市場メカニズムの効率性 経済原論Ⅱ(ミクロ経済学) 第17/18回 畑農鋭矢 「私利私欲」は悪いとは限らない! • 政治家の目的 私利私欲 • 個人の目的 私の幸せ • 企業の目的 私企業の利益 ⇒問題が生じるか? ⇒皆が自分の利益を求めると世界は効率的に 価格(市場)メカニズム • 割り当ての方法 行列、くじ引き、配給など →もっとも必要としている人が優先されない • 価格(市場)メカニズム →もっとも必要としている人が優先される • 不平等、貧困等の問題 →他のシステムで対応すべき 効率的とは? • 分配 ⇒誰がどれだけ資源を利用できるか? ⇒人々の相対的な豊かさが問題 • (資源)配分 ⇒希少な資源をどのように利用するか? ⇒無駄のない資源の利用が問題 • 無駄のないとは? ⇒パレート効率(最適) パレート効率性 • 無駄のない状態 =「誰かの効用↑⇒他の誰かの効用↓」 =パレート効率(最適)な状態 • パレート効率でない状態 ⇒他の人の犠牲なしに、誰かの効用↑ ⇒状態の改善が可能(パレート改善) • パレート基準 パレート効率を望ましい状態として評価 純粋交換経済 • 財は2つ(x財とy財)、個人は2人(AとB) • 初期保有量⇒消費量(新たな生産はしない) ⇒純粋交換経済 初期保有量 A B 合計 x財 XA XB X y財 YA YB Y 消費量 x財 xA xB X y財 yA yB Y エッジワースのボックス・ダイアグラム y 財 OB I B1 IB2 YB(yB) Y IB3 初期保有量(消費量) IA3 YA(yA) IA2 XA(xA) XAB(xB) I OA 1 x財 X パレート効率性と契約曲線 y OB 財 パレート効率 パレート改善⇒ パレート非効率 契約曲線 OA x財 予算制約 y 財 OB B I 1 x財とy財を交換して消費量を調整 IB 2 IB 3 x財の価格px、y財の価格py px(xA-XA)=py(YA-yA) pxxA+pyyA =pyYA+pxXA yA=[(px/py)XA+YA]-(px/py)xA IA3 IA2 IA1 OA x財 交換とパレート効率性 y 財 OA OB x財 価格の変化とパレート効率性 y 財 OB 予算制約線の移動 yA=[(px/py)XA+YA]-(px/py)xA 時計回りに回転 ⇒無差別曲線が接するまで yB C B xB xA A x財は超過需要⇒px上昇 yA F y財は超過供給⇒py下落 OA x財 厚生経済学の第1基本定理 • 競争市場における交換によって パレート効率な状態を実現できること。 • 需給一致の場合 AとBの無差別曲線が接している場合 ⇒交換によってパレート効率性の実現 • 需給不一致の場合 ⇒価格の変化(ワルラス調整過程) ⇒パレート効率性の実現 初期保有量の変更 y OB 財 D C E A B OA x財 厚生経済学の第2基本定理 • 初期保有量の変更 ⇒実現する効率的な配分の変化 (第1基本定理より) • 契約曲線上の特定の点を実現したいとき ⇒初期保有量の変更で対応可能 =再分配 • 第2基本定理 適切な再分配によって、いかなる効率的な 配分も実現可能 基本定理と政府の役割 • 効率性のみを基準 =契約曲線上ならば、どこでもOK 第1基本定理:競争市場均衡がパレート効率 ⇒政府の介入は不要 • 個人の相対的な効用の大きさが問題 契約曲線上の特定の点を実現する必要 ⇒適切な再分配(政府の役割) • 第1基本定理が成立しない場合 ⇒市場の失敗(政府の役割)
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