補章 時系列モデル入門 ー 計量経済学 ー 時系列モデルとは • 時系列モデルは、計量経済モデル(消費関数などの回帰モ デル)とは異なり、被説明変数を、その変数の過去の値と攪 乱項からのみ説明しようとするモデルである。 • AR(Auto Regressive)モデル • MA(Moving Average)モデル AR項とMA項を組み合わせてモデルを作る (例) ARMA(2,1) 定常系列と非定常系列 • 時系列分析では、時系列データが、ある確率過程から生み 出されたものと考える。 • 確率過程の特性値として、その平均、分散、自己共分散が 考えられ、これらを推定したい。 • しかし、経済時系列では、ある時点について1つの観測値し かないため、データ不足によって推定できない。 • そこで、確率過程に定常性といわれる、次のような性質を想 定し、特性値の数を減らすことで推定可能とする。 • 定数項なしのAR(1)モデル 定常性の条件 ⇔ -2 -1 0 1 2 20 40 60 80 100 -2 0 2 4 6 8 0 0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 0 20 40 60 80 100 このような非定常な系列の中には、階差をとることによって、定 常になるものもある。 階差をとることによって、定常のARMAモデルになるモデルは、 ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)モデル といわれ、ARIMA(p,d,q)とあらわす。 p,qはそれぞれ、AR部分とMA部分の次数、dは階差をとる回数 である。 経済時系列モデル分析の手順 • 経済時系列モデルを用いた分析は次のような手順でおこなう。 モデル同定 モデル推定 予測 モデル同定 • モデル同定は、モデルの次数を決定するステップである。 • モデル同定は、自己相関、偏自己相関のグラフを用いて、最適な次数を 決定する。 ⇒ たとえばAR(1)モデルであれば、自己相関のグラフは次第に減衰し ていき、偏自己相関のグラフは2期差以上は0となる。 モデル推定 • 同定されたモデルの、パラメータを推定することが、モデル推定である。 • 最小2乗法で推定できるモデルは限定的であり、最尤法などを用いる。
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