電磁気学C

電磁気学C
Electromagnetics C
7/10講義分
電気双極子による電磁波の放射
山田 博仁
定期試験の日程について
試験の日程
7/24(木) 2講目(10:30 ~ 12:00)
アンケート最終結果
7/24(木)
希望
避けて欲しい
26
1
どちらでもOK
14
8/7(木)
18
8/1~8/5
1
1
放射電磁場
波動域における電磁場の性質を調べる。波動域における電磁場は、
E ( 2 ) ( x, t ) 
1  p(t0 ) x( x  p(t0 )) 
 2 


4 0  c r
c2r 3

 x  p(t0 )
B ( 2) ( x, t )   0
4
cr 2
 (25)
E(2)(x,
 (26)
e
t)
x
B(2)(x, t)
(25)式を書き直すと、
p(t0 ) 
x ( x  p(t0 ))
2
( 2)

4

c
r
E
( x, t )
0
2
r
 (25' )
(25’)式を(26)式に代入し、 x×x = 0、また 00 = c-2 であ
ることを考慮すると、
1
B ( 2) ( x, t )  e  E ( 2) ( x, t )
c
O q
p(t0 )
 (28)
ここで、e = x/r であり、これは図に示すように、原点 O から観測点 x に向く
単位ベクトルを表している。従って、観測点 x における磁場 B(2)(x, t) は電場
E(2)(x, t) および e に直交していることが分かる。
放射電磁場
次に、p227 付録Aのベクトル公式 A  ( B  C )  B( A  C )  C ( A  B) を用いると、
x  ( x  p)  x( x  p)  r 2 p
 (29)
であるから、(25), (26)式より、
E ( 2 ) ( x, t )  cB ( 2) ( x, t ) 
x
 cB ( 2) ( x, t )  e
r
 (30)
が成立する。つまり、E(2)(x, t) は B(2)(x, t) および e と直交している。即ち、
E(2)(x, t), B(2)(x, t) および e は前のスライドの図にあるように、互いに直交して
おり、それらの関係は自由空間を伝わる電磁波における関係と同じである。
従って、 E(2)(x, t), と B(2)(x, t) によって作られるポインティング・ベクトル S(x, t)=
0-1E(2)(x, t) × B(2)(x, t) の方向は、e の方向に一致しているから、 e の方向に電
磁波は進行する。即ち、この電磁波は横波になっている。
また、これら電場と磁場の大きさの間には、E(2)(x, t) = cB(2)(x, t) の関係があり、
(25), (26)式で表される放射電磁場が自由空間を伝わる電磁波と全く同じ性質
を有することが分かる。
放射電磁場
波動域おける電磁波が、観測点 x において e に垂直な単位面積の断面を通って
単位時間当たりに運ぶエネルギーを求める。これを求めるには、ポインティング・
ベクトル
e
(2)
E (x, t)
1 ( 2)
S ( x, t ) 
E ( x, t )  B ( 2 ) ( x, t )
 (31)
0
x
B(2)(x, t)
を求めればよい。
(30)式より、
S ( x, t ) 
c
0
( B ( 2 ) ( x, t )  e )  B ( 2 ) ( x, t )
 (32)
ここでまた前のスライドで用いたベクトル公式を用いて、
e と B(2)が直交していることに注意すると、
B( 2)  ( B( 2)  e)  B( 2) ( B( 2)  e)  e( B( 2)  B( 2) )  e( B( 2)  B( 2) )
従って、 S ( x, t ) 
c
0
B
( 2)

2
( x, t ) e
(26)式を代入すると、 S ( x, t ) 
O q
p(t0 )
 (33)
 (34)
0
(e  p(t0 ))2 e
2
2
(4 ) cr
 (35)
放射電磁場
ここで図のように p の方向と e の方向のなす角を q とすると、
観測点 x において、単位時間に観測される電磁波のエネル
ギー流の強さ S(x, t)は、
S ( x, t )  S ( x, t )  e 
0
2
2




p
(
t
)
sin
q
0
2
2
(4 ) cr
E(2)(x,
e
t)
x
 (36)
B(2)(x, t)
原点 O を中心とする半径 r の球面を通って、単位時間に流出
する全エネルギー P は、

0
2
2




p
(
t
)

2

sin
q  sin qdq
0
2

0
(4 ) c
0
0
4
2
2










2


p
(
t
)

p
(
t
)
 (37)
0
0
2
(4 ) c
3
6c
P(t )   S ( x, t )r 2 d 
O q
p(t0 )
原点 O を中心とする角 q の方向の単位立体角内に単位時間当り放射されるエネ
ルギー量は、
0
dP(t )
2
2




 S ( x, t )r 2 
p
(
t
)
sin
q
0
2
d
(4 ) c
 (38)
双極子放射パターン
0
dP(t )
2
2




 S ( x, t )r 2 
p
(
t
)
sin
q
0
2
d
(4 ) c
 (38)
放射される電磁波エネルギーの方向分布は、図のように p に直交する方向に
強く放射される8の字パターンとなる
放射エネルギーの強さ
S(x, t)
p
e
q
dq
d
q
p(t0 )
r
O
p
双極子放射のエネルギーの方向分布
線形ダイポールアンテナ
図に示すような長さ d の線状アンテナから放射される単位時間当たりの電磁波
のエネルギーを計算する。アンテナの中央部分には給電点があり、そこから周
期的な電流を与えてアンテナを励振する。
その電流が
 2z
I e ( z, t )  I 0 1 
d

z

 sin t


 (39)
d
2
 (40)
0
e
で表されるものとする。 すると、
I e ( z , t )
2 sin t
  I0
z
d
である。ただし、複号は z > 0 のとき負、 z < 0 の
とき正である。
電荷保存則により、
 e ( z , t )
I ( z , t )
2 sin t
 e
 I0
t
z
d
x

 (41)
y
d
2
線形ダイポールアンテナ
これを積分することにより、単位長さ当りの電荷密度は、
e ( z, t )  
2I 0
cos t
d
 (42)
で与えられることが分かる。これから、アンテナの電気双極子モーメント p(t) は、
d 2
d 2
0
2I
I d
p(t )   z e ( z, t )dz  0 cos t   zdz   zdz    0 cos t
 (43)


d 2
0

d
2


d
2
である。これから、
I0d
 cos t
 (44)
2
となる。これを(37)式に代入することにより、単位時間当りの全放射エネルギーは、
p(t ) 
 I d
P(t )  0  0   2 cos2 t0
6c  2 
2
 (45)
で与えられることになる。そこで、(44)の振動の1周期 2 / に渡る平均を求めると、
 I d

P  0  0  2 
6c  2 
2
2

2 
0
  I d 
cos2 t0  dt0  0  0 
12c  2 
2
となる。これがアンテナから単位時間当り放射される平均エネルギー
 (46)
ダイポールアンテナの放射パターン
従って、線形ダイポールアンテナと q の角度をなす方向に位置し、距離 r 離れた
所にある観測点 x において、アンテナのある方向に対して垂直な単位面積に単
位時間に到達する電磁波エネルギーは、
x
S(x, t)
S ( x, t ) 
0
2
2




p
(
t
)
sin
q
0
2
2
(4 ) cr
0  I 0 d  2
2
2

  cos t sin q
2
2 
(4 ) cr  2 
2
r
q
0 I 02 d 2 2
2
2

cos

t
sin
q
2
2
64 cr
 (47)
従って、電磁波エネルギーの強さは、アンテナからの
距離の2乗に反比例して弱くなり、またアンテナに流
れる電流の2乗、周波数の2乗に比例する
q
ダイポールアンテナからの放射パターンは、素子に
垂直な方向で強度が最も強くなるような 8の字パ
ターン
指向性アンテナ
ある特定の方向にのみ鋭く電波を放射(特定の方向のみから鋭く電波を
受信)することができるアンテナを指向性アンテナ(Beam Antenna)と言う
指向性アンテナの種類
八木・宇田アンテナ
パラボラアンテナ
キュービカルクワッドアンテナ
八木・宇田アンテナの構造
導波器
放射器
反射器
l/2
この方向に強く電波が
放射される
素子
(エレメント)
放射器は、ダイポールアンテナと
同じもので、半波長(l/2) の長さ
導波器は、放射器よりもやや短い
反射器は、放射器よりもやや長い
約l/4
約l/4
約l/4
八木・宇田アンテナの原理
放射器
放射器のみのときは、素子に垂直方向に均等に電波が放射される
八木・宇田アンテナの原理
放射器からの電波と導波器から
の電波の位相が逆で弱め合う
放射器からの電波と導波器から
の電波の位相が等しく強め合う
導波器 放射器
l/4
放射器からの電波
導波器からの電波
導波器には、放射器に対して  /2 だけ位相が遅れて給電されている
放射器から l/4 離れた位置に導波器がある場合は、導波器のある方向に強く
電波が放射され、その反対方向への電波の放射が弱められる
八木・宇田アンテナの原理
放射器からの電波と反射器から
の電波の位相が逆で弱め合う
放射器からの電波と反射器から
の電波の位相が等しく強め合う
反射器 放射器
l/4
放射器からの電波
反射器からの電波
反射器には、放射器に対して  /2 だけ位相が進んで給電されている
放射器から l/4 離れた位置に反射器がある場合は、反射器のある方向への電
波の放射が弱められ、それと反対方向への電波の放射が強められる
八木・宇田アンテナの原理
実際の八木・宇田アンテナでは、
導波器には給電せず、放射器か
らの電波を受けて、導波器自らも
電波の放射を始める。このとき、
放射器よりも僅かに短くしておくと、
放射器よりも位相が約  /2 遅れ
た電波を放射する。
導波器 放射器
約l/4
実際の八木・宇田アンテナでは、
反射器には給電せず、放射器か
らの電波を受けて、反射器自らも
電波の放射を始める。このとき、
放射器よりも僅かに長くしておくと、
放射器よりも位相が約  /2 進ん
だ電波を放射する。
放射器
反射器
約l/4
八木・宇田アンテナの原理
導波器 放射器
反射器
この方向に電波が
強く放射される
この方向への電波の
放射が弱められる
約l/4
約l/4
3素子八木・宇田アンテナ