早稲田大学教育学部社会科学専修 現代社会研究4(マネー) 伝統的資産運用とオルタナティブ投資 グローバルな視点から 森谷博之 住商キャピタルマネジメント チーフストラテジスト オックスフォードファイナンシャルエデュケーション 2004/12/16 hiroyuki moriya 1 国際資本移動の役割 輸出 安定している 経済 成長している 経済 貯蓄に 余裕のある 経済 資金不足 金融 2004/12/16 hiroyuki moriya 2 国際資本移動の役割 経常収支 黒字 成長している 経済 資金不足 資本収支 赤字 2004/12/16 hiroyuki moriya 安定している 経済 貯蓄に 余裕のある 経済 3 国際資本移動の役割 成長している 経済 十分な資金が 供給されないと 資金不足に陥り 金利が上昇し 景気が悪化する 2004/12/16 経常収支 黒字 資本収支 赤字 hiroyuki moriya 安定している 経済 資金が余り 投資の効率も悪くなり 金利は低下する 輸出が減るので 景気悪化に 繋がることもある。 また、グローバル経済 成長からの恩恵も 受けられない 4 国際資本移動 ホームバイアスの存在 • 日本は十分に経常黒字を世界に還流していない 日本の経常収支と資本収支(1991年からの累積) 2,000,000 1,500,000 1,000,000 億円 500,000 経常収支 投資収支(資産) 投資収支(負債) 0 -500,000 -1,000,000 -1,500,000 -2,000,000 .1 91 19 2004/12/16 .1 .1 92 93 19 19 .1 .1 94 95 19 19 96 19 97 19 98 19 99 19 00 20 hiroyuki moriya 01 20 02 20 03 20 04 20 5 国際資本移動 ホームバイアスが存在する理由 • 統計上の扱いの問題 • 分散効果の減少 世界の株式指数の動き 1000 • オルタナティブ投資の必要性 • 為替リスク – 解決策 • 為替ヘッジの必要性 対数(Index) 2004.12 = 100 – 解決策 100 SP500 DAX CAC NQ DJIA N225 10 2004/12/16 hiroyuki moriya 2003/4/1 2001/4/1 1999/4/1 1997/4/1 1995/4/1 1993/4/1 1991/4/1 1989/4/1 1987/4/1 1985/4/1 1983/4/1 1981/4/1 1979/4/1 1977/4/1 1975/4/1 1 6 為替レートの趨勢的な動き 明治以後の為替レートを分析 • 購買力平価 – アメリカのハンバーグの値段と日本の晩バーグの値段が同じ になるように為替レートは決まる 為替レートx(ハンバーグの価格(米国)=ハンバーグの価格(日本) • 100年以上の期間では物価が大きく変動するためその 影響を調整 実質為替レート=為替レートx物価(外国)/物価(自国) 2004/12/16 hiroyuki moriya 7 為替レートの趨勢的な動き • 名目為替レートの動き – 戦前:1ドル1円から4.25円へ – 戦後:1ドル360円から100円へ もっと円 安にな るべき 図1: ドル円の名目為替レートと実質為替レート(円発足当時を1とする) 1,000.00 1 0.9 0.7 100.00 0.6 0.5 0.4 10.00 0.3 0.2 実質為替レート(1974年を1) もっと円 安にな るべき 名目為替レート(対数) 0.8 名目為替レート 実質為替レート 回帰直線 実質為替レート 円高には理由 があるのか? 1.非貿易財 2.政府支出 3.生産性 などが考えられる 0.1 0 1874 1880 1886 1892 1898 1904 1910 1916 1922 1928 1934 1940 1946 1952 1958 1964 1970 1976 1982 1988 1994 2000 1.00 年 2004/12/16 hiroyuki moriya 8 為替レート 趨勢的な動きと循環的な動き • トレンドとカウンタートレンドの発生 トレンド 2004/12/16 hiroyuki moriya カウンタートレンド レンジ相場 9 為替レート 趨勢的な動きと循環的な動き • 長い相場でも短い相場でも同じようにトレンドと カウンタートレンドがある トレンド カウンタートレンド レンジ相場 2004/12/16 hiroyuki moriya 10 先物取引 • 将来の定められた時期(満期)に買い手は 商品を受け取り、売り手は商品を渡すとい う約束をする取引 • 満期までに先物取引は手仕舞う – 現物の受け渡し – 反対売買 – 現金決済 2004/12/16 hiroyuki moriya 11 先物取引の価格 S1 S0 商品の価格は変化 時間の経過 買い手は商品を 価格Fで手に入れたので 満期に商品を受け取り それをその時の価格S1で 売ることができる その時の利益はS1-F 満期 約定日 売り手は借金をして 商品を手に入れる。 先物の価格(F)=商品の価格(S0) + 金利の費用 買い手は商品を満期にFで買う 2004/12/16 hiroyuki moriya 12 先物を用いたヘッジ取引 先物の売り持ち (ショート) 現物の買い持ち (ロング) 利益 価格が上がると 利益が出る 価格が下がると 利益が出る 価格 ヘッジの結果 金利の費用 先物の売り持ち (ショート) 現物の買い持ち (ロング) 2004/12/16 価格が下がると 損失が発生する 価格が上がると 損失が発生する hiroyuki moriya 13 為替ヘッジの基本 為替相場の趨勢的動きと循環的動きを見極める • トレンド追随戦略:トレンドから利益を得る • 逆張り戦略:カウンタートレンドから利益を得る トレンド追随型戦略 売り 売り 売り 買い 売り 売り 買い 買い 買い 逆張り・ カウンタートレンド型戦略 買い 2004/12/16 hiroyuki moriya 14 ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ • 独自の考え方でヘッジ戦略を構築 – 基本ヘッジポジション • フルヘッジ • ヘッジなし – 相場の転換点 • ヘッジ比率を機動的に変更 – 統計的手法を用いる • 相場の解析が十分でない部分に関してはオプションな どを使用 2004/12/16 hiroyuki moriya 15 ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ • ヘッジのタイミングの判断が難しい 天井 円高 フルヘッジ 底 天井 天井 天井 レンジ相場 部分ヘッジ 底 底 底 2004/12/16 hiroyuki moriya 16 ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ 為替ヘッジ比率の推移(ドル):2000年3月~2004年3月 ヘッジ比率 100% 円ドルレート 90% 140 135 80% 130 70% 125 60% 50% 120 40% 115 30% 110 20% 105 10% 0% 100 0 1 00 01 00 00 00 01 01 01 02 02 02 02 02 03 03 03 03 03 03 04 r- ay-0 Jul- ct- ecb- ay-0 Jul- ep- ovb- pr- un- ugvn- arn- ug- ct- ec- ara e e o a u M O D F S N F A J A N J M J A O D M M M 2004/12/16 hiroyuki moriya 17 2004/12/16 hiroyuki moriya 2004/7/15 2004/5/15 2004/3/15 2004/1/15 2003/11/15 2003/9/15 2003/7/15 2003/5/15 2003/3/15 2003/1/15 2002/11/15 2002/9/15 2002/7/15 2002/5/15 2002/3/15 2002/1/15 2001/11/15 2001/9/15 2001/7/15 2001/5/15 2001/3/15 2001/1/15 2000/11/15 2000/9/15 2000/7/15 2000/5/15 2000/3/15 収益率 ヘテロジーニアスな世界が創る 為替市場でのヘッジ 為替オーバーレイ+ドル3ヶ月預金 FX絶対収益戦略 為替オーバーレイ+ドル預金の例 0.35 0.30 0.25 0.20 0.15 0.10 為替 OLヘッジ 絶対収益戦略 0.05 0.00 -0.05 -0.10 18 ヘテロジーニアスな世界での知恵 • • • • • 過去とまったく同じことは起こらない 過去と似たようなことは起こる できる限りの情報を手に入れ合理的に振舞う 間違いを犯したらその経験を生かし修正する 常にマクロな考え方を忘れない 2004/12/16 hiroyuki moriya 19 参考資料 • • • • 小宮隆太郎、「貿易黒字・赤字の経済学:日米摩擦の愚かさ」、東洋経済新報社 リチャード・クー、「良い円高、悪い円高」、東洋経済新報社 吉川洋、「マクロ経済学」、岩波書店 白塚 重典・中村 恒、「国際分散投資におけるホーム・バイアス・パズルを巡る諸 論点」 – http://www.imes.boj.or.jp/japanese/zenbun98/yoyaku/kk17-2-3.html • 吉川洋、「均衡為替レート」 – http://www.mof.go.jp/f-review/fr48.htm • 河合正弘、粕谷宗久、平形尚久、「G7諸国における非貿易財相対 価格の分析」 – http://www.boj.or.jp/ronbun/wpkeizai.htm 2004/12/16 hiroyuki moriya 20
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