スケジュール予定など(再掲) • • • • • • 1日目 午前 10:00-11:00頃 統計学の全体像・歴史 11:00-12:00頃 看護研究の2アプローチ 昼食 13:00-14:30頃 看護研究と統計手法 14:30-16:00 回帰分析と相関 • • • • • • 2日目 午後 10:00-11:00頃 アンクスタットと青木のサイト 11:00-12:00頃 統計的検定法 昼食 13:00-14:30頃 平均値差のt検定 14:30-16:00 クロス表の独立性検定 研修講師のメモ(再掲) • 田中 潔(たなかきよし) – – – – – – – – – – 略歴: 岡山大、九州大修了後岡山商大へ勤務。教授 岡山県看護協会の研修講師を25年以上歴任 最近は、広島、鳥取、香川県看護協会でも研修を行う 主な科目:情報ネットワーク論、社会調査実践他など 連絡先 岡山商科大学 〒700-8601(専用番号で届く) [email protected] (eメール) http://www.nahaha.org (Web) 検索エンジン 「岡山商科大学 田中潔」で検索 大学電話 086-252-0642 大学FAX 086-255-6947 もしも…研修後に(再掲) • 質問・相談はeメール[email protected] が最適。メールなら返事確実。その他電話F AXは086-284-7726(自宅)でも可能。 • 相談の「三種の神器」: 看護研究計画書、使 用アンケート用紙、データ入力エクセルファイ ル(すでにあれば) • 遠方の場合メールだけで指導する場合もある (PC用メールがあるとファイルのやり取りが 便利。連絡なら携帯メールでも可能) 大まかな統計分析の流れ 4段階(再掲) • • • • • 母集団(未知であり不可視) 標本(可視) データの収集 アンケート調査 無作為抽出 • • • 集計 データ集計 推定・検定 統計解析 平均値やクロス表 基礎統計量や集計表 t検定やカイ2乗検定結果 • • 神の領域 第一段階 第二段階 人間界 第三段階 第四段階 データ分析の流れ(復習) • • • • • • • 調査やデータの仮説設定(看護研究計画書) 対象者の選定(標本の決定) 母集団の想定 アンケート実査(アンケート用紙) データ入力(ほぼエクセル利用) 場合によっては、データ加工やデータ変換 データ分析の対象となる「素データ」が完成 統計ソフトについて(再掲) • 記述統計、グラフなどはエクセルで十分 • 検定、多変量分析となると専用ソフトが望ましい • http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/ 群馬大青木先生のサイトで 間に合うことも多い。いつまで続くかは不明 • 市販ソフトとしては • PASW(旧SPSS) 高い、施設向き、論文投稿には望ましい。 世界的権威ソフト 新規18万円 – ライバル会社にSASがある。安価版としてJUMPも有名 • エクセル統計 4万円、エクセルのアドイン、おおむね使える が細かな使い勝手はあまり良くない • フリーソフト(無料) R 良くできているが上級者でなければ 使いにくい!研究者向け 青木サイト使用の留意点(再掲) • 検索エンジン 群馬 青木 → おしゃべりな部屋 • 青木サイトの統計処理の多くには「Java技術」が使 われている • Javaはサイトで計算処理を行うための仕組みであり PC購入後各自で導入するもの • 施設のPCではセキュリティ保護の観点からJavaを 導入していないものもあるので、青木サイトが利用 できない場合がある • 施設PCで利用できない場合、他の統計パッケージ やJava導入した個人PCを利用する • 最近ではスマートホンでも利用可能 もしもPCでこんなエラーが出たら(再掲) あなたのPCのJAVAという仕組みが古 いなどの原因で、警告が出たものです。 「いいえ」を選んでうまく動作すればいい ですね。 青木のサイトの先頭ページ 統計計算シートankstat (アンクスタット)時間があれば紹介 • 田中研究室で開発されたエクセル(バージョ ンは問わず)専用のシート • 主に基礎集計やクロス集計を行う。統計解析 は実施しない • http://www.osu.ac.jp/~tanaka/ankstat/ • 検索エンジンにて「ankstat」で検索する 。最 新は5.6版 • 最大500ケース×200項目を集計可能 アンクスタットankstatや研修資料は 「岡山商大 田中」サイトから さらに進むと… シートankstatの入力シート シートに素データ を入力して、 下のタブを選ぶと 項目ごとの基礎統計量や度数表 (%表示も可能)を算出 看護に代表的な検定 • t検定(二群の平均値差検定) – ある測定データの平均値がある値かどうか – 仮説: 測定データの平均値=46.7 – または、2群の平均は等しいとみなせるか – 仮説: 群1の平均=群2の平均 • カイ2乗検定(2元クロス表の独立性検定) – クロス表に傾向や関連性があるか – 仮説: このクロス表の度数は同じか 2群の比較 その1 平均値差の検定(t検定) • ここに患者群A、非患者Bの2群について同じ項目が測定さ れた。薬効、運動効果、何かの処置効果などなど • AとBのケース数が異なっている。良いか? – かまわない • AとBの測定日が異なっていて良いか? – かまわない • 少ない群は最低ケース数はいくつ? – 理論上7ケース、実用上20ケース以上程度 • 名義尺度と比率尺度で手法は異なるか? – 異なる(名義ではt検定は使用できない、理由は平均値が意味を持た ない) 2つの平均値を比べる 2群の平均値差の検定(t検定) • 群 平均 SD N • A 3.2 3.8 5 • B 5.2 8.2 5 • 等分散性の検定 • 有意確率2.3%(有意) • 2群のばらつきは等しくない • 平均値差のt検定 • 等分散仮定する 6.4% • 等分散仮定せず 6.4% • いずれも平均値差は有意でない • この2群で平均値3.2と 5.2は同程度と見る か?否か? • 2群のばらつきは – 等しくないと判定 • ばらつき等しくない仮定 の下で、 – 2つの平均値が等しいこ とを否定せず(つまり同 程度) 2群の平均値差検定の流れ (俗にt検定と呼ばれる) • 2つの標本平均値からみて母集団レベルで 「明らかな差」があるといえるか? • 統計分析の3ステップ • 手順1 2グループの基礎統計量を各々算出 する。 • 手順2 青木のサイトなどで必要な計算ペー ジにかける(種類は2種類ある) • 手順3 結果のp値から判定する 手順1 基礎統計量の計算 • エクセルの関数計算をする – average(),stdev(),count()など使用 • またはankstattシートで各群ごとに求める • 2つの群の統計表を完成しておく • 人数 平均値 標準偏差 • A群 • B群 手順2 分析サイトに入力する • • • • 2種類のサイトのどちらか タイブ1 2群の統計表を入力するサイト (この場合、手順1は必要ない) http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/Java/TwoSamples/bin/TwoSamples .html • タイプ2 統計表を入力する • http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/Java/StatCalc/bin/StatCalc.html タイプ1 素データ入力タイプ タイプ2 統計表を入力するタイプ 手順3 いよいよ判定 • • • • • • • • 検定結果P値を求める ソフトによっては、有意確率という場合あり P値が P>0.05 P>5% 棄却(2群は同じ) 有意=2群は母集団レベルで顕著な差あり 0.01<P<0.05 5%有意 星1つ * 0.005<P<0.01 1%有意 星2つ ** 0.001<P<0.005 0.5%有意 星3つ *** • 大切なことは「棄却」か「有意」 • 星の数はさほど重要ではない ちなみにボール投げの場合・・・ • • • • • • • 計算結果から3つのP値が出てきます 二群の等分散性の検定 F 値 = 0.18593 自由度 = ( 14, 14 ) P 値 = 0.00332 (両側確率) 通常の t 検定(等分散性が仮定できるとき) t 値 = 0.00000 自由度 = 28 P 値 = 1.00000 等分散性が仮定できないとき(Welch の方法) t 値 = 0.00000 自由度 = 19.03215 P 値 = 1.00000 (小数自由度に対 応した正確な値) • • どれを使えばいいですか? t検定では2群が「正規分布する」と仮定します。1つめのPは正規性を 検定しています。 P=0.003なので、正規性は棄却されました 2つめは正規性採択の場合のP値 3つめは正規性棄却の場合のP値 この場合は3つめのP値が目的の判断です (2つめと3つめは同じP=1.0>0.05なので採択) 2つの平均値には差がない(採択)という判定を下します。 • • • • • • 二群の平均値差の検定 演習問題 • • • • いずれもt検定(対応なし)として平均値差を検定せよ。青木サイトを使用する。 問1 群 平均 SD N 問2 A 3.2 3.8 5 B 5.2 8.2 5 • 問3 ある地区で行った40 歳 • 以上 65 歳未満の住民検診 に来所した男子 42 名,女子 • 63 名の血色素量について • の検査成績は,男子では平 • 均値 15.2 g/dl,不偏分散 • 1.1,女子では平均値 12.7 • g/dl,不偏分散 3.2 であった。 • 男女の平均値に差はあるか, 名義尺度でも使える検定 クロス表の独立性の検定 • • • • • • • • 通称、カイ2乗検定 名義尺度では平均値が意味を持たない そこで表に集計する。 一次元の表こそ度数分布表 2次元以上をクロス集計表 ではこの表での仮説とは 「クロス表のマス目(セル)は同じ割合かどうか」 「クロス表に偏りがあるのかないのか」 (2×2)クロス表とはこんなもの • • • • • • 行と列で作表する ただ集計したので分布に関係しない クロス表は因果を示している(行と列どちらでも) 行側:原因→列側:結果 例: 対応なし 投薬有無と結果や運動有無×効果 対応あり 1回目と2回目の状況 2×2クロス表(分割表) • クロス表の最小形式(基本) • さまざまなクロス表 • P=1.00 P=0.38 • 0.02 1.00 • 0.02 1.00 R×Cクロス表のカイ2乗検定 • • • • • 基本は2×2(検討しやすい) 4つのセル値をサイトへ入力 計算結果P値で判断する P>0.05 採択 0.01<P<0.05 5%有意他 1%有意 0.5%有意により *、**、*** • http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/Java/ChisqTest/bin/ChisqTest.html クロス表の独立性の検定 通称カイ2乗検定 • 正規性を仮定しない頑健な手法です • 2×2クロス表の精密なカイ2乗検定 – http://aoki2.si.gunmau.ac.jp/JavaScript/FisherExactTest.html • R×C表 クロス表入力 通常版 – http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross.html • R×C表 クロス表入力 正確計算版 – http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross2.html – (計算量が多いため通常版で十分) • R×C表 素データで入力する版 – http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/JavaScript/cross3.html クロス表独立性の検定 演習問題 各表は独立か? • 問10.83、20.76、30.31、40.60 50.01 60.00 • 棄却 棄却 棄却 棄却 ** *** 統計的検定法(群) • 統計手法の中で「検定(Test)」は医療統計で よく使われます。 • 薬効評価、効果判定のために用いられます • 以前は、平均値を比較するパラメトリック手法 が用いられましたが、最近ではノンパラメト リック検定が多く用いられています。 統計的検定はどんなもの • ある仮説(○=△)を判定する – 例: この実験結果=160.0 – 例: 群1の平均=群2の平均 • 判定結果は採択、または棄却の2分法 • 採択とは「この仮説を積極的に否定しない」 – (厳密には仮説を認めたくないがやむを得ない) • 棄却とは「この仮説を積極的に否定する」 (統計的)仮説検定の流れ • ある検定手法を選択する(パラでもノンパラでも) • 帰無仮説H0:とは – 否定する(だろう)ための仮説 – 帰無=無に帰する=否定を期待する • 対立仮説H1:とは – 帰無仮説以外の結果 – H0を否定するだけなので積極的な採択はしない • • • • H0:とH1:を対にして用意する 分析データを統計ソフトにかける→有意水準を求める 有意水準の値に応じてH0かH1かを判定する 目的に応じて手法はたくさん存在する 仮説の立て方 • 1.自分の持っている仮説(作業仮説ともいう)を対 立仮説H1とする • 2.H1の否定(逆)をH0とする • 3.H0は○=△のように等号で作成するのがよい • 4.H0:○=△とした時、3種類のH1が考えられる • H1その1: ○>△ 片側検定 • H1その2: ○<△ 片側検定 • H1その3: ○≠△ 両側検定 仮説の事例 • 新薬Bは薬Aより効果あることを証明したい • H0は等号関係で作成すると良い – H0: 新薬B=薬A(同じ、効果なし) で決まり! • • • • • H1には3つの作り方あり ① H1: 新薬B>薬A 優れる 片側 ② H1: 新薬B<薬A 劣る 片側 ③ H1: 新薬B≠薬A 同じでない 両側 「効果ある」なので通常③を採用 仮説H1に方向性があるならば両側検定 • • • • • • • • 関係があるかないか ない= ある≠ 両側検定 正(負)や大小の関係があるかないか ない= ある> 片側検定 優れている(劣っている) 同じ= <や> 片側検定 同じか否か 同じ= 同じでない≠ 両側検定 H0とH1の例 – H0: 日本人の平均160センチ 平均=160 – H1: 160センチではない(何センチかは不明) • H0はハッキリと1点で指定するのが普通(点 指定) • H1は指定された1点以外のすべて(だから はっきりと値が判定できない) • ○ 残り全てがH0 H0 棄却と採択 • H0が明らかに成立しないならば棄却 – つまりH1を採用 • H0は帰無したいがどうしても棄却できない状 態のことを採択(=積極的には帰無・棄却し ない)という – つまりH0を採用する 検定に見る計算と判定 • 計算: 統計ソフトなどを使用する • 判定: 出てくる結果の有意確率か有意水準の値に より判定 • 有意水準>0.05 有意水準5%以上で採択 • 5%以下ならば棄却(有意、SIG.)←差あり • 0.05~0.01 5%有意 * 星1つ • 0.01~0.005 1%有意 ** 星2つ • 0.005より小 0.5%有意 *** 星3つ 例: 2グループの平均値差検定 (通称t検定の場合) • • • • 仮説は以下のとおりに立てる H0: 平均1=平均2(2つの平均は同じ) H1: 平均1≠平均2(同じでない)→両側 注意 – H0: 平均1≠平均2(同じでない) – H1: 平均1=平均2(2つの平均は同じ) のように逆には立てません。帰無仮説H0は 等号関係で作ります! 補足2 代表的なノンパラメトリック検 定法 • 統計的検定では、普通「正規分布」に従うことが前提となって います。 • しかし、近年「正規性を仮定しない」検定手法が、医学分野で もてはやされてきました。 • これらの検定法を「ノンパラメトリック」手法と呼んで代表は以 下の通りです。 • 対応のない2標本(群)の代表値差 – マンーホイットニのU検定 – 2標本コルモゴロフースミロノフ検定 – ファンデル・ワーデン検定 – 中央値検定 • 対応のある2標本(群)の代表値差 – ウイルコクソン符号検定 – ウイルコクソン符号付順位和検定 ノンパラ検定の続き • 対応のないk標本(群)の代表値差 – クラスカル・ウォリス検定 – 中央値検定 • 対応のあるk標本(群)の代表値差 • フリードマン検定 • ノンパラ検定は仮定が少なく「頑健」な検定方法です が、性能はt検定に劣ります。切れ味は良いが折れ やすいナイフか切れ味は少々鈍いがなかなか折れ ないナイフ。あなたはどちらのナイフを使いますか? 医療統計向けソフト比較 http://www.kenkyuu.net/comp-soft-01.htmlより引用 パラメトリック検定 • 集めたデータが正規分布しそうな場合に適 • 検定力は強い • 平均値と標準偏差に関する検定がおも • 2群(実験群と対照群)の平均値差検定 • =通称:t検定が有名 ノンパラメトリック検定群 • • • • 正規分布を仮定しない 検定力はパラメトリック検定にやや劣る 頑健な検定法 多いのは、平均値など代表値差の検定が多 い • クロス表のカイ2乗検定もノンパラ検定法の1 つ まとめましょう • 正規分布を仮定できそうな時 – 平均値に関するt検定 • 正規分布を仮定できそうでない時 – ノンパラメトリックな検定法 • 仮説は次に固定すると理解し易い – H0: A=B H1:A≠B(両側検定) • 計算は統計ソフトやWebサイトで行う • 有意かどうかの判定は有意水準Pで行う 2日間を通した学び • • • • • • • • □ 統計はデータで決まる □ 実はデータ集め、データ加工が勝負 □ 分析は理解できるものから一歩ずつ □ 使えるソフトはサイトにあり □ 聞いたことない分析手法にご用心 □ できる手法も意味を知ろう □ 相関(回帰)と検定を中心にトライした □ 統計解析は職人芸。使いなれたノミでこ データ岩は砕け散る。見える化をめざせ そ 統計手法用語の学び • 母集団と標本集団 • 行と列、欠測値、ケースと 項目、全数調査 • 質的研究と量的研究 • 基礎統計量、グラフ • エクセルの基本関数 • 散布図 • 回帰分析 • 相関係数と決定係数 • 2群の平均値差検定 • クロス表、分割表、度数表 • • • • • • • • 統計処理は青木サイト 集計処理はアンクスタット 統計的仮説検定 H0とH1 採択と棄却 有意水準P(P値) 度数表とクロス表 ほんのさわり – – – – 多変量分析の役割や用途 正規性の仮定 ノンパラメトリック検定 統計学の戦略と流れ 研修でのおすすめ本 • 看護関係の書類、書籍ばかり読んでいませんか? • たまにはこんな書籍で頭をリフレッシュ • 「世界一シンプルな戦略の本」、長沢朋哉著、PHP出版、 2009。手ごろな戦略入門ビジネス書。以前はコンビニでも 売っていた! • 「統計学を拓いた異才たち」、竹内忠行、熊谷悦生訳、日本 経済新聞社、2010。統計学をキチンと知るためには良いが 入門書には絶対お奨めできない。無骨であり精緻な1冊。し かしためになったなぁ。統計を学んでいる人には一度目を通 して欲しい本。 • サヨナラは別れの言葉じゃなくて • 再び会うまでの遠い約束 • (引用:「セーラー服と機関銃」、薬師丸ら、1981)
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