寡占理論(Oligopoly Theory) 第13講 Competition in Quality 今日の講義の目的 (1)品質が過大供給になる条件を理解する (2)品質供給に関する中立性の議論の背後にあるメカ ニズムを理解する 2007/7/4 寡占理論 1 Outline of the 13th Lecture 13-1 Quality Improving Investment 13-2 Optimal Investment under Monopoly 13-3 Incentive for Quality Investment with Heterogeneous Consumers 13-4 Investment under Competition 2007/7/4 寡占理論 2 Quality-Improving Investments Monopoly 投資水準がqualityを上げ、需要を増やす Π=P(Y,I) Y-C(I)Y 総余剰 ∫0YP(Y,I)dY-C(I)Y 問題:品質水準を所与として、独占企業の生産量は 過大か過小か? 2007/7/4 寡占理論 3 Quality-Improving Investments Monopoly 投資水準がqualityを上げ、需要を増やす Π=P(Y,I) Y-C(I)Y 総余剰 ∫0YP(Q,I)dQ-C(I)Y 問題:品質水準を所与として、独占企業の生産量は 過大か過小か? 利潤最大化の1階条件 (∂P/ ∂Y)Y+P-C=0 総余剰最大化の1階条件 P-C=0 (需要関数は減少関数だから)明らかに過少生産 2007/7/4 寡占理論 4 売手独占 過少生産 P D MC MR 0 2007/7/4 寡占理論 Y 5 Quality-Improving Investments Monopoly 投資水準がqualityを上げ、需要を増やす Π=P(Y,I) Y-C(I)Y 利潤最大化の1階条件 (∂P/ ∂I)Y-C'Y=0 限界的な消費者の支払意志額への影響 総余剰 ∫0YP(Y,I)dY-C(I)Y 総余剰最大化の1階条件 ∫0Y (∂ P / ∂I)dY-C'Y=0 平均的な消費者の支払意志額への影響 2007/7/4 寡占理論 6 Quality-Improving Investments Monopoly 投資水準がqualityを上げ、需要を増やす Π=P(Y,I) Y-CY-I 利潤最大化の1階条件 (∂P/ ∂I)Y-1=0 限界的な消費者の支払意志額への影響 総余剰 ∫0YP(Y,I)dY-CY-I 総余剰最大化の1階条件 ∫0Y (∂ P / ∂I)dY-1=0 平均的な消費者の支払意志額への影響 基本的な性質は変わらない 2007/7/4 寡占理論 7 Quality-Improving Investments and Welfare under Monopoly 限界的消費者への影響<(>)平均的消費者への影響 ⇒品質の過小(過大)供給 Spence (1967) 2007/7/4 寡占理論 8 Quality-Improving Investments Monopoly 例1 線形需要関数 Π=(a(I) -Y) Y-C(I)Y 問題:品質は過小供給?過大供給? 2007/7/4 寡占理論 9 品質改善 P D D’ 0 2007/7/4 寡占理論 Y 10 Quality-Improving Investments Monopoly 例1 線形需要関数 Π=(a(I) -Y) Y-C(I)Y 問題:品質は過小供給?過大供給? 解答:品質は効率的 2007/7/4 寡占理論 11 耐久消費財供給 Monopoly 耐久性を高める→なかなか買い換えてくれない →需要が減る ⇒独占企業はわざと壊れやすい物を造る 本当か? 耐久性を高めればその分消費者の支払意志額が上 がって結果的に高い価格で売れるから、独占企業 の利益になる 独占企業は最適な品質(耐久性)を供給 Swan (1970)の中立性の議論 ~Spenceの一般的な原理の特殊ケース 2007/7/4 寡占理論 12 品質改善 P D D’ 0 2007/7/4 寡占理論 Y 13 Quality-Improving Investmentsと Cost-Reducing Investmentの同値性 Π=(a+f(I) -Y) Y-CY -I Π=(a -Y) Y-(C-f(I))Y -I 本質的に同じ問題。MonopolyでもOligopolyでも同じ。 需要関数が線形でなくても同じ。 全ての消費者にとって価値が上がる~費用が下がる 単なる変数の読替 2007/7/4 寡占理論 14 P 品質改善 問題:品質改善努力は 過剰か過小か? D 0 2007/7/4 寡占理論 D’ Y 15 例 Willingness to Pay~θq q: quality, θ:消費者ごとに異なるqualityの評価 Willing ness to Payが高いほど、品質の上昇をより評 価する。 2007/7/4 寡占理論 16 P 品質改善 問題:品質改善努力は過剰か 過小か?⇒過小 D 0 2007/7/4 寡占理論 D’ Y 17 品質改善 P 問題:品質改善努力は 過剰か過小か? D D’ 0 2007/7/4 寡占理論 Y 18 品質改善 問題:品質改善努力は 過剰か過小か?⇒過剰 P D D’ 0 2007/7/4 寡占理論 Y 19 例 消費者によってLoyaltyが異なる。 特定の製品に対するLoyaltyの高い人はその製品に対 するWillingness to Payが高く、品質が変化しても その変化は小さい。品質に敏感に反応する人は特 定の製品に対するLoyaltyが低くその結果特定の製 品に対するWillingness to Payが小さい 。 2007/7/4 寡占理論 20 小括 品質については過大供給も過小供給もあり得る。あ る論文が品質は過小供給になると結論を出してい ても安易にそれが本質的な結果と信じてはならな い。 2007/7/4 寡占理論 21 Competition MonopolyではなくDuopolyなら? 基本的なメカニズムは共通 ただし、 (1) MonopolyとDuopolyでは需要の構造が変わる可能 性 (2) Strategicな効果が加わる可能性 がある 2007/7/4 寡占理論 22 Competition (需要効果) MonopolyとDuopolyでは需要の構造が変わる可能性 限界的な消費者 Monopolyなら単に支払い意志額の低い消費者 Duopolyだとswitching cost(移動費用)の低い消費 者である可能性 →quality investmentのincentive構造が大きく変わる可 能性がある 2007/7/4 寡占理論 23 Competition (需要効果) (例1) willingness to payの低い消費者:パソコンに弱い消 費者 switching costの低い消費者:パソコンに強い消費者 (例2) willingness to payの低い消費者:軽症の患者 switching costの低い消費者:重症の患者 (例3) willingness to payの低い消費者:ライトユーザー switching costの低い消費者:ヘビーユーザー 2007/7/4 寡占理論 24 Competition (strategic effect) MonopolyではなくDuopolyなら? 2段階ゲームなら、戦略的な効果が付加される まず品質を決め次に価格を決める ~戦略的補完のケース 限界費用をあまり上げたくない・限界的な消費者の 支払い意志額をあまり上げたくない →競争が激しくなるから 品質改善投資が固定費用なら競争があると独占に比 して投資量が過小の方向に変わる 品質改善投資が限界費用を上げるなら効果ははっき りしない 2007/7/4 寡占理論 25 Competition (strategic effect) MonopolyではなくDuopolyなら? 戦略的な効果が付加される まず品質を決め次に数量を決める ~戦略的代替のケース 限界費用を下げたい・限界的な消費者の支払い意志 額を上げたい 品質改善投資が固定費用なら競争があると独占に比 して投資量が過大の方向に変わる 品質改善投資が限界費用を上げるなら効果ははっき りしない 2007/7/4 寡占理論 26
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