〒 670 8540
兵庫県姫路市下手野 1 丁目 12 番
1号
姫路赤十字病院耳鼻咽喉科
橘
智靖
A case of acute otitis media due to mucoid Streptococcus
pneumoniae with epidural abscess
Tomoyasu Tachibana1), Kazuya Takahashi2), Yoji Shimizu2), Yuya Ogawara1), Yuko Matsuyama1),
Iku Abe1), Motoharu Fukazawa3), Kazunori Nishizaki4)
1)
2)
3)
4)
Department of Otolaryngology, Himeji Red Cross Hospital
Department of Neurosurgery, Himeji Red Cross Hospital
Fukazawa ENT Clinic
Department of Otolaryngology, Head & Neck Surgery, Okayama University Graduate School of
Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences
Otogenic intracranial complications are rare. We present a 5-year-old boy with acute otitis media
due to mucoid type Streptococcus pneumoniae, which caused an epidural abscess. He complained of
left otalgia and postauricular swelling. CT showed an expanding abscess at the posterior fossa and
subcutaneous. Mastoidectomy and craniotomy were performed, and the abscess was drained. Subsequently we administered carbapenem and penicillin. The patient recovered uneventfully. We
considered that drainage and appropriate administration of antibacterial agents are very useful for
treatment of acute otitis media due to mucoid type Streptococcus pneumoniae with epidural abscess.
Key words: otogenic intracranial complications, mucoid type streptococcus pneumonia, epidural
abscess
― 85 ―
( 293 )