スケジューリング問題に特化した動的制約充足問題の解

制約処理の新展開と
ハイブリッドドメイン・ファジィ制約充足
北海道工業大学
須藤康裕
はじめに
制約充足問題とは、
n
{
D
}
有限で離散的な領域
i i 1 から値を選ぶ複数の変
n
r
数 {X i }i1 に対して、全ての制約 {Ck }k 1 を満たすよう
な値の割り当てを探し出す問題
変数
領域
X1
青、赤
X2
青、赤
X3
青、赤
X4
青、赤
図1. 制約充足問題(グラフ色塗り問題)の例
制約充足問題に関する研究の最近の動向
(文献:横尾氏、平山氏による)
より現実的な問題を表現するために、
• 分散
-アルゴリズムが局所情報のみで動作
• 動的
-時間と共に制約が変化
• 不完全 -制約が強くて解が存在しない
等の新しいタイプのCSPが研究されている
これらの研究を背景に
ハイブリッドドメイン・ファジィCSPを提案
構成
~主な研究の内容
1. はじめに 制約充足問題とは、研究の背景
2. 分散制約充足システムのJavaRMIによる実装
3. スケジューリング問題に特化した
動的制約充足問題の解の質の向上
4. 不完全制約充足問題の探索停止条件
5. ハイブリッドドメイン・ファジィ制約充足問題
6. おわりに
1. 分散制約充足システムの
JavaRMIによる実装
分散制約充足問題とは、
制約充足問題の変数がネットワーク上のノードに分
散された問題で、ノード間通信によって解を探索する
ノード
変数
ノード
ノード
制約
変数
制約
変数
図2. 制約ネットワーク
PaintColor エージェントの生成を依頼
RMIServer
エージェントを送る
CalcServer
エージェントを割り振る
:コンピュータ
CalcClient
CalcClient
CalcClient
:エージェント
図3. JavaRMIによる分散制約充足システム
エージェントは分散breakoutアルゴリズムによって
自分自身の値を決定する
図4. 分散グラフ色塗りシステムの実行画面
2.動的制約充足問題とスケジューリング問題
動的制約充足問題とは、
通常の制約充足問題の列 {Pi }in0 であり、Piは
Pi-1に対して制約を追加するなどの変更が加え
られて得られる
Job
Domain
A
1,2
B
2,3
C
3,4
D
1,4,5
Job
Domain
A
1,2
B
2,3
C
3,4
D
1,4,5
E
2,5
図5. 制約が変更された例(変数が増加)
実験の目的:
・動的制約充足問題の解として求められるもの
• 計算時間の短縮
• 解の安定性
解が複数存在する場合
これらを犠牲にすることなく解の質を
高めることが可能かどうか確認
実験:
ジョブの実行時刻Tzから最後に変数を変更
した時刻Txを引いた値をTyとする。
Ty = Tz – Tx :余裕とする
•
•
•
•
•
時間を1単位時間づつ進める
実行に移るジョブを削除
Tyをカウントする
ランダムでジョブを追加
問題を解く
80
70
70
60
60
50
50
40
先
後
中
30
20
30
20
10
0
0
先
後
中
40
10
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
中
後
先
14
15
ジョブを納期までの
余裕で降順
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
ジョブを納期までの
余裕で昇順
図6. ジョブとドメインの順序を入れ替えた結果
中
後
先
15
3. 不完全制約充足問題の探索停止条件
不完全制約充足問題とは、
制約が強過ぎる過制約な制約充足問題
すべての制約を満たす解が一般には存在しない
反復改善型のbreakoutアルゴリズムでは計算
を途中で止める必要がある
これまでの探索停止条件:
停止しない
ときがある
制約充足数 > 十分値
提案する探索停止条件:
• 最長有限連の長さがあるしきい値θ
を越えたときに停止する
最長有限連の長さ > θ
∵無限連が生じて
必ず停止する
いつか連の長さが
θを越える
90
A,B,C,D,E: 連
80
A
制約違反数
70
60
B
50
最長有限連
40
C
30
20
D
10
無限連
E
0
1
101 201 301 401 501 601 701 801 901 1001 1101 1201 1301 1401 1501 1601 1701 1801 1901 2001
ステップ数(時間)
図7. 最長有限連