2001年度 経済統計処理講義内容

補章 時系列モデル入門
ー 計量経済学 ー
時系列モデルとは
• 時系列モデルは、計量経済モデル(消費関数などの回帰モ
デル)とは異なり、被説明変数を、その変数の過去の値と攪
乱項からのみ説明しようとするモデルである。
• AR(Auto Regressive)モデル
• MA(Moving Average)モデル
AR項とMA項を組み合わせてモデルを作る
(例) ARMA(2,1)
定常系列と非定常系列
• 時系列分析では、時系列データが、ある確率過程から生み
出されたものと考える。
• 確率過程の特性値として、その平均、分散、自己共分散が
考えられ、これらを推定したい。
• しかし、経済時系列では、ある時点について1つの観測値し
かないため、データ不足によって推定できない。
• そこで、確率過程に定常性といわれる、次のような性質を想
定し、特性値の数を減らすことで推定可能とする。
• 定数項なしのAR(1)モデル
定常性の条件 ⇔
-2 -1 0 1 2
20 40 60 80
100
-2 0 2 4 6 8
0
0
20 40 60 80
100
0 20 40 60
0
20 40 60 80
100
このような非定常な系列の中には、階差をとることによって、定
常になるものもある。
階差をとることによって、定常のARMAモデルになるモデルは、
ARIMA(Auto Regressive Integrated Moving Average)モデル
といわれ、ARIMA(p,d,q)とあらわす。
p,qはそれぞれ、AR部分とMA部分の次数、dは階差をとる回数
である。
経済時系列モデル分析の手順
• 経済時系列モデルを用いた分析は次のような手順でおこなう。
モデル同定
モデル推定
予測
モデル同定
• モデル同定は、モデルの次数を決定するステップである。
• モデル同定は、自己相関、偏自己相関のグラフを用いて、最適な次数を
決定する。
⇒ たとえばAR(1)モデルであれば、自己相関のグラフは次第に減衰し
ていき、偏自己相関のグラフは2期差以上は0となる。
モデル推定
• 同定されたモデルの、パラメータを推定することが、モデル推定である。
• 最小2乗法で推定できるモデルは限定的であり、最尤法などを用いる。