リスクを考慮した経営戦略立案のための因果関係の把握

リスクを考慮した経営戦略立案の
ための因果関係の把握に関する研究
流通情報工学科
0823027
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研究背景
研究目的
経営戦略を立案する際の因果関係
経営戦略立案におけるリスクの分類
リスクの範囲
リスクの波及
まとめ
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• 企業活動が国際的に広がっている。
• 今まで考慮する必要の無かったリスクの発生やリスク同
士が相互に影響し合う出来事の発生。
• 国際政治の観点でリスクの体系的な整理が行われている
が、企業経営の視点からの事業のリスクマネジメントは
不十分。
• リスクの見落としや、リスクに対する対応の遅れ。
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経営者が経営戦略を立案する際の
リスクへの対応を支援
• 経営戦略を立案する際に考慮すべき
要因間の因果関係を体系的に整理する。
• 因果関係から影響を及ぼすリスクを把握する。
• 事例を基にリスクの範囲とリスク相互の影響を
把握できることを示す。
リスクの見落としを防ぎ、リスクに早期
(リスクの低減・回避)対応
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分析・評価・推測の
結果を基に、戦略の選択。
経営環境・経営資源の
各要因を分析・評価・推測
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経営戦略立案におけるリスクの定義
:経営者が経営戦略を立案する際に
悪影響を与える可能性があるもの
【分析・評価・推測の失敗】
戦略に関する意思決定を行う際に、
そもそも誤った分析や評価を行った行為
【経営環境・経営資源
の状態及びその変化】
分析や評価のもととなる
経営環境・経営資源の状態及びその変化
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経営戦略立案時に考慮されている
リスクの要因に見落としがある。
政治・社会・経済情勢
市場環境
ステークホルダーからの影響
国際協定
自然災害
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• 2011年7月~12月
• ホンダ
:26万台の減産
:1100億円の営業減収
:500億円の設備投資被害
:新工場の移転
:無保険での経営
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画像:日経新聞、http://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXBZO3558601014102011000001&bf=0&dc=1&ng=DGXNASDD130II_U1A011C1000000&z=20111017
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• 経営戦略立案で「自然災害」の項目が見落とされていた。
→因果関係として整理することにより、リスクの見落としが防げる。
• WEF, グローバルリスク報告書2012
→国際政治に関するリスクの相互間の関係性を把握。
• 経営戦略では、リスクを個々の要因として分類
→要因間の関連性を整理することで、
事前にリスクを回避あるいは除去する。
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• 2012年7月18日
• マルチ・スズキ、
マネサール工場
:死亡者1名、負傷者41名
:生産の停止による被害
1日、2.7億円
:関連企業への影響
:人事システムの見直し
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画像:日経新聞、http://www.nikkei.com/news/image-article/?R_FLG=0&ad=DSXBZO4505458016082012000001&bf=0&ng=DGXNASGU16010_W2A810C1000000&z=20120816
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• 暴動の発生に、複数の要因が影響を及ぼしている。
• 暴動を単体の要因として考えるのではなく、
暴動が発生する要因に注目する。
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• 因果関係を基に、原因となるリスクに対応を施す。
• 経営戦略立案の際の因果関係を体系的に
整理した。
• 因果関係の整理を基にリスクを把握。
• 事例を基に、リスクの範囲とリスクの波及
(リスク相互の影響)について把握できる
ことを示した。
リスクの見落としを防ぎ、リスクに早期
(リスクの低減・回避)対応
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今後の課題
• 本研究で取り上げたリスク以外にも、
可能な限り見落としているリスクの項目を把握し、
リスク同士の関連性を把握する必要がある。
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ご清聴ありがとうございました。
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経営戦略
企業戦略:事業構造の変革、経営資源の配分
競争戦略:競争相手に対する競争優位の確立
国際化の戦略:海外市場、資源の獲得
経営環境
経営資源
情報的資源
:技術、ノウハウ、特許権
ブランド、販路 等
政治・社会・経済情勢
:政治体制、税制、景気循環 等
市場環境
:需要の大きさ、
製品ライフサイクル 等
ステークホルダーからの影響
:労働組合、取引先企業
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国の発展性:国の発展性が一定水準以上ある
→企業が期待するほど無かった。
進出先での競争力:進出先で競争力が十分ある。
→現地企業と比較して競争力が無かった。
政治・社会・経済情勢
:政治体制が不安定、急な政治体制の変化
為替の急激な高騰
市場環境
:材料価格の高騰、需要の低下
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経営環境 要因
政治・社会・経済情勢
:政治体制の安定性、独占禁止法、
税制、環境法、
輸出入規制、政府の研究費等
:人口動態・所得分配・
ライフスタイルの変化等
:景気循環、GNP成長率。金利
インフレーション等
ー国際化の戦略ー
・経済の発展性、産業構造、金融構造
・政治体制の安定性、革命
・税制・金融政策(債務支払い停止など
貿易政策・資本政策等)
・文化と言語
・為替変動
市場環境
・市場の成長性
・マーケットシェア
・競合企業の動向
・製品ライフサイクル
・イノベーション(技術革新)
・顧客の動向
・新規参入、参入障壁、移動障壁
・代替製品・サービスの参入
ー国際化の戦略ー
・需要の大きさ・成長性
・調達材料の供給量、材料価格・質
・労働者の質・技術水準・供給力
・生産コスト
・自社の海外での競争力の有無
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ステークホルダーからの影響
:株主、労働組合、債務者、仕入れ先企業、納入先企業、官公庁、地域社会等
経営資源 要因
ヒト(人的資源)
:従業員数、教育水準、インセンティブ等
モノ(物的資源)
:製品、原材料などの在庫、土地、建物、設備等
カネ(財務的経営資源)
:資本、借入金 等
情報的資源
:マネジメントシステム、技術、ノウハウ、特許権、顧客情
報、ブランド、企業イメージ、販路、企業文化等
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