大学入門講座8 プレゼンテーションで 発表力をつけよう 大学入門講座 はじめに 大学では,新しい知識を得ると共に,その知識や多 くの情報をもとに,自分の意見を構築しなければな りません。 また,社会の中では,自分の意見を相手にきちんと 納得させなければ仕事ができません。 そのために,コミュニケーションやプレゼンテーショ ンの技術を身につけることが大切です。 自分でプレゼンテーションを行ない,他人のプレゼ ンテーションを聞いて評価することにより,プレゼン テーション力は確実に身につきます。 この方法を大学入門講座の各授業で訓練しましょ う。 プレゼンテーション評価の目的 自分の意見を構築する。 プレゼンテーション能力を高める。 他人のプレゼンテーションを聞く能力を高める。 他人のプレゼンテーションを評価する能力を高め る。 自分のプレゼンテーションにフィードバックする。 プレゼンテーション評価の方法 評価項目の設定 内容と技術の両側面から授業内容に合わせて数項目を設 定します。 3段階(あるいは5段階)評価 3:優れている,2:一応はできている,1:改良が欲しい 学生も評価 教師ばかりではなく学生も評価に参加します。 評価結果の表示 集計の結果をレーダーチャートで表示します。 (ただし,授業中にレーダーチャートまで描くのは難しい) 評価結果の分析 集計結果を分析して,次のプレゼンテーションにフィード バックします。 大切なもの・・・発表の内容と技術 プレゼンテーション能力は思考結果を表現する総合能力です。 プレゼンテーションは,その内容と技術が大切です。 プレゼンテーション (総合能力) 発表の内容 (論理的な思考と中身) 発表の技術 (まとめと表現の仕方) 何を表現するか どのように表現するか 目的,方法,結果, 今後の方針 文章,図,表,資料, 話し方,説得力,応答 例:工学部の卒業研究のプレゼン テーション評価における評価項目 プレゼンテーションの内容と技術の両面から評価する。 発表の内容: 課題の目的が理解できている 適切な実験計画がたてられている 結果を理解して意味をつかんでいる 発表の技法: 資料が見やすく用意されている 発表態度が堂々としている 質問に対して的確な応答ができる 評価項目の設定 入門講座の授業内容にあわせて,内容と技術の両 側面から2つか3つずつ評価項目を作ってください。 内容:(1) (2) (3) 技術:(1) (2) (3) 評価表の作成 評価項目 (評価項目は一例です) グループ グループ グループ 1 2 3 ①課題の目的の理解 3 2 1 3 2 1 3 2 1 内容 技術 ②適切な実験計画 3 2 1 3 2 1 3 2 1 ③結果の理解 3 2 1 3 2 1 3 2 1 ④資料の見やすさ 3 2 1 3 2 1 3 2 1 ⑤発表態度 3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 3 2 1 ⑥質問への応答 3段階評価・・・3:優れている,2:一応はできている,1:改良が必要である 表では3段階評価にしていますが,5段階評価でも結構です。 プレゼンテーションの実際 講義の後半で討論を行なう。 グループに分けて討論をする。 講義の内容を中心に,討論のテーマを決め る。 グループの中で司会,記録,発表者などの役 割を決める。 討論ではみんなが発言するように努める。 討論の内容をまとめる。 発表者がグループのまとめを報告する。 プレゼンテーション評価の実際 評価シートにしたがって評価する。 すぐさま分担して集計し,各グループに対す る評価平均値を出す。 一番評価平均値の高いグループを紹介する。 このグループのよかった点を述べ合う。 各グループで自分のグループの評価結果を 検討し,よかった点と改良すべき点を報告し 合う。 卒業研究のプレゼンテーション評価の例 学生A 学生B 学生C 総合 第1回 中間 発表会 ⑥ ① ⑤ ② ④ ③ 第3回 中間 発表会 卒業 研究 審査会 教官の評価 学生の評価 ① 課題の目的の理解 ④ 資料の見易さ ② 適切な実験計画 ⑤ 発表態度 ③ 結果の理解 ⑥ 質問への応答 まとめ 日頃から,友達・先輩・教職員と議論し合い, 広く深い知識を得て,自分の人生の基盤にな る考えを作り上げてください。 プレゼンテーション力は日本人の弱点です。 自分の意見をしっかり持ち,それを相手に正 しく伝えてこそ,真の国際人です。 プレゼンテーション評価によってプレゼンテー ション力が向上することは実証されています。 プレゼンテーションに関する参考書 • 中島利勝,塚本真也,知的な科学・技術論文の書き方 • 書店にたくさんありそうです。探してみてください。 プレゼンテーション評価に関する参考文献 • 英 崇夫,日下一也:“プレゼンテーションの実施による アウトカムズ評価の新しい試み”,工学教育,50-5, pp.47-53(2002) • 英 崇夫,日下一也:“卒業研究のプレゼンテーション 評価とその展開”,工学教育,51-5,pp.42-50(2003)
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