南相馬市でのWBCによる学校内部被ばく検診結果(1) 結果概要 平成25年9月24日 1.検査時期 平成25年5月7日から25年8月13 日 2.受診者 南相馬市内の小中学校に通う児童・生徒 3,255人(小学生 2,038人、中学生 1,217人) 3.検査機器 キャンベラ社製WBC (南相馬市立総合病院) 日立アロカ社製WBC (医療法人伸裕会 渡辺病院) 市内の小学生は市立総合病院、中学生は渡辺病院での測定を行っております。 4.検査結果 ① 今回、南相馬市内の小中学校に通う児童3299人中、3255人(98.5%)が検診を受診しました。南相馬市内の全小学生2039人中の2038人 (99.9%)、および全中学生1260人中の1217人(96.6%)です。結果、検査を受けた3255人全員が放射性セシウム134および137について、検出限 界以下であることが分かりました。検出限界は、それぞれの器械において、セシウム134で220Bq/body、セシウム137で250Bq/bodyです。これまで の検査結果と同様、今現在の南相馬市内での生活を続ける上において、日常における慢性的な内部被ばくは非常に低く抑えられており、それが維 持されていることを示しています。図1以降に示されるように、食品の選択や、野外活動時間において個人間の差がありますが、そのような差が WBCで示されるような内部被ばくの差を生むことが無いことがわかりました。 ②図1 :屋外で過ごす時間の最頻値は1〜3時間でした。土日や祝日である程、野外の活動時間が多い傾向にありました。 ③図2-1〜10:それぞれの項目に関して、2012年と2013年で内部被ばくの不安がどの程度あると感じているか、お聞きしています。全体として、不 安度は低下傾向ではあることが分かりました。内部被ばくの主原因は起こりうるとして汚染食品の摂取であり、今後も継続的な検査を行っていく予 定です。不安があることが正しい、正しくないという問題ではありません。 ④図3 :約70%の方が産地を選び食品を購入していることが分かりました。その一方で米と野菜に関しては一部の方が地元産の検査済み の食材を使用されていることが分かりました。今回の内部被ばく検査結果において、全員が検出限界以下の状況であり、今回の問診票に示されて いる食品の選択によって、内部被ばくの差がある状況ではありません。 ⑤図4 :飲料水については約70%の方がミネラルウォーターを使用されていることが分かりました。市での農産物検査結果の概要は市のH P(農産物)に、自家用消費食品など検査結果は市のHP(自家用消費食品)に、水道水の検査結果は市のHP(水道水)に示しております。 ⑥図5 :今回の問診票において90%以上の方が、今後も全学年を対象にして継続的な検査を希望されていることが分かりました。年に1度 または2度のどちらで行うべきかについては、今後検討を行いたいと考えております。現在のところ、次回の検診は2013年11月からを予定しており ます。 今回の検診で、小中学生全員が検出限界以下となり、現状では南相馬市での内部被ばくが非常に低く抑えられていることが分かりまし たが、市では今後も各種放射線検査の拡充、食品検査結果の迅速な公表・注意勧告に努めるとともに、継続的なWBC検査、初期の被 ばくに対する健康フォローの強化を行う方針です。 南相馬市長 南相馬市立総合病院 院長 南相馬市立総合病院 医師 桜井勝延 金澤幸夫 坪倉正治 1 図1 1日の屋外で過ごす平均時間 (小中学校全体) n=3255 (人数) 2000 1646 1500 1283 ①10分未満 1175 1139 ②10~30分 ③30分~1時間 1000 ④1~3時間 844 ⑤3~5時間 693 589 ⑥5時間以上 567 500 無回答 390 216 184 206 111 140 189 131 48 73 8 71 62 0 平日:学校内 平日:学校外 土日・祝日 2 図2-1 内部被ばくの原因として気になる食材 水(2012年) 水(現在) 3.1% 3.3% 2.3% 1.8% 6.3% 15.9% 5.5% 55.9% 26.6% 27.2% 11.8% 40.2% 1 2 3 4 5 6 水 (2012年) 1820 867 179 204 109 76 水 (現在) 884 1309 385 518 100 59 (人数) 3 図2-2 内部被ばくの原因として気になる食材 米(2012年) 米(現在) 3.4% 2.8% 3.0% 2.3% 6.9% 22.9% 15.1% 6.6% 49.2% 11.9% 31.1% 44.8% 1 2 3 4 5 6 米 (2012年) 1602 1012 214 224 111 92 米 (現在) 747 1458 386 492 97 75 (人数) 4 図2-3 内部被ばくの原因として気になる食材 肉(2012年) 肉(現在) 3.6% 3.0% 3.7% 2.6% 15.3% 11.5% 21.5% 40.0% 11.2% 38.0% 19.0% 30.7% 1 2 3 4 5 6 肉 (2012年) 1302 998 366 374 117 98 肉 (現在) 497 1238 618 699 119 84 (人数) 5 図2-4 内部被ばくの原因として気になる食材 魚(2012年) 魚(現在) 3.3% 2.9% 2.6% 2.3% 6.1% 13.1% 27.0% 6.2% 13.3% 51.9% 29.6% 41.7% 1 2 3 4 5 6 魚 (2012年) 1689 965 202 199 107 93 魚 (現在) 880 1356 432 426 85 76 (人数) 6 図2-5 内部被ばくの原因として気になる食材 野菜・果物(2012年) 野菜・果物(現在) 3.3% 2.8% 2.6% 2.3% 5.6% 13.1% 23.0% 6.1% 13.6% 51.3% 30.9% 45.4% 1 2 3 4 5 6 野菜・果物 (2012年) 1669 1006 200 182 106 92 野菜・果物 (現在) 748 1479 443 426 84 75 (人数) 7 図2-6 内部被ばくの原因として気になる食材 キノコ類(2012年) 4.7% キノコ類(現在) 2.3% 2.4% 3.2% 3.0% 4.7% 9.2% 34.1% 10.9% 25.6% 58.8% 41.1% 1 2 3 4 5 6 キノコ類 (2012年) 1915 834 152 154 103 97 キノコ類 (現在) 1109 1337 355 299 76 79 (人数) 8 図2-7 内部被ばくの原因として気になる食材 牛乳(2012年) 4.3% 牛乳(現在) 3.0% 2.5% 4.9% 16.3% 11.7% 22.4% 39.6% 11.3% 35.9% 18.1% 30.0% 1 2 3 4 5 6 牛乳(2012年) 1289 978 369 380 140 99 牛乳(現在) 531 1167 588 729 158 82 (人数) 9 図2-8 塵やほこりの吸入について 通学中(2012年) 通学中(現在) 4.5% 2.7% 2.2% 4.6% 9.5% 11.5% 36.8% 30.3% 11.1% 29.5% 33.5% 24.0% 1 2 3 4 5 6 通学中 (2012年) 1199 1089 360 373 147 87 通学中 (現在) 309 960 781 986 149 70 (人数) 10 図2-9 塵やほこりの吸入について 学校内での外遊び(2012年) 学校内での外遊び(現在) 3.1% 2.5% 4.7% 8.0% 5.7% 14.3% 33.0% 24.5% 34.5% 13.5% 24.8% 31.6% 1 2 3 4 5 6 学校内での外遊び (2012年) 1073 1027 438 464 153 100 学校内での外遊び (現在) 260 797 807 1122 186 83 (人数) 11 図2-10 塵やほこりの吸入について 学校外での外遊び(2012年) 学校外での外遊び(現在) 4.4% 2.7% 2.2% 10.1% 4.8% 10.4% 39.1% 26.1% 12.0% 30.6% 31.4% 26.2% 1 2 3 4 5 6 学校外での外遊び (2012年) 1272 1023 392 337 143 88 学校外での外遊び (現在) 330 996 852 849 155 73 (人数) 12 図3 食べ物の調達方法 100% A) 産地を選び、スーパー、小売店、ネット等で購入 B) 産地を選ばず、スーパー、小売店、ネット等で購入 C) 検査済の地元または家庭でとれた食材を用いている 80% D) 未検査の地元または家庭でとれた食材を用いている 60% 水 米 肉 40% 魚 野菜・果物 キノコ類 牛乳 20% 0% A B C D 回答なし 13 図4 自宅の飲料&調理水の種類 2500 2259 1998 2000 1500 飲料水 調理水 1018 1000 842 500 180 100 54 59 0 市上水道 井戸水 ミネラルウォーター 回答なし 14 図5 今後の学校検診について 2000 全学校を対象に継続してほしい 希望者のみ継続してほしい 1445 1500 1438 1000 500 127 48 52 29 0 2年に1度 1年に1度 半年に1度 不要である 回答なし 11 105 15
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