つくば地域における広帯域微動探査 (1) 拡張Henstridge法の大円形アレイ適用性の検討 ― SN比評価法を中心に ― A broadband exploration of microtremors in and around Tsukuba Applicability of the extended Henstridge method to large-sized arrays (Part 1) 長 郁夫(産業技術総合研究所)多田 卓·西本幸平·篠崎祐三·中村竜平(東京理科大·工) Ikuo CHO (AIST), Taku TADA, Kouhei NISHIMOTO, Yuzo SHINOZAKI and Ryuhei NAKAMURA (Tokyo Univ. of Science) アルゴリズム(1) 位相速度の決定 Gz 0 (r , r , f ) / Gz1 (r , r , f ) J 02 (rk ( f )) / J12 (rk ( f )) 定義 Z 0 (t , r ) z (t , r , )d , (方位積分) Z1 (t , r ) z (t , r , ) exp(i )d (加重方位積分) Gz 0 (0,0, f ) Z 0 (t ,0)のパワースペクトル Gz 0 (r , r , f ) Z 0 (t , r )のパワースペクトル Gz1 (r , r , f ) Z1 (t , r )のパワースペクトル 図1.観測に用いたアレイ形状。●はEH法 に利用。○を併せてNS比の解析に利用。 Gz 0 (0, r , f ) Z 0 (t ,0)と Z 0 (t , r )のクロススペクトル Phase Velocity [km/s] はじめに 我々はこれまでにSPAC法の代替法(拡張Henstridge法、EH法)を提案し、メー トル・オーダーの小アレイへの適用性を確認してきた(Cho et al., 2004)。本研 究では実データ解析とSN比評価の観点から大アレイへの適用性を検討する。 目的と手法、結果 ・EH法が大アレイに適用可能なことを実データ解析で検証する。 →SPACの解析結果と比較する。 →図4。 →モデル位相速度と比較する。 →図5中。 ・EH法の適用に及ぼすインコヒーレントノイズの影響を理論的に予測する。 →理論的に考察する。 →アルゴリズム(2) ・NS比(=伝播成分/非伝播成分のパワー比)の決定手法を提案、適用する。 →数式を展開する。実データを解析する。 →アルゴリズム(3)、図5下。 ・ノイズがEH法の長波長帯域の解析を阻むという理論的予測を検証する。 →位相速度とNS比の解析結果を用いてノイズフリー、ノイズ混みのスペク トル比を理論計算し、実データの解析結果と比較する。 →図6上 →それを逆解析して位相速度を求め、実データ解析結果およびモデル位 相速度と比較する。 →図6中 →位相速度の推定値の偏りが閾値cを超える時のNS比εcを計算し、実デー タ解析で得られたNS比εと比較する。その比較から期待される「安全に 使 える周波数帯域」と実データ解析結果とを照合する。 →図6下 観測 観測日程とサイト:2005年8月4日~7日,茨城県つくば市(産総研を中心) アレイ形状と半径:半径25m, 370m,2520m,7300mの円形アレイ(図1) まとめ つくばデータの解析によりEH法の大アレイ(数100~数1000m)適用性を示し た。またNS比を決定する手法を提案、適用し、EH法の適用性がアレイサイズ によらず一貫してNS比に支配されていることを検証した。 Frequency[Hz] 図4.EH法とSPAC法の位相速度の比較 図2.位相速度の決定手順 →図1、図2 アルゴリズム(2) スペクトル比に及ぼす ノイズの影響 2 1 但し ( f )は NS比, Nは円周上のセンサー数 。 SPACとは良く合うが(図4 参照)、モデル位相速度との 比較では過大評価になる。 ? Gz 0 (r , r , f ) / Gz1 (r , r , f ) [ J (rk ( f )) ( f ) / N ] /[ J (rk ( f )) ( f ) / N ] 2 0 →図3上 NS比の限界値 cの計算法 [ J 02 (rk ) c (rk ) / N ] /[ J12 (rk ) c (rk ) / N ] J 02 (rk ' ) / J12 (rk ' ) →図3下 rk /(1 c) (rk 1.4347) 但し、 rk ' rk /(1 c) (rk 1.4347) アルゴリズム(3) NS比の決定 coh2 | Gz 0 (0, r , f ) |2 /[Gz1 (r , r , f )Gz 0 (0,0, f )] (定義) Gz 0 (0, r , f ) / Gz 0 (0,0, f ) (定義) 上記観測量に対する数学モデルは次の通り。 i.e., coh2 J 02 (rk ) /[(J 02 (rk ) (rk ) / N )(1 (rk ))] J 0 (rk ) /(1 (rk )) 上の2式を連立させて SN 比について解けば、 (b b 2 4ac ) / 2a. 図3.スペクトル比の推定 に及ぼすノイズの影響 但し, a , b / coh 2 1 / N , c (1 / coh 1) 2 2 2 2 2 図5.上: EH法による位相速度から計算した波長(アレ イ半径に対する倍率で表示)。中:EH法による位相速度 とモデル位相速度との比較。下:とNS比の析結果。 2 εc ε ε εc εc εc ε ε 図6.上、中:理論的に予測されるノイズの影響(モデル位相速度とNS比の解析結果を用いて評価)と実データ解析結果との比較。上はスペクトル比、中はそれを逆解析して得 られる位相速度。下:解析結果に与えるバイアスの閾値により特定される限界NS比εcと実データの解析により得られたNS比εとの比較。εc>εを満たす帯域が「安全に使える 周波数帯域」として特定される。 Seismological Society of Japan 2005
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