2相CO2を用いた 測定器冷却システムの開発 測定器開発室新規提案 2010/4/20 杉本康博 はじめに • 先進的測定器の動向 – 高密度・多チャンネル – デジタイズまで測定器側で行う – 高速化 – 放射線耐性 – 低物質量化 効率的で低物質量の測定器冷却システムの重要性が増大 2相CO2を用いた測定器冷却システムが注目を集めている CO2サイクル • 身近な例:エコキュート 湯 コンプレッサ コンデンサ エバポレータ 外気 CO2冷媒サイクル 膨張弁 水 CO2サイクル • 冷却に用いると コンプレッサ コンデンサ エバポレータ 測定器 温水 CO2冷媒サイクル 膨張弁 冷水 CO2サイクル • コンプレッサーをなくすと 温水 コンデンサ エバポレータ 測定器 CO2冷媒サイクル 減圧 液送ポンプ 冷水 CO2サイクル • もっと低温(氷点下)にするためには コンプレッサ コンデンサ エバポレータ 測定器 CO2冷媒サイクル 減圧 温水 液送ポンプ 2次冷却サイクル 膨張弁 冷水 2相冷却のメリット • 2相冷却とは? – 液体が気体(固体が液体)に変わる際の気化熱(融解熱) を利用した、気液(固液)混合流体による冷却 • メリット – 大きな潜熱を利用するため、少ない流量でOK – 流入熱は相変化にのみ使われるため、温度が一定 • 用いられる冷媒 – CnF2n+2 (Per-fluorocarbon: PFC) : ATLAS SCT – CO2 : AMS tracker, LHCb VELO CO2のメリット:PFCと比較して • 大きな潜熱 少ない流量 • 高い圧力 :1 MPa (@ −40℃) – 5 MPa (@ 15℃) – 蒸気の体積が小さい – 配管に沿っての圧力低下に対する温度変化が小さい 細い配管を使うことができ、パイプ+冷媒のトータル の物質量も少なくてすむ CO2 C2F6 C3F8 Latent heat@ −40℃ 321 J/g ~100 J/g ~110 J/g Triple point −56.4℃ −97.2℃ −160℃ Critical point 31.1℃ 19.7 ℃ 71.9 ℃ GWP 1 9200 7000 応用例 • すでに使われた例 – AMS tracker – LHCb VELO • 計画・検討(R&D) – SLHC用測定器 – Belle-II バーテックス検出器 – ILC用測定器 • TPC • FPCCDバーテックス検出器 • R&Dを行っている主要ラボ – NIKHEF: ~10年の実績(ポンプ式、AMS、LHCb) – CERN, FNAL, SLAC (SLHC用測定器) Belle upgrade: バーテックス検出器 • バーテックス検出器エレキの冷却 – DEPFET pixel detector – Silicon Strip detector (DSSD+APV25) • 目的 – 閉じられた空間で運転するので、冷却はそもそも必要 – より低温で運転することによりセンサ(DEPFET)/アンプ(APV25)か らのノイズを減らす。 – APV25はDSSDの上にマウントされる。 PIXEL (R=13 mm) Beam pipe (20 mm Ø) DSSD (R > 40 mm) Belle2 VTX:何をどう冷やすか Cooling を 兼ねるDEPFETサポート DSSD ラダーの上に 配置されたCooling tubes 物質量が少ないことが重要 LC-TPC • MPGDを搭載したEnd-plateのエレキを冷却 – 1x106ch/side (Pad size ~1mm x 6mm) – 消費電力 ~ 2–4 kW (power pulsing 5–10 Hz) – 冷却温度 ~ 常温付近 – 温度の一様性が重要 – チェンバーガスに熱が伝わらないことが望ましい – ポンプ式 (2 Phase Accumulator Controlled Loop: 2PACL) 2PACL for LCTPC Liquid supply ring (~5mm ID) Warm 2PACL very simple • Accumulator is CO2 bottle @ room temperature • Cold source is cold water Vapor return ring (~8mm ID) Cooling tube (~2.5mm ID) Bottle temperature = Detector temperature Possible layout of the 6 loops option AMS-TTCS was tested in the same way Inlet capillary (~1mm ID) (Cold test done with bottle outside in winter) Restriction for flow distribution Pump CO2 Bottle H2O (~12ºC) 1.5L/min Q= 1000 W/side T= +20ºC LCTPC Thermal Test of LCTPC Advanced Endplate “Dummy” FPGA(ADC) emulates digital(analog) current and thermal source. Thermal test and power pulsing test are the purpose of the board. CO2 cooling test will be done at NIKHEF (2010 summer), then at KEK (late 2010). CO2 cooling pipe • • • Not only cooling power but also Peak Q~640W/Board 10W with 1.5% duty cycle temperature flatness over pad plane is important. R&Dの目標 • 2相CO2を用いた冷却プラントをKEKに構築 – コンプレッサー式とポンプ式の両方 – 冷却温度範囲: −40℃~常温 – R&D要素 • • • • 高圧配管 オイルフリーコンプレッサーシステム 減圧機構 温度(圧力)コントロール • 測定器に固有の冷却システムのR&D – – – – Belle2 VTX, LC-TPCへの応用 CFRP配管 PCBに配管を通す ……… • 構築された冷却プラントは各種の測定器の冷却システム開発に供用 • KEKに技術・ノウハウを蓄積 おおまかな計画 • 2010年度 – ポンプ式の冷却サイクルの構築 – コンプレッサー式冷却サイクルの設計 • 2011年度~2012年度 – コンプレッサー式冷却サイクルの構築 – 測定器側の冷却システムのR&D 提案グループ • • • • KEK: 藤井恵介*、杉本康博、坪山透、与那嶺亮 長崎総合科学大学: 房安貴弘 佐賀大学: 杉山晃 東北大学: 板垣憲之助、釜井大輔、斉藤智行、田窪洋介 • コンサルタント: KEK:春山富義 * : 代表者 Belle VTX LC-TPC LC FPCCD VTX …………… + KEK低温グループ 最後に一言 • エンジニアリング開発はセンサー開発と同様に重要 (例1) バーテックス検出器のImpact Parameter Resolution: sIP = a ⊕ b/psin3/2q – a: センサーの分解能で決まる – b: ラダー等のセンサーの支持構造体による多重散乱が寄与 (例2) コライダー実験のカロリーメータのエネルギー分解能 sE = a / SQRT(E) ⊕ b 衝突点とカロリメータの間の物質量を極力抑えないとカロリ メータ単体の分解能は出ない (LC-TPCのend plateの目標値: 15%X0 backup p-H 図 Liquid Vapor Liquid Vapor 2-phase 2-phase Enthalpy Enthalpy CO2 p-H Belle2 VTX • R&Dの後、CO2 冷却が出来ないことが分 かっても、水冷却がBackupとして残っている。 • CO2冷却が実現すれば、 – 物質量を減らす – 運転温度を下げる • ことで、Belle2の物理性能を向上させることが 出来る。 – そのgain が1%だとしても、全体の予算を考える と、試す意味がある。
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