第8回 ライフサイクルとSCM • 人間は、受精後に誕生し、発達段階を経て、やがて 死 に至る。 • 発達とは、ライフサイクルにおける絶え間ない変化の過程であり、 その中心は成長や成熟などの過程である。 • 成長 とは、身長や体重の増大などの量的変化を意味する。 • そして、 成熟 は加齢とともに現れる内的な変化のことを指し、 持っている力や機能を十分に発揮できるようになることである。 • 成熟に大きな影響を及ぼすのが 学習 である。学習とは、出生 後に受けた外的刺激を経験として蓄積していくことである。 ※幼児と大人の行動の違いを見れば、人間の行動が、成長や成熟度合い などの発達段階によって大きく変化していることは一目瞭然である 1 【 製品ライフサイクル 】 • 製品ライフサイクル理論は最も有名で汎用性の高いライフサイク ル理論である。Levitt(1965)で製品ライフサイクルの概念が導入さ れた。 • そこでは利益および売上の動向を把握することに主眼が置かれ ていたので、 売上高 ベースで分析が行われている。 Doyle(1976)が、現在でも幅広く認められている導入期・成長期・ 成熟期・衰退期の4段階のモデルを提示した。 • 導入期 は、一般的に製品の認知度が低いので、売上高および 出荷台数が伸び悩む。 • 成長期 には、製品の認知度が向上し、売上高および販売台数 が急激に増加し始める。 • そして、 成熟期 に入ると、市場における競争が激しくなる一方 で、市場が飽和状態に近づく。 • 最後に、代替製品の台頭や用途の消滅などにより需要が急速に 2 減少する 衰退期 を迎える。 【 製 品 ラ イ フ サ イ ク ル 】 3 【技術ライフサイクル】 • 技術ライフサイクル理論の基礎は技術革新( イノベーション ) である。 • 技術革新は製品革新と工程革新に大別することができる。 • 製品革新は基本性能向上・新機能追加・小型軽量化などである。 • 工程革新は、機械化・標準化を通して、品質安定化、量産化、多 品種少量生産、費用削減を推進する。 • 高度な技術を要する製品は、長い試行錯誤を経て、製品イノベー ションを積み重ねて、 ドミナント・デザイン と呼ばれる製品が 市場に登場する。 • ドミナント・デザイン出現後も製品イノベーションは進展するが、次 第にコスト削減や品質の向上に効果のある工程イノベーションが 大半を占めるようになる。 • やがて、生産性は高い水準に達するが、技術および市場面で今 後の成長の余地が小さくなり、 生産性のジレンマ に陥る。 最終的には、代替製品の登場によって、需要が激減する。 4 【 技 術 ラ イ フ サ イ ク ル 】 5 【プロダクトサイクル仮説(生産ライフサイクル)】 • 生産技術と市場ニーズに基づいた合理的な生産拠点の立地 を取り扱うプロダクト(生産)サイクル仮説がある。 • 新製品が投入された初期段階では 最先進国 での立地が 合理的である。なぜなら最先進国には技術と洗練された消費 者が存在するので、この両者の間のコミュニケーションが円滑 な地域の方が製品の開発・生産・販売に有利であるからである。 • 次第に、生産技術の蓄積と世界市場の拡大によって、多くの企 業が参入することができるようになり、生産拠点が他の先進国 にも配置されるようになる。 • 最終的に製品設計と生産工程の 標準化 が進むようになる と、一層のコスト削減のために投入資源の安い国での生産が 有利になる。必要な生産拠点数とその理想的な立地場所は技 術と市場の状況に応じて異なる。 6 【 プ ロ ダ ク ト ・ サ イ ク ル 仮 説 】 7 【期間経過に合わせて、変化が必要となる】 顧客の裾野(狭い→広い→狭い) 競合相手(少ない→多い→少ない) 販売網 (専門店→量販店→ディスカウントストア→縮小) 8
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