M1中間発表 長島薫 2005/10/17 1. これまでの研究のまとめ: 「太陽フレアのリコネクションレート の統計解析」 2. 今後の研究 1 1 太陽フレアのリコネクションレート の統計解析 • • • • introduction 解析方法とその結果 議論 まとめ 2 <introduction> magnetic reconnection 磁気張力で 加速 電流シート 磁場のエネルギー ⇒ プラズマのエネルギー inflow リコネクション前 リコネクション後 outflow 3 <introduction> reconnection rate MA 定義: vin MA , vA vA B 4 vin • フレアのエネルギー解放効率を表す量 代表的なリコネクションモデルでの理論値 (太陽コロナの場合): Sweet-Parker model M A ~ 107 Petschek model 2 M A 10 4 <introduction> リコネクションレートの研究の現状 • Dere 1996による統計的研究がある。 (磁気リコネクションに関連する現象の空間・時間スケールの研究) • その他(8論文,1996-2005)は、特定のイベント についての ケーススタディーが主である。 • これらのリコネクションレート MAの典型値は 0.001-0.1 5 過去の研究例(1/2) MA Dere 1996 Tsuneta 1996 Tsuneta et al. 1997 Ohyama & Shibata 1997 Ohyama & Shibata 1998 0.001-0.1 events flare,CME,EFR etc. 統計的研究 0.07 LDE flare (21-Feb-1992) 0.04-0.06 impulsive flare (13-Jan-1992) 0.003-0.013 impulsive flare (decay:1桁小) (11-Nov-1993) 0.02 impulsive flare 6 (5-Oct-1992) 過去の研究例(2/2) Yokoyama et al. 2001 Isobe et al.2002 MA 0.001-0.03 0.001-0.01 events flare [inflow] (18-Mar-1999) LDE flare(decay phase) (12-May-1997) etc. Lin et al. 2005 0.01-0.23 Isobe et al. 2005 0.015-0.07 flare,CME [inflow] (18-Nov-2003) 3 flares(X2.3,M3.7,C8.9) reconnection rate MAの典型値は 0.001-0.1 7 <introduction> 本研究で目指すこと • フレアの物理量を統計的に調べる。 • 知りたいのは… フレアの物理量の間の関係 リコネクションレートの値 MA MAの、フレアの物理量への依存性はどうか? • このことにより、理論的には解明されていない 「リコネクションレートを決める物理は何か?」 についての観測的な提案ができないか? 8 Contents • • • • introduction 解析方法とその結果 議論 まとめ 9 <解析方法> 解析対象と使用データ • 解析対象 2000年のGOES C6 class以上のフレア • 使用したデータ GOES 軟X線フラックス フレアの寿命τ 2波長強度比 Yohkoh/SXT 軟X線部分像 フレアサイズ L SOHO/MDI magnetogram 光球磁場 Bph 10 <解析方法> event selection 2000年に起きたフレアのうち以下に該当する eventを解析した。 1. GOES class C6.0 以上 2. フレアの時刻に、Yohkoh/SXTのBeフィルター の画像があるもの 3. disk center から800秒角以内のもの C6 以上のフレアは482例。 そのうち77例 が解析対象に該当。 11 <解析方法> 観測データからのリコネクションレートの導出1 • フレアの時間スケールτflareから inflow速度を見積もる MA = τflare : inflow速度 コロナのAlfven 速度 GOESの光度曲線の 立ち上がりからピークまでとして定義. vinflow ~ L 4τflare 12 フレアのサイズ L と時間スケールτ × X class △ M class vinflow=100km/s vinflow=30km/s vinflow=10km/s vinflow=3km/s □ C6-C9 13 <解析方法> 観測データからのリコネクションレートの導出2 • Alfven 速度を見積もる。 vA MA = inflow速度 コロナのAlfven 速度 Bcor 4 コロナ磁場。 コロナ密度。測定は難しい のでここでは仮定する。 (ρ~ 10^{-15} g/cc) 直接観測は困難。 二通りの方法で 導出を試みた。 14 <解析方法> コロナ磁場導出方法1 (method1) • MDI の視線方向磁場についての magnetogramを用いる。 – ここから得られる磁場は「光球」の磁場 Bph である。(これは「視線方向成分」である。) – そのため、コロナと光球の磁場の値の比を仮定 し、光球磁場をコロナ磁場に変換する。 仮定: B Bcor 0.3( const.) Bph 15 フレアの磁場強度Bphと時間スケールτ × X class △ M class □ C6-C9 vA~103 104 km/s 16 <解析方法> コロナ磁場導出方法2 (method2) • コロナとフレアループとの間の圧力バランスから導 出する。 – GOESの0.5-4Å、1-8Åの全面fluxを用いて、温度・ EM解析を行い、フレアループのガス圧 ploopを求める。 – フレアループのガス圧と、コロナの磁気圧がつりあっ 2 ているものと仮定する。 Beq p loop 8 – ここからコロナの磁場を求める。 – 以下ではこの方法で求めた磁場を Beq とする。 17 フレアの磁場強度Beqと時間スケールτ × X class △ M class □ C6-C9 Beqのτに対する依 3 4 v ~ 10 10 km/s A 存性は低い。 18 リコネクションレート 観測量τflare、L、Bcorから求めた vinflow, vA を用いて、 リコネクションレートMAを求める。 MA = inflow速度 コロナのAlfven 速度 19 フレアのリコネクションレート(method1) 3 2 M A~10 10 仮定: B Bcor 0.3 Bph 20 フレアのリコネクションレート(method2) 3 2 M A~10 10 21 <議論> 1. コロナ磁場強度 – αB(コロナ磁場と光球磁場の比)の妥当性 2. scaling lawとの比較 3. 過去のケーススタディの例と今回の解析の 比較 4. リコネクションモデルとリコネクションレート 22 <discussion 1> αBの値について × X class Beq Bph Beq 0.3Bph △ M class □ C6-C9 Beq ~ Bcor と考えてみると… Beq 0.1Bph 0.1 B 1 23 <discussion 1> αBの値について Potential field との比較 MAGPACK2(Sakurai 1982)を用いた計算で 具体的に調べる。 • 例)2000 November 24 15:13 X2.3 flare magnetogramから – 光球の磁束密度:481G 得られる光球磁場 – 光球のline-of-sight 成分:244G – フレアループの高度での磁束密度:100G ⇒αB ~100/244 ~0.4 コロナ磁場 24 <discussion 1> αBの値について MAGPACK2(Sakurai 1982)を用いた potential field計算結果との比較 例: 2000 November 24 15:13 X2.3 flare 光球磁場~481G フレアループの高さでの 磁束密度~100G 光球の視線方 向成分の大きさ ~244G αB ~100/244 ~0.4 本研究ではαB=0.3とした。 25 <discussion 2> scaling law による予測値と観測値(温度)の比較 • 熱伝導と彩層蒸発を考慮したMHDシミュ レーションにより、フレアのループ長L、磁場B と温度Tの間のscaling relationを導出。 (Yokoyama & Shibata 1998, Shibata & Yokoyama 1999) Tpeak B 10 50G 7 6/7 no 9 3 10 cm 1 / 7 L 9 10 cm 2/7 K • その理論からの予測温度と観測データから 導出した値を比較。 26 <discussion 2> scaling law による予測値と観測値(温度)の比較 観測値 理論予測値は 観測値と矛盾 しない。 理論予測値 27 <discussion 3> 過去のケーススタディの例と今回の解析の比較 例:2000 July 14 13:52 M3.7 flare パラメーター 本研究 Isobe et al. 2005 コロナ磁場 Method1:Bph*0.3=32G Bcor=44G Method2: Beq =62G 光球磁場 Bph=117G Bph=106G(±11G) 9 cm フレアサイズ 2.8 109 cm 2.3 10 inflow 15 km/s 32 km/s Alfven Method1: 2.2 103km/s 2.1 103km/s velocity Method2: 4.3 103km/s MA Method1:0.0068 0.015 28 Method2:0.0035 <discussion 3> 過去のケーススタディの例と今回の解析の比較 例:2000 July 14 13:52 M3.7 flare パラメーター 本研究 Isobe et al. 2005 energy release Method1: 1.9 1027 rate Method2: 7.3 1027 [erg/s] averaged release 28 rate [erg/s] 1.3 10 (Ethermal/τ) thermal energy Ethermal[erg] 6.2 10 30 6.4 10 27 2.8 10 27 1.3 10 30 (maximum) 29 <discussion 4> リコネクションモデルとリコネクションレート method 1 の結果について。 × X class △ M class Petschek model □ C6-C9 (fitting) M A Rm 仮定: B Bcor 0.3 Bph 0.8 η:Spitzer抵抗 T 107 K 磁気 Reynolds数 Rm vA L 30 <discussion 4> リコネクションモデルとリコネクションレート • MAの値自体はPetschek modelの予測する理 論値から1桁以内に入る。 • しかし観測から得たMAは、Petschek modelより 強い磁気Reynolds数依存性を示している。 (-0.8乗 c.f. Sweet-Parker model : -0.5乗) ここでの磁気Reynolds数RmはSpitzer抵抗を仮定し ている。MAの値がPetschek model並みに大きく、 かつ、このようなRm依存性を示すことは、乱流磁気 拡散の効果でηがSpitzer抵抗仮定下より大きい、と いう可能性もある。 31 1 「太陽フレアのリコネクションレートの統計解析」 のまとめ • 2000年一年間のフレアの物理量の統計解析 を行った。 • フレアの物理量のうち、時間と空間スケール にはある程度の相関が見られるが、時間と磁 場にはあまり相関が見られない。 • リコネクションレートは 3 2 M A~10 10 程度と得られた。 32 2 今後の研究 • SVST (LaPalma) のデータ解析で光球速度場 とマイクロフレアの関係を探る予定。 昨年冬の三鷹太陽多波長データ解析研究会の続き。 main reference: Shimizu et al. 2002 ApJ “Photospheric magnetic activities responsible for soft X-ray pointlike microflares. I. Identifications of associated photospheric/chromospheric activities” 33
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