IMFの創設 金・ドル問題と国際通貨危機 改革への模索 戦後の国際通貨体制への模索 • アメリカのリーダーシップ – 第1次世界大戦後の国際関係に対する反省 – イギリス・ソ連との交渉 • 自由・無差別原則 – 「大西洋憲章」(1941年8月12日) • 第4パラグラフ「差別待遇を受けずに」の文言削除 – 「相互援助協定」(1942年2月) • 第7条「一切の形式の差別措置の除去」の文言 ブレトン・ウッズへの道 • 連合国国際通貨金融会議 – 1944年7月1日~22日 – ニュー・ハンプシャー州ブレトン・ウッズにて • 米英案の対立 • アメリカ – ホワイト案(基金案) • イギリス – ケインズ案(銀行案) アメリカ案の作成 • モルゲンソー財務長官の指示 – ハリー・デクスター・ホワイト(財務省国際金融 問題担当次官補)による戦後の国際通貨体制 の立案(1941年12月) • ホワイト案 – 「連合国国際安定基金案予備草案」 (Preliminary Draft Outline of Proposal for an International Stabilization Fund of the United and Associate Nations) ホワイト案の骨子 1.金・各国通貨・政府証券による払い込みによって基金を創設 2.割当額の算定 金・外貨保有高、国際収支の変動と大きさ、国民所得 3.新通貨 ユニタス 純金1371/7グレイン=$10 4.為替相場 基礎的不均衡の時、3/4の同意にて変更可能 5.基金の仕事 金、加盟国通貨、政府証券の取引・金のイヤーマーク、振替・ 債券発行 6.希少通貨条項 7.斤の購入、黒字国の金、外貨増の1/2 8.為替制限の撤廃 9.二国間協定の禁止 イギリス案の作成 • 大蔵省出向中のケインズによる提案 – 1943年4月 • ケインズ案 – 「国際清算同盟案」(Proposals for an International Clearing Union) ケインズ案の骨子 1.加盟国は同盟に勘定を開設 2.バンコールをもって定めた平価で為替残高を清算 3.借方残高が割当額の1/4を1年以内に増加するためには 理事会の許可が必要 4.平価変更 赤字国の平価変更の可能性 5.担保 借方残高がクオータの1/2を超えたときには担保を提出 6.課金 借方、貸方いずれでもクオータの1/2を超えたとき、 1%の課金 7.黒字国 貸方残高が1年以上の平均で1/2を超えるとき、 国際収支対策を理事会と協議 基金か銀行か • 信用創造の発生 – 一国レベルか国際レベルか • アメリカの負担額の大きさ – アメリカ国内での対立 • ブレトン・ウッズ・アプローチ • 基軸通貨アプローチ – 巨額すぎる援助額 ブレトン・ウッズ協定 • 参加44ヶ国の合意 – 2つの機関の創設 • 国際通貨基金(IMF International Monetary Fund) • 国際復興開発銀行(IBRD International Bank for Reconstruction and Development) – 通称世界銀行(World Bank) • 1946年末までに39ヶ国が批准して発効 – 1947年3月1日、営業開始 IMFの仕組み 1.出資 総額110億ドル 25%金出資 2.平価 IMF協定第4条第1項 平価の変更 平価の一律変更 IMFの資産の金価値の維持 3.為替制限 IMF協定第8条、第14条 4.資金供与 IMF協定第5条第3項1の3 希少通貨条項 IMF協定第7条 金とドルの位置づけ 金 金1オンス=$35 ドル 固定相場制 円 ポンド マルク フラン リラ IMFの借入制限 借入可能(125%) ←SGT GT 1CT 2CT 3CT 4CT 200%まで借入可能 金 自国通貨 25%金で払い込み 終戦後の資金需要 • IMFの営業開始(1947/3/1) • マーシャル・プラン(1948) – マーシャル・プラン参加国のIMF利用制限 (1948/4/5) • IMFの活動活発化 – マーシャル・プラン終結後にむけて • 理事会決議(1951/5/20) – マーシャル・プランの終結(1951/6) ドル不足からドル不安へ • 朝鮮戦争(1950/6/25~1952/7/27) – ドル不足の緩和 – 金選好 • ポンド危機とアメリカの支援 – スエズ動乱(1956/7) – ポンド危機(1956/10) アメリカのポジション悪化 • ドルのハネムーン時代の終わり – 対外ドル債務が余剰金準備を超える(1953) – 公的ドル債務が余剰金準備を超える(1958) – 対外ドル債務が総保有金量を上回る(1960) • IMFのポジション – アメリカのポジション悪化の救済策 – ドル選好国への貸し付け増加 – 増資による債権国ポジションの維持 – アメリカが債務国ポジションへ 1964 ゴールド・ラッシュ • 金の値上がり(1960/10) – ロンドンの金市場で41ドルをつける • 金プールの成立 – ニューヨーク連銀がイギリス、フランス、西ドイ ツ、イタリア、オランダ、スイス、ベルギーと協 力して金市場へ介入 – アメリカ独力での金本位制維持の放棄 – 初出動 1961/11 国際協力 • IMFのクオータと拒否権 – IMFを通さない救済策の必要性 • 一般借入協定の成立 – GAB General Agreement to Borrow – アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリ ア、オランダ、ベルギー、スウェーデン、カナダ、 日本の10ヶ国 – 総額60億ドルのスタンド・バイ・クレジット協定 さまざまな改革案 • 金本位制復帰論 リュエフ • 世界通貨の創造 – 世界中央銀行による世界通貨の創造 • トリフィン – 金の多元的国家管理のまま世界通貨の創造 • ポスチューマ・ベルンシュタイン・デスタンなど – 金と結びつかない新準備資産の創造 • ハンセン・ローザなど • 変動相場制 フリードマン 流動性ジレンマ論 • トリフィン『金とドルの危機』1960年 – ドルを国際通貨として使う場合のジレンマ • 「信認」と「流動性」の両立不可 • 国際機関による通貨の創造の必要性 – アメリカの赤字の擁護 • トリフィンのジレンマ論の問題点 – 経常収支と総合収支の混同 流動性ジレンマ論の構造 国際収支 国際収支 経常収支黒字 赤字 黒字 総合収支赤字 流動性 ○ × ○ 信認 × ○ ○ SDRへの道 • 国際機関による国際通貨の創造の試み – G10による流動性問題への取り組み • 1963年10月2日、検討を開始する旨を声明 • アメリカの取り組み – ローザ構想からデミング案へ • IMFに特別引出権を創設する • G10による取り組み – G10とIMFの共同研究会(1963) • G10の声明とIMF年次報告(1964) SDRの創設 • 『オッソラ報告』から『ハーグ報告』へ – 『オッソラ報告』(1965) – 『ハーグ報告』(1966) • SDRの創設合意 – G10とIMFの合同会議(1967年8月25日) – IMF総会で採択(9月29日) – 第1次協定改正発効(1969年7月28日) SDRの仕組み • 特別引出権(Special Drawing Rights SDR) – 振込なしの引出権=銀行原理に基づく信用創造 – ケインズ案との類似 – オプティング・アウト • 特別引出権使用への制約 – 復元の義務(後に廃止) • 「その時までの5年間の使用残高」が「その期間のSDRの純 累積配分額の平均」の70%以内であること – 利子 • 1970年より配分開始 崩壊の兆し • ポンドの14.3%切下げ(1967.11.18) – £1=$2.80→$2.40 • ゴールド・ラッシュ – 1967.11.21~24、12.12~18 – 1968.3.4 • 金プールの解散、金の二重価格制 – 1968.3.17 ブレトン・ウッズ体制の崩壊 • 国際通貨制度のきしみ – フランス・フラン11.1%切下げ(1969.8) – ドイツ・マルク9.29%切上げ(1969.10) – ドイツマルクはフロートへ(1971.5.5) • ニクソン・ショック(1971.8.15) • スミソニアン会議(1971.12.17~18) – 為替レート調整 – 上下変動幅1%から2.25%へ拡大 変動相場制へ • ドル不安の再燃(1973.1~2) – 円は変動相場制へ • 東京市場閉鎖(1973.2.12) • フロートにて再開(2.14) – ヨーロッパ諸国は共同フロートへ • 決定(3.11) • G10の承認(3.16) • 市場再開(3.19) 変動相場制の定着 • 第1次オイルショック(1973.10) – 第4次中東戦争勃発(10.16) • 『国際通貨制度改革の概要』 – 遅かった報告書 • SDR,バスケット方式へ • 変動相場制の確立 – IMF協定第2次改正 • キングストン会議(1976.1.7) • 改正発効(1978.4.1) バスケット方式 改訂前のバスケット $ EURO 0.4260 0.551926 ¥ 21.0000 0.199715 £ 0.0984 0.188141 $ 0.5770 0.577000 Total 1.516782 April 30, 2005 現行のバスケット 構成 為替レート 0.4100 1.25510 0.514591 ¥ 18.4000 114.17000 0.161163 £ 0.0903 1.80850 0.163308 $ 0.6320 1.00000 0.632000 EURO Total $ 1.471062 US$1=SDR0.679781 April 30, 2006
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