社会心理学(GED231) -個人の社会化ー

社会心理学(GED231)
-社会的自己の形成(2)-
「個人の社会化」
このクラスで理解すべきこと
1.社会化(Socialization)とは何か。
2.社会化の一般的理解と聖書的理解の
間にある相違は何か。
3.社会化概念は信仰生活の霊的成長の
どの領域に適用することができるか。
このクラスで理解すべきこと
4.社会化のプロセスにおいて文化の習得
がな されるが、EnculturationとAcc
ulturationの違いは何か。
5.教会共同体における霊的社会化に必
要な要素を3つ挙げよ。
個人の社会化

人間の性格と人間の成長
•一般社会学的理解


生理的な個体として誕生し、個性(人間)
となる可能性を所有する有機体としての
赤子(唯物論的見解)
社会化(Socialization)過程を通して人
間としての個性を獲得する人間
個人の社会化

人間の性格と人間の成長
• 聖書的見解
 神の形に象られた霊性を持って誕生す
る人間
 社会化プロセスを通して外部から取り入
れるものではない霊性
 罪によって霊性が機能しなくなっている
状態にある新生前の人間
個人の社会化

人間の性格と人間の成長
• 聖書的見解

社会化過程を通して人間としての個体が
個性を持った社会的存在へと成長

生理的誕生のあと霊的誕生を経験する
ことにより仮死状態にあった霊性が目覚
め神と交わる可能性が回復
個人の社会化

社会学的定義
特定の社会・文化のなかで共通に行わ
れている行動規範・価値概念を、個人が
習得していく過程
 個人が生活する社会の機能的成員とし
て必要な要因を獲得する過程


心理学的定義

個性の発達と自己概念の認識を促進さ
せる過程
個人の社会化

社会心理学的定義
• 社会的存在である個人が感情の表現、思
考の方法、行動の様式を方向付けて行くた
めに必要な過程
• 個人の内部に取り入れられた特定の「社
会」が、個人の行動体系を規制し、動機づ
ける過程
自然描写(俳句)
 感情表現(「好き」)
 行動体系(指を折って数える仕方)

個人の社会化

社会化の機能
文化の継承--地域社会の機能的成員と
なるために
 個性の発達--地域社会の存続のために


社会化の過程
誰かとの交流の中で行われる社会化
(1ヨハ1:3,ヨハ15:7)
 両親、兄弟、教師、友人、教会での交わ
り、TVのアイドルへの憧憬

個人の社会化

社会化の諸相
1.社会化における知的能力の発達

自然発生的でない知的能力の質的変化(発達)

社会・文化的環境が知的能力に与える影響

英国的な受動的な教育方式で育つ日本人
•画一的な人物の養成--社会的な安定

創造的な教育方式で育つ米国人
•個性を伸ばす、能力主義の社会に適切な人
物を養育--社会的に開放的であると共に変
動的
個人の社会化

社会化の諸相
2.社会化における役割意識の発達

性役割
•性別から来る役割期待の相違
•父系制社会・母系制社会

年功序列意識
•年齢表現のない兄・弟・姉・妹
個人の霊的社会化
認
罪
栄
聖 化
義 化
新 認
生
個人の霊的社会化

御霊による社会化(聖化)-その過程
教会(キリストの体)における聖書的な交
罪人を潔め、罪人の全性質を神の形に
わりにおける聖化
回復させ、彼が良い行いをする

 個人的な作業ではない聖化
事ができるようにさせる、聖霊の恵み深
く、継続的な働き
-ベルコフ
 神の義認(Justification)を経て、復旧
する可能性を持った神のかたち(キリスト
の姿-ロマ8:29、2コリ3:18)
個人の霊的社会化

御霊による社会化(聖化)-その結果
• 「御霊の実」の結実
「キリストの心」の内面化である御霊の実
 「愛し合う」ことによって(1ヨハ4:12-18)
 「神の子を告白することによって」(1ヨハ
4:14-15)
 「神の言葉が留まっていることによって」(1ヨハ
2:24)

• キリスト者の品性の向上
個人の霊的社会化
(mevw )
わたしにつながって(とどまって)いな
さい。わたしもあなたがたにつながって
いる。ぶどうの枝が、木につながってい
なければ、自分では実を結ぶことがで
きないように、あなたがたも、わたしに
つながっていなければ、実を結ぶこと
ができない。
(ヨハ15:4)
個人の霊的社会化
(mevw )
わたしはぶどうの木、あなたがたはそ
の枝である。人がわたしにつながって
おり、わたしもその人につながっていれ
ば、その人は豊かに実を結ぶ。わたし
を離れては、あなたがたは何もできな
いからである。(ヨハ15:5)
個人の霊的社会化
(mevw )
わたしにつながっていない人がいれ
ば、枝のように外に投げ捨てられて枯
れる。そして、集められ、火に投げ入
れられて焼かれてしまう。(ヨハ15:6)
霊的な位置の確認

物理的存在位置と霊的な位置
• キリストの内か外(側)か

霊的位置と霊的成長との相関関係
• 内か側かの重大な相違
• 聖化の度合いに関連
• 御霊の実の結実具合
霊的位置
物理的位置
人間と環境
自然環境
・人間生活に不可分な関係
・人間の生活様式に影響
・人間の文化様式に影響
・人間の思考様式に影響
人間と環境
社会環境
・社会化(Socialization)の場を提供
-母子関係の設立
-家族関係の設立
-友人関係の設立
-雇用関係の設立
・社会生活への適応性の育成
人間と環境
文化環境
・人間の生活様式に影響 (物質的文化)
・人間の行動様式に影響 (規範的文化)
・人間の思考様式に影響 (精神的文化)
人間の生活様式システム

人間の生存レベル
・生態系システム-呼吸・摂食・排泄・休息・睡眠

人間の実存レベル
・社会系システム-経済・政治・家族・技術
・文化系システム-言語・習慣・宗教儀礼
文化の定義


知識、信仰、芸術、法律、習慣その他、
社会の成員としての人間によって獲得さ
れた、あらゆる能力や習慣を含む複合的
全体(Tylor、1871)
習得された思考、感覚、行動の様式
(Radcliffe-Brown,1958)
文化の定義



一民族の生活様式の総体、個人がその集
団から得る社会的遺産(Kluckhohn,1950)
人々がその経験や、知識を構造化し、行
動を秩序付け、選択や意志決定を行う基
準となる知識・信仰・価値の体系
(Goodenough,1957)
人間の所有物(what we have)、行動様式
(what we do)、思考体系(what we think)の総
体--Kitano
文化の三要素
文
化
what we have
what we think
what we do
総
体
文化の三要素
文
化
what we have
道具
住居
芸術
言語
総
体
日本文化における神概念

漢字文化の影響
• 視覚理解が聴覚理解に優先する文化
• 見ることができ、触ることができる神々
• 「聴けイスラエルよ」とは異質の神理解
日本語の文化的特徴
英語
日本語

表意文字→視覚理解
暗示的(Implicit)
「話しても分からない」
 受容的・忍従的思考
「話さなくても分かる」
 静的・消極的表現


表音文字→聴覚理解

明示的(Explicit)
「話すことで分かりあえる」
 主体的・合理的思考
「話さなければ分からない」
 動的・積極的表現

点的論理

線的論理

曖昧表現

端的表現
言語の文化的特徴
日本語
英語

表意文字→視覚理解
「古池や

暗示的(Implicit)
蛙
表音文字→聴覚理解
「古池
」-冠詞の必要
 明示的(Explicit)
「蛙」-単数か複数か
「話すことで分かりあえる」
 主体的・合理的思考
「話さなければ分からない」
「飛び込む」-進行形
 動的・積極的表現
か、現在形か、現在
 線的論理
完了形か
「話しても分からない」
受容的・忍従的思考
「話さなくても分かる」
飛び込む
 静的・消極的表現


水の音」
点的論理

日本文化と視覚理解
Forest
木 Tree
木木 Grove
木木木
Jungle
日本文化と視覚理解
峠
Mountain Pass
上
女下
Elevator Girl
文化の三要素
文
化
what we think
価値観
審美観
道徳観
人間観
宗教観
総
体
理解の種類-「知る」

知性的理解

感性的理解

直観的理解

実存的理解
真理の種類


Ultimate Truth (究極的・絶対的真理)
Relative Truth (相対的真理)
• Logical Truth (理性に合致する命題)
• Ontological Truth (判断が現実に合致する命
題)
• Moral Truth (言葉・表現が本人の思い・本音に
合致する命題)
• Propositional Truth (命題を提出しているもの
が、真実を語る人物あるという信頼感から生まれ
る命題
日本人の知覚特性

直感
• 説明や証明を経ないで、物事の真相を心
で直ちに感じしること

直観
• 判断・推理などの恣意作用の結果ではなく、
精神が対象を直接に知的に把握する作用
(直知)
東・西の人間観
「個人」モデル-自我
「間人」モデル-自分



抽象的実体ではない
自らの存在根拠を他
に負う存在
「自分」と「他分」の共
生的存在




他の誰にも依存しない
自由で独立した存在
明確な実体感覚
進取的な行動主体
(浜口、pp.67-74)
東・西の人間観
「間人」主義-他人信頼
「個人」主義-他人不信

相互依存主義

自己中心(尊重)主義

相互信頼主義

自己依拠主義

対人関係の本質視

対人関係の手段視

「恩・義理」関係

「契約」関係
(浜口、pp.67-74)
日本文化における神概念

「カミ」概念の曖昧さ
神、神々、お上、女将...
 God、god、gods>하나님


自然に対する審美的憧憬


曖昧な神概念・自然崇拝に要因
自然と共存自然に服従

道教的な態度
曖昧な神概念

明晰な命題を持たない神概念
•太陽、神話の生き物、聖人、英雄、鳥、動物、植物
•森羅万象を網羅する神々-八百万の神々
•畏敬されるべき性質・容姿のある存在

本居宣長の神観
•私も神という意味を十分理解できない。
•すべて畏れおおきものこれ神というらむ。
•天皇も神-遠きところにおわす神(お上)
文化の三要素
文
化
what we do
倫理行動
学習態度
集団行動
宗教行為
総
体
日本人の行動パターン

状況中心型行動
• 自分の置かれた状況を基準として優先
• 行為者が主観的に指定し、意味づけた行
為の場
• 行為に関係する領域の設定
• 行為の場所の意義の認知
(浜口,p.14)
日本人の行動パターン

状況中心型行動
• 与えられている行動規範の回避
• 集団内の一定の価値への準拠
• 特定的状況への臨機応変的対処
(浜口、p.17)
西欧人の行動パターン

規範型行動
• 状況に無関係の規範行動
• 公共的な価値観や集団的規範に依拠
• 集団的に固定化された規範への遵守
(浜口、p.19)
文化と社会化(Socialization)

自文化習得(Enculturation)
- 伝統的文化が次世代に継承されて行く
社会化過程

他(異)文化取得(Acculturation)
- 他文化の流入による社会変動・社会触変
文化と社会化(Socialization)

概念的理解
• 文化類型を学ぶことによって

関与的理解
• 異文化に接触することによって

投影的理解
• 自分の文化を理解することによって
自文化・他文化触変類型
他文化全面共生型
自文化全面吸収型
他文化部分共生型
他文化拒否型
他文化取得(Acculturation)




社会変動・社会触変を起こす。
既にある伝統文化をマクロ的に変容さ
せる 。
下位文化(Sub-culture)を創造する。
他文化許容度を越すと社会化プロセス
における消化不良状況を起こす。
アイデンティティーの危機
他文化取得(Acculturation)
カタカナ(外国)文化の攻勢
「日本らしさ」の縮小
文化的分断症状
社会化プロセスのねじれ
他文化取得(Acculturation)
他文化
自文化
保守的社会
革新的社会
孤立的社会
他文化取得(Acculturation)
他文化
自文化
保守的人物
保守的地域
革新的人物
革新的地域
排他的人物
排他的地域
他文化取得(Acculturation)
終身雇用制
年功序列制
業績主義
「
個
」
の
確
立
「
和
」
の
社
会
聴いて愛する信仰
聞け、イスラエルよ。我らの
神、主は唯一の主である。 あ
なたは心を尽くし、魂を尽くし、
力を尽くして、あなたの神、主
を愛しなさい。
(申6:4-5)
聴いて信じる信仰
信仰は聞くことから始まり、
聞くことは、キリストについ
てのみことばによるので
す。
(ロマ10:17)
虚像
だれでもキリストのうちにあるなら、その人
は新しく造られた者です。古いものは過ぎ
去って、見よ、すべてが新しくなりました。
(2コリ5:17)
神にデザインされた私
自然環境
社会環境
文化環境
感性的要素
仮面の私(虚像)
-編集手帳:07/07/21-
「世界は劇場、男も女もみな役者」は
シェークスピア劇の言葉だが、「いい
人」と見られることに疲れたり、「元気
者」の看板が重荷になったり、ひとたび
楽屋に戻れば、
役者は誰しもへとへとだろう。
自分探しの再出発

どうすれば「?」にたどり着けるのか
•少々やっかいな作業
•見えている自分がホントウの自分だと
は限らないから

ホントウの自分がなかなか見つから
ない原因をつきとめる必要
放蕩息子
ある人に息子がふたりあった。 弟が父
に、「おとうさん。私に財産の分け前を下
自信過剰
さい。」と言った。それで父は、身代をふ
思いこみ
たりに分けてやった。それから、幾日もた
誘惑・浪費
たぬうちに、弟は、何もかもまとめて遠い
自己喪失
国に旅立った。そして、そこで放蕩して湯
行き詰まり
水のように財産を使ってしまった。(ルカ
き虚
る像
自に
分生
15:11-13)
放蕩息子
我に返ったとき彼は、こう言った。『父
に 本 罪の自覚
のところには、パンのあり余っている
雇い人が大ぜいいるではないか。そ
帰 来 神の認知
れなのに、私はここで、飢え死にしそう
っの
罪の告白
だ。 立って、父のところに行って、こう
自己復元
た自
言おう。「おとうさん。私は天に対して
赦しと愛の体験
私
分
罪を犯し、またあなたの前に罪を犯し
ました。」』(ルカ15:17-18)
神から離れているから
罪
神様がデザインして下さった貴方
虚像
だれでもキリストのうちにあるなら、その人
は新しく造られた者です。古いものは過ぎ
去って、見よ、すべてが新しくなりました。
(2コリ5:17)
神にデザインされた私