シナリオの変換・統合と ルールを用いたシナリオの検証 要求工学WG 第8回WS (2001年9月6日) 立命館大学理工学部情報学科 大西 淳 2001年9月6日 第8回要求工学WG 宇和島WS 開発現場での問題点 さまざまなビューポイントごとにシナリオを 用意するのが難しい シナリオが妥当かどうか見極めるのが難し い シナリオに関連した研究 1. 2. 3. 4. 5. 格文法に基づくシナリオ記述言語 ある視点で書かれたシナリオを異なる視 点で書かれたシナリオに変換 複数の異なる視点のシナリオの統合 ルールによるシナリオの検証 シナリオの解釈実行によるビジュアルな 要求のアニメーション表示 研究の目的 要求獲得(シナリオを用いた) 要求記述(シナリオの記述と変換・統合) 要求検証(シナリオの妥当性確認) by 利用者、要求記述者(各ビューポイント) 要求仕様化支援(シナリオからのビジュアル な要求記述、アクティビティ図、ユースケー ス記述の作成) 現状の研究内容 テキストによるイベント列としてのシナリオ表現 イベント間の関係(順接、選択、繰り返し、並行、 同期) 動作主体によるビューポイントの設定 異なるビューポイントのシナリオ間の相互変換手 法 異なるビューポイントのシナリオ群の統合手法 シナリオの満たすべきイベント間のルール化と検 証 国際会議プログラム委員長業務 スケジュール決定、CFP作成、掲載依頼、配布 プログラム委員を選び、依頼。名簿作成 投稿論文に番号付け、登録、受理通知 論文リストをプログラム委員に送付 担当希望を受け取り、担当委員を決める 担当委員に査読依頼、論文、査読用紙を送付 査読結果を回収、集計 … 国際会議のプログラム委員業務 プログラム委員長より選ばれ、依頼がくる 承諾の旨と名前、所属等の情報を返す(抜け) 論文リストを受理する 担当希望論文を伝える プログラム委員長によって担当委員が決まる 担当論文、査読用紙を受理する 査読する(抜け) 査読結果を通知する プログラム委員会で採否を決める(抜け) イベント列によるシナリオ 委員長は論文リストを送付(委員長の視点) 委員は論文リストを受理(委員の視点) イベントの動作主=イベントのビューポイント ビューポイントを変えたシナリオを生成するこ とにより、抜けたイベントを発見可能 ビューポイントの変換規則 データフローのイベントの場合 「プログラム委員長から委員に○○を送る」 ⇔ 「プログラム委員は委員長から○○を受ける (送られる)」 「決める」、「割り当てる」、「選ぶ」といった動作の場合 も同様に変換可能 異なるビューポイントから書かれた イベントの内部表現への変換 格文法に基づいたイベント記述言語 ある視点から書かれたイベントを視点に依 存しない内部表現に変換 「委員長は論文リストを委員に送付する」 「委員は委員長から論文リストを受け取る」 ↓ DFLOW From:委員長, To:委員, Object: 論文リスト 内部表現からイベントへの逆変換 視点に依存しない内部表現から特定の視 点から書かれたイベントに変換する DFLOW From:委員長, To:委員, Object: 論文リスト ↓ 「委員は論文リストを委員長から受け取る」 シナリオの変換と統合 視点Aの シナリオ 視点に依存しない 視点Bの シナリオ 2001年9月6日 内部表現 第8回要求工学WG 宇和島WS 視点A、B あるいはCの シナリオ シナリオの合成(委員長の視点) スケジュール決定、CFP作成、掲載依頼、配布 プログラム委員を選び、依頼。 委員から承諾、所属情報等を受理し、名簿作成 投稿論文に番号付け、登録、受理通知 論文リストをプログラム委員に送付 担当希望を受け取り、担当委員を決める 担当委員に査読依頼、論文、査読用紙を送付 担当委員は査読する 査読結果を回収、集計 プログラム委員会で採否を決定… イベント(間)のルール定義 問い合わせにはその回答があるべき 問い合わせのイベント * 回答のイベント 回答がなければ、督促するか再度問い合わせを する ~回答 [督促|再度問い合わせ] あるイベントは最初に(最後に)起こる ^あるイベント あるイベント$ あるイベントは3回以上生起しない 0{あるイベント}2 ルールの特長 問題領域によってルールは異なる 例:インタラクティブシステムでは利用者による コマンド投入イベントの後にシステムからの コマンド受付・拒否の応答イベントがある ルールに現れるイベントは抽象化される 「スタートボタンを押す」(シナリオ中のイベント) 「利用者によるコマンド投入」(ルール中のイベン ト) ルールによるシナリオの検証 ルールをあるシナリオが満たすかどうか調 べることによって妥当性確認を支援 ルールによってシナリオのバリエーション が十分かどうかを確認 ルールからのシナリオ導出も可能 依頼*[返事|~返事 [督促|再依頼]] 合成されたシナリオのルールによる検証 CFP掲載依頼 →学会からの回答がなく再依頼も督促 もない(イベントの抜けを検出) プログラム委員依頼 →承諾の回答あり 査読依頼 →査読結果の回答あり 評価 プログラム委員長のシナリオからプログラム委員 のシナリオを自動生成 自動生成されたシナリオをプログラム委員に妥 当性確認してもらうことで委員長のシナリオの抜 けを検出 プログラム委員長と委員のそれぞれのシナリオ を合成し、そこから委員長の視点のシナリオを生 成 ルールによってシナリオの妥当性検証が可能 ルール定義と検証の問題点(1) シナリオ中のイベントとルール記述中のイ ベント(例えば回答)との対応を自動的に とるのは難しい → イベントに型をつける ルール定義と検証の問題点(2) 利用者がルールを定義するのは面倒 → ドメインごとにルールを予め用意する ルール定義と検証の問題点(3) イベントの時間に関する検証ができない (4週間以内に査読は終了する) → イベントの実行時間を定義できるように する ルール定義と検証の問題点(4) イベントの順序(「査読後に採否通知があ る」)やイベントの存在(「論文は査読され る」)は検証できるが、「全ての論文は査 読される」、「全ての著者には採否通知が 届く」、「各論文には3人の査読者がつく」 といった量的な表現を含むルールの検証 が難しい おわりに ルール定義と検証の問題点の解決 シナリオ言語の設計 ルール記述言語の設計 言語処理系の開発と評価
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