第8回ヤマセ研究会 宮城県古川農業試験場 日平均気温を用いた 小麦の開花期予測 主要農作物の作付面積の推移 主要農作物の面積推移 大 豆 ・ 麦 類 ・ 新 規 需 要 米 面 積 14,000 110,000 12,000 100,000 10,000 90,000 8,000 80,000 6,000 70,000 4,000 60,000 2,000 50,000 0 40,000 大豆 平.4 平.6 水 稲 ・ ほ 場 整 備 面 積 平.8 平.10 平.12 平.14 平.16 平.18 平.20 平.22 平.24 麦類(小麦+大麦) 新規需要米 水稲 整備面積 水稲は減少,大豆・新規需要米が増加,麦類は横ばい 研究の背景と課題 ●小麦の赤かび病防除適期は開花始期から開花期であるが、 小麦は生育ステージの年次間差が大きいため、適期を逸 するリスクが高い。 ●無人ヘリによる防除の場合、散布スケジュールが3月下旬 から4月上旬頃(最大で開花期の50~60日前)に決定さ れることも。 早い時期に、なるべく正確に開花期を予測 する技術が必要! 幼穂長からの出穂期予測 幼穂長と「出穂期に達するまでの日平均積算気温」 出穂期までの 日平均積算気温(℃) 600 y = -208.41x + 455.11 2 R = 0.9846 500 n=102 「小麦の出穂期までの日平 均積算気温」は幼穂長から 推定できる。 400 2006~2011 300 200 100 0 -0.5 0.0 0.5 1.0 幼穂長(㎜)の常用対数 小麦品種:あおばの恋 1.5 積算温度法による 「幼穂長からの出穂期 2.0 予測」が可能 幼穂長からの出穂期予測 出穂期に達するまでに必要な 日平均積算気温の推定値(℃) 幼穂長と「出穂期に達するまでの日平均積算気温」 【積算気温の推定式】 600 あおばの恋 シラネコムギ ゆきちから ナンブコムギ 500 400 ・あおばの恋 y = -208.41x + 455.11 ・シラネコムギ y = -203.08x + 436.64 300 200 ・ゆきちから y = -203.94x + 446.38 100 0 0 20 40 幼穂長(mm) 60 80 ・ナンブコムギ y = -198.6 + 449.42 出穂期を基準とした開花期予測 「出穂期~開花期」の期間の発育下限温度と有効積算温度 恒温器(日数) ほ場(日数) y = 0.0118x - 0.0685 R2 = 0.9063*** 25 0.25 20 出穂期から開花期までの日数 0.20 は概ね気温に支配されている。 15 0.15 品種 (℃) 有効積算温度 (℃) 5.8 84.7 5.6 91.7 ゆきちから 5.1 100.0 ナンブコムギ 5.7 88.5 10 0.10 発育下限温度 5 0.05 あおばの恋 0 5 10 発育速度 出穂期から開花期 までの日数(日) 恒温器(発育速度) 15 20 シラネコムギ 平均気温(℃) 小麦品種:あおばの恋 25 0.00 出穂期を基準とした開花期予測 「出穂期~開花期」の発育下限温度と有効積算温度 得られた発育下限温度と有効積算温度を用いて検証 有効積算温度(℃) 140 120 100 実測値08 実測値09 予測値 80 60 2008年RMSE=3.9℃(n=8) 2009年RMSE=10.3℃(n=12) 40 20 推定誤差は 4~10℃ シラネ ゆき 11/10 10/30 10/20 10/10 11/10 10/30 10/20 10/10 11/10 10/30 10/20 10/10 0 ナンブ 注)横軸は品種と播種期(月/日)を表し、「シラネ」はシラネコムギ、 「ゆき」はゆきちから、「ナンブ」はナンブコムギを示す。 実用上問題ない 「幼穂長からの出穂期予測」と「出穂期からの開花期予測」を組み合わせた 幼穂長からの開花期予測 幼穂長調査日から開花期までの積算温度の推定値と実測値 70 あおば RMSE=2.4日 シラネ RMSE=2.2日 ゆき RMSE=3.6日 ナンブ RMSE=2.9日 実測値(日) 60 50 ・推定値と実測値は 概ね一致 ・推定誤差は3日程度 40 ↓ あおば シラネ ゆき ナンブ 1:1 30 20 誤差は赤かび病 防除の実用上 許容できるレベル 10 10 20 30 40 50 60 推定値(日) 「あおば」はあおばの恋、「シラネ」はシラネコムギ、 「ゆき」はゆきちから、「ナンブ」はナンブコムギを示す。 70 まとめ 幼穂長 を測定 (3月下旬以降) 推定 出穂期 を予測 推定 開花期 を予測 無人ヘリ防除の スケジュール作成 赤かび病の 適期防除! ★小麦では 幼穂長 から 開花期 を予測することが可能になった。 →無人ヘリ防除のスケジュール作成等に活用され、赤かび病の適期防除 につながる! 開花期予測のイメージ図 幼穂長を測定 (3月下旬以降) 推定 出穂期に達するまでの 日平均積算気温 (推定値) 照らし合わせる 日平均気温の 平年値データ 調査翌日から 積算 平年値の 日平均積算気温 (平年積算値) 「平年積算値≧推定値」 となった日付 予想される 出穂期 予想される出穂期の翌日から 平均気温の平年値を用い、 発育下限温度を5.8℃として 有効積算温度を計算 予想される 開花期 翌 日 か ら 積 算 「有効積算気温≧84.7℃」 となった日付 例:あおばの恋 調査日の幼穂長と予想される出穂期、開花期の例 (シラネコムギ) 暦日 3月 20 4月 1 10 5月 28 29 30 1 2 0.5㎜ 調査日の 幼穂長 1㎜ 3 4 5 6 7 8 2㎜ 開花 出穂 開花 開花 出穂 314℃ 253℃ 22 開花 376℃ 4㎜ 19 開花 出穂 376 ℃ 15 出穂 437℃ 8㎜ 10 11 12 13 出穂 498℃ 2㎜ 9 出穂 開花 注)図中の温度は幼穂長から推定される「出穂期に達するまでに必要な日平均積算気温」。 気温の平年値は古川アメダスのデータを用いた。 出穂期までは平年の日平均気温を積算し、必要な積算気温を初めて超えた日が出穂期となる。 出穂期~開花期は、平年の日平均気温から発育下限温度の5.6℃を減じた温度を積算し、 初めて91.7℃を超えた日が開花期となる(シラネコムギでの例)。 エクセルのワークシートによる開花期予測の手順 ② ③ ② 品種を選択する ③ 幼穂長を入力する ④ ワークシート ① ① アメダス地点(シート)を選択する ④ 予測結果が表示される 注) ワークシートは操作性の改善等の理由により変更する場合があります。
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