糖とタンパクの吸収と貯蓄 - SEM連続断面観察

63
47
70
122
竹田
佐藤
津留
脇山
開
秀弥
悠壽
英
糖とタンパクの吸収
目次
1. 糖質とは
2. タンパク質とは
3. 糖質とタンパク質の消化と吸収
4. 小腸の吸収と組織学的構造
5. 小腸の吸収(トランスポーターについて)
6. 発展(小腸切除後の吸収障害)
7. まとめ
8. 参考文献
1.糖質とは
 炭水化物のうち、消化酵素
によって加水分解を受けて
吸収されるか、そのまま吸
収される物質
 大きく分けて単糖類・二糖
類・多糖類が存在
 食事組成比として約60%
体組成比としてわずか1%
→日々消化吸収し
エネルギー源として活用
(糖質1g当たり4kcal)
2.タンパク質とは
 遺伝子の情報に基づいて,アミノ酸が特定の配列順序で
ペプチド結合した高分子化合物
 身体を構成する細胞質の主成分であり,人体では水分を
除いた部分で約50%を占める
タンパク質の主な働き
① 身体の構成成分
② 組織の合成や分解を触媒する酵素
③ 代謝の調節をつかさどるホルモン
④ 病気に対する免疫反応の抗体
(IgA,IgG などの免疫グロブリン)などの成分
⑤ 膠質浸透圧の調節
⑥ 酸塩基平衡の調節,栄養素の運搬などの働きやエネルギー源
3.糖質とタンパク質の消化と吸収
①糖質について
糖質・タンパク質・脂質
の吸収経路
デンプンは唾液アミラーゼによ
りマルトースに加水分解後、
十二指腸で膵アミラーゼにより
デキストリンとマルトースに
分解(管腔消化)。
二糖であるスクロース・マル
トース・ラクトースなどは小腸
粘膜上皮細胞の微絨毛(刷子縁)
に存在する酵素(スクラーゼ・マ
ルターゼ・ラクターゼなど)によ
り加水分解(膜消化)され単糖類
になり、上皮細胞に吸収。
吸収された単糖類は小腸上皮細
胞内で毛細血管に入り、門脈か
ら肝臓へ。
3.糖質とタンパク質の吸収続き
②タンパク質について
タンパク質の消化は胃で始まる
胃小窩(胃底腺)の壁細胞の分泌する胃酸により変性
ペプシノーゲン(主細胞分泌)が胃酸活性によりペプシンになり
ポリペプチドなどへと分解(ペプチド結合切断)
十二指腸で膵液のトリプシン・キモトリプシン・カルボキシペ
プチターゼなどによりオリゴペプチドに
小腸粘膜の膜消化酵素(アミノペプチターゼ・トリペプチター
ゼ)により分解、アミノ酸・ジペプチド・トリペプチドとなり
毛細血管に吸収【能動輸送(ナトリウムポンプ)】
4.小腸の吸収と組織学的構造
小腸は十二指腸・空腸・回腸からなり、6m超。
輪状ヒダ・絨毛・微絨毛により小腸の吸収表面
面積増加。
輪状ヒダは粘膜下組織が内腔に押しあがったも
ので、高さは3~8mm。
輪状ヒダ
空腸<H&E>
絨毛<H&E>
表面は絨毛で覆われる。
絨毛は粘膜から内腔に向かって0.5~1.5mm
伸びた指状または葉状の突出。
絨毛は腸上皮細胞と杯細胞からなる単層円
柱上皮に覆われる。
腸上皮細胞:丈の高い円柱細胞で微絨毛が
あり、吸収機能(トランスポーターによる)
をもつ
杯細胞:単核の粘液分泌細胞(潤滑と保護)
パネート細胞:抗菌物質を分泌し粘膜の自
然免疫を維持
腸内分泌細胞:パラクリン物質と内分泌ホ
ルモンを産制
5.小腸の吸収
(トランスポーターについて)
トランスポーターは複数存在し2つの役割を分担する。
①細胞外から細胞内への物質の取り込みであり、吸収の第一
段階である管腔内から上皮細胞内への刷子縁膜輸送に必須。
②ATPの加水分解のエネルギーを利用して化合物を細胞外に
排出することであり、異物解毒・生体防御システムとして働
いていると考えられている。
以上より
糖質はNa+依存性ブドウ糖トランスポーター(SGLT1,2)により
一度腸上皮細胞に吸収され、これは基底膜を通してSGLT2に
より門脈循環の毛細血管に運ばれる。
タンパク質では4種のアミノ酸トランスポーター又はトリペプ
チドトランスポーターにより細胞の中に取り込まれ、同種の
トランスポーターにより毛細血管に運ばれる。
6.発展(小腸切除後の吸収障害)
消化管吸収部位別吸収物一覧
絞扼性イレウス・腸間膜動脈血栓症・
クローン病・アミロイドーシスなどの
治療のためしばしば小腸は広範囲に切
除される。
→それにより吸収面積が減少し、消化
吸収不全を起こす。
小腸は部位により吸収される物質が異
なるため切除した部位により発生する
障害が異なる。
十二指腸と上部空腸が切除されると糖
質・鉄・カルシウムの吸収が障害される。
回腸末端が切除されると胆汁酸やビタ
ミンB12の吸収が障害される。
また吸収障害は消化不十分でも起こる。
7.まとめ
微絨毛(1μm)
電子顕微鏡写真
刷子縁を構成
1.糖質・タンパク質は小腸
(主に空腸)で吸収
2.吸収面積を増やすために、
輪状ヒダ・絨毛・微絨毛という三
重構造からなる
3.トランスポーターは細胞内へ
の取り込みと毛細血管への送り
だしを行う
4.小腸は部位により吸収される
物質が異なる
8.参考文献
Ross組織学
ジュンケイラ組織学
信州大学医学部 生化学 炭水化物の消化と吸収と代謝
http://zen.shinshu-u.ac.jp/modules/0052002002/main/main.pdf
糖質とは
http://www.suzugamine.ac.jp/~arinobu/gakusyuu/toushitsu.pdf
タンパク質とは
http://www.suzugamine.ac.jp/~arinobu/gakusyuu/protein.pdf
消化管吸収とトランスポーター 立命館大学 藤田 卓也
http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/yaku/sotugo/pdf/h19_04_0.pdf
御清聴ありがとうございました。