第 七 章 アミノ酸代謝 Metabolism of Amino Acids 第一節 タンパク質の栄養作用 Nutritional Function of Protein 一、タンパク質栄養の重要性 1. 細胞や組織の成長、更新と補充を維持 2. 多種の重要な生理的活動に関与する。 触媒(酵素)、免疫(抗体)、運動(筋肉)、 物質輸送(運搬体)、凝血(凝血系)など 3.酸化されてエネルギーを提供する。 人体においては毎日総エネルギーの18%を 提供する。 二、タンパク質の需要量と 栄養価値 1. 窒素出納(nitrogen balance) 窒素の総摂取量と総窒素排泄量(糞、 尿、汗)の差を意味する。 • 窒素平衡 • 正の窒素出納 • 負の窒素出納 窒素平衡:N摂取 = N排泄(正常成人) 正の窒素出納:N摂取 > N排泄(小児、妊娠婦人) 負の窒素出納: N摂取 < N排泄 (飢餓、消耗性疾患の患者) 窒素出納の意義: 生体内におけるタンパク質代謝の概況を反映 する。 2. 生理需要量 成人では毎日,タンパク質の最低需要量 が30~50gである。わが国栄養学会の推薦によ ると 成人では毎日,タンパク質の最低需要量 が80gである。 3. タンパク質の栄養価値 ①必須アミノ酸 (essential amino acid) 正常な成長或は健康な生命の維持に必 要であるが体内で合成されえないので,食物 から摂取しなければならないアミノ酸を指す。 ヒトでは8種がある。 Val、Ile、Leu、Phe、Met、Trp、Lys、Thr 残りの12種アミノ酸は非必須アミノ酸と呼 ばれ,他のアミノ酸から転換されうるか,ある いは糖質,脂肪の中間代謝産物などから体 内で合成される。 ②タンパク質栄養価値(nutrition value) 必須アミノ酸の数量、種類によって決定 する。 必須アミノ酸の一つが欠けていたり,ある いは,乏しいタンパク質は窒素平衡を正常に 維持することができず,栄養学的には意義が 少ないことにある。また,必須アミノ酸は互い にある一定のバランスがとれていないなけれ ばならない。また,同時にすべてのアミノ酸が そろって与えられなければならない。 ③タンパク質の相補的作用 混合食では一つのタンパク質中のアミノ酸 は他のタンパク質中にそれが豊富にあれば埋 め合わせられる。そのようにしてタンパク質の 質を高める。このような作用は食物タンパク質 の相補的作用といわれる。 第二節 タンパク質の腸内での腐敗 Digestion, Absorption and Putrefaction of Proteins タンパク質の加水分解酵素の作用 アミノペプチダーゼ エンドペプチダーゼ カルボキシ ペプチダーゼ ジペプチダーゼ アミノ酸 + アミノ酸 三、タンパク質の腸内での腐敗作用 •概念(putrefaction) 消化されないタンパク質及び吸収されない アミノ酸は腸内細菌の作用で悪臭を放つ物質を 産生する。 •腐敗による産物には有害物質(多数)もあるし, 生体に利用できる物質(少量の脂肪酸とビタ ミン)もある。 (一)アミン(amines)の生成 プロテアーゼ タンパク質 アミノ酸 ヒスチジン トリプトファン チロシン リシン 脱炭酸作用 アミン ヒスタミン トリプタミン チラミン カダベリン • 偽神経伝達物質 (false neurotransmitter) いくつかの物質の構造は神経伝達物質に よく類似して,正常な神経伝達を妨げる。 CH2NH2 CH2NH2 CH2 H C OH フェニル エタノール アミン CH2NH2 CH2 OH チラミン CH2NH2 H C OH OH β-ヒドロキシ チラミン (ニ) アンモニアの生成 吸収されないアミノ酸 腸内細菌による 還元性脱アミノ作用 アンモニア (ammonia) 腸管に拡散された 尿素 NH3 ウレアーゼ H+ OH– NH4+ (三)他の有害物質の生成 チロシン フェノール スイテイン 硫化水素 トリプトファン インドール 第三節 アミノ酸の一般代謝 General Metabolism of Amino Acids 一、概 述 •タンパク質の半減期(half-life) あるタンパク質の濃度が初期濃度の50%に 減少するのに要する時間であり,t1/2で表す。 •タンパク質転換(protein turnover) 真核細胞にはタンパク質の分解経路が二 つある。 ① リソソームにおける分解 • ATP非依存性 •細胞外タンパク質、膜結合タンパク質と寿 命の長い細胞内タンパク質はカテプシン ( cathepsin) と 呼 ば れ る プ ロ テ ア ー ゼ に よって分解される。 ② ユビキチン(ubiquitin)依存性分解 • ATP依存性 • 異常タンパク質及びその他の半減期の 短いタンパク質は分解される。 ユビキチン • 76個アミノ酸残基からなっている小さなタ ンパク質(8.5kD) • すべての真核細胞に存在する。 • 一次構造は進化の過程で高度によく保存 されている。 • 多くの細胞内タンパク質に結合してタンパ ク質を分解の標的にする。 • ユビキチンによるタンパク質の分解過程 1. ユビキチン化(ubiquitination) ユビキチンは選択的に分解されるタンパ ク質に共用結合で結合し,活性化される。 2. ユビキチン化されたタンパク質はプロテア ソーム(proteasome)によって分解される。 ユビキ チン O C O- + HS-E1 ユビキ チン O AMP+PPi ATP HS-E2 HS-E1 C S E1 ユビキ チン ユビキ チン O C S E1 O C S E2 分解される O タンパク質 C S E2 HS-E2 O ユビキ ユビキ C NH 分解される チン チン E3 タンパク質 E1:ユビキチン活性化酵素 E2:ユビキチン結合タンパク質 E3:ユビキチンタンク質リガーゼ ユビキチン化過程 生体内におけるタンパク質の分解は多く の生理的、病理的調節に関与する。 例えば: • 遺伝子発現 • 細胞増殖 • 炎症反応 • 腫瘍の誘発 (癌抑制因子であるp53の分解を促進する。) アミノ酸代謝プール(metabolic pool) 食物タンパク質は消化、吸収されて,アミノ 酸の形で体内に入る。また,組織にあるタンパ ク質はたえず分解して遊離アミノ酸となる。この ようにして食物由来のアミノ酸(外因性アミノ酸) と組織タンパク質由来のアミノ酸(内因性アミノ 酸)は混合して体内各所に分布し,代謝に関与 する。 アミノ酸代謝の概況 尿素 アンモニア 食物 タンパク質 組織 タンパク質 α-ケト酸 分解 合成 アミノ酸 代謝 プール 代謝転換 体内で合成された その他の含窒素化合物 アミノ酸 (非必須アミノ酸) (プリン、ピリミジンなど) ケトン体 酸化、エネ ルギー提供 糖質 アミン 二、アミノ酸の脱アミノ作用 定義 アミノ酸はアミノ基を離脱し,対応のα-ケト 酸を生成する過程を指す。 脱アミノ様式 酸化的脱アミノ作用 アミノ基転移作用 連合的脱アミノ作用 非酸化的脱アミノ作用 (一)アミノ基転移作用(transamination) 1. 定義 ト ラ ン ス ア ミ ナ ー ゼ (transaminase) に よって,あるアミノ酸はα-アミノ基を離脱し, 対応のα-ケト酸を生成するが,もう一つの α-ケト酸はアミノ基を受け取って対応のアミ ノ酸を生成する。 2. 反応式 トランス アミナーゼ •大部分のアミノ酸はアミノ基転移反応の基質とな る。例外はリシンおよび環状イミノ酸のプロリンと ヒドロキシプロリンなどである。 •反応は平衡定数がほぼ1で自由に可逆的である。 3. トランスアミナーゼ 正常ヒトの各組織におけるGOTとGPTの活性 (単位/グラム湿組織) 組織 GOT GPT 組織 GOT GPT 心臓 156000 7100 膵臓 28000 2000 肝臓 142000 44000 脾臓 14000 1200 骨格筋 99000 4800 肺 10000 700 腎臓 91000 19000 血清 20 16 •血清トランスアミラーゼの活性は臨床上,疾患の診断、 予後の指標の一つである。 4. トランスアミナーゼの反応機構 • トランスアミナーゼの補欠分子族はピリド キサルリン酸(PLP)である。 アミノ酸 ピリドキサル リン酸 グルタミン酸 トランスアミナーゼ α-ケト酸 ピリドキサミン リン酸 α-ケトグルタル酸 ピリドキサル リン酸 シッフ塩基 シッフ塩基異性体 ピリドキサミン リン酸 5. アミノ基転移作用の生理的意義 アミノ基転移作用は体内の多くのアミノ酸 脱アミノの重要な様式ばかりでなく,非必須ア ミノ酸を合成する重要な経路でもある。 •アミノ基転移反応では遊離のアンモニアは生 成されない。 (二)L-グルタミン酸酸化的脱アミノ作用 NAD(P)H+H+ NH NH2 CH (CH2)2 H2 O C COOH COOH COOH NAD(P)+ (CH2)2 COOH O C COOH + NH3 (CH2)2 COOH α-ケトグルタル酸 L-グルタミン酸 L-グルタミン酸脱水素酵素 L-グルタミン酸脱水素酵素: • 哺乳類組織に広く分布する。 • NAD+ とNADP+のどちらをも補酵素として用 いる。 • アロステリック阻害剤であるGTP、ATPおよ び活性化剤であるGDP、ADPによって調節 を受ける。 (三)連合的脱アミノ作用 1. 定義 トランスアミナーゼとグルタミン酸脱水素酵 素の共同作用で,アミノ酸はα-アミノ基を離 脱し,α-ケト酸と遊離のアンモニアを生成する 過程を連合的脱アミノ作用という。 アミノ酸 α-ケトグルタル酸 トランス アミナーゼ α-ケト酸 NH3+NADH+H+ L-グルタミン酸 脱水素酵素 グルタミン酸 H2O+NAD+ 連合的脱アミノ作用はアミノ酸脱アミノの主要 な様式でもあるし,体内で非必須アミノ酸を合 成する主要な様式でもある。 主に肝臓、腎臓組織で行われる。 プリンヌクレオチドサイクル(筋肉組織) ア ミノ 酸 α-KG Glu NH3 イノシン酸 (IMP) ト ラ ン ス ア ミ ナ 1 ゼ ト ラ ン ス ア ミ ナ 1 ゼ α-ケト酸 Asp アデニロ コハク酸 合成酵素 アデニル 酸デアミ ナーゼ H2O アデニロ コハク酸 OAA アデニロ コハク酸 リアーゼ フマル酸 リンゴ酸 アデニル酸 (AMP) 三、α-ケト酸の代謝 (一)あらたにアミノ化されて非必須アミノ酸を 生成する。 (二)糖質あるいは脂質に転換する。 (三)酸化されてエネルギーを提供する。 アミノ酸炭素骨格は最終クエン酸回路 を通じて完全に酸化されてCO2 とH2Oに なることがある。これと同時にエネル ギーを放出し生理活動に利用される。 アミノ酸の終末産物として生成された最初の両 性中間体の種類に基づいて各アミノ酸を三つのグ ループに分けられる。 種 類 糖源性アミノ酸 アミノ酸 Gly Ser Val His Arg Ala Glu Gln Met Asp Asn Pro Cys ケト源性アミノ酸 Leu Lys 糖源性およびケト Ile Phe Tyr Thr Trp 源性アミノ酸 糖質 ア ミ ノ 酸 、 糖 質 と 脂 肪 代 謝 の 連 係 G或はGn 脂肪 TG ホスホトリオース グリセロール 3-リン酸 PEP Ala Cys Ser Thr Trp ピルビ ン酸 アセチル CoA Ile Leu Trp アセトアセチル CoA クエン酸 OAA Asp Asn TAC スクシニルCoA Leu Lys Tyr Trp Phe CO2 α-KG フマル酸 Phe Tyr 脂肪酸 CO2 Ile Met Ser Thr Val Glu Arg Gln His Val ケト ン体 第四節 アンモニアの代謝 Metabolism of Ammonia アンモニア: • 生体の正常な代謝産物で,毒性を持っている。 • 主に肝臓で尿素を生成し,解毒される。 • 正常な人では血中アンモニア濃度は60μmol/L を超えない。 一、体内におけるアンモニアの由来 ① アミノ酸の脱アミノ反応によって産生されるアンモ ニアは生体内におけるアンモニアの主要な起源 である。 また アミン類の酸化によって産生され る。 アミン オキシダーゼ RCH2NH2 RCHO + NH3 ② 腸から吸収されるアンモニア 吸収されないアミノ酸は腸内細菌によって脱 アミノ基されてアンモニアを生成する。 尿素は腸内細菌尿素酵素によって加水分解 されて,アンモニアを生成する。 NH3 H+ + NH 4 OH- ③ 腎尿細管細胞により分泌されるアンモニア グルタミン グルタミナーゼ グルタミン酸 + NH3 *アンモニアの行方 ① 肝臓で尿素に変換する。(主な行方) ② 非必須アミノ酸及びその他の含窒素化 合物の合成に用いられる。 ③ グルタミンを合成する。 グルタミン酸 + NH3 グルタミン合成酵素 ATP グルタミン ADP+Pi ④ 腎尿細管細胞により分泌されたアンモニア は酸性条件の下でNH4+ として尿から排出 される。 二、アンモニアの輸送 1. アラニン-グルコースサイクル (alanine-glucose cycle) •生理的意義 ① 筋肉ではアンモニアは無毒のアラニンとして 肝臓に輸送される。 ② 肝臓は筋肉にグルコースを供給する。 •反応過程 筋肉 血液 タンパク 質 G アミノ酸 NH3 Glu 嫌 気 的 解 糖 途 径 ピルビン 酸 Ala グ ル コ 1 ス ア ラ ニ ン 肝臓 尿素 G 糖 新 生 ピルビン酸 アラニン 尿素回路 NH3 Glu α-KG α-KG アラニン-グルコースサイクル 2. グルタミンのアンモニアの輸送 •反応過程 ATP グルタミン酸 + NH3 グルタミン 合成酵素 グルタミナーゼ ADP+Pi グルタミン 脳、筋肉においてはグルタミンは合成され, 肝臓と腎臓に輸送されてアンモニアとグルタミ ン酸に分解されてる。 •生理的意義 グルタミンはアンモニアの解毒産物でもあり, アンモニアの貯蔵、輸送の形でもある。 三、尿素の生成 (一)生成部 主に肝細胞のミトコンドリアト細胞質ゾル (二)生成過程 尿 素 生 成 の 過 程 は Hans Krebs と Kurt Henseleitによって提出され,オルニチンサイク ル(orinithine cycle)と呼ばれ,又称尿素回路 (urea cycle)あるいはKrebs- Henseleitサイク ルともいわれる。 1. カルバモイルリン酸の合成 • 反応はミドコンドリアで行われる。 CO2 + NH3 + H2O + 2ATP カルバモイルリン酸 合成酵素Ⅰ (N-アセチルグルタミン酸,Mg2+) O H2N C O ~ PO32カルバモイルリン酸 + 2ADP + Pi •反応はカルバモイル合成酵素Ⅰ(carbamoyl phosphate synthetaseⅠ, CPS-Ⅰ)によって触 媒される。 • N-アセチルグルタミン酸は酵素の活性化剤で ある。 • 反応では2分子ATPが消費される。 COOH N-アセチルグルタミン酸 (N-AGA) CH3C-NH-CH O (CH2)2 COOH 2. シトルリンの合成 NH2 C NH2 オルニチントランス カルバモイラーゼ NH2 (CH2)3 CH NH2 + C O O ~PO32- COOH オルニチン 鸟氨酸 カルバモイル リン酸 H3PO4 O NH (CH2)3 CH NH2 COOH 瓜氨酸 シトルリン •反応はオルニチントランスカルバモイラーゼ (ornithine carbamoyl transferase,OCT) に よって触媒される。OCTは常にCPS-Ⅰと複合 体を構成する。 • 反応はミトコンドリアで行われる。生成されたシト ルリンは細胞質ゾルに入る。 3. アルギニンの合成(細胞質ゾル) NH2 C NH2 O C COOH NH + (CH2)3 CH NH2 H2N C H CH2 アルギニノコハク酸 合成酵素 Mg2+ ATP H2O AMP+PPi COOH N C H NH CH2 (CH2)3 COOH CH NH2 COOH COOH 瓜氨酸 シトルリン COOH アスパラギン酸 アルギニノコハク酸 NH2 C N NH (CH2)3 COOH NH2 C H C CH2 COOH NH COOH アルギニノコハク 精氨酸代琥 酸リアーゼ 珀酸裂解酶 NH CH + (CH2)3 NH2 CH NH2 CH COOH COOH アルギニノコハク酸 アルギニン CH HOOC フマル酸 4. アルギニンの尿素ヘの分解 アルギナーゼ アルギニン 尿素 オルニチン オ ル ニ チ ン 回 路 CO2 + NH3 + H2O 2ATP N-AGA 2ADP+Pi 糸粒体 カルバモイルリン酸 オルニチン Pi シトルリン シトルリン ATP オリニチン 尿素 細胞質ゾル アスパラ ギン酸 AMP + PPi アルギニノ コハオ酸 オキサロ酢酸 アルギニン フマル酸 リンゴ酸 α-ケトグル タル酸 アミノ酸 グルタ ミン酸 α-ケト酸 (三)まとめ • 原料:2 分子アンモニア。一つは遊離のアン モニアに由来し,もう一つはアスパラ ギン酸に由来する。 • 過程:まずミトコンドリアで,後では細胞質 ゾルで行われる。 • 消費されたエネルギー: 3 分子ATP,4 個の高エネルギーリン 酸結合。 (四)尿素生成の調節 1. 食物タンパク質 による影響 高タンパク質食 合成↑ 低タンパク質食 合成↓ 2. CPS‐Ⅰによる調節: AGA、アルギニンは酵素の活性化剤であ る。 3. 尿素生成酵素系による調節: 正常成人の肝臓における尿素合成酵素系の活性 酵 素 相対活性 カルバモイルリン酸合成酵素 4.5 オルニチントランスカルバモイラーゼ 163.0 アルギニノコハク酸合成酵素 1.0 アルギニノコハク酸リアーゼ 3.3 アルギナーゼ 149.0 (五)高アンモニア血症とアンモニア中毒 •血中アンモニア濃度の上昇を高アンモニア血 症(hyperammonemia)と呼ぶ。これはひどい 肝機能損傷、尿素合成酵素の遺伝的欠損に よく見られる。 •高アンモニア血症の時 引き起こされた脳機 能 障 害 は ア ン モ ニ ア 中 毒 (ammonia poisoning)と呼ばれる。 アンモニア中毒の可能の機構 NH3 NH3 α-ケトグルタル酸 グルタミン酸 グルタミン 脳内 α-ケトグルタル酸↓ TAC ↓ エネルギーの 供給が不足 第五節 個々アミノ酸の代謝 Metabolism of Individual Amino Acids 一、アミノ酸の脱炭酸作用 • 脱炭酸作用(decarboxylation) R H C NH2 COOH アミノ酸 デカルボキシラーゼ PLP RCH2NH2 アミン類 + CO2 (一) γ-アミノ酪酸 (γ-aminobutyric acid, GABA) L-グルタミン酸 L- グルタミン酸デ カルボキシラーゼ GABA CO2 • GABAは抑制性神経伝達物質で,中枢神経に 抑制作用をもっている。 (二)タウリン(taurine) システイン スルフェニルアラニン デカルボキラーゼ タウリン CO2 •タウリンは抱合胆汁酸の構成成分である。 (三)ヒスタミン (histamine) ヒスチジン デカルボキシラーゼ ヒスタミン CO2 •ヒスタミンは強い血管拡張物質で,毛細血管 の透過性を増加させる。また 胃粘膜細胞 のペプシンと胃酸の分泌を促進する。 (四)5-ヒドロキシトリプタミン (5-hydroxytryptamine, 5-HT) (セロトニン,serotonine) トリプトファン ヒドロキシラーゼ 5-ヒトロキシトリプトファン デカルボキシラーゼ 5-HT CO2 • 5-HTは在脳内では神経伝達物質として, 抑制性作用を発揮し,末梢組織では強い 血管収縮作用をもっている。 (五)ポリアミン(polyamines) オルニチン デカルボキ シラーゼ プトレシン CO2 S-アデノシル メチオニン (SAM ) スペルミン (spermine) 脱炭酸された SAM CO2 5′-メチルチオ アデノシン スペルミジン (spermidine) •ポリアミンは細胞成長と増殖を調節する重 要な物質である。 二、一炭素単位の代謝 •定義 アミノ酸の分解代謝で産生された1炭 素を含んでいるグループは一炭素単位 (one carbon unit) または 一炭素グ ループ(one carbon group)と呼ばれる。 •種類 メチル基 (methyl) -CH3 メチレン基 (methylene) -CH2- メテニル基 (methenyl) -CH= ホルミル基 (formyl) -CHO ホルムイミノ基 (formimino) -CH=NH (一)一炭素単位とテトラヒドロ葉酸 FH4の生成 F FH2還元酵素 NADPH+H+ NADP+ FH2 FH2還元酵素 NADPH+H+ FH4 NADP+ • FH4は一炭素単位代謝の補酵素である。 (一炭素単位は通常FH4のN5、N10に結合し, 運ばれる。) N5—CH3—FH4 N5、N10—CH2—FH4 N5、N10=CH—FH4 N10—CHO—FH4 N5—CH=NH—FH4 (二)一炭素単位とアミノ酸代謝 •主にSer,Gly,His,Trpの分解代謝に由来 する。 セリン グリシン ヒスチジン トリプトファン N5, N10—CH2—FH4 N5, N10—CH2—FH4 N5—CH=NH—FH4 N10—CHO—FH4 (三)一炭素単位の相互変換 N10—CHO—FH4 H+ H2 O N5, N10=CH—FH4 NADPH+H+ NADP+ N5, N10—CH2—FH4 NADH+H+ NAD+ N5—CH3—FH4 NH3 N5—CH=NH—FH4 (四)一炭素単位の生理的作用 •プリン、ピリミジンの合成原料 • アミノ酸代謝と核酸代謝を連結する。 三、含硫アミノ酸の代謝 含硫アミノ酸 システイン シスチン S S CH2 メチオニン CH2SH CH2 CHNH2 CHNH2 CHNH2 CH2 COOH COOH COOH CH2 S CH3 CHNH2 COOH (一)メチオニンの代謝 1. メチオニンとメチル基転移作用 アデニン アデノシルトラ ンスフェラーゼ + PPi+Pi メチオニン ATP アデニン S—アデノシル メチオニン(SAM) • SAMは体内のメチル基の直接な供与体 と認められる。 RH RH—CH3 アデノシン メチル基転移酵素 アデニン SAM アデニン S—アデノシル ホモシステイン ホモシステイン 2. メチオニンサイクル(methionine cycle) メチオニン ATP FH4 (VitB12) N5—CH3—FH4 N5—CH3—FH4 PPi+Pi メチル基転移酵素 S-アデノシル メチオニン ホモシステイン アデノシン RH H2 O S-アデノシルホ モシステイン RH -CH3 3. クレアチン(creatine)の合成 • 肝臓はクレアチンを合成する主な器官である。 • 肌酸以甘氨酸为骨架,由精氨酸提供脒基, SAM提供甲基而合成。 トランス アミジナーゼ + アルギニン グリシン オルニチン メチル基 転移酵素 クレアチン キナーゼ クレアチン リン酸 クレアチン クレアチニン グアニジノ酢酸 S-アデノシル ホモシステイン • クレアチンはクレアチンキナーゼの触媒下 で,クレアチンリン酸に変換する。 • クレアチンリン酸(creatine phosphate)はエ ネルギー貯蔵形である。 • クレアチンとクレアチンリン酸の代謝終産物 はクレアチニン(creatinine)である。 (ニ)システインとシスチンの代謝 1. システインとシスチンの相互変換 CH2SH 2 CHNH2 COOH -2H +2H CH2 S S CH2 CHNH2 CHNH2 COOH COOH 2. 硫酸イオンの代謝 SO42- + ATP AMP - SO3- (アデノシル-5´- ホスホ硫 酸) 3-PO3H2-AMP-SO3(3´-ホスホアデノシル-5´-ホスホ硫酸,PAPS) アデニン • PAPS は “ 活 性 硫酸”で,硫酸 イオンの供与体 として働く。 四、芳香族アミノ酸の代謝 芳香族アミノ酸 フェニルアラニン チロシン トリプトファン (一)フェニルアラニンとチロシンの代謝 Phe + O2 フェニルアラニン ヒドロキシラーゼ テトラヒドロ ビオプテリン NADP+ Tyr + H2O ジヒドロ ビオプテリン NADPH+H+ これはフェニルアラニンの主な代謝経路である。 1. カテコールアミンとメラニンの合成 チロシンヒド ロキシラーゼ チロシン ノルエピネフリン (norepinephrine) ドーバ(dopa) ドーパミン(dopamine) エピネフリン (epinephrine) • カテコールアミン(catecholamine)はドーパミン、 ノルエピネフリン、エピネフリンの総称である。 • パーキンソン病(Parkinson disease)ではドー パミン合成系酵素活性がすべて低下している。 • メラノサイトではチロシンはチロシナーゼなど の触媒でメラニン(melanin)を合成する。 • 白子症(albinism)はチロシナーゼの遺伝的 欠損によって引き起こされた代謝異常症であ る。 2. チロシンの分解代謝 トランス アミナーゼ チロシン フェニル ピルビン酸 ホモゲン チジン酸 フマル酸 オキサロ 酢酸 • アルカプトン尿症はホモゲンチジン酸オキシ ダーゼの遺伝的欠損によって引き起こされた代 謝異常症である。 3. フェニルケトン尿症(phenyl keronuria, PKU) フェニルアラニンヒドロキシラーゼが遺伝的に 欠損するとフェニルピルビン酸は大量に生成する。 トランスアミナーゼ 正常の場合 まれ フェニルアラニン フェニルピルビン酸 フェニル酢酸 (二)トリプトファンの代謝 5-ヒドロキシトリプタミン 一炭素単位 トリプトファン ピルビン酸 + アセトアセチルCoA ビタミン PP 五、分枝アミノ酸の代謝 分枝アミノ酸 ロイシン イソロイシン COOH COOH CHNH2 CHNH2 CH2 CH CH CH3 CH3 CH2 CH3 CH3 バリン COOH CHNH2 CH CH3 CH3 氨基酸的重要含氮衍生物 化合物 生理功能 氨基酸前体 嘌呤碱 含氮碱基、核酸成分 嘧啶碱 卟啉化合物 肌酸、磷酸肌酸 含氮碱基、核酸成分 Asp、Gln、Gly Asp 血红素、细胞色素 能量储存 Gly Gly、Arg、Met 维生素 神经递质、激素 Trp 激素 皮肤色素 血管收缩剂、神经递质 Tyr Tyr、Phe Trp 血管舒张剂 His 神经递质 细胞增殖促进剂 细胞信号转导分子 Glu Arg、Met Arg 尼克酸 儿茶酚胺 甲状腺素 黑色素 5-羟色胺 组胺 γ-氨基丁酸 精胺、精脒 一氧化氮(NO) Tyr、Phe COOH COOH H2N C H (CH2)3 NH C NH H2N アルギニン + O2 一酸化窒素 H2N C H シンターゼ (CH2)3 (NOS) NADPH+H+ NADP+ + NO NH C O H2N シトルリン 一酸化窒素
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