健康かごしま21

こころと身体は不可分!
心筋梗塞患者の約2割がうつ病
糖尿病:約1~3割
脳卒中後1年以内:約2~6割
癌患者:20-25%
心筋梗塞になる人:2倍
心筋梗塞後1年以内の死亡率:2倍
※
身体の健康づくりをすすめるためにも重要
1
身体的症状が表に出てうつ状態に気づきに
くい場合もあります
(仮面うつ病)
•痛みや倦怠感
•重く締め付けられるような頭痛
•肩こり
•からだの節々の痛み
•消化器症状
•食欲不振や胃の痛み
•下痢や便秘
•循環器症状
•頻脈・徐脈
•血圧上昇
•内分泌系
•火照り、性機能低下
•発汗・息苦しさ
2
もう少しうつ・うつ病のことについて教
えてください
精神疾患についていろいろな誤解や
偏見があります。
いくつか代表的なものをご紹介しましょう
3
うつ病って大変な病気なんですか?
※
他のこころの病と違って,死にいたる可能性が高い
ものです
うつ病や躁うつ病などの気分障害の人の
20%~40%が自分を傷つける行為しています
 大うつ病(いわゆるうつ病)で入院した患者の
15%に自殺企図が認められるとされています

ら)
(アメリカの研究か
4
うつ病のシステム
(うつ病は遺伝病ではありま
せん!)

うつ病のときには,心のバ
ランスをつかさどるために
重要な働きをしている神
経・神経伝達化学物質(セ
ロトニン)等の伝達が不十
分になっています。
↓
伝達物質の流れを助ける
(薬,休養,環境調整など)
図のみ引用出典:UTU-NET(うつネット)
http://www.utu-net.com
5
うつ病は気づき(かれ)にくい
ものです

うつ・うつ病にかかったことのある住民の割合
は



Nagasaki
そのうち医療機関で治療を受けていた住民は


うつ病では15人に一人の割合
いずれかの不安障害では10人に一人の割合
Iwate
→




わずか1/4だけ
Kagoshima
Okayama
理由
自分で何とかしたかった
ひとりでに改善すると思っていた
どこに行けばいいかわからなかった
治療が効果があるとは思わなかった
Japan
NIMH
3/4
2/3
1/3
1/5
「世界精神保健(WMH)の日本調査結果」
2002年,岡山県、長崎県、鹿児島県の2政令市、1市、1町のCIDI
による面接調査結果。N=1,664。
6
なぜでしょうか?



気持ちの問題?
身体愁訴(仮面うつ病)
性格が悪い?
※ → よく知られていないからで
す
・住民・保健医療従事者・行政に
も
7
それでは,うつに対して私たちはどう
考え,どうしたら良いのでしょうか?
1.自分自身の気のもちかたを工夫する
2.周りの人たちの適切な支え
3.治療の上手な活用
の3つの柱が中心になります。
8
自分でできることの普及
9
ストレスに対処するために
のⅠ

そ
早めに気づくこと
10
簡単な一次スクリーニング質問
A項目(抑うつ症状)

毎日の生活が充実していますか。

これまで楽しんでやれていたことが,今も楽しんでできていますか。

以前は楽にできていたことが,今ではおっくうに感じられますか。

自分は役に立つ人間だと考えることができますか。

わけもなく疲れたような感じがしますか。
B項目(自殺念慮)

死について何度も考えることがありますか。

気分がひどく落ち込んで,自殺について考えることがありますか。
C項目(ライフイベンツ)

最近ひどく困ったことや,つらいと思ったことがありますか。
参考資料:厚生労働省 地域におけるうつ対策検討会
「うつ対応マニュアル –保健医療従事者のために- 」
11
ストレスに対処するために
のⅡ


そ
気持ちの持ち方の工夫
様々な対処法の知識と実践
12
人によって見える世界は違っている

会合で会った人が挨拶もしないし、視線を合わせようと
しないという場面を想定してください。
「あの人を何か怒らせるようなことをしたんだろうか」
→不安
「だれも私のことなんか気にかけてくれないんだ」
→悲しみ
「挨拶くらいしてくれてもよいのに、ひどい人だ」
→怒り
「ずいぶん忙しそうだ、大丈夫かな」
→気遣い
「こころが晴れるノート:うつと不安の認知療法自習帳」(創元社)
13
ストレスに上手く対処する



日頃から柔軟な考え方を心がける
自分のストレッサーを知る
ストレッサーがわかったら





取り除く
かわす
うまくつき合う
誰かに相談する
思い切って休んでみる
14
がっかりした時の思考パターン
例
落胆(95%)
不快な感情と自動思考
そのときの考えやイメージ
1)なんてダメなももたろう
なんだ、(90%)。
2)国民のヒーローなのにも
う
終わりだ(99%)
3)せっかく楽しみにしてたの
に・・(95%)
15
合理的な考え
不安・落胆の根拠を探し・代わりの案を見つ
けよう
1)犬やキジ(鳥)や猿がいる
2) 1回失敗したくらいで、ダメとは決められない
ヒーローだもん、必ず最後は勝つさ!
ショック(95%)
落胆(90%)
↓
40~50%
16
がっかりした時の思考パターン
例
不快な感情と自動思考



腹立たしい(8
0%)
後悔(60%)
不安(40%)
1)少しくらい相談にのってくれてもよい
のに,無視することはないじゃないか。
2)こんな人と結婚するんじゃなかった。
3)この子は大きくなってからどうなるんだろう。
出典:「こころが晴れるノート」(創元社)大野裕
著
17
合理的な考え
不安・落胆の根拠を探し・代わりの案を見つけよう
1)最近仕事が忙しそうだ。
真剣に話せば耳を傾けてくれる。
2)時間があるときには食事の手伝いや
掃除をしてくれる。
3)最低限の勉強はしているし,友達とも
仲良くできている。
腹立たしい(50%)
後悔(30%)
不安(30%)
出典:「こころが晴れるノート」(創元社)大野裕
著
18
「食う」「寝る」以外に複数のスト
レス対処法を身につけましょう



息抜き ストレッチ、仕事に変化、お茶
休憩
アロマテラピー、カラーセラピー
遠隔効果
 読書、音楽、観劇
 スポーツ、アウトドア、タウンウォッチング
 保養・リゾート
※ 日頃の自分と異なる自分探し・・
19
周囲の人たちの適切な対応
「地域リーダーの皆様へのお願
い!」
20
とても重要な人間関係
出典:「うつ病の対人関係療法」
(岩崎学術出版社)
21
周囲の支えがない場合の不幸な悪循
環
● 強いストレッサー
→ 気持ちが沈み込む
→ 無視して症状を隠そうとする
(そんなはずはない、恥ずかしい、迷惑かけ
る・・・)
→ 周囲の否定的反応
(たるんでいる、根性がない、自分勝手・・・)
→ やっぱりだめだ。自分にはその能力が無い。情けな
い
→ 無視をして症状を隠そうとする
(恥ずかしい、悪い・・・)
→ 周囲の否定的反応
(たるんでいる、根性がない、自分勝手・・・)
→ もう止めよう。死んじゃおう。
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周囲の適切な接し方の普及
1)患者のペース(主観的体験)を大切に
→励まさない
2)誤解を解く 気のせいではない、遺伝病ではな
い
3)必要以上に気を遣いすぎない →いつも通りに
4)問題点を明確に
→問題解決の方向で話し合う
5)ゆっくり休ませる
6)薬を上手に利用するように助言する
7)本人の話を聴く時間を作る
23
本人につたえること





弱さや怠けではなく病気である。
脳の神経系の病気で、ストレスなどが
関係している。
誰でもがかかる可能性のある病気であ
る。
うつ病のサインとは。
休養と治療で楽になる可能性が高い病
気である。
24
気晴らし(散歩、運動、ショッピング
等)に誘って良いでしょうか?
ご本人の気持ち次第です。
無理強い・激励は避けましょう。
さそわれたら,断りきれない。
なおさら,頑張ってしまいます。
25
酒でも飲んで気を晴らした方が良いと
友達から言われました。
アルコールはかえって
うつをひどくします。
睡眠を浅くします
依存の危険があります
糖尿病などの他の身体疾患へつながります
事故の危険性が高くなります
健忘などの脳障害がおきることさえあります
26
みんなに迷惑をかけるのが悪いから、
仕事を辞めたいと言うのですが・・・
大きな決断は先延ばしにしましょう。
どうしても悲観的に考えすぎています。
辛いときには休むのも良い方法です。
27
そう言われると、
そのように接したらいいか迷ってしま
います。
普通に接してください。
ゆっくり話を聴くことが大切です。
あまり
はげまさないようにしましょう。
28
話を聞く上での留意点

プライバシーに注意しながら、余裕を
持って話を聞く


自分自身に余裕のある時に
落ちついた雰囲気で


結論を急がない



酒の場ではなく
まず聞いてあげるだけで良いことも多い。
原因追及にこだわらない。
自分一人では抱え込まない。
29
危険な予兆



うつ病の症状
酒量の増加
身なりの変化


事故(転倒、墜落、交通事故)の多発、
価値あるものの喪失


朝方の身なりが整っていない
安全や健康に関する行動の変化


身体症状、表情、口数
家族の死亡、転居、退職
自殺や死を口にする
30
様子が変だと感じたら




お近くの保健センター保健師へ相談しましょう
言いにくければ,保健所への相談も考慮しま
しょう
専門家(=精神科)への受診をすすめましょう
いのちの電話もあります 099-250-7000
31
適切な医療
薬は万能ではないが役に立ちま
す!!
32
うつ病は治る病気です
完全に症状がなくなる 2/3
 ただし、再発率が高い
↓
服薬を続けることが大切です
(=高血圧、高脂血症)

33
精神科の薬を飲むと
人間が変わってしまうのではないか
と心配なのですが・・・
精神科の薬は、脳の神経の働きを調整
するだけですから、あまり、心配ありません。
薬の副作用はありますが、飲まないことの方
がもっと心配です。
34
お薬に対する誤解を解きましょ
う
“薬に頼るな”の危険
1)副作用に対する恐怖感
依存:ナレ・クセ・ボケ
2)精神論
「心の病気にかかってしまった」
「薬に頼らないといけなくなって情け
ない」
3)心の悩みに薬は効くか
「心の病気」
→「脳の病気のために心で悩んでい
る」
35
服薬を継続できない理由
1)うつ病に特徴的な症状が継続を妨げます
(無力感、悲観的な考え方)
2)薬物療法の効果がすぐにはあらわれない場合もあります
3)薬物の副作用もあります
嘔気、下痢
口渇、動悸、便秘、排尿困難、目のかすみ、記憶の障害、眠気
眠気、倦怠感、体重増加
めまい、起立性低血圧、イライラ
4)精神疾患に対する偏見もあります
5)患者の性格の問題と思われがちです
(WPA/WHO Educational Program on Depressive Disorder)
36
自殺者の減少やうつ対策は個人の
力だけでは改善しません!
地域の力!
37
皆さんへのメッセージ





※
ストレスやうつは誰にでもあります
自分の気持ちと上手につきあいましょう
抑うつ症状のある職員や同僚とのお付き合い
(だけではありませんが・・)はこころが基本
です
正しい知識を持ち適切な対応をお願いします
地域全体で心の健康づくりの推進に努めましょ
う
うつに対する理解を深めましょう
38