九州大学 大学院 システム情報科学府 情報工学専攻 修士2年 中村遼 背景 研究目的 無線LANユーザに合わせて基地局の起動/停止を行うシステム 提案システムの説明 システムの評価 無線LANの普及 無線LAN AP(Access Point)停止の困難さ 実環境での動作検証 シミュレーションでの省電力性検証 まとめと今後の課題 修士研究発表 : 中村 遼 2 インターネット,イントラネットの普及 企業や工場,大学等では無線LANが多く利用 IEEE802.11準拠した公衆無線LANサービスの増加 近年では,携帯ゲーム機も802.11に対応 無線LAN利用のために,AP (Access Point)が必要 無線LANの広域利用や通信帯域確保のために複数設置 ⇒ 一つのエリアで複数のAPを検知 APは無線端末の接続要求に応えるために常時起動 修士研究発表 : 中村 遼 3 無線LAN利用の少ない時間帯(夜間や休日)に電力浪費 AP1台の消費電力:5~15W 関連研究[1]では,APにPSM(Power Saving Mode)を応用 PSM:端末が通信を行わない間,無線部(アンテナ)をSleep状態 に APのSleep≒接続端末全体の低スループット化 端末の要求フレームが受信不可能になる為 省電力化の影響が無線部のみ APの無線部の消費電力:高々2W程度 T.D. Todd, D. Zhao, and V. Kezys, “Power Saving Access Points for IEEE802.11 Wireless [1] F. Zhang, Network Infrastructure,” IEEE Transactions on Mobile Computing, Vol. 5, No. 2, pp. 144-156, 2006. 根本的な問題解決にはならない 修士研究発表 : 中村 遼 4 無線LAN利用状況に合わせて,自動でAPの電源を制御す るシステムの提案 初期値として,全てのAPは停止 接続端末の位置に最適なAPのみを起動→端末に接続 電波の届かない位置にあるAPを起動しても通信不可能 APと端末には,特別なソフトウェアを組み込まない このシステムを構築し,省電力性を検証する. また,これを基に省電力について考察する. 修士研究発表 : 中村 遼 5 <課題> AP停止状態で,いつ,どこに端末が出現したか検知 いつ:端末のプローブ要求送信時 => 要求フレーム受信応答機能 どこ:端末の二次元座標 => 受信信号強度を用いた端末位置推定技術 近年ではセンサーネットワークの分野においても注目[2][3] [2] H. Ochi, S. Tagashira, and S. Fujita, “A Localization Scheme for Sensor Networks Based on Wireless Communication with Anchor Groups,” IEICE Trans Inf Syst (Inst Electron Inf Commun Eng), Vol. E89-D, No. 5, pp.1614-162, 2006. [3] M. Sugano, T. Kawazoe, Y. Ohta, and M. Murata, “Indoor Localization System Using RSSI Measurement of WirelessSensor Network Based on ZigBee Standard,” The IASTED International Conference on Wireless Sensor Networks(WSN 2006)}, Banff (Canada), 2006. 2つの機器 BQ(Base Quacker)とC3サーバ(Collection, Calculation and Control server) を提案 修士研究発表 : 中村 遼 6 三点測量における観測点としての基地局 BQの仕様 ビーコン送信,プローブ応答,認証応答 アソシエーション応答は返さない 全区間で最低3台のBQがフレームを受信 => BQのチャネルは同 BQ3 BQ1 一 端末 BQ2 必要 端末の座標(X,Y)が求まる 端末の要求フレームから受信信号強度を測定 BQ端末間距離を受信信号強度から計算 => C3サーバで行う C3サーバにフレーム及び受信信号強度を転送 修士研究発表 : 中村 遼 7 APとBQの制御サーバ C3の仕様 ① (Collection) BQから受信信号強度の収集および記録 ② (Calculation) 端末の位置座標を計算 受信信号強度→BQ端末間距離 変換,三点測量 送信側 端末 受信側 BQ 受信信号強度とアンテナ間距離の関係 受信信号強度 P[dBm] (C,N:定数) d [m] 事前に変換式の定数CとNを記録 ③ (Control) 端末に最適なAPの起動および未使用APの停止 認証サーバのアクセスログを参照 修士研究発表 : 中村 遼 8 BQ2 端末の 位置は?? P2[dBm] C3 AP BQ3 P1[dBm] P3[dBm] BQ1 この提案システムを,AP電源制 御システムと呼ぶことにする 1.接続開始(APは全て停止している) 2.プローブ要求/認証要求/ アソシエーション要求 3.BQで受信信号強度を測定 4.フレーム及び受信信号強度を送信 5.受信信号強度-距離変換,三点測量 6.端末に最適なAPを起動 7.起動したAPからビーコン送信 8.接続完了 9.通信終了 10.APの停止 修士研究発表 : 中村 遼 9 実環境における動作検証 端末位置推定精度の測定 端末位置推定誤差のシステムへの影響 端末AP間接続確認実験 シミュレーションを用いた消費電力量計算 シミュレーション条件 時間帯ごとに出現する無線LANユーザ数の設定 シミュレーション環境の構築 1週間の消費電力量[kWh/week]および平均消費電力[W]を計 算 一般的な無線LAN接続システムと比較 修士研究発表 : 中村 遼 10 修士研究発表 : 中村 遼 11 延べ60地点における位置推定 場所:筑紫女学園大学 礼拝堂 フレーム送信時間:30sec BQ-C3サーバ間通信:UDP C3サーバでは,収集した受信信 号強度の最大値と平均値でそれ ぞれ計算 修士研究発表 : 中村 遼 変換式のNとCは事前に最小二 乗法により計算 端末の実際の位置と推定位置の 誤差[m]を計算 12 端末の位置推定誤差 (累積分布確率) 最大値 平均値 平均値 (-75dBm以上) 平均値 (-70dBm以上) 推定誤差 10m以内 15m以内 93% 100% 82% 88% 92% 98% 93% 98% 微弱電波 を無視 一般に,APは15~20m 間隔で設置する事が多 く,また,屋内でも2.4GHz帯では信号は30m以 上遠方まで届くため,位置推定は問題ない 端末AP間においては,接続を確認することができた 修士研究発表 : 中村 遼 13 現実の講義室内AP (kitenet:カイトネット)の ユーザプロファイル作成 場所:システム情報第5, 第7,大講義室 日時:2009年6月第1-4週 例:大講義室でのAP利用者数の変化(火曜日) 方法:10分毎に第1~4週の平均 ユーザ数 第5講義室 第7講義室 大講義室 時限 時間帯 月 火 水 木 金 月 火 水 木 金 月 火 水 木 金 ユーザ数を計算した上で,右記の 0 0:00-6:00 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0.5 6:00-8:40 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 2 5 0 時間帯の最大値を記録 平日の20:00~6:00および土日 のユーザ数は0であった ※ kitenetのアクセスログは研究目的の使用であり, 使用後はパソコンから完全に削除しております. 1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 5.5 6 8:40-10:10 10:10-10:30 10:30-12:00 12:00-13:00 13:00-14:30 14:30-14:50 14:50-16:20 16:20-16:40 16:40-18:10 18:10-20:00 20:00-24:00 修士研究発表 : 中村 遼 1 1 1 0 3 1 1 0 0 0 0 0 1 1 0 1 1 2 2 2 0 0 0 0 0 0 0 1 2 0 0 0 0 0 2 1 0 2 2 2 2 1 0 0 0 0 0 0 3 2 2 1 0 0 0 2 0 0 3 5 1 1 1 1 0 0 1 1 1 1 2 1 1 2 3 1 0 0 0 0 0 0 1 4 1 1 0 0 0 0 1 0 0 1 0 0 0 0 0 APのユーザプロファイル 0 0 1 0 4 3 4 3 0 0 0 10 11 14 5 8 12 10 5 1 0 0 1 2 1 1 13 13 13 3 2 1 0 7 7 7 1 0 3 7 1 1 0 0 14 8 8 9 1 1 1 2 0 0 0 0 0 0 0 1 5 6 6 5 0 0 0 16m AP1 右図の講義室に時間ごとに ユーザを発生 講義室A:第5講義室×2 講義室B:第7講義室×2 講義室C:大講義室の×2 2m 講義室A 10m BQ3 AP2 2m BQ1 2m 教卓 2m 10m 教卓 2m 2m AP3 11 m 4m 2m 4m AP4 BQ2 34m 起動したAPの個数を記録して, その時間帯のAP/BQの消費電力を計算 AP6 通路 講義室B 講義室C 4m 4m 教卓 16m AP7 AP5 ユーザ:黄色の領域に出現 APの消費電力:10W(起動時) / 0W(停止時) BQの消費電力:10W 修士研究発表 : 中村 遼 15 22m 消費電力を約38%削減 することができた AP電源制御システムの消費電力の変化 シミュレーション環境1 一般接続システム Location接続システム 1週間の 消費電力量 [kWh/week] 11.76 7.33 平均消費電力[W] 70 43.6 修士研究発表 : 中村 遼 16 本研究では,AP電源制御システムを使うことによる省電力性 をシミュレーションにより示すことができた 実験では,問題無く動作した APの電力供給にPoE (Power over Ethernet)を利用 ⇒ ユーザのいない時間帯にAPを完全に停止させることが可 能 一般的な接続システムより消費電力が大きくなることがある AP電源制御システムでは,BQの消費電力が余計にかかる AP起動数が多い時間帯にBQを停止 ⇒ 3%程度の電力削減 『AP/BQ電源制御システム』 修士研究発表 : 中村 遼 17
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