マーケティング戦略の立案: ポジショニング戦略

ポジショニング戦略
ポジショニングの概念
1. 製品差別化
「自社の製品と競合他社のそれについて何らかの意味で
差異をつける活動」
2. ポジショニング
「ターゲット顧客の心の中に独自の、かつ価値づけされた
場所を占有するように企業のオファーをデザインする活
動」
3. ポジショニング分析
「効率的かつ効果的なポジショニング戦略を展開するため
に客観的なデータを分析し、自社と競合他社の製品ポ
ジションを明確にすること」
差別化の方法(コトラー)
 製品の差別化
機能特性、成果、耐久性、信頼性、スタイル、デザイン
 サービス差別化
デリバリ、設置、顧客訓練、コンサルティング・サービス、修理
 職員差別化
コンピタンス、礼儀正しさ、安心感、信頼性、迅速な対応、コミュニケー
ション
 イメージ
シンボル、メディア、雰囲気、イベント
ポジショニング
ポジショニング戦略
• 自社の競争優位性の明確化
• ポジショニングコンセプトの明確化
• ポジショニングコンセプトの選定と開発
• ポジショニングコンセプトの伝達
ポジショニングの基準
• 属性に基づくポジショニング
• ベネフィットに基づくポジショニング
• 用途に基づくポジショニング
• ユーザーに基づくポジショニング
• 競合他社に基づくポジショニング
• 品質あるいは価格
ポジショニングコンセプトの選定と開発
• 重要性 十分な数の買い手に高く評価されるベネフィットを与
える。
• 独自性 独特な方法で与えられる。
• 優越性 同じベネフィットを生み出す上で、他の方法よりも優
れている。
• 先駆性 競合他社には容易に模倣できない。
• 許容性 買い手がその差異に対して無理せずに支払える。
• 収益性 企業はその差異の導入が収益性を増すと考える。
いくつの差異をプロモーションすべきか
• シングル・ベネフィット・ポジショニング
• ダブル・ベネフィット・ポジショニング
 ボルボの「最高の安全性」と「最高の耐久性」
• トリプル・ベネフィット・ポジショニング
 アクアフレッシュの「虫歯予防」、「口臭を消す」、
と「歯を白くする」
ポジショニングの伝達
ポジショニング戦略はマーケティングミックスの全体
で行なわれる
• 製品
製品の包装、デザイン、操作性。
• プロモーション
広告で起用するタレント、表現。
• 価格
ある有名な冷凍食品ブランドは、あまりにも頻繁に安売りさ
れたため高級イメージを損なわれた。
• 流通
高く評価されたテレビは、量販店で取り扱われるようになっ
て品質のイメージを損なわれた。
ポジショニングの例
企業と製品
標的顧客
ベネフィット
価格
価値提案
鶏肉の品質 やわらかさ
にこだわる顧
客
10%割高
他社よりもや
わらかい最高
の鶏肉
ボルボ(ス
安全にこだわ 耐久性と安
全性
テーション・ワ る「高所得
ゴン)
の」家族
20%割高
家族が乗れ
る最も安全で
耐久性のあ
るワゴン車
便利さにこだ 配達のスピー 15%割高
わるピザ好き ドと品質の良
な人
さ
30分以内の
配達時間、美
味しい妬きた
てピザ
パーデュー
(鶏肉)
ドミノ
ポジショニングを行なう際の誤り
• アンダーポジショニング
買い手が当該ブランドについて漠然としたイメージしか持っていない。
例 PEPSIの透明な「クリスタルペプシ」
• オーバーポジショニング
買い手は当該ブランドについて狭いイメージしか持っていない。
例 ティファニーのダイヤモンド指輪
• 混乱したポジショニング
買い手は当該ブランドについて混乱したイメージをもってしまう。
例 NeXTのデスクトップ型コンピュータ
• 疑わしいポジショニング
買い手は製品特徴や価格やメーカーに関する当該ブランドの主張を信
じていない。
例 GMのCimarron
ポジショニング分析
ポジショニング分析の背景
• 市場に存在する製品・ブランドの増加
• 市場の細分化の進歩
ポジショニング分析のアプローチ
• ポジショニング変数の明確化
• 競合他社の規定
• 顧客が知覚した自社と他社のポジション
• 自社と他社のポジショニングに影響を与える
マーケティング活動の明確化
知覚マップの見方
ベネトン
シャネル
所有率
ラルフローレン
ルイ・ヴィトン
高級感
浸透度
広告
親しみ
ティファニー
誇らしさ
グッチ
エルメス
K・クライン
カルティエ
プラダ
フェラガモ
ブランド力
知覚マップの見方
• ブランド同士の距離は顧客が知覚したブランド間の
類似性を表している。
• 属性ベクトルとブランドの距離は当該ブランドとその
属性の相関の強さを表している。
• 属性間の相関は属性ベクトルの角度の大きさで表
している。
• 属性ベクトルの長さはその属性のブランド判別力を
表している。
知覚マップの応用
• 新製品開発
• 自社製品のポジショニングの再確認
• 自社製品の再ポジショニング
• 競合他社の選択
• イメージ分析
ポジショニング分析の手法
• 製品属性ベース
• 製品類似度ベース
• ジョイント・スペースマップ(知覚と選好の同時
分析)
製品属性ベース
1. 対象製品と属性の設定
2. 属性に対する知覚データの収集
3. 知覚マップの分析手法の利用(因子分析)
製品類似度ベース
1. 対象製品またはブランドの設定
2. ブランド間の類似性行列の作成
3. 知覚マップの分析手法の利用(多次元尺度
法)
ジョイント・スペースマップ
1.(仮)理想のブランドの挿入
2.属性データに選好変数の追加
理想のブランド
A
選好ベクトル
B
A
C
B