ランダム・ウォークの到達確率と平均到 達時間の計算 龍谷大学理工学部数理情報学科 飯田晋司研究室 T970100 連 昭雄 目次 1. 2. 3. 4. 5. 確率モデルとは? ランダム・ウォーク コンピュータ・シミュレーション 結果のまとめ おわりに 確率モデルとは? • 例えば、液体の浸透・森林火災の広がり・ 伝染病の伝播のような、様々な自然現象 に確率的ルールを定め単純なモデルに置 き換えてこれらの様子を研究する。 このようにモデル化されたものが確率モデ ルである。 ランダム・ウォーク • 数直線上の原点に粒子を置き、左右それぞ れ1動く確率を1/2とする。これを1ステッ プとしnステップ後にはxの場所に存在する 確率を導くことのできるモデルである。 ランダム・ウォーク(吸収壁)の メインソースⅠ void main(void){ (略) for(k_start =1; k_start < N+1;k_start++){ 粒子の発射点設定 printf(" k_start %d ¥n",k_start); for(i =0; i< N_walker;i++) x[i] = k_start; 設定した出発点に粒子を置く N_goal = 0; N_s = N_walker ; t = 0; prob[0] =0.; while( (N_s > 0) && (t < t_max ) ){ ループ条件(ゴールしてない粒子 が0になるまでかつ時間がMAXまで) i = 0; while(i < N_s ){ u = urand(); if (u < p) x[i] = x[i] + 1; 確率pの時に右に1移動 ランダム・ウォーク(吸収壁)の メインソースⅡ 確率qの時に左に1移動 else if(u < p + q) x[i] = x[i]-1; if(x[i]==0){ 0に到達したらゴールした粒子 を+1としゴールしていない粒 for(j=i+1;j<N_s;j++) x[j-1] = x[j]; 子を−1とする N_s = N_s -1; N_goal = N_goal +1; t_av = t_av + t +1; i = i-1; } else if(x[i]==N) { 吸収壁の条件でNに到達 したらゴールしていない粒 子を−1とする for(j=i+1;j<N_s;j++) x[j-1] = x[j]; N_s = N_s -1; i = i-1; } i = i+1; } t = t+1; コンピュータ・シミュレーション 試行方法 • 1次元の場合、移動確率をp、q、sとし数直線は0 ∼20でステップ数は1000とする。 • 2次元の場合、移動確率をpU、pD、pR、pLとしxy 平面は無限でステップ数は9000とする。 • 上のグラフはp=0.6、q=0.4で出発点を 3次元の場合、移動確率をpN、pS、pE、pW、pD、 10とした場合の到達確率のグラフ pUとしxyz平面は無限でステップ数は9000とす る。 ランダム・ウォーク(吸収壁) 到達確率のグラフ p=0.5,q=0.5 p=0.4,q=0.6 p=0.6,q=0.4 ■ p=0.3,q=0.4,s=0.3 ■ p=0.4,q=0.3,s=0.3 ■ p=0.1,q=0.1,s=0.8 ランダム・ウォーク(吸収壁) 平均到達時間のグラフ p=0.5,q=0.5 p=0.4,q=0.6 p=0.6,q=0.4 ■ p=0.3,q=0.4,s=0.3 ■ p=0.4,q=0.3,s=0.3 ■ p=0.1,q=0.1,s=0.8 ランダム・ウォーク(反射壁) 到達確率のグラフ 出発点が20に近く 出発点が20に近く なるにつれ減少 なるにつれ減少 p=0.5,q=0.5 p=0.6,q=0.4 p=0.4,q=0.6 p=0.6,q=0.4 ■ p=0.3,q=0.4,s=0.3 ■ p=0.4,q=0.3,s=0.3 ■ p=0.1,q=0.1,s=0.8 ランダム・ウォーク(反射壁) 平均到達時間のグラフ 理論値とはずいぶん 理論値とはずいぶん 違う 違う p=0.5,q=0.5 p=0.4,q=0.6 ■ p=0.3,q=0.4,s=0.3 ■ p=0.4,q=0.3,s=0.3 ■ p=0.1,q=0.1,s=0.8 p=0.6,q=0.4p=0.6,q=0.4 2次元ランダム・ウォーク 再帰確率、平均再帰時間のグラフ 再帰確率のグラフ pU=pD=pR =pL=0.25 平均再帰時間のグラフ ■pU=0.2,pD=0.2,pR=0.3,pL=0.3 ■pU=0.1,pD=0.1,pR=0.4,pL=0.4 ■pU=0.3,pD=0.3,pR=0.2,pL=0.2 ■pU=0.2,pD=0.2,pR=0.3,pL=0.3 ■pU=0.1,pD=0.1,pR=0.4,pL=0.4 ■pU=0.3,pD=0.3,pR=0.2,pL=0.2 ■pU=0.2,pD=0.2,pR=0.3,pL=0.3 上下確率が小さい程 上下確率が小さい程 pU=pD=pR ■pU=0.1,pD=0.1,pR=0.4,pL=0.4 再帰確率は大きい =pL=0.25 再帰確率は大きい ■pU=0.3,pD=0.3,pR=0.2,pL=0.2 3次元ランダム・ウォーク 再帰確率、平均再帰時間のグラフ 再帰確率のグラフ pU=pD=pN =pW=pS=pE ■ pUの増加=0.1 ■ pUの増加=-0.1 平均再帰時間のグラフ pU=pD=pN =pW=pS=pE ■ pUの増加=0.1 ■ pUの増加=-0.1 結果のまとめ • 反射壁の場合、移動確率がp>qだと右へ 動こうとするので結果的に長い時間0に到 達しない。 • 2次元の場合、上下への移動確率が小さ いほど再帰確率が大きい。また理論値に 上のグラフはp=0.6、q=0.4で出発点を 10とした場合の到達確率のグラフ(横軸は 近ずけるには、もっと大きな試行が必要で 時間で縦軸は到達確率) ある。 • 3次元の場合、再帰確率はおそらく1より 小さいと分かった。また2次元の場合同様 もっと大きな試行が必要である。 おわりに • コンピュータ・シミュレーションの結果は一 部を除きかなり理論値に近い値が示され た。 • ランダム・ウォークを実用レベルにまでもっ てくるにはさらに条件を付け加え工夫をし より複雑なシミュレーションにする必要があ るだろう。
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