CDF

29th.Sep.2004
日本物理学会 @ 高知
CDF RunII 実験用 CPR 検出器に用いる
マルチアノード光電子増倍管の性能評価
筑波大物理 中村浩二, 受川史彦, 木村直樹,
金信弘, 田村朋也, 山内伸, 山田佳範
目次
● CDF実験,CPR2検出器
● マルチアノード光電子増倍管
◎ 評価項目
◎ 測定装置
◎ 基本特性の評価
● CPR2 検出器のインストール
◎ インストール状況
◎ 宇宙線テスト
● まとめ
CDF 実験、CPR 検出器
陽子・反陽子衝突型加速器 テバトロン →
重心系エネルギー : 1.96TeV
目的
Top クォーク、Bottom クォークの精密測定
ヒッグス粒子、超対称性粒子の探索
CPR
中央部プリシャワー(CPR) 検出器
は、飛跡検出器とカロリーメータの
間に設置されていて、粒子の識別
を主な目的としている。
CPR検出器の役割
◎
±
±
e,p
の分離
CPR 検出器の波高分布(RunI)
±
e : 内側で制動放射、対生成
をくりかえしシャワーが起こる。
→平均 数 MIPs
p
±
→ 1 MIP の粒子が多い
◎g,p
1Xo
→ g g の分離
0
g : CPR の内側で対生成を
一回でも起こす確率 : Pg
Pg = 1 - exp(- 7 t / 9)
p : 2gのうち少なくとも一方が
0
対生成を起こす確率: Pp
Pp = 1 - (1 - Pg)2
←この確率の差を利用する
ことで g が観測された全事
象から、 g とp0 の割合を統
計的に計算することができ
る。
要求
~50MIPsの信号
1MIPの信号
CPR2検出器の構成
CPR :ガス検出器
(応答速度が遅い)
↓
CPR2 :シンチレータ型
シンチレータ
WLS ファイバ
クリアファイバ
光電子増倍管
シンチレータタイル
CPR2 検出器の読み出し
シンチレータタイル3072枚からの出力を、
16チャンネル マルチアノード光電子増倍管 約200本で読み出す。
マルチアノード光電子増倍管
H8711MOD2
(浜松ホトニクス社製)
31 mm
アノードが 16 分割されている。
46 mm
31 mm
・ コンパクトである
・ コストがおさえられる。
(12 段)
・ 応答非一様性
・ 信号の漏れ
評価の必要あり。
評価項目
•
•
•
•
•
6
増幅率 (1.0×10 で使用)
1 MIP 相当の信号に対する応答の検出効率
50 MIPs 相当の大きな信号に対する応答の線形性
応答の一様性
他チャンネルへの信号の漏れ
測定装置
◎半導体レーザー
→安定型ピコ秒ライトパルサ(PLP-02)
→レーザーダイオードヘッド(SLDH-041)
◎石英光ファイバ
→京三製作所製(GI-50/125)
半導体レーザー
(波長410nm)
◎WLS ファイバー
→クラレ社製(Y-11 0.83 mmφ)
◎ND フィルター
→コダック社製ゼラチンフィルタ
◎レファレンス用PMT
→浜松ホトニクス社製(H1161-GS)
◎X-Y スキャナステージ
→シグマ光機社製(LTS-50XY-ORG)
読み出しには、
LeCroy 2249A (0.25 pC/count)
のADC モジュールを用いる。
増幅率
◎ 測定方法
増幅率の大きいチャンネル
→単一光電子に対する応答から求める
第一ダイノードに入射する光電子:平均0.1個
印加電圧
750V への換算 :
G(1000V ) = 2.76107
:1000V
G(750V ) = 1.23106

 750 
G(750V ) = 
  G(1000V )
 1000
βは、HV curve のパラメータ
増幅率の小さいチャンネル
→応答の平均と分散から求める
A Simple light detector gain measurement technique,
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research
A315 (1992) 349-353
6
750 V で増幅率の平均が 1.0×10 程度
1 MIP 相当の信号に対する応答の検出効率
1 MIP 相当の信号によって、第一段ダイ
ノードに入射する光電子数 を 約 5 個
と仮定 (デザインは、20個)
◎ 測定 (増幅率がmean の68%のチャンネル)
◎出力電荷/増幅率=5e (e:素電荷)
となるように光量を調節した。
◎CPR2検出器で用いるADCは、12.5倍の分解能を持つ。
この分解能での波高分布を模擬するため、
印加電圧を上げて測定した。
想定電圧:750V
印加電圧:955V
なお、PMT自体の増幅率の変更により、波高分布の形が
大きく変化しないことを確認した。
◎ペデスタルのσは、CPR2と同様のデータ収集システムを用いられている、プラグ部カロリーメータの
データから、1×20 fc と定めた。(現在行われている宇宙線テストでも同様の値が得られている。)
◎閾値をペデスタルの3σに定めた。
検出効率 e = 99.0 %
(mean の68%のチャンネル)
50 MIPs 相当の信号に対する応答の線形性
◎ 測定 (増幅率がmean の138%のチャンネル)
◎出力電荷/増幅率=250e (e:素電荷)
となるように光量を調節した。
◎印加電圧 : 540~780V (30V 毎)
◎フィット関数 :
Q = αV
Deviation(%) 
(Gain of mean ch = 1.0106 )
β
(10 ~150 ADCcount)
Q measure  Qfit
Qfit
印加電圧 750 V で、線形性からの
ずれが 3 %以内 (mean の138%のチャンネル)
応答の一様性
◎ 測定
RMS=12.6%
◎出力電荷/増幅率=100e (e:素電荷)
となるように光量を調節した。
◎印加電圧 : 750V
68 %
◎予備も含めて220本のMAPMTを測定し、
各MAPMTで、出力電荷の平均値が1となる
ように規格化した。
◎曲線は、ガウス分布でフィットしたもの
応答のばらつき12.6% は、十分小さい。
138 %
信号の漏れ
◎測定
◎光源を→に沿って 0.5 mm 間隔で動かし、黄色のチャンネル
からの出力電荷を測定した。
◎印加電圧 : 750V
信号の漏れは 2%以内。
インストール状況
9月25日現在
NEW
◎ 全体の1/4のインストールが完了
◎ インストール済のmodule で宇宙線テストを
行っている。
EMPTY, EM Calorimeter face
OLD and UGLY
宇宙線テスト @FNAL
← 宇宙線テストの波高分布
(通常の4倍の増幅率で測定)
ADC の分解能は 20fc/count より
1st ダイノードに入射する光電子数は、
約 10 p.e
↓ ペデスタルトリガの波高分布
ペデスタルのσは、約1 ADC count
100K
Pedestal trigger Event
ADC Counts
Pedestal RMSs
まとめ
• 1.0×106 程度の増幅率が得られた
• 増幅率が平均の68%のチャンネルでも、1MIP 相当の信号
に対する検出効率は99%以上と予想される。
• 増幅率が平均の138%のチャンネルまで、50 MIPs 相当
の信号に対する応答の、線形性からのずれが 3% 以内。
• 応答の一様性は、そのばらつきが 12.6% となり、これは、
上2つの要求を十分満たす。
• 各チャンネルにおける信号のもれは 2 % 以内。
• インストール作業は、順調に進んでいる。
• 宇宙線テストでは、1MIP で約10p.e.相当の応答が得られ
ている。
H8711MOD2 型光電子増倍管は、CPR2検出器に使用するに
あたって、その性能が十分であることが確認された。
Appendix
応答の平均と分散から求める
◎ 測定方法
任意の光量の入射に
対する出力の平均と分
散から求める。
R : 出力電荷、 G : 増幅率
σR : 出力電荷の標準偏差
δSER : 単一光電子による
応答の標準偏差/平均
σelec : 測定器のノイズ
1st dynode 5 p.e.
1st dynode 10 p.e.
efficiency 99.75%
efficiency 97.6%
1st dynode 5 p.e.
Gain of PMT
and threshold
x12.5
efficiency 98.8%
1st dynode 15 p.e.
efficiency 99.96%
Install status
9th Sep 2004
• 1/4 of detector stripped and electronics
replaced.
• 1/2 of PMT boxes mounted.
• 1/8 of new detectors mounted.
• These steps going much faster than
expected.
• Finishing up learning curve for many details
of detector mounting/alignment, fiber
routing and protection, ...
• 1 wedge fully instrumented with optical
cables and PMTs took cosmics.
• All potential show-stoppers passed, still
much work to do to get a complete, working
detector.
インストール状況
2004年9月9日現在
• 以前のCPR検出器の撤去、
新しいデータ収集システム
のインストールが1/4完了
した。
• 1/2 のPMT BOX を設置
した。
• 1/8 の新しいCPR検出器
をインストールした。
Install status
21th Sep2004
CPR/CCR Installation Status
Tentative Schedule:
Declare top 10 wedges OK by noon today?
If so, remove remaining slack and secure fibers on side of arch this afternoon.
Remove scaffold for top 10 wedges Weds morning.
Install and test bottom 2 wedges Weds afternoon and Thursday.
Roll-in early Friday morning, take cosmics, roll-out SW arch in afternoon!
Then we have 2.5 weeks per arch until the end of the shutdown.
宇宙線テスト @FNAL
86K Cosmic Triggers
1MIP 相当の信号に対する第一段ダイノード入射粒子は、
8 p.e. これは、デザインの 1/2.5 程度。→原因調査中
インストール
CEM カロリーメータ PMT BOX
(4 PMTs/1 BOX)
CPR2 検出器
CEM カロリーメータの表面
以前のCPR 検出器