1 日本行動計量学会第29回大会 於:甲子園大学 (2001/9/14-16) 公開回答・指定討論 狩野 裕 大阪大学 大学院人間科学研究科 2 FA for ipsatized data • SEMの活用で分析可能になっている – Chan & Bentler (1993). The covariance structure analysis of ipsative data. Sociological Methods and Research, 22, 214247 – 豊田(2000). 共分散構造分析[応用編].朝倉 書店 – 小笠原(2001).本大会予稿集 3 特徴と問題点 • 加算的 ipsative model I p (1 / p)1 p1 p ' (μ c j 1 p f j e j ) I p (1 / p)1 p1 p ' (μ f j e j ) x (jip) I p (1 / p)1 p1 p ' x j • 個人ごとのバイアスが調整される • 因子負荷ベクトルが 1p に比例していると,因子 が消えてしまう – essentially τ-equivalent test 4 Qs from Sayuri A) 方法の違いが結果の違いとして現れない場 合,主成分分析でなく,因子分析を採用しなけ ればならない理由があるのか B) 論文が採用されることを重視すると,審査者が 理解できない新しい分析法を用いるより,前例 の多い手法を採用した方が安全である C) 先行研究で用いられた方法を使った方が比較 に都合がよい 5 A) 方法の違いが結果の違いとして現れない場合,主成 分分析でなく,因子分析を採用しなければならない 理由があるのか • PCAが重宝がられる理由 – FAでは分析がうまく行かないから × – FAと結果が似ているから × – FAよりアピーリングな結果だから ○ • 理論的に,因子負荷量の値が高く出る – FAの方がむずかしいから × – ソフトのデフォルトがPCAだから × 6 原理・原則を守りたい • 主成分分析(PCA) – 合成変数を作りたい – 次元縮小,変数のグルーピング • 因子分析(FA) – 観測変数の原因となる潜在変数に興味 – 尺度化,信頼性分析 7 つづき • 分析結果はかなり違う – 同じであればFAを報告することに抵抗感は ないはず • グルーピングはあまり変わらない – 因子負荷量から信頼性係数を計算すると かなり違う • α係数は近々過去の遺物になるだろう 8 論文の価値を低めるな!! • PCAはいつもうまく行く,FAは結構うまく行かない – FAがうまく行くためには,以下が必要 • 十分な標本,連続変数(二値変数が含まれない), 偏りや尖りのある項目がない • データの発生機構がFAモデル – これらを達成するため無尽の苦労をするのに,どんな データでも分析できるPCAで報告するのは何ともった いないことか – PCAで報告するのは,データが dirty でFAではうまく 分析できないからではないかと勘ぐられる 9 B) 論文が採用されることを重視すると,審査者が理解 できない新しい分析法を用いるより,前例の多い手 法を採用した方が安全である • 審査者の教育が必要 • 上記の主張は学会先進国でも通用するのだろう か.もしそうなら,方法論の発展はなく,それを利 用する実質科学の発展も期待薄 • 日本で,このような主張がまかり通りそうなのは なぜだろう • 若手の研究者から,旧態依然たる学会を変革し ていく声を上げないといけないのではないか 10 C) 先行研究で用いられた方法を使った方が比較に都合 がよい • そのとおりである • 新しいより洗練された方法論を用いた場合 は,比較のために古い方法でも分析しておく • 論文にはその旨少し記述すればよい 11 Qs from Ako • 投網とタモ網 – 探索的分析と検証的分析 – SEMは原則として検証的分析 • 結局,ぐるぐるするの – 双方向因果モデルもあるが…. • 禁断の多母集団同時分析 – 非正規性 – 多母集団を構成する属性変数 12 「ある社会心理学者からの問い合わせ」 「中絶に対する態度の日米比較」に関する投稿論文に対 するエディターのコメントで、日本人のサンプルのほうが アメリカ人サンプルよりもいろんなスケールでのReliability がひくいので、それをコントロールするためにより洗練さ れた分析方法、たとえばLISRELとかEQSとかつかえ、と いってきました。意味が今一つよくわからないのですが、 これって、Latent Variablesを用いろということでしょう か。それとも、重回帰や相関係数でのみ議論しているとこ ろを、なんとかEQSに持ちこめば、Manifest Variableを 扱っていても、EditorがいうようなReliabilityのコントロー ルということが果たせるのでしょうか。 13 信頼性の異なる母集団の比較 A国 B国 14 信頼性の異なる母集団の比較 • CFAによると「宗教」と「道徳」から「責任帰 属」への因果構造に違いはない. – 「道徳」の測定モデル(信頼性)が異なる. • 尺度化すると,因果構造に違いが出てしまう A国 B国
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