心的イメージの生成順序に関わるERPの頭皮上分布からの検討 ○山崎 圭子1 片山 順一2 (1北海道大学大学院教育学研究科 Introduction 2北海道大学大学院教育学研究院) E-mail: [email protected] ●以前の結果より 後部優勢なP2成分で心的イメージに関わった効果 ●心的イメージ:実際の刺激入力の無い状態での知覚的体験 視覚イメージと視知覚との等価性(Kosslyn, 1994) (Yamazaki and Katayama, 2008) →この効果が何を反映しているかについて検討が必要 ●心的イメージに関わる脳活動 後部P2は注意に関連した視覚皮質の活動を反映 (Talsma et al., 2005など) 実際の視覚刺激への注意効果 or イメージ自体に関わる視覚的活動? イメージ生成開始方向の影響→イメージ関連の活動と考えられる 視覚イメージ中の視覚野の活動 (Roland and Gulys, 1994など) しかしその時間的側面について検討された研究は少ない →ERP 目的:心的イメージ生成開始の左右差がP2に反映されるかを検討 Methods 被験者 16名 本試行:イメージ刺激が呈示され,それに対応した図形をマス目内にイ メージ. Probeの×印と重なるかどうかを左右のボタン押し.72試行を 1ブロックとして18ブロック.刺激はランダム順に呈示.反応手は被験者 ごとにランダマイズ. Results & Discussion Behavior ERP ( µV) A 本試行 実験の流れ 記録・分析 Sampling 200 Hz, Bandpass 0.05-30 Hz, 頭皮上25部位は基準導出. Referenceは鼻尖.V-EOGは左目上下から,H-EOGは左右眼角から双 極導出.ERPはON試行の刺激提示前100 msをベースラインとして 500 ms間を加算. (µV) RT (ms) 4 2 Left O2 8 Simple_Left Simple_Right Complex_Left Complex_Right 6 650 OFF 学習フェイズ P2 Simple Complex ON イメージ刺激内でのProbe位置 O1 8 750 D C 実験で用いた刺激配置 イメージ刺激:中央のマスにAからDのいずれかが示された5×5の マス目.中央以外のどれか一つのマスにProbeとなる×印.Aから Dに対応した図形をイメージした時にProbeが図形と重なるもの (ON) と重ならないもの(OFF)が半数ずつ. 手続き 学習フェイズ:順に呈示される矢印を組み合わせることで,アルファベッ トと対応する図形を記憶.矢印の向きによって示される描き順はAB, CDのうちそれぞれひとつを左から,もうひとつを右から順に呈示.記憶 順は被験者ごとにランダマイズ.完全に記憶するまで行った. B A 刺激 学習刺激:アルファベットと対応する図形を構成する矢印が1本ず つ5×5のマス目に描かれたもの.図形は単純なもの(A, B)を Simple条件,複雑なもの(C, D)をComplex条件とした. P2 6 4 2 Right ON試行における平均反応時間 -100 0 100 200 300 400 (ms) RT:条件の主効果のみ →複雑な図形の方が反応時間が延長 心的イメージが生成されていたことを確認 HR:有意差なし Amplitude (µV) 条件 (Simple/Complex) イメージ開始位置(Left/Right) の2要因分散分析 -100 0 100 200 300 400 (ms) 電極O1およびO2における総加算平均波形 Left Simple_Lef t Simple_Right Complex_Lef t Complex_Right 8 Right Simple 7 O1 O2 電極O1およびO2におけるP2頂点潜時 潜時約220 msで右後部優勢のP2 Complex 210-230 ms間でのP2平均振幅の分布 条件間での左右差は後頭の電極O1, O2において観察された Conclusion 心的イメージの複雑さと生成開始の左右の違 いによって後部優勢のP2成分の分布が変動 したことから,P2がイメージに関わる視覚的な 活動を反映している可能性が示された. 電極 (O1/O2) x 条件 x イメージ開始位置の3要因交互作用が有意 →イメージ開始位置の効果はイメージする図形の複雑さによって分布が異なる →Complexでは右開始時に右後頭で, Simpleでは右よりも左開始時に左後頭で振幅が大きい →イメージの複雑さと開始位置が後頭での視覚関連の活動の分布に影響を及ぼした 課題遂行に必要とされるイメージの量(線分の数)は Simple < Complex →P2振幅は課題遂行に必要なトップダウンの視覚活動を反映? 第26回日本生理心理学会大会 (2008/7/5-6, 琉球大学)
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