環境技術移転に 関する日本企業のパラダイム変換

日本銀行の業務と金融政策
2014年11月 於 麗澤大学 経済学部
日本銀行 情報サービス局 矢野 浩
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本日の内容
I. 日本銀行誕生の経緯と組織
II.お札(銀行券)の発行
III.金融システムの安定確保
IV.物価の安定と金融政策
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Ⅰ.日本銀行誕生の経緯と組織
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I-1. 日本銀行誕生の経緯
 明治初期は、政府と国立銀行がお札を発行。
 西南戦争の戦費調達のためにお札が大量に発行された。
 このため、激しいインフレーションが発生。
 明治政府は、お金の価値を安定させるために、我が国の
中央銀行として日本銀行の設立を決定。明治15年(1882)
10月、日本銀行が開業。また、日本銀行を中心とした銀行
制度の整備も進められた。
 開業当初の店舗は、旧永代橋のたもとの
旧北海道開拓使の建物を使用(右)。
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I-2. 日本銀行の組織
 設立
1882年(明治15年)
 組織
本店、支店(32)、事務所(14)、
海外事務所(7)
職員数:約4,700名
 資本金
1億円(政府出資55%)
 法的性格
認可法人(職員は 「みなし公務員」)
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I-3. 国内の支店・事務所
※ 海外事務所: ニューヨーク、ワシントン、ロンドン、パリ、フランクフルト、香港、北京
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Ⅱ. お札(銀行券)の発行
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II-1.お札(銀行券)の発行・流通・管理
 日本銀行はわが国唯一の「発券銀行」
 日本銀行券は、法貨(法律により強制通用力を付与された
通貨)として、無制限に通用(日銀法第46条第2項)。
 偽札を作ったり、日銀券の額面を書き換えたり、切っ
たりして変造した場合、罰せられる。偽札と知りながら
それを使用した場合も罰せられる。
(主な取締法規)
通貨偽造・変造罪(刑法第148条第1項)
偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)
→ 無期又は3年以上の懲役
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II-2.お札の一生
流通高94.8兆円
家計・企業など
預
入
保有高82.2 兆円
預金引出
損傷した銀行券
の引換
国立印刷局
金融機関
保有高10.1兆円
(発行)
(還収)
鑑査・消却
新 札
日本銀行
銀行券の製造
(注1)図中の計数は2013年12月末時点。
(注2)流通高および保有高には貨幣も含む。
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II-3.お札の偽造防止技術
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II-4.五千円券の改良
 目の不自由な方々が銀行券の券種を識別しやすくな
るよう、五千円券の改良を実施
 券面左下のホログラムに
貼ってある透明なシール
(触感が他の印刷面と異
なる)を拡大するとともに
形状を変更
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II-5.お札が破れたり、燃えてしまったら?
 損傷銀行券の引換基準
 面積2/3以上
→ 全額として引換
 面積2/5以上2/3未満
→ 半額として引換
 面積2/5未満
→ 失効
※表裏両面があることが条件
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II-6.東日本大震災時の対応
 損傷銀行券の引換作業の様子
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Ⅲ.金融システムの安定確保
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Ⅲ-1.金融システムの安定とは
 「金融システム」とは、お金の受け払いや貸し借りを行う総合的な
仕組みで、さまざまな金融市場・金融機関から構成されている
 「金融システムの安定」とは、このような仕組みが正常に機能し、
企業や個人などがその仕組みを安心して利用できる状態
金融機関
金融市場
・ 都銀
・ 地銀、地銀Ⅱ、信金
・ 証券会社
等
決済システム
日本銀行
取引
決済
資金決済システム
取引
・ 短期金融市場 (コール、レポ市場など)
・ 証券市場 (国債、株式市場など)
・ 外国為替市場
等
決済
証券決済システム
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Ⅲ-2.金融システムの安定のために
決済手段の提供
→ 銀行券の発行・流通・管理のほか、金融機関から預金
(日銀当座預金)を預かり、これらの預金を通して金融機関
に決済サービスを提供する
 金融機関の経営実態の把握
→ 取引先金融機関への立入り調査(考査)、調査・経営分
析(オフサイト・モニタリング)を行い、必要に応じて取引先金
融機関に対して指導・助言する
「最後の貸し手」
→ 金融システムの安定確保のため、特別な資金供給
(貸出)を行う
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Ⅲ-3.決済手段の提供(資金決済の例)
 現金が動くのではなく、日本銀行当座預金口座の残高が増減
実家
学生
仕送りの依頼
振込依頼
入金通知
A銀行
B銀行
実家の預金口座
学生の預金口座
- 引落し
+ 入金
データ送信
データ受信
全国銀行データ通信システム
計算結果通知
A銀行の
日本銀行当座 振替
預金口座
振替
日本銀行
B銀行の
日本銀行当座
預金口座
決済額
1営業日当り
約117兆円
(2013年)
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Ⅲ-4.金融機関の経営実態の把握
Aさん
預金
A銀行
借入
利子
B社
返済
日本銀行は、金融機関の経営が健全に行われるように調査を行い、
必要があれば改善を促す
・お金を貸すときに、返済する能力があるかきちんと調べて判断しているか
・有価証券運用を行う場合、リスクをしっかり把握したうえで購入しているか
・日々のお金のやり取りの計画をしっかり立てているか
・コンピュータが使えなくなったときに備えて準備をしているか
日本銀行
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Ⅲ-5.最後の貸し手
日本銀行
A銀行
B信用金庫
支払
支払
C銀行
D銀行
支払
・ A銀行がB信用金庫に支払いができなくなったら、その支払いを当てにしていた
B信用金庫はC銀行に支払ができなくなり、その悪影響が次々と広がってしまう
・こういう時には、日本銀行がA銀行にお金を貸して悪影響が広がらないようにする
・このようにお金の流れを守るために金融機関にお金を貸す日本銀行は、
「最後の貸し手」と呼ばれている
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Ⅳ.物価の安定と金融政策
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Ⅳ-1. 物価の安定とは
 「物価の安定」とは、家計や企業等の様々な経済主
体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や
投資などの経済活動にかかる意思決定を行うこと
ができる状況
 日本銀行は、金融政策の運営を通じて、物価の安
定に貢献
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Ⅳ-2.物価の安定と景気の関係
モノが売れなくなる
モノを買わなくなる
値段を下げる
お給料が下がる
お店や会社の
売り上げが減る
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Ⅳ-3.物価の安定と金融政策


景気が良すぎて、物価が上がりすぎそうな時には、金利(お金を貸し借
りする時の値段)が上がるようにして、お金の流れを抑えるようにする
逆に、景気が悪くて、物価が下がりそうな時には、金利を引き下げて、
お金の流れを活発にする
景気の動き
景気が良く
なりすぎる
(景気過熱)
景気が落ち
着いている
(安定成長)
物価の動き
物価が
上がりすぎる
日本銀行の金融政策
金利が上がるように促す
(景気悪化)
景気・物価が
落ち着く
物価が安定
現在の金融政策を
景気・物価の
している
継続する
安定が続く
物価が下がる
金利が下がるように促す
景気が
悪くなる
景気・物価の動き
景気・物価が
落ち着く
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Ⅳ-4.何をコントロールしているのか
 金融政策は、通常、日々の公開市場操作(オペレー
ション)により、短期金融市場金利をコントロールしてい
る
 このほか、日本銀行が世の中に直接的に供給するお
金の量に目標値を定めて、それをコントロールしたり、
より長めの市場金利に働きかけることなどを通じて、金
融政策を行うこともある
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Ⅳ-5.どのようにコントロールしているのか

オペレーションとは、短期金融市場において、日銀が金融機関に資
金を供給したり、逆に吸収したりするために行う取引
資金の供給
A銀行
金融市場
B証券
オペレーション
資金の吸収
日本銀行
C銀行
D信用金庫
<貸出>
個人や会社
<預金>
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Ⅳ-6.誰が金融政策を決めるのか
 政策委員会
― 日本銀行の最高意思決定機関
 「金融政策決定会合」を定期的に開催
― 金融政策運営を決定する会合
 委員会は総裁、副総裁(2名) 、審議委員(6名)の計9人で
構成される
 各委員は、国会両院の同意を得て、内閣により任命
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Ⅳ-7.景気

実質GDP
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Ⅳ-8.消費者物価指数
28
Ⅳ-9. 「量的・質的金融緩和」の拡大(2014
年10月31日公表、抜粋)
 マネタリーベース増加額の拡大
― マネタリーベースが、年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当する
ペースで増加するよう金融市場調節を行う
 資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の
長期化
― 長期国債について、保有残高が年間約80兆円(約30兆円追加)に相当
するペースで増加するよう買入れを行う。買入れの平均残存期間を7年
~10年程度に延長する(最大3年程度延長)。
― ETFおよびJ-REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円(3倍
増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れ
を行う。
⇒2%の「物価安定の目標」の実現を目指す
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Ⅳ-10. 予想実質金利への働きかけ
30
Ⅳ-11.マネタリーベースと長期国債買入れ
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Ⅳ-12.物価に対する見方

①日銀短観<14年9月調査> 企業の物価見通し(物価全般の見通し)
%
全規模合計
全産業
製造業
大企業
非製造業
製造業
中小企業
非製造業
1年後
1.5
3年後
1.6
5年後
1.7
1年後
1.1
3年後
1.2
5年後
1.2
1年後
1.2
3年後
1.2
5年後
1.2
1年後
1.7
3年後
1.8
5年後
1.8
1年後
1.7
3年後
1.8
5年後
1.9
32
Ⅳ-13.物価に対する見方

②生活意識に関するアンケート調査 物価に対する実感(見方)D.I.
(%ポイント)
物価に対する実感(見方)D.I.=『上がった(上がる)』―『下がった(下がる)』
100
現在の物価に対する実感
80
1年後の物価に対する見方
5年後の物価に対する見方
53.0 52.3 57.0
60
48.8
48.6
47.5 45.9
40
37.5
39.5
20
0
▲20
06/09月07/03
07/09
08/03
08/09
09/03
09/09
10/03
10/09
11/03
11/09
12/03
12/09
13/03
13/09
14/03
14/09
(注)5段階評価のそれぞれ「かなり上がった(上がる)」に(+1.0)、「少し上がった(上がる)」に(+0.5)、「ほ
とんど変わらない」に(0)、「少し下がった(下がる)」に(▲0.5)、「かなり下がった(下がる)」に(▲1.0)
の点数を与え、この点数に各回答区分の構成比(%)を乗じ、その結果を合計して算出。
シャドー部分は、景気後退期。
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Ⅳ-14.景気に対する見方

①日銀短観 業況判断D.I.(ディフュージョン・インデックス)
(注)DIは 「良い」を選んだ企業の割合 - 「悪い」を選んだ企業の割合
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Ⅳ-15.景気に対する見方

②生活意識に関するアンケート調査 景気水準D.I.
(%ポイント)
景気水準D.I.=『良い』―『悪い』
0
▲13.3
▲20
▲14.6
▲21.2
▲40
▲60
▲80
▲100
06/09 07/03
月
07/09
08/03
08/09 09/03
09/09 10/03
10/09 11/03
11/09
12/03
12/09 13/03 13/09 14/03
14/09
(注)5段階評価のそれぞれ「良い」に(+1.0)、「どちらかと言えば、良い」に(+0.5)、「どちらとも言えない」
に(0)、「どちらかと言えば、悪い」に(▲0.5)、「悪い」に(▲1.0)の点数を与え、この点数に各回答区
分の構成比(%)を乗じ、その結果を合計して算出。
シャドー部分は景気後退期。
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日本銀行のホームページを活用しよう
36
教えて!にちぎん
37
ツイッター / スマートフォン画面
38
広報イベント / 日銀グランプリ
 広報イベント:「にちぎん体験」、「子ども特別見学会」等
 日銀グランプリ:大学生を対象とした金融分野の小論文・
プレゼンテーションのコンテスト
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