エネルギー・環境教育の カンボジアにおける実践 物理教育 第50巻 第6号 (2002) 研究報告 川村康文 B4 藤田 晋吾 はじめに 環境NGOサイエンスEネットの活動を組織し て科学実験教室を実施。 ・エネルギー・環境教育を重視した実験教室 大阪青年会議所より、カンボジアにおける 科学実験教室の指導の依頼を受ける。 カンボジアでの実験教室を含む ミッションの全体計画 ミッションの目的 対外的目的 環境と経済が調和した持続的発展が可能な豊かな地球社会創造のため、環境 保全の視点に立った経済発展の大切さを実践活動を通じて共有し地球に対する 思いやりの心を育み、(中略)成果を大阪で広く発信することにより、環境保全を 考え行動する人が地球(まち)にあふれる社会の現実を目指します。 対内的目的 本事業を通してグローバルな視点と問題意識を持ちながら環境保全を伴った 自立的な経済発展の必要性を学び、地球環境と経済の調和を追求し使命感 を持って環境負荷を制御した生活、企業活動の中で身近な行動へとつなげる 意識を育みます。 これまでの経済優先の考え方から、地球と共 生型の循環型経済発展の方向を向いた意識 改革を自らの行動を通して学ぼうという意識 が感じられる協力すべ活動である。 カンボジア・ミッション • • • • • エコ経済推進フォーラム エコ科学実験教室 わらじ作りの指導 モニュメント花壇 レセプション、サンクスパーティーなどの交流 エコ科学実験教室 アヌクワット小学校において筆者が大阪青年会議所のメンバー とともにサボニウス風車型風力発電機の実験を小学生および 小学校教師および教育関係者に指導を行った。 カンボジアの現状について • ポルポト政権下で内戦を繰り返されていた。 終戦後7年目であった。 • 地雷の撤去は進みつつあるが完全でない。 • 面積18万1035km2、 • 人口約1100万人 • 民族構成 90%以上クメール人 他、中国系、ベトナム系 チャム族、モン族 カンボジア・ミッション・エコ科学実験教室 ・実験教室において、サボニウス風車を一機制作 (ただし、参加型の教室となりにくいので、それぞ れの子供たちがサボニウス型風車のモデルを作 成。) 開催日 2002年7月8日(月) 開催場所 アヌクワット小学校 対象者 同小学校児童200名 補助スタッフとして、大阪青年会議所のメンバーが 参加した。 サボニウス風車モデルの工作 風車の外枠から作っている現地の小学生 回転部はフィルムケースを縦に2つに割ってパケット を作り円盤状の段ボールにボンドで固定する。 サボニウス型風車の風の受け方 風車を回転させる向 きの風 パドルを回転させる 向きの風 中心軸 パドルの回転を止め る向きの風 抗力型風車の風の受け方 風車を回転さ せるのに役 立った風 風車を回転させる向 きの風 サボニウス型風車の風の受け方 サボニウス型風車風力発電機の制作 • 教卓演示実験型の手法であった が、子ども達になるべく多くの作業 をさせながら制作を行った。 • 70リットルのゴミバケツを縦に二つ に割り風車のバケットをずらすこと を説明。 • 発電機にはハブダイナモを使うこ とを説明。 自転車の車輪付きハブダイナモに大きな円盤を取り付ける。 この円盤にゴミバケツで作ったバケットを固定する。このとき教 卓側だけでおこなうのではなく、少しでも多くの子ども達に取り 付けネジをつける活動に参加する希望者を募った。 野外での発電実験 サボニウス型風車風力発電機が完成したら、 室内で発電ができることをチェックしてから、野 外持ち出した。 ラジオから音声 が流れた瞬間、 教室内が完成で 満ちあふれた。 カンボジア・ミッション・モニュメント花壇作成 • アンクワット小学校の校庭に、花壇を大阪青年 会議所のメンバーと現地の子ども達が共に力 を合わせて造成し、花壇の中央部にソーラー花 時計を設置した。 筆者が太陽電池の仕 組みと花時計の時計 が動作する原理につ いて説明した。 おわりに • エコ科学実験教室におけるカンボジアの小学 生の科学の不思議に対する好奇心に満ちた 目は純粋な目をしていた。 • カンボジアは内戦が終わってから7年しか経 過していないが着実に国の経済を成長させて いた。 • 小学生たち、「弁護士」「医者」になりたいとい う個人の職業の夢でなく「平和な国として発展 してほしい」「将来は大臣になってよい国づく りをしたい」と国の将来を期待していた。 学んだこと • 国の基盤は教育であること • 教師の崇高な使命 • 自分の実験や技術を伝え、相手ができるよう にしていくことの大切さ • 自信を持って伝えられるレベルの実験教材の 開発
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