Kazuyuki Tanaka ECEI Experiment D (2013 Part 1)

電気・通信・電子・情報工学実験D
確率的情報処理の基礎技術
Part 1(2013年4月)
本実験DのWebpage:
http://www.smapip.is.tohoku.ac.jp/~kazu/ECEI-ExperimentD/2013/
東北大学 大学院情報科学研究科
田中 和之
[email protected]
http://www.smapip.is.tohoku.ac.jp/~kazu/
April, 2013
電気・通信・電子・情報工学実験D
[Kazuyuki Tanaka Part 1]
1
本講義の参考文献
田中和之著: 確率モデルによる画像処理技術入門, 森北出版, 2006.
田中和之著: ベイジアンネットワークの統計的推論の数理, コロナ社, 2009.
田中和之編著: 臨時別冊・数理科学SGCライブラリ「確率的情報処理と統計
力学 ---様々なアプローチとそのチュートリアル」, サイエンス社,2006.
安田宗樹, 片岡駿,田中和之共著 (分担執筆): ---CVIMチュートリアルシリー
ズ--- コンピュータビジョン最先端ガイド3(八木康史,斎藤英雄編), 第6章.大
規模確率場と確率的画像処理の深化と展開,pp.137-179, アドコム・メディア
株式会社, December 2010.
Kazuyuki Tanaka: Statistical-mechanical approach to image processing
(Topical Review), Journal of Physics A: Mathematical and General, vol.35,
no.37, pp.R81-R150, 2002.
C. M. Bishop: Pattern Recognition and Machine Intelligence, Springer, 2007.
M. Opper and D. Saad: Advanced Mean Field Method, MIT Press, 2001.
H. Nishimori: Statistical Physics of Spin Glasses and Information Processing, --An Introduction---, Oxford University Press, 2001.
M. J. Wainwright and M. Jordan: Graphical Models, Exponential Families, and
Variational Inference (Foundations and Trends® in Machine Learning), Now
Publishers, 2008.
M. Mezard and A. Montanari: Information, Physics, and Computation, Oxford
University Press, 2009.
April, 2013
電気・通信・電子・情報工学実験D
[Kazuyuki Tanaka Part 1]
2
Contents
1.
2.
3.
4.
5.
6.
April, 2013
序論:確率的情報処理とベイジアンネットワーク
確率の基礎知識
確率的計算技法の基礎
---マルコフ連鎖モンテカルロ法と確率伝搬法--確率的画像処理とベイジアンネットワーク ---マルコ
フ確率場と確率伝搬法--確率推論とベイジアンネットワーク---グラフィカルモ
デルと確率伝搬法--まとめ
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3
理詰めの情報処理と日常生活の情報処理
理詰めの情報処理
物理法則にもとづく,あり得べき結果の予測
命題群からの論理的帰結を演繹
コンピュータに発達により現実化
日常生活の情報処理
非演繹的,膨大な計算量
必要な情報が完全に得られるわけではない.
「分かること」と「知りたいこと」のギャップから
くる不確実性→何とかして可能にしたい!!
April, 2013
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4
不確実さと確率的情報処理
「分かること」と「知りたいこと」のギャップから
くる不確実性の数学的表現→確率・統計
起こりやすいことも起こりづらいこともまじめ
に考慮して計算
計算量的困難
近似アルゴリズムの導入による計算困難の打破
April, 2013
電気・通信・電子・情報工学実験D
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5
ポイントは何か
2N 通りの和が計算できるか?



x1 T rue,False x2 T rue,False
W x , x ,, x 
xN T rue,False
1
2
N
厳密に計算するのは一部の特殊な例を除いて難しい.
マルコフ連鎖モンテカルロ法
確率伝搬法
April, 2013
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6
確率的情報処理のモデル化と近似アルゴリズム
ベイズの公式
確率的情報処理
確率モデル
モンテカルロ法
近似アルゴリズム
モンテカルロ法
マルコフ連鎖モンテカルロ法
乱択アルゴリズム
遺伝的アルゴリズム
近似アルゴリズム
確率伝搬法
クラスター変分法
April, 2013
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7
確率的画像処理
K. Tanaka: J. Phys. A, vol.35, no.37, 2002.
劣化画像(ガウス雑音)
確率的画像処理手法
MSE:520
MSE: 2137
ローパスフィルター
MSE:860
April, 2013
ウィナーフィルター
MSE:767
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メジアンフィルター
MSE:1040
8
誤り訂正符号
Y. Kabashima and D. Saad: J. Phys. A: vol.37, no.6, 2004.
松嶋,和田山他著:小特集「ターボ符号・LDPC 符号と繰り返し復号の理
論」, 電子情報通信学会誌, vol.88, no.4, 2005.
送信ミス
010
000001111100000
符号化
001001011100001
復号
多数決
最も簡単な誤り訂正符号
0
1
0
010
パリティ検査符号
ターボ符号・低密度パリティ検査符号(LDPC)
高性能の復号アルゴリズムへと進化
April, 2013
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9
誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
 x1   1 
   
 x2   1 
 x   0
 3 
 x4   0 
x   
 5  1
 x  1
 6  
April, 2013
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10
誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
X 7  1  1  0 (mod 2)  0
X 8  0  0  1 (mod 2)  1
X 9  1  0  1 (mod 2)  0
 x1   1 
   
 x2   1 
 x   0
 3 
 x4   0 
x   
 5  1
 x  1
 6  
April, 2013
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11
誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
 x1   1 
   
 x2   1 
 x   0
 3 
 x4   0 
x   
 5  1
 x  1
 6  
符号語
April, 2013
X 7  1  1  0 (mod 2)  0
X 8  0  0  1 (mod 2)  1
X 9  1  0  1 (mod 2)  0
 x1   1 
   
 x2   1 
 x   0
 3  
 x4   0 
 x   1
 5  
 x6   1 
   
 x7   0 
 x8   1 
   
 x9   0 
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誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
 x1   1 
   
 x2   1 
 x   0
 3 
 x4   0 
x   
 5  1
 x  1
 6  
符号語
April, 2013
X 7  1  1  0 (mod 2)  0
X 8  0  0  1 (mod 2)  1
X 9  1  0  1 (mod 2)  0
受信語
 x1   1 
 y1   1 
1 p 1
1
   
   
x
1
 2  
 y2   1 
p
 x   0
 y  1
3
   
 3  
0
 x4   0 
 y4   0 
 x    1  2元対称通信路  y    1 
 5  
 5  
 x6   1  0 p 1
 y6   1 
   
   
x
0
 7  
 y7   1 
 x8   1  1  p
 y8   1 
0
   
   
 x9   0 
 y9   1 
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誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
April, 2013
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誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
April, 2013
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誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
April, 2013
電気・通信・電子・情報工学実験D
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16
誤り訂正符号での確率伝搬法
X 7  X1  X 2  X 4 (mod 2)
X 8  X 3  X 4  X 6 (mod 2)
X 9  X 2  X 3  X 5 (mod 2)
Turbo符号,LDPC符号の基礎となる概念
April, 2013
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CDMA復調法の性能評価
T. Tanaka, IEEE Trans. Inform. Theory, 2002
移動体通信にスピングラス理論が使える.
ノイズ
話し手の信号

拡散符号系列
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無線
通信
他人の
会話
拡散符号系列

復号処理
基地局の
受信信号
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この復調方式をベイズ
の公式で確率モデル化
すると磁性体の物理モ
デルで表される.
18
公開鍵暗号
Y. Kabashima, T. Murayama and D. Saad, Phys. Rev. Lett., 2000.
ゴルフコース問題と情報の秘匿
カップが天辺にあれば
何度得ってもボールは
もどってくる
鍵
カップが底にあれば
どこから打ってもボー
ルはカップインする.
エネルギー関数による暗号設計の基本戦略
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人工知能
ベイジアンネット
佐藤泰介,櫻井彰人編: 特集「ベイジアンネット」, 人工知能
学会誌, vol.17, no.5, 2002.
AC
AR
AS
AW
そのまま高次相関をもつ物理
モデルに対応づけられる
確率推論システム
April, 2013
確率伝搬法(Belief Propagation)
の提案による実用化の進展
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