スライド 1

一般社団法人 日本フルードパワー工業会 セミナー
賠償責任リスクの
定量評価手法のご紹介
ー リスクの大きさを把握し、適切に対応するために -
2014/10/28
http://www.tokiomarine-nichido.co.jp/
http://www.tokiorisk.co.jp/
© Tokio Marine & Nichido Risk Consulting Co.,Ltd. All rights reserved.
賠償責任リスクの見える化
 リスク対策をする際にどのようにしてリスクを見積もっていますか?
① 自社の過去の事故発生状況から推定
② 保険の補償額から推定
③ 見積もっていない
 リスク対策の例(PLリスクの場合)
※設計・製造等で安全対策を施し、リスクを減らす
※それでも残ったリスクは、PL保険を手配して万一に備える
補償額はどのように見積もっていますか?
本日は、賠償責任リスクの見積もり方法の一例をご紹介します。
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東京海上日動リスクコンサルティング(TRC) 会社概要
弊社は、東京海上火災保険株式会社リスクマネジメント業務部を前身とし、1996年に創立しました。
一世紀以上にわたって蓄積したノウハウをもとに、企業を取り巻く様々なリスクに対し、
実践的で効果の高いサービスを提案します。
会社概要
 名称:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社 (通称:TRC)
英文名:Tokio Marine & Nichido Risk Consulting Co.,Ltd.
 所在地:〒100-0005 東京都千代田区丸の内1-2-1 東京海上日動ビル新館8階
 創立:1996年8月1日
 資本金:1億円
製品安全・環境事業部の概要
製品安全マネジメント第一グループ
製品安全に係わる「企業」としての指針策定から、PL体制やリコール体制など企業の製品安全体制(仕組み)にお
ける課題やリスクの洗い出しと評価、それらの課題やリスクへの対応策検討、対応策実施に至るまでの、企業
の製品安全体制確立に向けた取り組みを総合的にサポートします。
製品安全マネジメント第二グループ
「製品」の安全性を確保する上での考え方・リスク低減対策の考え方など企業の製品安全対策基準の策定から、
製品を取り巻く課題・抱えるリスクの洗い出しと評価、それらの課題やリスクへの対応策検討、対応策実施に至
るまでの、製品の安全性確保に向けた取り組みを総合的にサポートします。
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賠償責任リスク定量評価サービスとは?
 評価対象のリスクを選定し、リスクが顕在化した場合に賠償額が大規模
となると想定される事故の事故シナリオを作成し、その事故シナリオの元
で発生しうる損害について、賠償額を算出するサービスです。
 2012年より、サービス提供を開始し、現在までに約200社に対して実施し
た実績があります。
お客様のサービス活用方法
 賠償責任保険の補償額の見直しに活用
(社内稟議資料等として使用)
メリット
リスク量を金額で見ることができる
具体的な対応策を考えやすい
 本日は、賠償額の算出方法を具体例を元にご紹介します。
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賠償責任リスク定量評価手法開発の背景
東日本大震災から得られた教訓
これまで想定していなかった
「想定外」の事象が発生。
これまでの「想定内リスク」への対策
だけではなく、「想定外リスク」も
考慮に入れたリスクマネジメント体制
の構築が必要。
弊社アンケート調査(次項ご参照)
2013年秋に弊社で実施したアンケート調査※
によると、日本企業は東日本大震災を受けて
「地震リスク」を最も重要視しているが、
続いて、「コンプライアンス」、
「情報システム」、「各種の事故」、
「製品・サービスの欠陥」など、賠償責任
に繋がるリスクについて重要視している。
※リスクマネジメント動向調査
企業を取り巻く賠償責任リスクの
定量評価手法を開発
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リスクマネジメント動向調査結果
詳細は弊社ホームページにてご紹介しております。
http://www.tokiorisk.co.jp/cgi-bin/topics/page.cgi?no=788
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賠償責任リスク定量評価の進め方
① 評価対象のリスクを選定する
主な賠償責任リスク
・PLリスク ・施設賠リスク ・請賠リスク
・個人情報漏えい賠リスク (・リコール費用)
② 選定したリスクが顕在化した場合
に損害が大規模となると想定される事
故の事故シナリオを作成する
シナリオを考える際の観点
・事故発生場所 ・損害(人的、物的、休業)
③ リスクシナリオの元で発生しうる損
害について賠償額を算出する
・条件、仮定をおく
・賠償額算出根拠(情報)を集める
※自社以外の他者(社)損害を考える
 本日は、エアバルブメーカーの米国でのPLリスクを例に賠償額を算出します
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産業機械のPL事故事例
1.食品製造工場における爆発事故
食品製造ラインのボイラシステムにおいて爆発事故が発生し、作業員が全身やけどを負った。
2.超高圧水発生装置部品の破断事故
超高圧水発生装置のアキュムレーターが突然破断、破片が近くで作業していた従業員に直撃し、従業員が後遺障害を負った
ほか、建物も損傷した。設計上の欠陥により破断したことが判明した。
3.梱包機への巻き込まれ事故事例
ユーザーから依頼を受けてメーカーが古紙自動梱包機のメンテナンスを行った。この際に、駆動部のチェーンカバーをユー
ザーの要請により取り外したまま引き渡したところ、その後、ユーザーの従業員が駆動部に手を挟まれ、5指全部を切断する
事故が発生した。危険な状態で引き渡したメーカーとしての責任は免れず、過失割合30%にて示談が成立した。
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エアバルブメーカーの米国でのPLリスク①
① 評価対象のリスクを選定する
② 選定したリスクが顕在化した場合
に損害額が大規模となると想定される
事故の事故シナリオを作成する
③ リスクシナリオの元で発生しうる損
害について損害額を算出する
① 評価対象のリスク: PLリスク(エアバルブの欠陥)
②事故シナリオ(骨子):
• 米国の食品製造工場で、製造ラインのボイラシステムが爆発
• 事故原因を調査したところ、ボイラシステムに使用されているバルブに欠陥
があり、ボイラの圧力が異常に高まったことにより爆発したことが判明した。
③被害想定・仮定条件:
人的被害:
物的被害:
休業損害:
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エアバルブメーカーの米国でのPLリスク②
① 評価対象のリスクを選定する
② 選定したリスクが顕在化した場合
に損害額が大規模となると想定される
事故の事故シナリオを作成する
① 評価対象のリスク: PLリスク
②事故シナリオ:
米国の食品製造工場で、製造ラインのボイラシステムが爆発、作業員が死傷
したほか、ラインおよび工場建屋が破損したことにより工場の生産が停止した。
事故原因を調査したところ、ボイラシステムに使用されているバルブに欠陥が
あり、ボイラの圧力が異常に高まったことにより爆発したことが判明した。
エアバルブメーカーは、死亡した作業員の遺族や、負傷した作業員から賠償
請求を受けるとともに、食品製造工場から、ライン、建屋の修復費および、工場
の生産が停止した期間の売上減少にかかる逸失利益の請求を受けた。
③ リスクシナリオの元で発生しうる損
害について損害額を算出する
③被害想定・仮定条件:
人的被害: 作業員1人死亡、4人重傷
物的被害: 食品製造ライン 1ライン30%損傷、工場建屋3%損傷
休業損害: 年間売上高1%減少
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被害想定に関連する情報①
関西電力尼崎第3発電所の爆発事故事例
1988年・日本
兵庫県尼崎市の関西電力尼崎第3発電所で、第3号発電機の原油・重油ボイラーに付属した空気予熱器が爆発し、同発電所や関連会社の
従業員14人が高温の水蒸気や熱湯を浴びたり、壊れた機械の下敷きになって死傷する事故が発生した。尼崎発電所には3基の発電機があ
り、当時、第3号機は定期点検中であったが、燃料の重油が固まるのを防止するため、出力を低下させての運転(助燃運転)をしていた。爆
発の原因は、この空気予熱器の過熱であった。軽油が不完全燃焼、ススなどの可燃物が予熱器内に入り込んで壁面に付着、これが炭火の
ように燃え出して、ホッパーの底部を開かずに冷却しようと作業員が注水したため、予熱器の水が熱湯となり、水蒸気爆発を起こしたもので
ある。
死亡者:2人、負傷者:12人(重傷9人、軽傷3人)
読売新聞朝刊(1988年8月2日)、平成23年版消防白書
食品工場構内の機械設備点検作業中の爆発事故事例
日本
食品工場構内の植物油抽出機の点検を行うため、協力会社従業員が抽出機のマンホールを開け粕出し作業を行っていたところ、突然爆発
し、協力会社従業員3名と会社従業員5名の計8名が死亡した。また、この爆発により隣接する原動施設(ボイラ・水蒸気・水・電力)が稼働不
能の状態となった。爆発した抽出機は、同工場の作業工程の中でも中心的な部門で使用されていたため、生産不能が継続し、生産減少が
生じた。
東京海上日動クレームデータベースより
食品用消毒剤製造工場の爆発事故事例
日本
食品原材料の消毒剤等を製造する工場で、倉庫に保管していた原材料製剤の規格外品が化学反応を起こして爆発、火災が発生した。火は
ラック上のサンプル製品や通路上の製品を伝ってあっという間に燃え広がった。この火災で、製品・サンプル品はすべて原形を留めず焼損、
生産ライン、事務室、原料倉庫も焼損した。復旧のため、工場建屋の修復、半製品・製品の再生産、機械・器具・什器の修理が必要となった。
東京海上日動クレームデータベースより
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被害想定に関連する情報②
食品加工工場のライン停止による収益減少事例
日本
深夜、営業終了後で無人の生鮮野菜の加工工場から出火、次々に延焼し、工場建屋、事務所、食堂のほか、機械什器、原材料などが焼損、
煤による汚損を被るとともに、長期にわたる生産停止を余儀なくされ、収益減少が発生した。
得意先への製品の納入義務があり、不足分を補うため、被害者の別工場に応援を依頼するなどし、対応したが、6ヵ月にわたり収益が減少し
た。
東京海上日動クレームデータベースより
「韓国SKハイニックス 、火災の中国工場の操業を10月から正常化へ」
2013年 09月 13日 12:20 JST
[ソウル 13日 ロイター] - 韓国の大手半導体メーカー、SKハイニックス は13日、今月4日に火災に見舞われた中国工場について、10月か
ら操業を正常化することを明らかにした。また、失った生産分を補うため、韓国の工場において、コンピューターメモリーチップを増産するとし
ている。
ハイニックスは今週、中国工場の操業を一部再開した。中国工場では、同社のコンピューターメモリーチップのうち半分を生産している。
同社は、声明で「10月の生産再開に向けて準備を進める。11月には、正常な生産水準を完全に回復できるようにしたい」としている。
ロイターhttp://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0H90NW20130913より
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賠償額算出結果
【事故シナリオ】
エアバルブの瑕疵による食品製造工場における爆発事故の発生(米国)
被害想定・仮定条件
作業員1人死亡
※死亡者への賠償金を300万米ドルとした。
3億円
作業者4人重傷
※重傷者への賠償金を平均150万米ドルとした。
6億円
人的損害
休業損害
※
※
12
※1ドル=100円換算
13億4,692万円
予想大規模賠償額
物的損害
賠償額
食品製造ライン破損:1ラインの30%
※製造ラインの新規取得額を2億8,600万円とおく。
8,580万円
工場建屋破損:建屋面積の3%
※工場建屋の新規取得額を26億9,300万円とおく。
※ライン数10本とおく。
※1ラインあたりに対応する建屋損傷30%とおく。
8,079万円
製造ライン停止による年間売上高1%減少
※当該食品製造工場の年間売上高を280億3,330万円とおく。
※他工場で増産しても、当該工場の年間売上の1%がカバーでき
なかったとした。
2億8,033万円
本予想大規模賠償額算出結果は、事故シナリオに基づき、条件を仮定した上で算出したものです。算出した予想大規模賠
償額は、仮定する算出条件を変化させることにより増減することにつきご留意ください。
仮定した条件は、過去の事故事例等から推定しています。
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賠償額算出に関連する情報①
人的損害
死亡者1人あたりの賠償金:300万米ドル(約3億円)
重傷者1人あたりの賠償金の平均:150万米ドル(約1億5,000万円)とおく。
Thomson Reuters, Current Award Trends in Personal Injury 50st Edition より、PL訴訟における賠償金の中央値を採用。
物的損害
建物新規取得額:26億9,300万円、製造ラインの新規取得額:2億8,600万円 とおく。
かごめ株式会社第69期有価証券報告書より、那須工場(飲料工場)の建物評価額:16億1,600万円、機械装置および運搬具評価額:14億
3,000万円である。
定額法による減価償却、減価償却期間を建物:25年、機械装置および運搬具:10年と仮定し、建物平均10年、機械装置および運搬具平均5
年経過していると仮定、また製造ラインが10本あると仮定して計算。
休業損害
当該食品製造工場の年間売上高:280億3,329万円とおく。
かごめ株式会社売上高1,962億3,300万円、製造工場7工場で等分の売上があると仮定して計算。
(参考)ライン停止期間60日、稼働日250日、毎日等分に売上があると仮定とすると、売上は24%減となる。残り6工場で各4%増産したとすれば、
減産をカバーできる。
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賠償額算出結果
【事故シナリオ】
エアバルブの瑕疵による食品製造工場における爆発事故の発生(米国)
被害想定・仮定条件
作業員1人死亡
※死亡者への賠償金を300万米ドルとした。
3億円
作業者4人重傷
※重傷者への賠償金を平均150万米ドルとした。
6億円
人的損害
休業損害
※
※
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※1ドル=100円換算
13億4,692万円
予想大規模賠償額
物的損害
賠償額
食品製造ライン破損:1ラインの30%
※製造ラインの新規取得額を2億8,600万円とおく。
8,580万円
工場建屋破損:建屋面積の3%
※工場建屋の新規取得額を26億9,300万円とおく。
※ライン数10本とおく。
※1ラインあたりに対応する建屋損傷30%とおく。
8,079万円
製造ライン停止による年間売上高1%減少
※当該食品製造工場の年間売上高を280億3,330万円とおく。
※他工場で増産しても、当該工場の年間売上の1%がカバーでき
なかったとした。
2億8,033万円
本予想大規模賠償額算出結果は、事故シナリオに基づき、条件を仮定した上で算出したものです。算出した予想大規模賠
償額は、仮定する算出条件を変化させることにより増減することにつきご留意ください。
仮定した条件は、過去の事故事例等から推定しています。
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(参考)2013年米国PL訴訟高額評決事例①
米国ALM 社の米国における高額評決事例「VerdictSearch Top 100 Verdicts」より
※PL情報Update2014年7月号に関連記事あり http://www.tokiorisk.co.jp/consulting/product_liability/pl.html
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(参考)2013年米国PL訴訟高額評決事例②
米国ALM 社の米国における高額評決事例「VerdictSearch Top 100 Verdicts」より、TOP100に含まれるPL訴訟のうち、「その他」(たばこ、アスベス
ト、自動車、医薬品)に分類される訴訟事例
順位
被告
訴訟地
評決額
訴訟概要
ExxonMobil、他22 社
ニューハンプ
シャー州
$816,768,018
(約817 億円)
発がん性物質を含有するガソリンを販売し、地下水を汚
染したとして、州が23 の石油会社・化学メーカー・ガソリ
ン精製業者を訴えた。
79
Avco Corp.他6社
ワシントン州
$26,183,000
(約26 億円)
92
Lakewood
Engineering &
Manufacturing Co.
Polaris Industries Inc.
4
95
イリノイ州
$21,880,620
(約22 億円)
転倒した電気オイルヒーターから火災が発生し、4 人の
子供が死亡。母親等は、オイルヒーターの設計・製造・
供給者を訴えた。
カリフォルニア
州
$21,726,231
(約22 億円)
3 名が乗った水上バイクがモーターボートに衝突し、1 名
が重傷、2 名が軽傷を負った。被害者は、水上バイクの
操作性に問題があったとして、製造者を訴えた。
※PL情報Update2014年7月号に関連記事あり http://www.tokiorisk.co.jp/consulting/product_liability/pl.html
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エンジンに発生した不具合により飛行機が墜落して3 名
が死亡。遺族は、エンジンの欠陥を知りながら対処しな
かったとして、製造者、部品製造者等を訴えた。
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ご清聴いただき、ありがとうございました。
お問い合わせ先:
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
製品安全・環境事業部
製品安全マネジメント第一グループ
Tel.03-5288-6583
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